シャズナはくらくらする頭を抱えながら目覚めた。
「ここは・・・」
「よく寝ておったの」
「ラシフィラ王女・・」シャズナは目眩がするのか、目元を押さえながら辺りを見渡した。
「私たちは盗賊一味にとらえられたようじゃ。」
どうやら狭い倉庫のような建物の中だった。
「なぜ私たちを?」
「きっと私をラシフィラと知っての事に違いない。」
すると、扉から痩せた背の高い狐の様な目をした男が入って来た。
「その通りでさぁ。ようやくお目覚めになりましたね、お二方。」
盗賊の一味と思われる狐目の男が言った
「ラシフィラ王女様の行方不明は、今や街中の噂ですぜ、なあに大人しくしていれば乱暴は致しませんよ、わしら盗賊一味には、あなたは大切な金づるだ。国からお金をもらうまではここで我慢してもらいますぜ。」
と言って男は去っていった。
「シャズナと言ったの、お前を厄介なことに巻き込んでしまったようじゃ。」
「なに、つい数ヵ月前まで、牢屋に閉じ込められておったのだ。今更なんのことはない。」シャズナはポケットをまさぐりながら言った。
「王女よ暫しの辛抱じゃ。」ポケットから紙切れを取り出すと「あむ、きれこよねら。」シャズナは呪言を唱えた。すると、紙が鏡のように光り、ユースの姿が写った。驚いたのはユースの方だった。何と、紙切れほどの小さな空間にシャズナが写っているのだ。
「おい、ユース、聞こえるか?」
「シャズナ️無事なのか?お前、今どこにいるのだ。ラシフィラ王女様はご一緒なのか?」
「今のところは大丈夫だ、ラシフィラ王女と一緒に盗賊一味に監禁されている。どうやら身代金目当てのようだな。」
「今どこにいるかわかるか?」
「小さな倉庫のような建物だ。あとは・・鳥?鶏の鳴き声が聞こえるな。近くに養鶏場が有るのかもしれぬ。」
シャズナは周りの状況を出来るだけ詳しく伝えてユース達が助けに来るのを待つことにした。
すると、外で数人の男達の声が聞こえた。
「シャズナどの、外が騒がしいようですね。」ラシフィラは様子がおかしいと思いシャズナに尋ねた。
ドン、ガン!"なんだ!お前は!ギャ!グッ!デ!ぐえっ!"
盗賊達の悲鳴を聞いて、「なんじゃ、ユースとサーガがもう助けに来たようじゃな。」シャズナはあまりの早さを以外に思いながらも、ホッとした気持ちになった。
バーン! 倉庫の扉があ開いた!
「ラシフィラ王女!お待たせ致しました!」
???ユースでもない、サーガでもない男が黄金の鬣(タテガミ)のような雄々しい髪をなびかせて登場したのだった。
「誰だ?そなたは。城の兵士か?」
城の兵士と言うには、あまりにも優雅な、そして美しい若者だったのだ。「いえ、私の名はレディダス。ラシフィラ王女が誘拐されたと聞いて、八方手を尽くし、助けに参りました。」
レディダスのあまりの美しさにラシフィラは見とれてしまった。
「さあ、盗賊一味はやっつけたが、まだ仲間が居るかもしれない。今のうちに逃げよう!」三人は倉庫を後にした。
そこへ「シャズナ!ラシフィラ王女!」
遅ればせながらユースとサーガが駆けつけてきた。
「無事だったのか、良かった。して、そのお方は」
「私の名はレディダス。ラシフィラ王女が誘拐されたと聞いて駆けつけてきたのだ。」
そこへ残りの盗賊達が現れた。「この野郎たち!逃げやがったな、こうなりゃ王女以外は殺しても構わねえ!てめえらやっちまえ️」
「おいおい、20人はいるぜ、ラシフィラ王女とシャズナは戦力外としてそこの兄ちゃんは戦えんのか?」サーガがレディタスの優雅な姿を見て言った。
「剣の扱いには、いささか自信はあるが。まあ見ておれ。」レディダスは腰の剣を抜き、舞うように盗賊一味に向かって行った。すると、1人2人とバタバタと盗賊たちが倒されていった。
「やるな~レディダス殿。サーガ!僕たちも加勢しよう!」三人が戦いはじめて15分程度で盗賊一味は全滅したのだった。
「皆には迷惑をかけた。すまぬ。私は城に帰ることにする。お主らには褒美を取らせよう。私の護衛として城までついて参れ。」
ラシフィラ王女とレディダスを含めた四人は首都エタテナーラ城の大広間に通された。
「エタール国、国王ガルシア様のおなりー!続いて第三王女ラシフィラ様のおなりー!」厳かな雰囲気の中、国王とラシフィラが大広間の上段にある玉座に腰掛けた。
「そなた達か。盗賊より我が姫を救ってくれたそうじゃな。礼を申すぞ。褒美を取らせるゆえ何か望むものがあれば一人一人申すがよい。」
「我が父、ガルシア王もそう言うておる。遠慮なく申すがよい。」
「は!有りがたき幸せ。では、我ら三人は旅の途中ゆえ、荷馬車が1台欲しゅうございます」
「ではレディダス殿は?」ラシフィラ王女は少し頬を赤らめてレディダスを見た。「それでは。恐れながら私の望むものは。ラシフィラ王女様でございます」
「な!」「え!」「マジで!」その場の空気は凍てついた。が、ラシフィラは顔を真っ赤に染めた。
「無礼者!身分をわきまえろ!」守衛たちが一斉にレディダスをとらえようとしたのだった。