トレーナーに、なっちゃってるんだなぁ~コレが! 作:ゾルタンカワイイヨ
「俺が……ガンダムを‥‥……」
あ、どうも。先ほど理事長より【ガンダムを生み出せ!】っと無茶ぶりを言われ、現実逃避の為に学園内に設置してある女神像のある噴水近くのベンチに腰掛けながらここ最近出来た趣味のプラモ作りを行いながらはちみーキメてるゾルタンアッカネンこと、ゾルタントレーナーだ。え? 投稿が遅すぎるって??? んな何故マウンテンサイクルにカプールが埋まってて、それが何故無改造のまま宇宙空間で活動出来ていたぐらいにコマけぇーことは良いんだよ。アレってホントなんであのまま仕えたんだろうな……
んで。
話しは戻るがマルやシンボルを初めて受け持ってかれこれ三年。様々な原石を加工前の状態にまで育て上げながらそろそろ俺もベテラントレイナ―の仲間入りでもなったかなぁー? っと考えながら四月のさわやかな風にクッソ邪魔な前髪を揺らし、今日も過ごしてたんだがどうやら周りからの俺に対しての評価は違うらしい。ターンXの誕生秘話ぐらい訳わかんないだよなぁーコレが。
「クソッ、イケてる飲み物って聞いて買ったが、はちみーはバナージぐらいには甘いな」
あ、そうなると戦争の無い世の中で生きる善意で構成されてるような生き物であるウマ娘全般が甘いか。口の中を甘々にしながらプラ板などで仕事の合間合間に自作したキットであるフェネクスを作っているとガヤガヤと遠くから少女達の声が聞えて来た。そう言えばそろそろ登校時間だったな……ウマ娘って鼻が良過ぎるからシンナー臭いこのキットは嫌われるんだよなぁコレが……。
テキパキとキットを箱へ仕舞い、はちみーを飲み終えるとそのまま俺はいつもどうり今年担当する新人たちへの元へといそ……あ。
「そういえば今年からは担当を持たないといけないのか……ハァ」
どーしよ、これからやる事が全く分かんない。俺ってばどんな新人であろうとある一定水準までに磨きあげれる技術に自信はある……が、初対面の相手をいきなりスカウトできるほど口は達者じゃねーし、口説き文句ポンポンと出てこねーぞ
なんて考えながらふらふらと宛も無く歩きながら癖と成りつつある人間観察改め、ウマ娘観察をしていると眼前に映る新入生混ざる生徒達の中に混ざる、見覚えしかない真っ赤なセグウェイが……あ、目が合った。
「よー信号機、今日も元気に顔色が悪いなー!」
「ッゲ、金色の異能生存体!」
「誰が当たらなければ問題無い、だぁぁぁ!」
「むせるッ!」
セグウェイ飛ばしてドっゴーンっと俺を見事に轢き殺してくれたコイツの正体は学園の奇行種ことゴールドシップ。俺が二年前だか三年前だかにいつの間にか受け持ってた俺の元生徒だ。俺もいつ、どのタイミングで受け持っていたのか分からないが、アイツの脚質は本物。追い込み型の奴には珍しい、大博打を打つタイプだ。
まぁアイツの掴みどころの無い、狂人を演じてるような性格を考えるに納得の結果ではあるんだがな。ってか何時まで俺に乗ってんだ、重めぇんだよ!
「お、悪い悪い。って、誰の体重が重いだ!」
「オイオイナチュナルサイコパス、そんなに興奮すんなって。せっかくの朝だ、サッパリいこうぜ」
「そうだな! せっかくの朝だ、濃厚なディナーと洒落込もう!」
サムズアップにキラーんと謎に光る笑顔を見せたゴールドシップは突如「ゴルゴル星の導きがこの先に面白い事が待っている!」ッとか何とか言いて通常の三倍の速度で去って行った……やっぱりアイツは改めて思うが嵐だな……これは輝き撃ちの出番かぁ??? 何て頭の中で考えながらも痛みが走る体を何とか起こし、散らばってしまったプラモを再度回収していると細く、艶のある手と重なる。誰だぁ? テメェ。っと思いその人物へ目を向けるとそこには無表情になり切れていないポンコツサイボーグがいた。
「おはようございますゾルタン。今日も良い天気ですね」
「おめーは相変わらず可愛げがねぇーな、ブルボンさんよぉ~?」
ミホノブルボン。俺の中ではウマ娘版強化人間なんじゃね? っと何時も疑問に思っているとにかくやべー奴だ。
俺が担当してた時に見出した脚質は良くて中距離程度の逃げ。だが、よほど足が頑丈なのか俺がちょっこと彼女の思いに負けて、坂道ダッシュのトレーニングを個人的に指導してやったら一変し長距離の適正も見せ始めてサー大変。適正が一気に分からなくなった俺は、それでも自身の仕事である下地を整える指導をするべく長距離の基本となる体力作りを目指して重点的に指導し、低かった適正を平均レベルにまで伸ばす事が出来た。が、本当に苦労させられたぜ。油断すると勝手に自主練しだすし、走り始めると俺が無理矢理に止めさせるまで走り続けるしで問題だらけ。いくら頑丈の足でもそんな無茶な運用させてたら疲労は貯まる訳で顔色も一切変わらない事から俺が最初に気付いた時には突然ぶっ倒れ、急いで病院へ連れて行き検査してもらったら骨折一歩手前で本当にびっくりしたぜ全く。だけどもそんな経験のお陰か、俺の元から離れて専属トレーナーの元で指導を受けている今でも一か月に一度ではあるんだが個人指導を頼まれる間柄だ。でもこれって完全にルール違反なんだよなぁ……コレが。
「可愛げが無い……すいません。どうやら私の表情筋は硬く、あまり動かせないようで……」
お耳がションボリしてるのを確認! これはやべぇ、顔は一切変わってないが傍から見てもテンションがダダ下がりだぁ! 何とかしないと……
そう考えた途端俺の体は自然と動き、空いている方の手で彼女のションボリとしている耳の間に手をポンと置いてしまう。あ、身体が勝手に動いてやっちまったZE。
「……ゾルタン?」
混乱してるブルボンを他所に俺も同じく混乱していると突然、ピコーンっとニュータイプ的閃きが降りて来た。そうか、ゼロ。この場合はこういう風に対応すればいいんだな。俺はそのままブルボンの頭を撫で始め、閃きで降りて来た言葉をそのまま口する。
「ホラ、そんなを顔するなブルボン。どんな顔をしてようとお前は感情が分かりやすいんだからそんなションボリせずにスマイルで行こうぜ! ほらスマーイル」
ニコーっとしながらそれでも一切表情が動かないブルボンの、その青く透き通った目を覗き込んだ。するとどうだろ、ほんのり顔が赤くなりながら口角がほんのり上がった気がした。
「……し、失礼しまう」
「しまう?」
その後、何だかその反応が面白くなった俺は体感的に数分間撫で続けていたら何故か更に顔を赤くし、若干嚙みながら一言俺へ告げるとスタスタとブルボンは立ち去ってしまう。何かいけない事でも俺はしたんだろうか……もやもやしてサッパリしねぇーな。
もやもやっとした気持ちを抱えながらも俺はプラモデルを片付ける事に成功。フラフラと書類仕事をっと思い事務室へ足を向ける……のだが、後ろから声かがかけられる。
「やぁゾルタン先生」
そして、俺の背筋はアクシズ落しに成功した地球と同様に凍り付いた。
「そろそろ私のトレーナーになる気になったかい?」
「……シンボル」
シンボリルドルフ。偉大なる三冠を達成し、クラシックロードを無敗で駆け抜けていた無敵
最初は普通の子だった。才能に恵まれ、挫折を知らず、それ故にすべてのウマ娘が幸福になれるとかどうたら理想論としか言えないドデカい夢を持って走っていた。だけど、そんな優秀過ぎる子でも所詮はまだ子供。周りの影響や、彼女を導くはずの教員の影響を強く受ける事となる。
皐月、ダービー、菊花と無敗で勝ち上がっていた彼女に対する周りからの期待はそれはもう高かった。けれどそれ故に彼女に対するプレッシャーは確実に彼女の精神を追い詰める事となり、カウンセリングが必要なほどだった。けれど本来そのカウンセリングも受け持つはずの当時の彼女のトレーナーは無敗の三冠という栄光に目が眩み、それを怠った。俺の気付かぬ所で彼女はハードなトレーニングを限界以上に熟し続け精神的にも肉体的にも追い詰められ続けた結果、天皇賞秋が開催される10月。遂に彼女は限界を迎える事に……けど、コレは不幸の始まりでもあった。無敗の三冠を達成し秋天にも勝った彼女が二着とは言え黒星を飾ってしまった彼女に対する批判はマスメディアの業界にかなり疎かった俺の耳にも入るほど酷く、醜いもの。そしてそれは当時の担当トレーナーへも殺到し、その影響で彼は精神を病んで最終的には彼女へ手を上げようとしていた。……だけど、そこで登場するはオレ事ゾルタン・アッカネン。
異常をピコーンっとニュータイプ的観点で感じ取った俺なら駆け付けた途端、目の前で振り下ろされる拳も俺なら防げちゃうんだよなぁーコレが! その後なんやかんや合って俺は彼女を保護。一時的に預かってカウンセリングの真似事を施す事になったんだけど……それで何と言うか、その……ヤバい事になった。不思議と怖い雰囲気を醸し出し、正直俺の生存本能が全力で逃げろと叫んでた。
んで。
謎の危機感を感じ取った俺はリギルというチームの統括トレーナーとなったおハナさんに丸投げして今にいたるって訳だ。あとそれからの彼女は学校で出会う度に謎に俺を専属トレーナーにと誘って来るようになっちまった……理由は不明だ。
「失敗した者同士、傷のなめ合いでもしろってのか?」
だから俺は冷たくそれを跳ねのける。何故かって? 何となーくだが、彼女の誘いに乗るとヤバい事に成りそうな予感がしてるからだな。
「ふふふ、案外それもいいかもしれないね」
だけど、彼女は俺の反応とは裏腹に普段他の生徒に見せない影のチラつく笑みを浮かべ、笑う。本来ウマ娘の笑っている姿が好きな俺でも、その姿は何処か不気味な感じがした。例えるならこう、暗礁宙域内でレーダー無しのまま不明なシステムを積んだ機体で進んでいる感じだ。
「そ、そうか……だが、俺はゴメンだな」
「それは何故だい?」
君の醸し出す雰囲気が怖くてまともに指導出来ないからです。何て正直な意見、言える訳ねぇーよなぁ! だからそれっぽい言い訳を並べて断わり、キッパリするしかねぇ!
「生憎と俺はそんな拘束されるのが嫌いでね、自由にやりたいんだ」
「自由、かい」
「あぁ、お前のようなこれまで積んできた栄光でギチギチに期待された奴の指導は到底、失敗作である俺には出来ないわなぁ」
しみじみとそれっぽく言うと案外返事は軽いモノで「そうか」と返す。一応は納得してくれたみたいだけど何故かさっきより寒気が増してるんだよなぁ。超こえー!!! 彼女は何故かハイライトの無いように見えてしまうその綺麗な瞳でジーっと俺を見た後、振り返る。え、何今の時間。彼女の行動が分かんねぇ。
「だが忘れてはいけないよゾルタン先生」
振り返った後、立ち去る寸前こちらへ顔を見せず語る彼女。こ、怖い。彼女の行動原理が分からな過ぎて怖い。
「……何がだ?」
「強い光は必ず深い影を生む……それが業ってものだから」
そう言って彼女は去ったが俺はその様子を呆然と見る事しかできない。だって、彼女の行う行動の意味が分からな過ぎてフリーズしてたんだよぁーコレが!