〜千年女王〜   作:ローゼンリッター

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第六話 一つ目の怪物

レディダスは金色の髪を爽やかになびかせて守衛達を蹴散らして国王の前に出た。

「国王!すでに姫様は私のものです。」

「どういう事じゃ?姫の心はお主の物と言うことか?」

「そうであれば更に幸せでございますが。私は隣の国、ナルタス国の第一王子レディダス。ラシフィラ王女とは既に婚約をしておるはずでございますが。」

「な!」「え!」「マジで!」

その場にいる全員が唖然とした!

レディダスは自分の結婚相手を一目見ておこうと、ラシフィラを見に来たのだった。そしてラシフィラに恋をした。もちろんラシフィラは既にレディダスに恋をしているのだった。

まさに運命の出会い。万分の1の偶然。運命の悪戯。出会うべくして出会った二人であった。

 

 

「なんだかんだ言ってわしらは恋のキューピッドだったのう。」

サーガが楽しそうに荷馬車に揺られながら言った。

シャズナも思うところがあるらしく

「基より定められた相手とはいえ、好きでもない相手と結婚するのはお互い不幸と言うもの、今回のようなケースは珍しかろう。」

と感想を述べた。三人は新しく手に入れた荷馬車と共に西の果ての国を目指すのであった。

 

 

 

辺りは暗闇に覆われていた。シャズナは空中を漂いながら自分が置かれている状況を考えていた。

空気が冷たい。まるで夜の闇に飲み込まれたような感覚。それとも地の底へゆっくりと落ちていくような感覚か?意識はある。手足の自由もきく。まだ力は残っている。ここら抜け出して、早く仲間のところに戻らねば・・・。

悔やまれるのは、あの時ユースの言うことに耳を傾けておれば・・漆黒の宙を漂いながらシャズナは回想していた。

「こちらの方が近道じゃ!」「その森には闇の魔物が住んでいる!少し遠回りをしよう」ユースは昨日泊まった村で集めた情報を基に西の国への旅程を考えていた。「わしは巫女ぞ!闇のものなど鎮めて見せるわ️」シャズナも譲らない。結局、ユースとサーガは回り道、シャズナは森の中を進むことにしたのだった。

森の中は昼間だと言うのに薄暗く、シンと、静まり返っていた。シャズナは精霊の呪言を唱えながら、進んで行ったのだ。すると、辺りに霧が立ち込めてきた。空気は冷たく、シャズナが吐く息も白くなってきたのだった。

「!?」シャズナは身構えた。「闇夜を治める常闇の精霊達よ、我は1000年の永きを何代にも渡り神に使える巫女、シャズナなり。お前の姿を現し我にひれ伏せよ️なれ、さく、まかさー!」

すると闇の中から禍禍しい1つ目の怪物が現れた。

 

「我は魔界の門番、入口を隠す者であり、出口を塞ぐ者」1つ目の怪物は地底から這いずり回るようなかすれた声で言った。シャズナは一人で森に入った事を少し後悔したが、気を取り直して呪言を唱えた。

「森の精よ、邪悪なる者を滅ぼせ!やま、らま、なた、ら、や!」

しかし暗い森の中ではシャズナが唱えた呪言は力を発揮しないのだった。シャズナの巫女としての力は、神力が大地に届く空間で発揮されるのだ。この森の中は魔の空間であり魔界への入り口なのである。

 

すると、1つ目の怪物の目が光りシャズナは気を失った・・・。

目覚めるとシャズナは暗闇に飲み込まれ、宙を漂っていた。

どれ程の時間が経ったのか。シャズナは自分の身体に異変がないのを確認して呪言を唱えた。しかし、魔の暗闇の中ではシャズナの呪言は力を発揮出来ない。せめて、ユースとサーガに連絡がつけば。

 

一方、ユースとサーガはシャズナの事が気になって森へ引き返した。

「全く世話が焼ける巫女様よのう」

二人は言いながらも、シャズナを一人で森に入らせたことを後悔していたのだ。

森に入ってしばらくすると霧が立ち込めてきた。

「我らが巫女様はこの霧の主とやりあったようだな。」

サーガが警戒しながら言った。

「ユース準備は良いか?」

ユースは既に火龍の剣を構えていた。

すると、1つ目の怪物が現れた。

「我は魔界のもんば・・グエ!ングっ! 」

サーガはいきなり蹴りを入れた!続いて、ユースも1つ目の怪物の頭を殴った。

そしてサーガの太い腕で怪物の首を締め上げたのだ。

「堪忍してください~」

1つ目の怪物は大きな涙を眼に溜めながらサーガの腕の中で足掻いていた。

「ここにシャズナという巫女が来たはずだ!どこにおるか言え!言わんとこのまま首をへし折るぞ!」

「き来ました、精霊の呪言を唱えながら歩くもんですから、懲らしめてやろうと思って魔界の門の中に閉じ込めてやりました。クゲッ!」サーガは腕に力を入れた。

「早くシャズナを、魔界の門から出すのだ!早くせぬと獣人サーガ様がお前の目をくりぬいてやるぞ️」

「は、はいー!」

1つ目の怪物は泣く泣く魔界の門を開いた。

ユースはサーガに1つ目の怪物の見張りをさせておいて、シャズナを探しに魔界の門に入った。

門の中は真暗闇だった。上と下との区別もつかず宙を漂っているような感覚だ。

「シャズナー!」

何度か大声で呼ぶと近くから「ウゥッ」と弱々しく呻き声が聞こえた。太陽神から力を得ているシャズナは魔界の暗闇にいて力が弱っていた。

漸く魔界の門から出ることができたシャズナはユースとサーガに心配をかけたことを詫びた。

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