トレーナーに、なっちゃってるんだなぁ~コレが! 作:ゾルタンカワイイヨ
A:ちょっと過去の英雄達と世界救ったり透き通った青春してたらこんなに時間が空いちゃってゾルタンエミュが難しくなってました。
「で、おめぇーは一体何者だ?」
はちみーのあまーい味覚に口の中がDG細胞の如く侵されながらも麻痺った味覚にうんざりしつつ俺は売店の近くに設置されたベンチへ腰掛ける。するとその横に座って来た同じくはちみーを口にし、俺と違ってうまーっと笑顔で飲むウマ娘へと声をかける。オメェは何者なんだと。するとそのウマ娘はへへーんっと何処か自慢げに俺へと名乗った。
「ボクは無敵のトウカイテイオー様だ!」
「トウカイテイオー……だぁ?」
この瞬間俺の脳内では電撃的に聞き覚えのあるその名を検索が始まり……やがてはそれがヒットする。それも、一番最悪な形で。
オイオイオイコイツは何の冗談だ? 何故俺には近づきたくもない、本物とやらがまるで磁石みたいに吸い寄せられるんだよ……クソがぁ!
思わず心の底から不の感情が溢れ出すが俺は腐っても教育者だ。目の前のコイツの着ている制服を見るにトレセンの生徒なのは明らかだ、だから俺はそれを表に出す事は無い。
「えぇー! おじさんボクの事知ってるのー!?」
「……あぁ。知ってるとも」
トウカイテイオー……前世で競馬に詳しくない俺でも少しぐらいは知っていたほど有名な競走馬だ。確かうっすら残っている記憶では皇帝と呼ばれていたまるでシンボリのような無敗の三冠馬の子供として生まれ、周囲にはその血筋から大きな期待を受けG1レースに臨み、そしてそれに見合う活躍をしたと記憶している。惜しくも親のような無敗の競走馬としての称号や三冠馬としての栄光は逃したらしいのだが何度かの骨折を乗り越え奇跡の復活を果たした……らしい。そんな悲劇を乗り越えた主人公の如き人生を歩んだウマソールを受け付いだとされるウマ娘。それが今目の前にいる。フュー、確実に
「そっかそっかぁ~ ぼくってそんなに有名なのかぁ~」
そんな俺の思いも津由知らずデへへっと照れるトウカイテイオー。うんぅ、でもどう見ても俺の目には生意気なクソガキとしか映らねぇ―んだなぁコレが。例えるならそう、覚醒前のアムロやカミーユみてぇだな。
「いや、でも良く見たら違うな。人違い……いや、ウマ娘違いか」
「えぇー!」
って事は覚醒したら確実に強くなる可能性も秘めてるって事で────オイオイオイオイやべぇな! つまりだつまり、コイツは俺のような
「でもでも! おじさんボクの事知ってる言ったじゃん!!!」
しかし困ったな……仕事とは別としてこんな
はちみーを一口飲む……うんぅ~物凄く甘い。あんまり強い奴らと接点を持ちすぎると俺がその仲間と勘違いして結果的にバカ見ちゃうんだよなぁ……ってかこれまでバカを見た。例えばシンボルとかマル、そしてクビ。後オグリに関しては苦労させられたなぁ。
「別のウマ娘と見間違えただけだ。俺は人の事をおじさん呼ばわりするような奴は知らん」
そう答えるとよっぽど自信があったのか奴さんのやる気が目に見えてダウン。見たところ最高超から絶不調まで下がった感じだな。その長い耳や尻尾もしっかりションボリモードへ移行した後、ちぇっと聞こえそうな程何処か詰まらなそうな様子でこちらへと目線を向けた。
「……じゃあ誰と見間違えたのさ」
誰かだ? そんなモノ決まっている。
「シンボリルドルフ」
実際コイツ見た目だけ言うならセルフパロディーかってなレベルで似てるんだけども……‥よくよく見てみたら彼女から漂う雰囲気はビックリするほどシンボリとそっくりなんだよな。シンボリに妹がいるとかどうとか彼女からは少しも聞いた事も無いし……謎だぜ。
「カイチョウとぉ!?」
「うぉ! ビックリした」
割とノータイムで答えてやったら様子が一変、ぴょんぴょんと嬉しそうにその場で飛び跳ねやる気が最高調になったかの如く全身で喜びを表している……えぇ、ナニコレ怖ッ!
「どこら辺が! どこら辺がカイチョウと似てた?!」
う、うぜぇ。突然その綺麗なお目目をキラキラさせたかと思えばスンゴイ力で詰めて来やがった。あぁー
「っへ、単なる気のせいだ。テメェみたいなクソガキがあの三冠馬と似ているはずがねぇ」
てな訳で俺お得意の誤魔化しを発動。どっかのエンジェルナントラさん同様洗脳! もとい手のひらひっくり返すとさぁ仰天。見るからな嬉しそうだった様子からまるでどっかの木星帰りのニュータイプにブッ刺さったスイカバーの如く顔真っ赤にしたじゃあ〜ありませんか!
「なんで、そんな酷い事言うの……」
そんでもって涙目だから俺の罪悪感がへリューム3の如くドッカーン! っと大爆発! やったしまっては後の祭り、流石の俺でも少女の涙目は傷付くしそんなことをやらかした俺自身に腹が立つんだ。
「なんでってなんだ?」
「?」
「お前はトウカイテイオーだろ?」
菊花賞まで無敗。まさに無敗の帝王。そんな肩書きが付くほどに強者であるニュータイプがこの程度で涙を流す、だと! そんな覚悟の決まっていない奴がガンダムだとッ! それとも……
「失敗作であるが俺みたいな人間の目の前で弱音だなんて、仮にも俺はトレーナーをしているだぞ?」
泣かせた責任は俺が持つ。俺は俺達失敗作を捨てたジオンどもの研究者とは違う! 途中で逃げ出したノースリーブのサングラスとは違うのだッ!
「無敵とはつまり誰にも負けないこと、負けをすでに経験しているシンボリルドルフじゃぁーない!」
「え!?」
「だが何だ今の姿は! 少し言われたぐらいでぴーぴーっと泣きわめき、既に負けた奴を目標なんかにして無敵なんだと虚偽の自信を立てまくる」
「ッぅ」
「ぼ、僕は────」
さぁー立ち直った奴は強いぞぉ。そんでもってトウカイテイオーが未だスカウトされてないのは確認済み、スカウト用紙も偶々所有済み、そんでもって俺の覚悟も決まり済み。つまりは────
ってな訳で始まっちまった俺のトレーナー人生。コレから始まるはURA史上最も奇跡の連続したウマ娘の話。そしてそれを支え続けてしまった1人の失敗作の話って訳だ。