トレーナーに、なっちゃってるんだなぁ~コレが!   作:ゾルタンカワイイヨ

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タイトルに意味などない。


モビルワーカー MW-01 01式

「オイオイオイ、秋川理事長。そいつは一体全体どう言う事なんだ?」

 

 あれから一ヶ月後、仕事復帰初日に上司である理事長に呼び出された俺は

 みんな大好き緑色の悪魔3号こと、駿川たづなさんに連れられて連れて来られ悪役顔を怖がれるんじゃないかと心配したのがバカらしくなるほどの無茶を言い渡されたのだった……ってオイ! 

 思わずクソッタレに長い前髪をかき分けて平然を保つがこの人、おかしすぎだろ。何で狂って療養してた人間が無垢な原石達を育て上げないといけないんだ! どう考えても彼女達にとって悪影響だろう。

 

「運命! 私は君を見て確信した、君には選抜レースすらまだ迎えていない金の卵たるウマ娘達を任せられると!」

 

 ちょっとニュータイプしすぎじゃないですか理事長さんよ。大人しく割れた種を戻して、どうぞ。

 

「……は! し、しかし理事長、ゾルタンは心労的要因から療養を取っていたんですよ。そんな彼に任せるだなんてとても……」

 

 突然の事にフリーズしていたたづなさんも無事再起動を果たして俺と同じく抗議開始! 

 

 そーだぞ! こちとら一度狂い済みの現在SAN値ピンチ中なゾルタン様だぞ! そんな俺にスポンジを任せるとかありえねぇよな。

 あとたづなさん、あなたって結構ザクザク言う方なのね。アオハル杯の時チュートリアル娘(笑)とか毎度の如く思った事を今、謝るのでもう少しオブラートに包んでくれると俺は嬉しいなぁ……なんて思っちゃうんだなぁコレが。

 

「だ、そうだが理事長さんよ、そこんところどうなの? 俺的には問題を起こす前に前線から下がらせ、用務員とか裏方に回すのが妥当だと思うんだが」

 

「ふむ、それは私も考えた。しかし──ー」

 

 ズバッと広げますは発見の扇子。な、この扇子開く度に文字が変わっていやがる。サイコミュでも搭載しているのか!? 

 

「────発見! 彼に秘める指導者としての才能を捨て置くなどもったいない!」

 

 秘めたる才能? なんだ、それは。日記には失敗作としての痕跡が書かれていただけでそんな事一言も────

 

「過去、サブトレーナーとして働いていた頃の彼が書いた報告書は読ませてもらった。一見すると確かにパッとしないものばかりであったがそれは短期間での話だったのだ! 彼の行ったトレーニングは長い目で見ると担当の子に対して確実に影響を及ぼし、小さく無い変化を及ぼしていた。特に本格化をする前の子であればその影響は大きく、その経験は本格化後に確かに現れており彼女達の力となっているのだ!」

 

 ……

 

「なぁ、たづなさん。俺は耳がおかしくなっちまったようだ。理事長から俺は才能があるって言われているような気がするんだが……幻聴だよな?」

 

「いえ、確かに理事長は貴方に対して才能があるって断言してますね」

 

「確信ッ! 君は自己評価が低すぎるぞゾルタン!」

 

 まぁそりゃぁ、失敗作(ゾルタン)ですから。

 

 そんなこったで半ば強引に新入生達用の教育プログラムにぶち込まれた俺は不思議にも思いつつも数ヶ月の間、必要な知識を溜め込んでいった。そして桜咲き誇る季節になった現在、ウマ娘ちゃんの元へと向かっています。え? 導入が雑だって? 仕方ねぇだろ、本当にそんな事しかなかったんだから。

 

「さて、ゾルタンさんも知っての通りこの扉の先にはトレセン学園へと入学して来た新入生達がいます。初日で緊張すると思いますが────頑張って」

 

 いつもならすぐに開けれる普通の扉、だけども今の俺にとってはコロニーよりも重い代物。見えないプレッシャーのようなものが滲み出ており、まるで威圧されているようだ。だけど、なかなかに面白い。

 この俺をここまでビビらせるったら本物のニュータイプでも、それこそハマーンレベルのヤベェ奴が混じってるって証拠じゃないか! ワクワクしてくるねぇ。

 

「そんじゃ、さっぱり頑張りますか」

 

 最終チェック。紫のスーツヨシ! トレーナーバッチヨシ! 俺の髪型いつも通りキマってるねぇ、ヨシ! 準備完了ゾルタン・アッカネン、スタイン共の元へ突撃しまーす! 

 

 俺は思いっきり扉を開け放ち、ドーンとド派手に登場! 戦いは勢いだよ兄ィ〜ってな感じで奇襲にはインパクトがある方が相手を呆然とさせ有効に立ち回れるってゾルタン言ってた! (言ってない)

 そんでもって俺の狙いは当たったようで全員揃ってマヌケ顔を晒して、こちらを見てやがるぜ。そんな状況であろうと俺には関係ねぇ。ズカズカと進み教卓に立って一言。

 

「俺はお前達の教官となるゾルタンアッカネンだ」

 

 突然の自己紹介に頭の追いついてないかかっている状態の者ばかり。だけどその中でかかってない状態のウマ娘が1人、2人、3人……見込みのある奴はコレぐらいか。

 

「見たところ俺が優秀と判断できる原石は数個のみのようだが……ッフ、この程度とは笑わせてくれる」

 

 俺が馬鹿にした事がわかったのか何人かは表情を変えて、目付きも変わる。だけどなぁ、この鼻で笑われた意味を理解できなきゃこの中央じゃ生き残れねぇぞ。なんせ競争率ヤバめな魔境なんだからよ。

 

「精々足掻く事だな新入生諸君、なんたってここは日本最高峰の場所なんだからさ……まぁ何が言いたかって言うな────」

 

 出席簿で教卓をドーン! っと、ここで再度インパクトを与えて再認識させなきゃいけねぇ。このなめ腐った奴らの認識をなぁ! 

 

「────中央を舐めるなよ、そんな覚悟で頂点取れるほど甘くねぇんだよ、特にここはな」

 

 そんじゃ、出席とるぞーっな感じで始まった俺の教官生活。コレが正解かは正直わからないが、俺のガンダム観光を阻止した友ならこう言うだろ。

 

「何とでもなるはずさ……ってな」

 

 だってアイツ、マフティー大好きだもん。

 

※※※

 

「よーし、その無駄に長い耳を立ててよぉーく聞けひよこ通り越してピヨコども。まずは走らなきゃ指導もクソもないからグラウンドを走ってもらうぞ、手始めに長距離の3200メートルからだ」

 

 まだかまだかと楽しみしていた教官は何というかその……色々とチョビリグな人だったわ。怖い顔に変な髪型、それと微妙に似合ってない紫のスーツに身を包んでいるその人は突然やって来たかと思うと奇妙な威圧を発しながらそう言い残して早々と行ってしまう。後に残ったのは混乱ばかり。それもそうよね、突然そんな事言われてハイ放置なんてやられたら誰でもそうなるもの────まぁ私は別だけど。

 

「む、どうしたのマルゼンスキー、私の顔に何かついてる?」

 

 そうそう、あとこの子も別ね。偶然同じクラスになったシンボリルドルフも私と同じ教官の威圧なんて気にして無いようで早々と運動着を持ってる。その様子は何だか楽しそうで早く走りたいのかしら? 

 

「いいえ何でも無いわ、早く行きましょう!」

 

 私とルドルフ、2人で教室を出るとバタバタとみんなも動き出したみたいで騒がしい音が教室に響いていたのだった。

 

 校庭に付くと教官は既に着替えて控えていたようで紫色の微妙に似合わないジャージを着て、手元にあるタブレット端末を見ているようだった。私達が近づくとまだ声をかけてもいないのに目線をこちらへと向けず話しかけてくる。

 

「ようやく来たなピヨコども、さっさと出席番号順に準備しろ」

 

 そうぶっきらぼうに言う教官。愛想も悪く、そう言い終わると私達に興味をなくしたかの如く背を向けた彼。その態度に我慢ならなくなったのか生徒の1人が彼に近づく。

 

「何でそんな愛想悪く接するんですか!」

 

 確かに彼は私たちを明らかに見下している。ヒヨコ以下と言ったり中央は甘く無いと釘を刺しに来たりと愛想が悪い。そんなみんなの思いを代弁したその生徒の言葉に教官は答える。

 

「そりゃ()()お前達のことを生徒どころかウマ娘とも認識してねぇからなぁ」

 

 ……まだってことはチャンスはあるのね。

 

「そんなピヨコ程度のクソガキ、名前を呼ぶ価値もない。わかったか36番」

 

 その言葉に流石のお姉さんでもかちーんと来たわ。出るつもりのなかった列から離れて教官の元へとかけるとそのヘラヘラと笑う人相の悪い顔がよく見える。

 

「名前で呼んでくれないのよ! それでも教官なの!」

 

 ぶーぶーと他の生徒もブーイングに加わるけど肝心の教官はその光景を前にニヤつくばかり……むむむむ、何だか腹が立つわね。

 

「ッフ、ならば全員その得意としている事を見せてみろ、俺がお前達を名前で呼べるような見事な走りってやつをなぁ!」

 

「いいわ、私の走りでわからせてあげる!」

 

 スタートの合図に私は駆け出したのだった。

 

※※※

 

 生徒を篩にかけて選別しようとしたらターフの怪物と未来の皇帝がいて芝なんだが。

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