【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完)   作:藍沢カナリヤ

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第2話 現状を把握したい憲倫くん

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加茂(かも)(つぐみ)

それが転生後の私の名前らしい。

歳は見立てよりも少し上の16歳。

痩せ形。背は小さめ。ろくに整えられておらず、ボサボサで少々赤みがかった長髪。

恐らく整えればある程度は見れるようになるだろうが、現状は見れたものではない外見をした女子。それが今の私だった。

 

 

加茂(かも)憲紀(のりとし)

私と同じ名をもつ彼は、加茂鶫の従兄弟にして、加茂家次代当主。

つまりは、私の子孫というわけだ。

今の私自身も私の子孫には違いないだろうが、次代当主というのならば、彼の方が血の繋がりは濃いはずである。

術式については、まだ聞けていないが、彼の雰囲気からするにそれなりの術式を持ってはいるだろうことは予想できた。

 

 

……まぁ、それはいい。

私の時ほどではないが、加茂家が繁栄しているのはいいことだ。

だが、ひとつだけ酷い話を聞いた。

それはーー

 

 

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「加茂憲倫……呪術史上最悪の呪術師か……」

 

 

なにやら混乱しているようだから今日は帰ろう。

ゆっくり休むといい。

そう言って彼が帰った後、私は部屋でひとり頭を捻っていた。そうもなるだろう。私の名前が何故かそのような不名誉な形で広まっているのだから。

 

 

「…………私は死んだ、はずだろう」

 

 

あの時から150年も経っているのだ。

何があったか詳細は分からない。だが、こうなったのは『あの術師』が関わっていることだけは間違いない。

なぜそんな汚名を着せられているのか。

私が死んだ後、何が起こったのか。

そして、なぜ私はここにいるのか。

 

 

「知りたい」

 

 

知的好奇心。

それが生前の私の原動力であった。それは、引き継がれなかった呪力や術式とは違い、加茂鶫として転生した今も失われていないらしい。

ならば、これからやることはひとつだ。

 

 

「真相を解き明かす」

 

 

そのために私はーー

 

 

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翌日。

私は早速、加茂憲紀を我が家に呼び出していた。

 

 

「鶫。君も加茂家の人間ならば分かるだろうが、私も暇ではないんだ」

 

「すまない、少年」

 

「少年……? 本当になんなんだ、その口調は」

 

 

そもそも私の方が歳上なんだが。

そう言って、糸目の彼はため息を吐いた。この口調にも慣れてもらわねばならないだろう。

……そうだな。

 

 

「実は記憶喪失になってしまったようでな」

 

「は?」

 

 

唐突なことだったからか、彼は絶句していた。

勿論、これは嘘。昨晩考えた末にたどり着いた設定である。こうしておけば、私がこの少女に転生したことを説明せずとも、色々と知らない理由がつく。

そもそも転生などそれなりに呪術に関して造詣が深いはずの私ですら知らない現象を、目の前の少年が知っているはずもない。それに中身がこの時代では最悪と称される人物というのは、事実はどうであれ、今の私に不利にしか働かないことは確かだ。

 

 

「自分のことはおろか、今の時代のことも何一つ覚えていないのが現状だ」

 

「…………それは……本当なのか」

 

「嘘を言っても仕方がないだろう」

 

 

私の答えを聞き、彼はますます頭を抱えた。どうやら本当に困っているようだった。

まぁ、親類が記憶喪失になったのならば、そんな反応にもなるだろう。少々大袈裟な気もするが……。

 

 

「鶫」

 

「なんだ、少年」

 

「…………覚えていないというのは、来週のこともか?」

 

「?」

 

 

勿論、そんなもの分かるはずもない。

覚えていないと返すと、彼は来週のこととやらを説明してくれた。

 

 

 

「来週の土曜。君には縁談……見合いの予定が入っている」

 

「は?」

 

 

 

今度は私が絶句する番であった。

 

 

「ま、まて……縁談?」

 

「あぁ、名のある呪術師の家との縁談が決まっている。来週はその初回の顔合わせだ」

 

「相手は……男、か?」

 

「? 何を言っている、当たり前だろう」

 

 

これは、まずい。

男との縁談? いや、私は男だぞ?

いや、外見だけは女だが、それでも中身は加茂憲倫、れっきとした男だ。男と縁談、下手をすれば結婚など冗談ではない。

私にそちらの気はない。

 

 

「そ、それを中止にすることは……」

 

「できないな。そもそもこちらから出した話だ。断りでもすれば、加茂家への信用問題だ」

 

「っ」

 

 

加茂家の当主だった者として、繁栄を願った者としてその言葉は耳が痛かった。もしそれが原因で、目の前の少年に何かしらの不利益が生じるのは避けたいことだ。

 

 

「…………」

 

「鶫?」

 

 

覚悟を決めよ、私。

 

 

「……分かった。その縁談、受けよう」

 

 

勿論、男と結婚など御免被る。なあなあにして縁談を流すように立ち回ろう。

なに、私も人生経験は積んできている。そのくらい訳もないだろう。

 

 

「鶫。縁談を受けるのはいいが、その話し方はどうにかならないか?」

 

「う、うむ」

 

「それに今の時代のことを分からないと言ったが、本当に何もかも忘れてしまっているんだろう」

 

「……あぁ」

 

 

私が頷いたのを見て、彼は何点か質問をさせてくれと言って、私に問いを投げ掛けてくる。

 

 

「今の年号は?」

 

「……平成、といったか」

 

「現在の総理大臣の名は?」

 

「総理大臣? なんだ、それは」

 

「昨年、上野動物園で産まれたというパンダの名前は?」

 

「?」

 

「昨年、引退を宣言したという大物歌手は?」

 

「??????」

 

 

私の言葉を聞いて、彼はまたも考え込んでしまう。

 

 

「……このままでは縁談も何もないだろう」

 

 

正直、彼の質問の半分も分からなかった。確かにこの現状では縁談をなあなあにするどころか、現代のことを何も分からない世間知らずで学のない人間として加茂家の格を落としてしまうのは間違いない。

 

 

「仕方がない」

 

 

身内の恥を晒すのは嫌だったが。

彼はそう言って、立ち上がった。

 

 

「どこに行く?」

 

「今日は帰らせてもらう。明日から、ここに数人人を呼ぶが構わないか」

 

「あ、あぁ」

 

「明日までに部屋の片付けと、そうだな。髪くらいは整えておくといい」

 

 

そのまま彼は部屋を出ていった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

さらに翌日。

私の部屋に加茂憲紀以外に初めて1人の人物がやってきた。

いや、人物というかーー

 

 

 

「加茂、彼女が例の従姉妹カ?」

 

 

 

ーー私の知らない技術の粋を集めたような人?がそこにはいた。

その人物の姿に目を丸くしていると、加茂憲紀はその人物のことを手を示し、こう紹介した。

 

 

 

「彼は究極(アルティメット)メカ丸(めかまる)。私の学友だ」

 

「よろしク」

 

 

 

もう訳が分からなかった。

 

 

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残念だがBL要素はないぞ?
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