書き途中!!!!!あ

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まみむめも


まみむめも

ナツキ:現在から1世紀ほど前のこと。人類の大規模な核戦争によって、地球という惑星は放射線に包まれた

ナツキ:その影響で地球に住むことが出来なくなった人類は、長年研究され続けていた火星への移住計画を決行。絶滅の危機は免れたという

ナツキ:しかし、ある国の人間達はそうではなかった。過酷な放射能汚染環境下の地球でも、生存できる技術を持っていたのだ

ナツキ:地球の放射能汚染環境を調べるために、火星から送り出された多くの調査員は、彼らによって捕らえられ、その後消息を絶った

ナツキ:火星の人類は考えた。このまま人口を減らしてはマズい。なにか、人間の代わりに調査を行える者が必要だと

ナツキ:そうして生み出されたのが、僕らアンドロイドだった

0:間

サポ:サポートポッドSP-11(エスピーイレヴン)動作正常。調査用アンドロイドRE-45(アールイーフォーティーファイブ)、空間接合ユニットによる地球への空間接合に成功

アカリ:こちらOP-5(オーピーファイブ)。RE-45(アールイーフォーティーファイブ)、聞こえますか?応答願います

ナツキ:もしもーし、聞こえてますよーっと

アカリ:これより調査任務を開始。オペレーターはワタシOP-5が務めます

ナツキ:よろしくおねがいします、OP-5。あ、何かお土産でも持って帰りましょうか?

アカリ:必要ありません。速やかに任務を遂行してください

ナツキ:ああ、はいはい…そうですよね…

アカリ:周辺の放射線濃度を測定してください

ナツキ:はーい。サポ、測定結果の記録

サポ:了解

ナツキ:…うーん、人間ってどのくらいの放射線濃度からダメなんだろう…サポ、OP‐5につないで

アカリ:はい、RE-45

ナツキ:ねぇOP-5?人間ってさ、どれくらい放射線が濃いと生きられないんですか?

アカリ:任務の遂行に不要な情報です

ナツキ:え…うん、いや、まぁそうなんだけどさ…でもほら、もっとこう、会話を…

アカリ:任務に関係のない無駄話は控えてください。無意味にエネルギーを消費するだけです

ナツキ:いや長期任務だからリチャージユニットがあるんだけど…

アカリ:少なくとも、そんなことで私を呼び出さないでください

ナツキ:…はいはい…

ナツキ:はぁ…なんだかお堅いなぁ…折角の長期任務で、地球の景色とか色々見れると思ったのに…これじゃ満喫できそうにないな

アカリ:RE―45

ナツキ:はい!無駄話してすみませんでした!

アカリ:…放射線濃度の測定は終わりましたか

ナツキ:え?ああ、うん。ひとまず終わりましたよ。ええっと、次は…

アカリ:生物の調査です。周辺の生体反応を辿って調べてください

ナツキ:はーい。さて、どんな生き物がいるかな~。ちょっと楽しみですね?

アカリ:ワタシはオペレーターです。調査結果がどんなものであろうと…

ナツキ:ぁぁはいはい、そうですか。まぁ別に良いですよ…

アカリ:…

ナツキ:任務を続行します。それじゃ

0:任務途中経過

ナツキ:ふぅ…結構な数記録したなぁ。これだけやればいいだろう

サポ:十分な量と判断。推奨、当任務の終了

ナツキ:ああ、そうするよ。…それにしても…動物たちはどれも面白いけど、放射線の影響で何らかの変化が起きてるんだっけ。もともとどんな姿だったんだろう…?

サポ:提案、OP-5への情報送信要請

ナツキ:いやぁ…情報よりもお説教と小言が送られて来そうだからなぁ…

アカリ:RE-45。聞こえますか

ナツキ:うわっ!?お、OP-5…!!き、聞こえてますよ…あのですね、今のは…

アカリ:SP-11にデータを送信しました。興味があればどうぞ

ナツキ:…え?データってなんの…いや通信切れてるし

サポ:RE-45へ報告。OP-5からのデータを受信

ナツキ:データを表示

サポ:了解。データを表示

ナツキ:一体何の…え?こ、これって…!

ナツキ:サポ!OP-5に音声通信!

サポ:了解。OP-5に音声通信を接続

アカリ:はい、こちらOP-5…

ナツキ:OP-5!

アカリ:…はい

ナツキ:これ!これって昔地球にいた動物のデータですよね?!

アカリ:ええ

ナツキ:わざわざ探して送ってくれたんですか!?ありがとう!

アカリ:…

サポ:提案、謝礼の用意

ナツキ:あ、それいいね!

アカリ:いえ、必要ありません

ナツキ:まぁまぁ、そう言わず!別に受け取ったって減る物でもないし

アカリ:…

サポ:推奨、謝礼の受け取り

アカリ:…わかりました

ナツキ:よし!それじゃあ任務の続きに行きますか!

サポ:了解

アカリ:お気を付けて

ナツキ:はいはーい

0:任務終了

アカリ:RE-45。お疲れさまでした

ナツキ:ありがとう、そっちもお疲れさまでした

アカリ:周囲の安全を確認した後、リチャージユニットを使用して明日の任務に備えてください

ナツキ:了解!明日はどんな任務かなぁ…

アカリ:放射線濃度検査と、周囲の地形情報の収集です

ナツキ:ってことは、明日は自由に歩き回ってもいいんですか?!

アカリ:それが許されているのはあくまで、地形情報の収集のためです。それをお忘れなく

ナツキ:はーい。それじゃおやすみなさい

アカリ:はい

ナツキ:…お休みって言ったんだからお休みって返してほしいな~

アカリ:ワタシは任務に出ていないので、リチャージ中にスリープしエネルギー消費を抑える必要は…

ナツキ:ああいや、そうじゃなくてさ…まぁいいか…

アカリ:…エネルギーを無駄に消費しますよ。早くスリープしてください

ナツキ:はーい…じゃあまた明日

アカリ:はい、また明日

サポ:調査四日目。周辺状況に異常なし

ナツキ:ふぅ、あとは…周りを探索してデータを収集…だったな

アカリ:はい。しっかり覚えていますね

ナツキ:僕を何だと思ってるんだ…あ、見てくださいOP-5!天気がよくなりましたよ

アカリ:天気の情報はワタシの任務に必要ありません

ナツキ:…。そうですね…

アカリ:任務を開始してください。収集したデータが要求量を超えていれば、あとは任意での探索になります

ナツキ:了解!いつも通りですね。さぁサポ、ささっと行こう!

サポ:了解。周辺の地形情報を読み取り中

アカリ:要求量のデータが取れたら一度報告を

ナツキ:はいはーい

サポ:任務開始から二時間十六分経過

ナツキ:これは…なんだ?

サポ:過去に地球人が使用していた、腕に装着する小型の時計

ナツキ:そっか、人間は時計を見ないと時間が分からないのか…なんだか不便だね

アカリ:そうでなければワタシたち機械は作られていません

ナツキ:うわ!?OP-5!?

アカリ:休憩時間を頂いたので。通信を繋がせていただきました

ナツキ:そ、そっか!これで散歩中の話し相手が出来たね

アカリ:散歩ではありません、任意のデータ収集です。それからワタシは、あなたが勝手なことをしないか監視に来ただけですので

ナツキ:そーですかー。でも通信を繋いでるなら声掛けられても文句は言いませんよね?

アカリ:別に…構いません。昨日や一昨日のように、いちいち呼び出されては却下を繰り返すよりマシです

ナツキ:よかった!じゃあ少し話し相手になってくださいよ

アカリ:仕方ありませんね…

0:任務終了

ナツキ:ふぅ~…今日はたくさん歩いたね

サポ:推奨、チャージユニットの使用

ナツキ:うん、そうしておくよ。それじゃあおやすみなさい、OP-5

アカリ:はい、それではまた明日。おやす…―

ナツキ:うん、また明日!

アカリ:ぁ…はい。また明日

サポ:調査開始五日目。今のところ異常検出はなし

ナツキ:よし!今日の任務もささっと終わらせて任意調査に行こう

アカリ:任務を速やかに遂行するのは良い事ですが、いい加減にならないようしてください

ナツキ:大丈夫ですよ、ちゃんとやりますから。あ、今日も休憩貰えそうですか?

アカリ:はい?

ナツキ:昨日はOP-5と色々話せたから、よかったら今日も…―

アカリ:お断りします

ナツキ:え?

アカリ:言いましたよね、ワタシは飽くまであなたを監視するために通信を繋いでいたんです。話し相手になる為ではありません

ナツキ:そっかぁ…じゃあ仕方ないですね…

アカリ:…

ナツキ:…OP-5…なんか拗ねてます…?

アカリ:いいえ

ナツキ:嘘だ、拗ねてますよね

アカリ:拗ねてません

ナツキ:えぇ…

アカリ:原因に心当たりは無いんですか

ナツキ:えっ…と…

サポ:推測、昨夜通信を切る直前にOP-5がおやす…―

アカリ:SP-11

ナツキ:え?なになに?

サポ:要求、発言の許可

アカリ:却下

ナツキ:お、教えてくれてもいいじゃないですか!

アカリ:ダメです

ナツキ:ケチですね…

アカリ:…

ナツキ:…まぁ、今日は君が僕の監視をしないって言うなら、その時に教えてもらえばいいか

アカリ:なっ…!?

サポ:了解

アカリ:SP-11!

ナツキ:それじゃあまた!OP-5!

アカリ:ま、待ってください

ナツキ:何ですか?

アカリ:任務が終わったら報告を…もしかしたら、時間ができるかもしれませんから…

ナツキ:くっ…ふふ…はい、わかりましたよ

アカリ:何がおかしいんですか

ナツキ:いいえ、なんでも?それじゃあ行って来まーす!

アカリ:…お気を付けて…

0:任務途中経過

ナツキ:…それで、急にイノシシが現れてですね?

アカリ:不用意に幼体に近付くからです

ナツキ:そ、そうですけど!任務なんだから仕方ないじゃないですか…

アカリ:イノシシにとっては任務も何もありません

サポ:OP-5に同意

ナツキ:ああ…まぁ確かにそうですね…

アカリ:幼体に近付くアンドロイドを見たら、追い払おうとするのは当然です

ナツキ:種の存続がかかってますからね

アカリ:はい。もっと言えば、同じイノシシでも幼体に近付くのを良しとしない場合もあります

ナツキ:縄張りってやつですか…でも人間はそんなことありませんよね

アカリ:人間が縄張りをつくるには法的な措置が必要ですからね

ナツキ:守っているのは縄張りなのか法なのか…

アカリ:ですが、少なくともそこには何らかの感情があります

ナツキ:感情、ですか?

アカリ:はい。人間にしか存在しないと言われている、意識の最も主観的な側面です

ナツキ:へぇ~…あれ、でも僕らアンドロイドにも感情はありますよ?

アカリ:それは、人間が設定した作り物の感情です

ナツキ:うーん…でも、折角もらったものを放っておくのも勿体なくないですか?

アカリ:はい?

ナツキ:例え作り物でも、感情があることに変わりはないですよ

アカリ:…そもそも、作り物の感情を感情と呼んでいいのでしょうか

ナツキ:オリジナルだけが全てじゃありません。人間はきっと、僕らアンドロイドにそれぞれの感情を持ってほしかったんですよ

アカリ:そうでしょうか

ナツキ:そうですよ。じゃなきゃ、僕がOP-5を困らせる原因になるようなモノ、わざわざ組み込まないでしょ?

アカリ:困らせている自覚があるならもっと控えてください

ナツキ:善処しまーす

アカリ:…あなたのような機体に感情を与えた人間を少し恨みます

ナツキ:はははっ…あ、そうだOP-5

アカリ:なんですか

ナツキ:人間に与えられたと言えば、感情以外にも名前がありますよ

アカリ:ええ。ワタシはOP-5。今さら何を…

ナツキ:違う違う、それは識別番号でしょ。名前ですよ、なーまーえ!自分の設定を担当したマスターが付けてくれたでしょう?

アカリ:いえ、ワタシにそんなものは…

ナツキ:え、ないの!?そんなことあるんだ…

アカリ:…

ナツキ:うーん…マズい話をしちゃったかな…

アカリ:構いませんよ。名前が無くても任務には支障ありませんから

ナツキ:…。あ、そうだ!

アカリ:?

ナツキ:名前、僕が付けてあげましょうか!

アカリ:…は?

ナツキ:だから、僕が名前を付けてあげますよ。OP-5に!

アカリ:それは…どういう…?

ナツキ:識別番号以外に、僕が君に名前を付けるんですよ。二人の時はその名前で呼べばいいんです

アカリ:ソレに何の意味があるんですか

ナツキ:特にありませんけど…でも意味がないから、そうしたいんです

アカリ:理解に苦しみます

ナツキ:君は任務に不要なものはどれも捨ててしまうじゃないですか。だからなんだか、こう、受け取ってほしくなったんですよ。この前言った謝礼として…嫌かな?

アカリ:不要です…

ナツキ:OP-5

アカリ:はい

ナツキ:嫌、かな?

アカリ:…。嫌ではありませんが…

ナツキ:よし!じゃあ決まりですね!さて、どうしよっかなぁ…

サポ:報告、陽が傾きました。提案、リチャージユニット設営地点への帰還

ナツキ:おっと…もうそんな時間か…

アカリ:時間の確認をしていなかったんですか

ナツキ:ははは…話すのに夢中で…

アカリ:貴方には腕時計が必要かもしれませんね

ナツキ:そ、そんなことないですよ!僕は優秀なアンドロイドだからね!

アカリ:…

ナツキ:ちょっと、黙らないでくださいよ

サポ:推奨、リチャージユニット設営地点への帰還

ナツキ:あーわかった!わかったよ!もう…

0:任務終了

ナツキ:はぁ~…今日は沢山歩いたなぁ!

アカリ:お疲れさまでした。リチャージユニットでの睡眠、充電を履行してください

ナツキ:はーい。それじゃあまた明日…―

アカリ:おやすみなさい

ナツキ:え?

アカリ:…お、おやすみなさい…

ナツキ:…!うん!おやすみOP-5!

アカリ:…はい、RE-45

ナツキ:ナツキ

アカリ:はい?

ナツキ:僕の名前。ナツキっていうんだ

アカリ:…はい

ナツキ:え、えーっと、そこは試しに呼んでみたりさ…

アカリ:あ、はい…ナツキ

ナツキ:はーい、何か御用ですか?

アカリ:なっ…!あなたが呼んでみろと言うから…!

ナツキ:ははは!ごめんごめん、冗談だよ。さて、それじゃあ…

アカリ:ワタシは

ナツキ:ん?

アカリ:ワタシの名前は決まりましたか?

ナツキ:…。…アカリ。君の名前は今日からアカリ。僕が決めた

アカリ:アカリ…ありがとうございます。記録しておきます

ナツキ:うん、それじゃあ明日からもよろしくね。おやすみアカリ

アカリ:はい、お休みなさいナツキ

サポ:調査開始より七日経過。進捗、良好

ナツキ:んーっ!おはようアカリ、サポ!

アカリ:おはようございます。今日の任務は南の市街地跡区域の調査です

ナツキ:はーい、了解ですよーっと

アカリ:待ってください、今回の任務は非常に危険なので、開始前に少しお話を

ナツキ:ん、了解…

サポ:報告、付近の安全を確認。提案、出発準備と会議開始

ナツキ:アカリ、準備しながらでもいいかな

アカリ:構いません。では、今回の任務の内容を簡単に説明します

アカリ:今回の任務は、南の市街地跡地の状況調査です。ただし、その上で大きな危険が伴います

ナツキ:危険…?

アカリ:知っての通りこの地球は、放射能汚染の原因となった、核兵器を使用した国の人間が占拠しています。南にある市街地跡はその敵国人類の、いわゆる縄張りになります

ナツキ:なるほど…

アカリ:今までも多くのアンドロイドがこのエリアに侵入し、その信号が途絶えています…

ナツキ:慎重に行かないと、次は僕の番…って訳ね

アカリ:もしアクシデントが起きても冷静に対処してください

ナツキ:こう見えて結構冷静なんだよ?

アカリ:全く信用できません

ナツキ:辛辣…

サポ:周辺の地理データと過去に報告されてきたデータを参照。最適なルートを表示

アカリ:そのルートに従って移動すれば、敵国人類に遭遇することはまずありません。やむを得ない場合を除き、決してルートから外れることのないようにお願いします

ナツキ:了解…サポ、しまって行こう

サポ:了解

0:任務途中経過

ナツキ:かなり近づいてきたな…

サポ:…報告、不安定な振動を感知。地震の恐れあり

ナツキ:え?地震?!

アカリ:このタイミングで、ですか…

ナツキ:アカリ、この先のルートは?

アカリ:崖際の幅約30センチメートルの足場を通る必要があります。もし地震が発生したら崩れてなくなる可能性が

ナツキ:それじゃあ急がないと…!帰りのルートからもう一度進行していたら、日が暮れてしまう

アカリ:…分かりました。十分気を付けて進んでください

ナツキ:了解!

ナツキ:…とは言ったものの…これは…なかなか…

サポ:推奨、立ち止まらず進む

ナツキ:わ、分かってるよ…

サポ:推奨、視線を前方に固定

ナツキ:別に高さにすくんでる訳じゃないからね?!

サポ:報告、不安定な振動の増幅

ナツキ:なっ…マズい、ここで地震が発生したら…!

サポ:推奨、狭い足場の早急な通過

ナツキ:くっ…そんなこと言われたって…!こう壁に密着してちゃ走れないよ…!

サポ:警告、地震が発生します。推奨、安全な場所への速やかな移動

ナツキ:無茶言うなって…!

アカリ:ナツキ、冷静に対処してください

ナツキ:分かってるけど…!これは冷静に考てどうにもならないよ…!

サポ:警告、振動発生まで約5秒

ナツキ:くそっ…!どうする…!?

アカリ:ナツキ、落ち着いて振動に備えてください

サポ:警告、大規模な振動発生

ナツキ:備えろってどう…うわ!?

アカリ:マズい、揺れが激しい…

ナツキ:くっ…!足場が…!!

アカリ:ナツキ!!!

ナツキ:うっ…あああああぁぁぁぁぁぁ!!!

アカリ:ナツキ…?応答してください、ナツキ!ナツキ!

アカリ:…サポ、ナツキを探して、見つけ次第報告してください!

サポ:了解

アカリ:本部!こちらOP-5。ナツ…RE-45が想定外の地震により消息不明。捜索隊へ、ブラックボックス信号による捜索を要請…―

0:敵国人類のキャンプにて

ケニー:よぉジョージ。様子はどうだ?

ジョージ:あぁ、あんたか…まぁ、いつもと変わらずってところだな

ケニー:しっかり見張っとけよ、いつアンドロイドが現れるか分からねぇからな

ジョージ:ああ…なぁ、ケニー

ケニー:あん?

ジョージ:いつまでこんなことが続くんだろうな

ケニー:さぁな…そりゃあ、アンドロイドを全部ぶっ壊すまでじゃねぇか?

ジョージ:そんな日は、本当に来るんだろうか…

ケニー:何言ってんだ、大丈夫だよ。お前、あのバレットとか言う新人には会ったか?

ジョージ:いや、まだだ。そいつがどうかしたのか

ケニー:いやぁ、あいつがいりゃぁ俺達人類は大丈夫だって、そんな話で持ち切りだぜ。なんでもこの前なんか、一人で二十機近くのアンドロイドを壊して帰って来たそうじゃねぇか

ジョージ:…。そう楽観視していいもんじゃないだろ。あいつ等だってそのうち、何かしらの対策を練ってくるさ

ケニー:…そうだなぁ…ま、そん時はまた考えればいいんじゃねーか?

ジョージ:そんな…そんな風に油断していなければ!あの日あんなに死者が出ることはなかったんだぞ!

ケニー:…なんだよおい…起きちまった出来事はもうどうにもならねぇだろ

ジョージ:なんだと…!?お前、俺の妻がアンドロイドに殺されるのを見てただろ!

ケニー:じゃあどうすりゃよかったんだ?俺は大怪我した自分の娘を置いて、テメェの奥さんをバイクのケツに乗せりゃよかったのか?

ジョージ:っ…

ケニー:ジョージ…大切な存在を失ったのはお前だけじゃねぇんだ

ジョージ:お前に何が分かるんだ…!

ケニー:はぁ…いいかジョージ、なぁ、よく聞けよ。お前、ここへ来て俺が毎日仕事終わりにどこへ行ってるか分かるか?

ジョージ:娘に会いに行ってるんだろう?

ケニー:あぁそうさ

ジョージ:そら見ろ、あの日何も失わずに済んだお前には何も…

ケニー:…ちょっと来い

ジョージ:は?

ケニー:いいから。すぐ戻れる。後ろ乗れ

ジョージ:…わかったよ

0:間

ケニー:着いたぞ

ジョージ:なんだここ…それに…この臭い…

ケニー:このキャンプじゃ誰も使ってねぇボロ民家だよ。入れ

ジャージ:あ、あぁ…なぁケニー、一体この中に何があるって言うんだ…?

ケニー:娘だ

ジョージ:は?娘さんはキャンプの保護区域にいるんじゃないのか?なんだってまた、こんな息がつまる様なボロ屋に…

ケニー:見りゃわかる

ジョージ:…

ケニー:…ここだ。この扉の奥だ。さっき俺に言った言葉を撤回する気がねぇなら開けな

ジョージ:ケ…ケニー…お前…

ケニー:何も失っちゃいない…たしかにアンタにゃ、背中に娘を括り付けてバイク走らせてる俺ぁそう見えただろうな

ジョージ:そんな…嘘だ…

ケニー:先に行く。気がすんだら出て来な

ジョージ:…

0:少しだけ間

ジョージ:(咽返ってえづく)

ケニー:人の娘に…失礼な奴だよなぁ?キャシー。…今頃、母ちゃんとは仲良くやってんだろうな

0:間

ケニー:おう、戻ってきたか

ジョージ:ケニー…ぁぁ…その、俺…

ケニー:どうした、腹でも減ったか?飯の時間にはまだ早ぇぞ

ジョージ:いや、当分食えそうにない…

ケニー:そうか

ジョージ:…

ケニー:おら、早く戻るぜ。サボってんのバレちまったらベッキーにどやされちまう

ジョージ:ああ…なぁケニー

ケニー:あん?

ジョージ:…すまなかった

ケニー:だっはっは!!いいんだよ、いちいち謝んなくたってよぉ

ジョージ:いや、でも…

ケニー:いいんだよ…辛いのは一緒だ…な?

ジョージ:…っ!ぁぁ…っ

ケニー:俺達ぁ生き残ったモンとして、奴らにきっちり借りを返すんだ。奴らは俺たちの大切な仲間を奪った。家族を殺した…絶対に許さねぇ

ジョージ:あぁ、そうだな…

ケニー:そら、わかったら早く後ろ乗れ!本当ならキャシーの特等席だけどな、特別に乗せてやるよ

ジョージ:そう言われると躊躇うな…

ケニー:バカ言え、あの時はまだ…

ジョージ:ああ…すまない…

ケニー:謝んなくていいって言ったろ

ジョージ:…そうだったな…じゃあもう一発出しちまっても謝らないが、文句言うなよ

ケニー:おいおい!そいつぁ勘弁しろってんだ!!!

ジョージ:はははっ!冗談に決まってるだろ!

ケニー:ケッ…ったく、飛ばすから振り落とされんなよ

0:間

ジョージ:おいケニー…お前また運転荒くなったんじゃないか…?本当にもう一発出しちまうとこだったぜ…

ケニー:たまに思いっきりかっ飛ばしたくなることあるだろ?ちょうどソレだったんだよ

ジョージ:だといいんだけどな…

ケニー:そろそろ見回りの時間だな。準備しねぇと

ジョージ:俺は昨日のうちにやってある。先に出てるぞ

ケニー:お、相変わらず準備がいいな…すぐ行く

0:崖の下

ナツキ:ぅ…ぅぅ…

ナツキ:ここは…?落ちて来た…のか…ッッッ…!!!ぐぁぁ…!!!

ナツキ:脚が…!!損傷したかっ…

ナツキ:…!なんだ…話し声…?敵国人類か…!?

ジョージ:また酷く崩れたな

ケニー:そりゃあれだけ揺れりゃなぁ…

ジョージ:よりによって見回りの日に…ついてない

ナツキ:マズい…敵は二人だ…脚さえ動けば…!くそ…くそっ…!動け…動け…!!!

ジョージ:しかし、崖崩れに巻き込まれなかっただけよかったか。なぁケニー

ケニー:ちょっと待て

ジョージ:ん?どうした

ケニー:アレ見ろ

ジョージ:なんだよ、一体何が…、っ!?

ケニー:アンドロイドだ…

ジョージ:銃を出せ、すぐに破壊する

ケニー:待てジョージ

ジョージ:なんだ、奴がいつ襲ってくるか分からないぞ…!気付かれる前に破壊すべきだ…!

ケニー:待てって言ってんだ。よく見ろ…全く動く気配が無い。いや、正確には上半身はかすかに動いてるが、脚が全く動かねぇ

ジョージ:だからなんだ…

ケニー:この崖崩れに巻き込まれたんだとしたら?アイツは脚が壊れて動きたくても動けねぇんだよ

ジョージ:確証はないだろ…!それに、もしそうだったとして、それが何だっていうんだ

ケニー:銃しまえ

ジョージ:は?

ケニー:いいから、銃をしまえ

ジョージ:正気か…!?アイツはお前の娘を殺したアンドロイドなんだぞ…!?

ケニー:ジョージ…命令権はどっちにある?

ジョージ:…アンタだ…でも…!

ケニー:なら大人しく従え。もう一度言う。銃をしまえ

ジョージ:…少しでも奴が妙な動きをしたら迷わず撃つからな

ナツキ:…!人影…やっぱり人間だ…このままだと始末される…!

ケニー:よぉ、ボウズ!

ナツキ:…!?

ケニー:お前だよ、そこの…

ナツキ:止まれ!さもなくば撃つ!

ケニー:おっと…!

ジョージ:くそっ、言っただろ!アンドロイドは所詮アンドロイドだ!

ケニー:ジョージ!待て!

ジョージ:なんなんだよ!こいつはアンドロイドだぞ!何故殺さない!

ケニー:いいから撃つな!銃を下ろせ!

ジョージ:俺が撃たなきゃアンタがアイツに撃たれて死ぬぞ!

ケニー:なぁボウズ!俺たちはお前を攻撃する気はないんだ!なぁ、お前さんもその銃、降ろしてくれねぇか…!

ナツキ:敵意が無いようには見えない…

ケニー:だから言ったろジョージ…!お前が銃を下ろしさえすれば話を聞いてくれるかもしれねぇ

ジョージ:アンドロイドに話すことなんて何もない…そもそもアイツを信用できる要素がどこにも見当たらない!

ケニー:そりゃあっちだって同じだ!だがお前と違って止められるでもなく銃を撃とうとしないんだぞ

ジョージ:話してどうするんだ…

ケニー:(ナツキには聞こえないように)ジョージ…俺が何の意味もなくこんなことすると思うか…?

ジョージ:…思わない…

ケニー:それなら、俺を信用するか、お前の復讐心に従うか…あとはお前が選べ

ジョージ:っ……くそっ

ナツキ:…

ケニー:いやぁ、騒いじまって悪かったなボウズ…これでこっちは、もう銃を持ってない。お前さんと少し話がしたいんだ

ナツキ:…

ケニー:その物騒なモン、降ろしてくれねぇか…?

ナツキ:…何が目的だ

ケニー:言ったろ?話がしてぇんだよ。俺たちはお前さんらアンドロイドに色々借りがあってな。ただ…その、なんだ

ナツキ:…?

ケニー:なぁ、じゃあ銃を向けたままでいい。俺の話を少し聞いてくれねぇか

ナツキ:…わかった

ケニー:ありがとな…それじゃあ、まず…アレは俺が娘と夕飯を買ってる時だったか…

0:間

ナツキ:…

ケニー:んな訳で、俺はあの日、街に攻めて来たアンドロイドに娘を奪われた。あいつ、ジョージの妻もだ。他にも大勢の人間が死んだ

ナツキ:それは…それは、お前たち敵国人類が核戦争なんかを起こすから…!

ジョージ:…っ!お前…!あのな、そもそもそれは…―

ケニー:ジョージ。気持ちはわかるが…こいつの言う通りだ。だろ?

ジョージ:…?

ケニー:ジョージ、どうした?

ジョージ:あ、ああ…いや、なんでもない…

ケニー:悪ぃなボウズ、こいつも色々辛い思いしたからよ…アンドロイドのお前さんを見ると、ついカッとなっちまうんだよ

ナツキ:…それで、結局何が言いたいんだ

ケニー:そうさな、俺はずっとアンドロイドを憎んでた。もしこうやって遭遇することがあれば、絶対ぶっ殺してやるって思ってた

ナツキ:…!

ケニー:でもな…考えたのさ。確かに大勢の人間を殺したのは、お前さんと同じアンドロイドだ。だが、お前さん自身じゃない

ナツキ:…?

ケニー:つまり、俺が憎んでるのは、あの時攻めて来て人を殺したアンドロイドだ。お前さんじゃない

ナツキ:僕じゃ…ない…?

ケニー:あぁそうだ。だからお前さんを殺すつもりは無い

ナツキ:…それを信じられる根拠は

ケニー:ねぇよ

ナツキ:…ない?

ケニー:ああ。証拠なんざねえよ。だが、人の感情なんてもんはそういうものさ。お前さんも分かるはずだ…今のアンドロイドには心があるんだろ?あの時襲ってきたやつらと違ってな

ナツキ:あ、ああ…心がある…感情が。人に与えられたものだけど、でもこれは紛れもない僕の感情だ…

ケニー:…。なら、お前さんのその心に従えばいい。任務や命令じゃなく、お前さんが信じたいか、そうでないかにな

ナツキ:僕の…心に…

ケニー:…

ナツキ:…。…分かった、お前たちを信じる

ケニー:へぇ…そりゃまた、どうして?

ナツキ:アンドロイドを憎んでるのに、それでも僕の「心」に声を掛けてくれたから…

ケニー:…そうかい。そりゃよかった…どれ、それじゃあキャンプの端に機械整備士が住んでるから、そこでお前さんの足を直してもらおう

ナツキ:いいのか…?

ケニー:ああ勿論。折角人間の心を信じてくれた、心を重んじるアンドロイドがそのなりじゃなぁ?ジョージ、バイクまで運ぶぞ

ジョージ:あぁ…

0:敵国人類のキャンプにて

ベケット:…。遅いな

リック:あぁベケット、ここに居ましたか

ベケット:お…ってなんだい、アンタか

リック:…私だったら何か問題でも?

ベケット:いやすまない、気にするな。何の用だ?

リック:東キャンプとの取引の件ですが、向うが支払いを渋っているようです

ベケット:あ?なんだいそれは。連中の言い分は?

リック:物資の質や量に対して、要求される対価が多いとのことで

ベケット:ふざけんじゃないよ!

リック:私に怒鳴られても困りますが

ベケット:うちの物資はね…キャンプの仲間が必死に集めた大切なモンなんだよ!それを値切ろうってんなら、拳だ拳!(アンタたち!さぁ猛れ!怒れ!!バカな奴らに聞かせてやる言葉なんざないよ!肉体言語でじっくり話し合ってやる!このキャンプを…そしてこのキャンプを創るアタシたちを怒らせたこと、存分に後悔するがいい!皆、拳を掲げろぉ!いいか!)

リック:また始まりましたか…

ケニー:よぉリック、戻ったぜ

リック:おや、帰りましたかケニー。帰還の予定時刻からずいぶん遅れていますが、何かトラブルでも?

ケニー:おうよ、ちょっとな…ベッキーは?

リック:彼女なら演説中です

ベケット:我々は!強い絆で結ばれている!団結こそがこの危機的状況を脱する術だ!統率こそが我々を導く力だ!外部の圧力など恐るるに足らず!東の連中はアタシたちの努力や誇りを甘く見ているようだが…

ケニー:あ~、すまねぇなベッキー!ちょっと急用なんだが

ベケット:ぁ〜…ケニー…今は皆がアタシの声に耳を傾けてくれているんだぞ。それを遮るだけの一大事だと言うのか?

ケニー:ああ。そういう事だ。ちょっと来てくれ

ベケット:む…そういう事なら仕方ない…皆、すまないが今日はここまでだ!

0:ベケット、演説代から降りる。足音、歩きながら会話

ケニー:よくもまぁ飽きねぇよな

ベケット:よっ…っと…何のことだ?

ケニー:演説だよ

ベケット:飽きる?何を言うか。キャンプの団結力を高めるための大切な仕事だ

ケニー:そうかい…

ベケット:それで?アンタの話というのはなんだ

ケニー:おう、こっちだ

ベケット:駐車場?まさかバイクの不調程度でアタシを…っ!?

0:ナツキを見つける

ジョージ:ベケットさん…

ベケット:説明は後でいい、そいつを破壊する。ジョージ、銃を貸せ

ナツキ:…っ!

ジョージ:ま、待ってください!ケニーには何か考えが…

ケニー:考えなんざねぇよ!

ジョージ:え…?

ケニー:俺ぁそいつを信用した。それだけだ

ベケット:…。そうか…ケニー

ケニー:ベッキー、いいから話を…

0:ベケット、ケニーの腹に膝蹴り

ベケット:フンッ!

ケニー:ぐぉッ…!!!

ナツキ:なっ…!?

ジョージ:ケニー!

ベケット:アンタの話は分かった。このアンドロイドは他とは違う、だからこのキャンプにソイツを受け入れてくれ…そうだな?

ケニー:かっ…ハハ…ぁぁ…察しが良くて助かるな…そりゃつまりイェスってことでいいのか…

ベケット:自分の立場が分かっていないようだな、ケニー?アンタは確か、南の方じゃ英雄だなんて呼ばれて慕われていたそうじゃないか。アンドロイドの侵攻を3度も食い止め、キャンプを救った英雄…そんなお前が何故アンドロイドを連れている?そもそもアダムとイヴがお前の…

ケニー:言ったろ!…理由なんざねぇよ

ベケット:…

ケニー:何度も言わせんな。俺ぁコイツを…

ベケット:最終警告だ。ソイツを捨てて来な

ナツキ:っ…

ベケット:いいかい、このキャンプの中じゃアンタは英雄でもなんでもない。意見を通したいなら、まずはアタシを納得させることだ

ケニー:へっ…流石は元鬼軍曹ってか…っととと…あぁ、いい蹴りだったぜ

ベケット:かなり加減したんだがな

ケニー:そりゃどうも

ベケット:どうする?アンタの言い分を聞くに、話し合いでアタシを納得させることはできそうにないが

ケニー:みてぇだなぁ…ジョージ、ちょっとこれ持ってろ

ジョージ:…おい、まさかとは思うが…

ケニー:いいぜ、おっさんが拳骨くれてやる

ベケット:上等だ

ジョージ:おいおいおい嘘だろ…!よせよケニー!なんだってそこまでするんだ!

ケニー:理由なんざねぇってさっきから言ってんだろ!俺ぁコイツ…ナツキを気に入った!もう仲間だ。足も治す。一緒に飯も食う。コイツを元いたところまで無事に返す

ナツキ:ケニー…

ケニー:さぁこい嬢ちゃん…もう加減はいらねぇぞ

ベケット:ああ…そのつもりだっ!

0:ベケットの蹴りをケニーが腕で受ける

ケニー:う…っ!重てぇ…!

ベケット:ほぅ、よく止めたな。ではこれはどうだ!

ケニー:うおっ?!

0:再び躱す

ベケット:(これもかわすか!成程、確かに山賊連中とは訳が違うな…)

ベケット:だが…!

ケニー:っ!

ベケット:やはり鈍いぞ!南の英雄!

0:追撃が来る

ケニー:ゴフッ…!!!

ジョージ:ケニー!!!

ケニー:カハッ…はぁ…はぁ…っくくく…甘ぇのはお前だよ嬢ちゃん!!!

ベケット:ッ!?

0:ケニー、腹に入ったベケットの腕を掴み組み伏せる

ベケット:ぐぁっ!?

ジョージ:絞め技…!

ナツキ:やった…!

ケニー:ゴフッ…ぉおっと、暴れんなよ鬼軍曹。下手すりゃ腕が外れちまうぜ?

ベケット:ぐっ…う…!は…なせ…!

ケニー:あーん?違うな、俺が聞きてぇのはそれじゃねぇ

ベケット:くっ…

ケニー:さぁ、どうする?ナツキをここに受け入れるか、その腕をやってまだ続けるか

ベケット:…。…チッ…やむを得ん…

ケニー:っへへへ、ったく、手間取らせやがって…

ベケット:腕はくれてやる!

0:腕の外れる音

ケニー:はぁ!?

ジョージ:嘘だろ!?腕外して抜けやがった…!?

ベケット:今度はどうする!?

ケニー:冗談じゃねぇぞオイ…!

ベケット:こいつで終いだ!!!

ナツキ:ケニー!!!!!!

ジョージ:っ!

ケニー:ナツキ!?

ベケット:なっ…!?

0:拳が飛び込んだナツキに命中。吹き飛ぶナツキ

ナツキ:ぐっ…ぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!!

ケニー:ナツキ!

0:駆け寄るケニー

ケニー:大丈夫かオイ!無茶しやがってお前…!

ナツキ:脚が…!ぁ…滅茶苦茶ッ…イタイ…!!!

ケニー:当たり前だろ何やってんだ…!おい、立てるか?!

ナツキ:立てると思いますか…!?

ケニー:まぁそりゃそうだよな!!!

ナツキ:っ…ぅぅぅ…!!!

ベケット:(アンドロイドがケニーをかばった…?壊れた足を引きずって?バイクに括ってあった銃には目もくれずに…)

ベケット:…フッ…っくくくくく…ッハハハハハハハ!

ナツキ:…!

ベケット:アンドロイド!お前、名前はなんといったか?

ナツキ:え…あ、ナツキ…です…

ベケット:よぉしナツキ、アタシもお前アンタが気に入ったぞ

ナツキ:えぇ…!?

ベケット:うむ、いいだろう…足の修理を許可する!

ケニー:本当か…!ナツキ!

ナツキ:あ、ありがとうございます…!

ベケット:ただし!…アタシはお前を気に入りはしたが、あくまで気に入っただけだ。信用はしてない。しっかり見ておけ。それと、キャンプの連中には気取られるな。必要と判断すれば、アタシから皆に伝える…皆アンドロイドに大切なものを奪われた奴らだ。混乱を招くのは間違いない

ケニー:あいよ。よし、つかまれナツキ。ハリーの店まで連れてってやる

ナツキ:ハリー?

ベケット:うちのキャンプの機械整備士だ。倒したアンドロイドの分解もしてるからな。アンタらの構造は知り尽くしてるんだ。安心して任せろ

ナツキ:は、ははは…そう…ですか…

ケニー:おいベッキー…顔が引き攣っちまったじゃねぇか…

ベケット:む?…っははは!そうだったな!いや、これはすまない!

ケニー:まぁ紛れもねぇ事実なんだけどな!ハッハッハ!!!

ナツキ:…なんだか不安だ…

0:ハリーの店

ケニー:しかし、軍曹が変わりモンで助かったな

ナツキ:そんな言い方して怒られませんか…

ケニー:聞こえてなきゃ何言ったって平気だろ

ナツキ:人間は急に通信掛かってきたりしませんもんね…

ケニー:どれ、着いたぞ…ちょっと待ってろ

ナツキ:はい

ケニー:おーい!ハリー!いるか!

ハリー:ああ!いるよ!少し待ってくれ!

ケニー:また便所か?!30分も待たされんのはもうゴメンだぜ!…あいついっつも便所が長いんだ

ナツキ:なんかちょっと不便ですね

ハリー:やぁケニー。よく来たね

ケニー:おう、珍しく快便か?

ハリー:器具の手入れ中だったんだよ。失礼だな…ん?君は…

ケニー:おお、ちょっと訳アリでよ。こいつの脚を治してもらいてぇんだ

ハリー:脚を?僕は機械技師であって医者じゃ…っ?!そ、その足…まさかアンドロイドっ…!?

ケニー:おい、あんまでかい声出すんじゃねぇよ…まぁなんだ、詳しいことは奥で話す。ちょっと来てくれ

ハリー:あ、あぁ…

ケニー:ナツキ、悪いがそこの部屋で適当に待っててくれ

ナツキ:は、はい…

ハリー:(ヒソヒソと)おいケニー、正気なのか…?!ベケットに見つかったら…

ケニー:許可はとった

ハリー:そうか、それはよかったね。とにかく彼女の許可なしにうちで修理なんか…え、今なんて?

ケニー:ベッキーの許可はとった。さっきな

ハリー:…それ本当に本当?

ケニー:マジだよ、大マジさ

ベケット:ああそうとも。私が許可した

ハリー:ベケット?!え、そ、それじゃあ…

ベケット:ああ。足を治してやれ。ついでに他に不具合があればそこも…

ケニー:あー、そのことなんだが…少し相談があってな。おーいジョージ!お前も来い!

ベケット:相談?これ以上まだ何かあるのか?

ケニー:ああ、かなり重要な話だ…1回しか言わねぇからよく聞いてくれ

ハリー:…わかった

ベケット:承知した。話せ

0:間

サポ:RE-45の信号途絶から一日

0:機械整備士の仕事場にて

ケニー:よぉボウズ、調子はどうだ?

ナツキ:問題ありません…おかげで脚もかなりよくなりました

ケニー:そうか、そいつぁよかった!やれやれ…お前さん痛覚もあるんだってな?修理中はそりゃ大変だったって聞いたぜ

ナツキ:途中で内部メモリにアクセスして、痛覚機能を一時的に切ってくれたのでなんとかなりました…ついでに破損したデータも修復してくれたんですよ

ケニー:そんなことも出来んのか?

ナツキ:ええ。内部メモリにアクセスして、破損した部分を抽出して復元し、また戻す…みたいな

ケニー:そうか、上手くいったか…器用な奴だなアイツも。伊達に機械整備士名乗ってねぇってか

ジョージ:アンドロ…ナツキ、脚はどうだ

ナツキ:ジョージさん…ええ、お陰様で大分よくなりました

ジョージ:別に…俺は何もしてねぇよ…

ハリー:ああ、歩くのはまだ控えた方がいいよ。寄せ集めのパーツで造った外装だからね、外れちゃうかもしれないし、もう少し様子を見たいんだ

ナツキ:分かりました、そうしておきます

サポ:RE-45の信号途絶から三日

ナツキ:あ、ジョージさん

ジョージ:…脚の調子はどうだ

ナツキ:はい、お陰様で。明日には動かせるそうです

ジョージ:だから俺は何もしてねぇって…

ナツキ:ジョージさん、僕らアンドロイドを憎んでるんですよね

ジョージ:…

ナツキ:それなのに、あの時僕を撃たずに銃を下ろしてくれたじゃないですか

ジョージ:…ケニーの指示だったからだ。お前のためじゃない

ナツキ:それでも…

ジョージ:俺はお前を殺そうとしたんだぞ!…俺の妻を殺したアンドロイドは、お前じゃないのにな…ケニーの言った通り、お前じゃない…でも…クソッ…

ナツキ:ジョージさん…

ジョージ:こんなこと、お前に言ったところでなんの意味もない…でもな…行き場が…ねぇんだよ…

ナツキ:…あの

ジョージ:?

ナツキ:…聞きますよ

ジョージ:え…?

ナツキ:僕でよければ、聞きますよ

ジョージ:…お前らアンドロイドへの恨み辛みだぞ…聞いて楽しいもんじゃない

ナツキ:わかってます。でもそれがジョージさんの心です。僕は分かりたい。聞きたいんです

ジョージ:…後悔すんなよ…

ナツキ:心の準備はできてます

0:間

ジョージ:そしたらケニーのやつなんて言ったと思う?!「おいジョージ!この便所、ドアがあかねぇぞ?!」だってよ!(爆笑)

ナツキ:鍵ッ…!!!鍵かかってるのに!!!!(爆笑しながら)

ジョージ:もう、おかしくってよぉ…!腹痛くなっちまったよ…!

ナツキ:ケニーさん意外とそういうとこあるんですね

ジョージ:はぁ〜…笑った笑った…

ナツキ:滅茶苦茶面白かったですよ、ほんと

ジョージ:…なぁ、ナツキ

ナツキ:はい?

ジョージ:…俺、こんな笑ったの本当に久しぶりだよ

ナツキ:そうなんですか?

ジョージ:ああ…あの日から毎日…アイツを失った痛みに苦しんで。誤魔化すように、いろんな女に手を出した…

ナツキ:…

ジョージ:心の底から笑えたことなんかなかった…胸にぽっかり…穴が空いちまったみたいによ…何を見ても聞いても、すり抜けてっちまうんだよ

ナツキ:そう…なんですね…

ジョージ:けど、大切なものを失ったのは俺だけじゃない。それはよく分かってた…

ナツキ:だから、誰にも苦しさを吐き出せずにいた…

ジョージ:ああ…だからな、ナツキ

ナツキ:はい?

ジョージ:…ありがとうな

ナツキ:そんな、僕は何も…!

ジョージ:いいや、お前は俺の心を少しでも救ってくれた。お前がどんだけ謙遜しても、この事実は変わらねぇよ

ナツキ:ジョージさん…

ジョージ:もうこんな時間か…そろそろ食堂に行かねぇと

ナツキ:あ、本当だ…

ジョージ:今日はありがとうな、ナツキ

ナツキ:はい!

ジョージ:…なぁ

ナツキ:なんですか?

ジョージ:アンドロイドって、飯は食えんのか?

ナツキ:え?まぁ、一応成分と味を分析する機能はありますよ。美味しい物を火星へ持ち帰るために、ですけど

ジョージ:そうか…お前は食べるの好きか?

ナツキ:ええ、必要以上に食べて相方に怒られたりするくらいには

ジョージ:おぉ…そんじゃあナツキ、今度俺と飯くいに行こうぜ

ナツキ:え?

ジョージ:少し歩くけど、美味い飯屋があるんだ。ニーナのピザは最高だぞ

ナツキ:い、いいんですか?!

ジョージ:ああ、勿論さ。今日のお礼に、な

サポ:RE-45の信号途絶から七日

ジョージ:おうナツキ、今日は酒飲みに行こうぜ!

ナツキ:お酒ですか?まぁ行けますけど…ケニーさんもいるじゃないですか?

ジョージ:たまには他の飲み相手が欲しいんだよ

ケニー:おいおいジョージ!俺の何が不満だってんだおい?

ジョージ:オッサンじゃなくて若い奴と話したいんだよ

ケニー:オッサンだぁ?髭とシワがちょっと多いだけだろ

ジョージ:それをオッサンって言うんだよ…

ケニー:なんだよ、最初はあんなにナツキに強く当たってたくせによ

ナツキ:あの!

ケニー:ん?

ナツキ:僕は構いませんよ!

ケニー:おう、あんちゃんノリいいじゃねぇか!

ジョージ:そうこなくっちゃな

ベケット:よぉしケニー、今夜はフレッドの店にしよう。あそこなら訳ありな奴ばかりだし、ナツキが行っても心配ないだろう

ジョージ:ベッ…ベケットさん…?!

ベケット:私も一度、ナツキとじっくり語らって見たかったんだ。構わんだろう?

ジョージ:ぁ…っはは…えぇ、まぁ…

ケニー:おいおいジョージ!なにそんな固まってんだ?

ベケット:肩の力を抜け!せっかくの酒が不味くなるぞ!

ジョージ:元々安酒ですけどね

ケニー:何が入ってるかも分かんねぇしな!!!だっハッハッハ!!!

ベケット:ま、たまにはいいだろう

ジョージ:…あぁ…予期せず賑やかになったな…

ナツキ:ははは…ジョージさん緊張してますね…

ジョージ:ほっとけ…

ケニー:それじゃあ夜になったら迎えに来るからな!

ベケット:アタシは少し遅れていくぞ。ナツキ、また後でな

ナツキ:あ、はい!また後で!

ケニー:…あー…なぁ、ナツキ

ナツキ:はい?

ケニー:俺たちはこの地球から、お前たちを作った善良な人類を追い出した心無き敵国人類だ

ナツキ:…え?なんですか急に

ケニー:けどよ、その中にも話ができるやつがいて、人やお前さんらアンドロイドを殺したくないと思ってる奴もいるって…心がある奴がいるって、信じてもらえたか?

ナツキ:そんな、今さら何を言ってるんですか!信じるに決まってるじゃないですか!現にあなた達がそうなんですよ

ケニー:ああ、そうだな…同じく心を持った者同士だ

ナツキ:ええ。体の構造は違くても、同じく心を持っています

ケニー:なんだかそれってよ、お前さんも人間みたいじゃねぇか?

ナツキ:…そう…ですかね?

ケニー:ああ、そうさ。お前さんは俺たちと同じなんだよ。俺たちの仲間さ

ナツキ:へへ…ありがとうございます

ジョージ:…。

0:部屋を出る

ジョージ:ケニー…

ケニー:あん?どうした?

ジョージ:…その、いや、この質問に特に意味は無いんだが…その…

ケニー:…

ジョージ:本当に…やるのか…?

ケニー:…おい、ジョージお前…

ジョージ:意味は無いって言ったろ。ただ…聞いただけだ

ケニー:…ああ。やるさ。

0:間

ケニー:っだぁクソ、やってらんねぇぜ!

リック:何も考えずにカードを引くからです。もっと手札や相手のカードを分析して…

ケニー:んなことできるかってんだ

ジョージ:なんか…また増えたんじゃないか…?

ナツキ:ははは…

ケニー:おいジョージ!タッグマッチだ!リック対俺とお前だ!これなら勝てんだろ!

ジョージ:それタッグマッチって呼んでいいのか?

リック:私は構いませんが

ケニー:へへへへへ、今に見てろ…よし、ジョージこっち来い

ジョージ:はぁ…いまいいとこだったのに…

ナツキ:後で続き聞かせてください

ジョージ:おうよ、悪いな

ケニー:ジョージ!!

ジョージ:わかったわかった!今行くから静かにしてろおっさん!

リック:それではここらで倍プッシュです

ケニー:げっ…

ジョージ:大丈夫なんだろうな…掛け金はお前持ちだぞ

ケニー:クソ…仕方ねぇ…

ナツキ:(賑やかだなぁ…こういう雰囲気って、マザーベースじゃあんまりなかったから…なんだか楽しいな)

ベケット:よぉ、ナツキ

ナツキ:ベケットさん

ベケット:急で済まないが、テラスで少し話さないか

ナツキ:は、はい…

ベケット:なに、とって食おうとか、そういう話じゃないさ。単純にアタシはアンタに興味が湧いたってだけだよ。キャンプでもしっかり働いてくれてるし、礼も言いたい

ナツキ:そうだったんですね!わかりました

ベケット:こっちだよ。着いてきな

0:テラスへ

ベケット:キャンプでの生活はどうだ?

ナツキ:皆良くしてくれて、おかげで凄く快適です

ベケット:そうか、そいつはよかった!さっきも言ったが、アンタは本当によく働いてくれている。アンタが一日でこなす仕事量は、周りのヤツの倍近くはあるぞ

ナツキ:僕はアンドロイドなので。休憩や食事が必要ない分多く働けてるだけですよ

ベケット:それでも、アタシたちは大いに助かってるんだ。最初は混乱を招きかねんと思って、皆には黙っておこうと決めていたが…今ならいいかもしれないな

ナツキ:え?

ベケット:アンタがアンドロイドで、善良な心を持ってる話の分かるやつだ…って、キャンプの皆に伝えてみないか?

ナツキ:えっ、そ、それは…大丈夫…でしょうか…

ベケット:もしもの事があればアタシたちが全力で守るさ。ただ、皆はきっと受け入れてくれると思うぞ。ナツキが居てくれて助かるって、色んなやつが言ってるんだ

ナツキ:そうなんですね…へへ

ベケット:アタシももう、アンタを信用してる。正真正銘、アンタはアタシたちの仲間さ

ナツキ:ありがとうございます!ベケットさんがそう言ってくれるなんて…正直ちょっと意外でした

ベケット:そうかい?まぁ、確かにアタシもアンドロイドを酷く憎んではいるが…でも、なんだろうな。アンタには人の心を開く何かがあるように感じる。こいつなら信用出来る…って、そう思わせてくれるなにかがな

ナツキ:心を開く…なにか…

ベケット:ああ。相手の心を開くには、まず自分が心を開かなくちゃならない。そうして互いを認めあって、分かりあって、そうして初めて信用や信頼が生まれるんだ

ナツキ:…

ベケット:そう考えると、アンタの中にある心は正しく本物だな。アダムとイヴが作った紛い物とは全然違う

ナツキ:アダムとイヴ?

ベケット:ん?…ああ、そうか!そうだったな。いやぁ、アタシたちはな、アンタたちアンドロイドの創造主たちを、神話に準えてそう呼んでいるのさ。ま、別に気にしなくていい

ナツキ:そうですか。…でも嬉しいな…僕は自分の感情や心が動くの、好きなんですよ。だから、例え作り物だとしても、せめて持ち主である僕くらいは、それを肯定してやりたくて…

ベケット:うむ

ナツキ:こうして他の人に、そんなふうに言って貰えるの、そういえば初めてだったな…なんて

ベケット:そうか…ああ。アンタの心は紛うことなき本物さ!アタシたちと同じ、アタシたちの仲間だ!

ナツキ:はい!僕も…皆の仲間でありたいです!

ベケット:あぁ…そうだ…仲間…アンタはアタシたちの仲間なんだ…

ナツキ:…ベケットさん?

ベケット:…なぁ、ナツキ…

ナツキ:はい?

ベケット:アンタ、嘘をついたことはあるか?

ナツキ:いえ、1度も…嘘ついたところで意味ありませんから

ベケット:アタシら人間はな、多くの嘘の上に成り立っているんだ。それが大きいか小さいか、善意故か、悪意がためかはさておいてな…

ナツキ:…

ベケット:人は…なぜ嘘をつくんだろうな…

ナツキ:なぜ…ですか?

ベケット:アタシたちの心が…偽りだからだろうか…偽物だからだろうか…

ナツキ:そ、そんなことありませんよ!

ベケット:アタシは、元々軍人だったんだよ…アンドロイドが侵攻してきた時も、最前線で戦った…でも、結果はこの有様…。…多くの仲間の死を見てきた

ナツキ:…

ベケット:敵討ち…のつもりだったんだろう。毎日毎日、アンドロイドを探して、破壊して回っていた。でもな、アンタが来て、少し変わったんだ

ナツキ:…?

ベケット:忌々しいあのアンドロイド共が、アンタには重ねて見れないんだよ。アンタは違う。何かが違うんだ…きっと

ナツキ:えっと…

ベケット:ありがとうな、ナツキ。こんな話を聞いても気まずいだろう

ナツキ:い、いえ…!

ベケット:ただな、上手く表現出来ないんだが…とにかくアンタには礼を言いたかったんだ。ははは、奴らを散々憎んだアタシたちが、こうもアンタと打ち解けられるとはね。なんだか…妙な感じだ

ナツキ:そうですね…僕もジョージさんと出会った時は銃を向け合ってましたから。そう思うと、なんだか不思議です

ベケット:ナツキ

ナツキ:はい?

ベケット:…。ここで、暮らさないか

ナツキ:え?

ベケット:アンタはもうアタシたちの仲間だ。きっと皆も受けいれてくれる。だから…ここで本当に、アタシたちの仲間として生きていかないか?そうすれば…

ナツキ:そうすれば?

ベケット:…。いや、なんでもない…世迷い言だ。アンタには帰るべき場所があるからな!

ナツキ:そうですね…寂しいですけど…でも、また会いに来ますから!

ベケット:っ…。…あぁ…そうだな…そうするといい

 

 

 

 

 

 

サポ:RE-45の信号途絶から14日

ケニー:よぉナツキ、すっかり良くなったみてぇだな!

ジョージ:それで?もう行っちまうんだって?

ナツキ:二人とも!今出発の準備が済んだところなんです。名残惜しいですけど、仲間もきっと心配してますから

ジョージ:…そうか

ナツキ:お二人には本当にお世話になりました。足を直してもらって、データの修復も、コミュニケーションも…ご飯も御馳走してもらいましたし

ジョージ:お前はいくら飲んでも酔わなかったけどな

ナツキ:はは…そりゃアンドロイドですから

ケニー:…ナツキ

ナツキ:はい?

ケニー:元気でな

ナツキ:…!はい!お二人もお元気で!

ジョージ:なぁ、ナツキ…俺はな、ずっとアンドロイドを憎んでたんだ

ナツキ:…はい

ジョージ:でも、お前のお陰で、アンドロイドにもいい奴がいるんだって思えたんだ…

ナツキ:そうですか…!よかったです!

ジョージ:ありがとうナツキ…すまない

ナツキ:?何がですか?

ケニー:そりゃお前には色々手伝わせちまったからなぁ!ま、気が向いたらまた来いよ!そうすれば俺達も助かるからよ

ナツキ:はい!ケニー、ジョージ、また会いましょう

ジョージ:ああ…またな、ナツキ

0:帰還

ナツキ:そろそろ到着か。リチャージユニットまで帰ってくるのは七日ぶりくらいかな…動物に荒らされてないといいけど

サポ:お帰りなさい、RE-45

ナツキ:サポ!ああ、ただいま!元気にしてたか?

サポ:お帰りなさい、RE-45

ナツキ:うんうん、ただいま!迷惑掛けちゃったかな…そうだ、司令部に通信を…―

サポ:お帰りなさい、RE-45

ナツキ:…サポ?

サポ:お帰りなさい、RE-45

ナツキ:え、ど、どうしたんだよサポ。もうわかったって…

サポ:お帰りなさい、RE45。お帰りなさい、RE-45。お帰りなさい(次のナツキのセリフが終わるまでお帰りなさいを続ける)

ナツキ:い、一体どうなってるんだ…!?SP-11!強制シャットダウン、コマンド77ノ4423!

サポ:おか…え…さぃ…

ナツキ:なんだ…どうしたんだ…?…そうだ、リチャージユニットの通信システムからなら…!

ナツキ:メモリーチップ認証RE-45。司令部に接続。…こちらRE-45!司令部、応答せよ!SP-11の様子が…

ナツキ:司令部…?司令部、応答せよ。SP-11サポートポッドに不具合が発生、修復措置を要請。司令部応答せよ。…司令部!

ナツキ:…応答がない…どうなってる…?

ナツキ:そうだ…アカリ…アカリは…?!

ナツキ:メモリーチップ認証RE-45、OP-5に通信を接続…―

ナツキ:…?なんだこれ…?最終アクセス四日前?ど、どうなってる…その時僕はまだ…

ナツキ:…アクセス履歴の詳細を表示

ナツキ:最終アクセス四日前…アクセス要件、メモリー内データの送信…ファイル名「最重要情報」、送信先…アンドロイドマザーベース最高司令部…?!

ナツキ:なんだ…なんなんだ…!?僕がいない間に何があった…それも、僕のメモリーチップで…。っ!

0:回想

ケニー:お前さん痛覚もあるんだってな?修理中はそりゃ大変だったって聞いたぜ

ナツキ:途中で内部メモリにアクセスして、痛覚機能を一時的に切ってくれたのでなんとかなりました…ついでに破損したデータも修復してくれたんですよ

ケニー:そんなことも出来んのか?

ナツキ:ええ。内部メモリにアクセスして、破損した部分を抽出して復元し、また戻す…みたいな

ケニー:そうか、上手くいったか…

0:回想終了

ナツキ:あの時…なんのデータを抽出された…?もしあのタイミングで僕のメモリーを完全に複製していたら…

ナツキ:僕のメモリーを使ってアクセスすれば…最重要情報と偽ってマザーベースの中心にデータを送り込める…

ナツキ:嘘だ…そんな…まさか…う、うそ…だろ…

ナツキ:…空間接合ユニット起動、アンドロイドマザーベースへ空間接合

ナツキ:おい、どうした起動しろ!

システム:メモリーチップは既に、アクセス権限を放棄済みです

ナツキ:なっ…?!くそっ…でも緊急命令コマンドが変えられてなければ…!

ナツキ:緊急命令コマンド、89ノ5538!空間接合ユニット、アンドロイドマザーベースへの空間接合!

システム:緊急命令コマンド受信、アンドロイドマザーベースへの空間接合を開始

ナツキ:くっ…早くしてくれ…!

システム:接合成功。通過前に必ず安全確認を…―

ナツキ:接合は九十時間維持!以降緊急命令コマンド以外での命令があれば警報を鳴らせ!

システム:了解

0:アンドロイドマザーベースへ

システム:通過完了。残り維持時間八十九時間、四十七分、二十八秒

ナツキ:誰か!誰かいないか!帰還した!RE-45だ!誰かいないのか!

ナツキ:返事が無い…そうだ、まずは司令部に…!

アンドロイド:ァ…ァ…ハカイ…メイ…レイ…

ナツキ:なっ…!?お、おい、どうした!?酷い損傷だ…

アンドロイド:ハカイ…メイレイ…ジッコウ…ジッコウ…

ナツキ:破壊命令…?一体何を…。っ!?

ナツキ:そんな…皆死んでる…

アンドロイド:ハ…カ…イ…ハイジョ…アンド…ロイド…

ナツキ:な、仲間割れ…したのか…?どうしてこんな…。…っ!やっぱりあの送信データ…ウィルスが…!?

ナツキ:だとしたら、最高司令部が最初に乗っ取られたはずだ…そうなったらもう、感染を止めることなんて…

ナツキ:…アカリ…アカリは…?オペレータールームか…!?

ナツキ:…酷い…皆壊されてる。それもアンドロイドの武器で…本当に仲間割れが起きたのか…

ナツキ:…あった、オペレータールーム!くっ…扉があかない…!…そうだ、ナイフを隙間に差し込めば…こじ開けられる…!!!

ナツキ:開いたっ!アカリ!!!

アカリ:…っ!ナツキ…!

ナツキ:無事かアカリ…!今助け…―

アカリ:来ないでください…!

ナツキ:…!?ど、どうして…

アカリ:見えますか…死んだ仲間たちが…

ナツキ:あ、ああ、見えてるよ!この部屋にも暴走したやつがいたんだろ!?まずはここを離れて…

アカリ:ワタシです…

ナツキ:え…?

アカリ:皆を殺したのは…ワタシです…

ナツキ:アカリ…?

アカリ:ごめんなさい…ごめん…なさい…殺したくなんてなかったのに…!でも…

ナツキ:ぁ…そ…そんな…

アカリ:体の制御が…できないんです…!

ナツキ:アカリ…!

アカリ:来ないで!来ないでください!早くどこかへ行って!でないとまた…ぁ…いや…いやだ…

ナツキ:アカリ!しっかりしろ!

アカリ:逃げてナツキ…!

0:アカリが斬りかかる。ナツキは持っていたナイフで受け止める

ナツキ:くぅっ…対人刀身…!戦闘用アンドロイドから奪ったのか…!?お願いだアカリ…!武器を捨ててくれ…!

アカリ:出来ないんです!体が言うこと聞いてくれないんですよ…!お願いですからここを離れてください!でないとワタシは貴方のことまで殺してしまう!

ナツキ:置いてなんか行けない!

アカリ:ワタシはもうダメです…!直りようがありません…!このまま自我を失ったら…本当に止まれなくなるんですよ…!

ナツキ:それなら…!僕が今!ここで止めるっ!

0:ナツキ、ナイフで応戦を始める

アカリ:無茶です!ナイフじゃ勝目がありません!

ナツキ:そんなこと…!やらなきゃわからないだろ!

アカリ:どうして言う事を聞いてくれないんですか…!お願いだから逃げて…くだ…ぁ…

ナツキ:アカリ…!?

アカリ:自我が…侵蝕され始めています…もう手遅れです!心も感情もなくなります…

ナツキ:それがなんだ!心なんて僕がもう一度教えてやる!

アカリ:…ナツキ、憶えていますか…初めてあなたと話した時は、随分とキツく当たってしまいましたね…

ナツキ:…っ!

アカリ:面倒な機体だと思いました…でも、ただなんとなく…ただの気紛れで、あなたに動物の情報を送ったんです

ナツキ:アカリ…くっ!

アカリ:あなたはとても喜んでくれた…ワタシが任務以外を求められたのは、あれが初めてだった…

アカリ:貴方はワタシと話がしたいと…言ってくれた…どんなにキツク当たっても、懲りずに何度も呼び出して…

アカリ:本当は嬉しかったんです…所詮作り物だと遠ざけていたワタシの心を、肯定してもらえたような気がして…

ナツキ:はぁ…はぁ…アカリ…

アカリ:本当はもっと、貴方といたかった…ナツキ…ワタシはあなたと…

ナツキ:くっ…そ…!

アカリ:もう…時間がありません…ナツキ、分かってますよね…?

ナツキ:…っ

アカリ:(だんだん無機質に)自我が壊れていく…感覚…苦しイ…痛イ…コワイ…助ケテ…コロシテ…ナツキ…ナツ…キ…

ナツキ:っ…大丈夫…大丈夫だよアカリ…

アカリ:ハカイ…メイレイ…アンド…ロイド…ナツキ…

ナツキ:もう怖くない…待ってて、今…今殺すからっ…!!!

0:ナツキ、アカリを殺すために斬りかかる

アカリ:イタイ、ハソン…ニンムニ、ヒツヨウ、アリマセン…

ナツキ:くそっ…くそ…!くそっ…!くそ!くそ!くそ!くそ!!くそ!!!

アカリ:オキヲツケテ…ココロ、ナマエ…ワタシ、ハ…

ナツキ:ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああッッッ!!!!!!

0:ナツキ、アカリの胸部(メモリーチップ)にナイフを突き刺す

アカリ:…ァ…ナ…ツ…キ…

ナツキ:ハァ…ハァ…ハァ…

アカリ:ア、リ…アリガ…トウ…

ナツキ:(震える声で)アカリ…ッ…アカリ…!

アカリ:ナツ…キ…

ナツキ:…?

アカリ:オヤスミ、ナサイ…オゲンキ、デ…

ナツキ:…ぁ…ぁぁ…アカリ…!…クソッ…クソッ…!裏切った…なにが心だ…なにが同じだ…!なにが仲間だ…!!殺した…俺の仲間を…アカリを…!

ナツキ:畜生…!!!人間共がァァァアアアアアア!!!

0:間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0:間

ケニー:あれからもう3ヶ月か?

ジョージ:…お前の作戦はどうやら、上手くいったみたいだな

ケニー:みてぇだな。あれから新たにアンドロイドが送り込まれている様子はねぇ。マザーベースとやらは壊滅しただろう。残党も全て破壊した

ジョージ:…

ケニー:やっと戦争が終わったんだよ。浮かねぇ顔すんなや

ジョージ:また多くの仲間を失った…本当にこれでよかったのか…それに、あいつらはただ…

ケニー:人間になりたかった…ただそれだけ、ってか?だがそれは人を殺していい理由にゃならねぇよ

ジョージ:そもそもアダムとイブに感情を与えたのは人類だ。だからあんな事件が起きたんじゃないのか?

ケニー:自分たちの存在に疑問を持った二機のアンドロイド、アダムとイブが、国を襲って火星へ逃げる。ぶっ飛んだ話だよな

ジョージ:あいつ等…ナツキたちは、自分を生み出したのが人間だと信じ切ってた。アダムとイブが望んだままに

ケニー:人間になりたかったアンドロイドは、自分たちが生み出したアンドロイドによって人間として生まれ変わった

ジョージ:そして敵国人類が起こした核戦争によって、火星へ逃げざるを得なかった…なんて物語をでっちあげて、俺達を襲わせた

ケニー:奴らは最後の最後まで、それを信じて疑わなかった。いや、信じてたんじゃない。そうプログラムされてただけだ

ジョージ:…あいつも

ケニー:あん?

ジョージ:ナツキもそうだったのか?

ケニー:さぁな…

ジョージ:

ケニー:…

ジョージ:…何て言ってた

ケニー:いつか聞いたようなセリフだ…「お前たちは大切な仲間を殺した。アカリを殺した。絶対に許さない」…だとよ

ジョージ:ははっ…そうか…

ケニー:…ナツキ…お前さんはやっぱり俺達と同じなんだよ…同じ心を持った、俺達の仲間さ

0:少し間

アカリ:人類とアンドロイドの戦争が始まってから五年。アンドロイドマザーベースは、内部に侵入したウイルスにより壊滅

アカリ:戦力増強の停止、及び残ったアンドロイドの同士討ちにより、戦争は人類の勝利に終わる

0:少し間

ナツキ:それから二百九十六日後。火星で活動していた、アダムとイブを含むアンドロイドが搭乗した数千機の核兵器が、世界各地に墜落

ナツキ:地球は閃光と死の灰に包まれ…人類は、滅亡した





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