【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完)   作:藍沢カナリヤ

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アンケートありがとうございました。
三輪ちゃんと渋谷に行きます。
ひとり散策は交流会1日目の後に実行です。


第18話 東京姉妹校交流会ー前日譚②ー

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西宮先輩の質問を受け、私はーー

 

 

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「鶫ちゃん、ここが渋谷ですよ! 渋谷!」

 

 

私は元々、京都の人間だから東京には詳しくない。150年も経てば尚更、土地勘などあるわけもない。だから、私は霞と一緒に観光地を巡ることにした。

渋谷。すくらんぶる交差点とやらは東京駅と変わらないくらいに、人が大勢おり、人波に酔ってしまいそうになる。だが、純粋な子どものようにはしゃぐ霞の姿を見ていると、そんなこともどうでもよくなってくる。

そうだな、孫を見ている気分か。生きてる間、孫などいなかったが。

 

 

「しかし、霞。渋谷に来たいとは行っていたが、具体的にはどこに行こうとしてたんだ?」

 

「え?」

 

 

そう訊ねた途端に、霞が固まった。これは……。

 

 

「特に考えていなかったのか」

 

「は、はい」

 

 

東京といえば渋谷じゃないですか。

そんな答えが返ってくる。まぁ、別に私は構わないが、それだけで渋谷をあそこまで推していたのは、呪術師の割に世俗的というかなんというか。

 

 

「あれ?」

 

 

少し呆れながら、霞のことを見ていると、彼女はふと私の後ろの方に目をやり、声をあげた。釣られて私もそちらを見るが、特に気になるものはない。

 

 

「どうした?」

 

「あ、えぇと……今、メカ丸がいた気がして」

 

「メカ丸?」

 

「うん」

 

 

思わぬ人物の名前が出た。メカ丸が渋谷の人が大勢行き交う交差点にいるとは考えにくい。この間の買い出しですら、いやほんモードになっていたのだ。

ん? もしや、

 

 

「いやほんモードのメカ丸か?」

 

「イヤホン……そう。なんか誰かの耳についてたような気がして……」

 

「ふむ」

 

 

霞が「誰か」というならば、京都校の人間ではないのだろう。ならば、誰だ? 少々、いや、かなり気になる。

私の中の好奇心が少し疼いてしまっていた。

 

 

「霞、追うぞ! その人物はどちらに行った」

 

「え、えぇ!? わたしの気のせいかもーー」

 

「早くしろ、どこかへ行ってしまってからでは遅いのだ!」

 

 

困惑しながらも、霞は例のメカ丸いやほんの人物が向かったであろう方向を指差した。

よし、行こう。

 

 

……………………

 

 

「あ、いた」

 

 

私たちは霞が見たという人物に追いつくことができた。流石に人違いかもしれないと思ったので、遠目から見ているのだが、

 

 

「あの人、だと思うけど……鶫ちゃん、見える?」

 

「ふむ……」

 

 

よく目を凝らす。ありがたいことにこの体は視力も上がっているようで、少々離れているところからでもその姿は確認できた。

黒の僧衣と袈裟の男。

向き的に顔は見えなかったが、よく見れば耳元に何かをつけているのは分かる。

 

 

「確かに何かを耳につけているな」

 

「まぁ、本当にイヤホンの可能性もあるとは思うけど」

 

「…………」

 

 

…………なんだろうか。

あの人物を見た途端に、私の中で何か嫌な感じがする。少なくとも好意的な感情ではない。それは言語化しにくい感情、感覚だった。

 

 

「もしメカ丸だとしたらメカ丸の知り合いかな」

 

「…………メカ丸の知り合い?」

 

 

とすると、呪術師だろうか。言い方は悪いが、メカ丸に一般人の関係者がいるとは考えにくい。

…………何故だか心がざわつく。気持ちの悪さに思わず俯いた。

 

 

「鶫ちゃん?」

 

「あ、あぁ」

 

「大丈夫ですか? 顔色悪いですよ?」

 

 

そう言って、霞は私の顔を覗き込んでくる。その表情は心配の色が色濃く出ていた。それほどに私の顔色が悪いのだろうか。

いや、今は私のことはいい。

 

 

「霞、メカ丸は」

 

「え、あっ……いない」

 

 

例の僧衣の男は少し目を離した隙に、いなくなっていた。そこまで長い間俯いていた訳ではなかったと思ったんだが。

 

 

「霞」

 

「ん、なに? 鶫ちゃん?」

 

「このことはメカ丸には聞かないでもらってもいいか」

 

 

私から聞きたい。

霞は何かを察してくれたのか静かに頷いてくれた。

 

 

「………………」

 

 

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少し頭を整理したい。

そう言って、私は霞と別れ、ひとりふらふらと彷徨う。気づけば、私はまた東京駅へと戻ってきてしまっていた。

 

 

「いかんな……どうも頭が痛む」

 

 

メカ丸いやほんの人物。あの黒の僧衣を着た男を見てから、頭の痛みは増す一方だった。

それほどに混乱している。自分の中の言語化できない感覚に。

 

 

「好奇心は猫をも殺すとはよく言ったものだ」

 

 

この不調は私自らの好奇心が招いたこと。ならば、知らなければ、追わなければよかったか?

……いや、それはないだろう。私のことは私が一番知っているのだ。私はきっとそれをよしとしない。分からないことは分からないままにはできない。そういう性質だ。

むしろ、なんの目的もなく荷物もちで参加したこの交流会にも意味ができたことを喜ぶべき、なんだろう。

 

 

「東京にいる間に、メカ丸に聞いてみるとしよう」

 

 

メカ丸は私の友人だ。明治から転生した私に、現代の知識を教えてくれた恩人と言ってもいい。そんな友を疑う訳では決してない。

だが、ハッキリさせたいのも事実だ。

 

彼は恐らく何かを隠している。

そして、何かを知っているはずだ。

私はーー

 

 

 

「それが知りたい」

 

 

 

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