「……」「これに乗るのか?」「大丈夫なのか…」三人は唖然としながら船を見上げた。
ガーネット海峡を渡るには、帆船で4日は必要である。
確かに帆船ではあるが、周りの立派な帆船とは比べようにならないオンボロ船であった。
「おう!あんたらナーリャが言っていた3人組かい️」色黒の筋骨逞しい50才くらいの男がオンポロ船から声をかけてきた。
「そうだが、この船でガーネット海峡を渡るのか?」「おうよ!見た目はボロいが俺とは30年来の付き合いだ!大船に乗った気持ちで居るがいいぜ!」男はカッカッカ!と豪快に笑った。
ユース、シャズナ、サーガの3人はナーリャを恨めしく思いながらも乗船した。
「先ずは、ようこそ我がアルカディア号へ!」
「うげぇー!」サーガは海に向かって何度目かの嘔吐をした。
「俺はもうダメだ~」
「ハハハっ。サーガにも苦手なものがあるんだな。」ユースとシャズナはサーガの情けない姿を見て笑った。
アルカディア号に乗船している客はどうやらシャズナ達の三人だけだった。どうやらこの船は客船と云うよりは荷物を運ぶ運搬船のようであった。よってシャズナ達の居場所は荷物が積まれている船倉か荒い波しぶきがかかる甲板になったのだ。
「あと、どれくらいで着くんだ?」サーガが青い顔で聞いた。
「ダンナ何言ってるんですか!ほんの数時間前に乗ったばっかりですぜ、ガーネット海峡を渡るには4日はかかりますぜ」船長は呆れたように言った。
「ダンナ達はどこに行くんです?商人でも無さそうだし、わざわざ危険な海峡を越えるくらいだ、何か目的があるんでしょう?」
シャズナがサーガの介抱をしている様子を見ながらユースが答えた。「私たちは西の国の向こうにあると言う"この世の果て"を目指しているのだ。」
「へぇー。そりゃ大冒険だな!確かに西の国に行くにはガーネット海峡を越えないと行けねえな。なるほどこれで納得だ。兄さんたち見た感じはテンでバラバラな三人組だもんな。」
「バラバラに見えるか?自分達のことはよくわからないのだが」「どう見たってバラバラだろう。獣人と巫女さんと剣士って。ゲームキャラの組合せしかないぜ」色黒の船長が言った。
「ところで先程、危険な海峡越え。と言いましたが、何か危険なことがあるのですか?」
「いや、滅多には無いんですがね。この海峡には魔物が住んでいまして。たまに現れて舟を丸ごと沈めてしまうんでさ。このアルカディア号は30年間無事でしたがね、仲間の船は何艘も沈められましたよ。」
苦々しく船長は言った。
「まあ。年に2~3度くらい出るくらいですわ。」
「では大丈夫かな?年に2~3度なら、余程運が悪くないと出くわさないよな。」ユースは安心した。
船旅3日目の朝、どんよりとした雲と共に辺りに霧が立ち込めてきた。「こんな天気は30年来初めてだな。」