【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完)   作:藍沢カナリヤ

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第25話 憲倫くんは野球をしたい

ーーーーーーーー

 

 

「いや、いいから寝てなさいよ」

 

「そういう訳にはいかないだろう。彼女が目覚めるまではここにいる」

 

「わたしたちが見てますから、加茂先輩は休んでください」

 

「だが!」

 

「どうせ大丈夫でしょ、見てみなさいよ。アホみたいに寝てるわよ」

 

 

ぼんやりとした意識の中、声が聞こえる。

この声は憲紀たちの声だ。それに気づいた私はどうにか覚醒しようとしてーー

 

 

ーーガンッーー

 

「痛っ!?」

 

 

勢いよく体を起こした。

同時に、真依の悲鳴が響く。状況がよく分からなかったが、どうやら私は真依に頭突きをかましたようだった。

 

 

「すまん」

 

「突然起きるんじゃないわよっ! 頭割れるかと思ったわっ」

 

 

少々涙目になっている真依を見て、遅れて理解した。

そうか。

 

 

「終わったのだな」

 

 

姉妹校交流会の最中の襲撃。

特級呪霊も参戦していたであろうその戦いは、どうやら私が目覚めるまで終わっていたようだった。

 

 

「全員無事という訳ではないが」

 

 

会話に入ってきた憲紀の姿を見て、思わずぎょっとしてしまった。頭の半分以上に包帯が巻かれていたからだ。

 

 

「憲紀! なんだその怪我は!? そこまで酷かったのか!?」

 

「……頭を多少切っただけだ。お前のお陰でこの程度で済んだ」

 

 

伏黒君から聞いた。私が意識を失った後、お前があの特級と戦ったのだな。ありがとう、助かった。

憲紀は神妙な様子でそう言った。

 

 

「否定はせんよ。ただ素直にその礼は聞き入れることはできない。そもそも憲紀が怪我をしたのは私と戦っていたからというのもあるのだろう」

 

 

それがなければもう少し動けていたはずだ。そんな私の意見を憲紀は否定する。

あれはハプニングだ。誰も予想できないことだったのだから気にするな。憲紀らしい、真面目ながらも私のことを思いやってくれているのが分かる言葉だった。

 

 

「真依、霞」

 

「なんですか? 鶫ちゃん?」

「なによ?」

 

「少しだけ、席を外してくれるか」

 

 

2人は私のお願いに頷き、そのまま病室を出た。

憲紀とふたりきり。私は彼に今の状況を訊ね始めた。

 

 

……………………

 

 

被害状況。

学生は怪我をした者はいるものの死者はなし。

ただし、他の呪術師には人死にが出ているらしい。

恐らくその数には、私が発見した彼らも含まれているのだろう。

特級呪霊たちは結局祓えず仕舞い。ただし、一人だけ呪詛師を捕獲することができたらしく、高専側でそれに対する尋問が始まっているとのことだ。

 

そして、自身の状況も聞く。

どうやら私は気を失っていたらしい。

……私は最近、随分と気を失っているような気がするが、脳への影響とか大丈夫か、これ?

まぁ、それはともかくだ。私が気を失う原因となったあの継ぎ接ぎ呪霊については後で学長殿に報告するとして。

今はーー

 

 

「憲紀。あの時はすまなかったな」

 

 

改めて、憲紀にそれをーー憲紀との戦闘中にまるで説教かのように母親について触れてしまったことを謝る。

 

 

「いや、あれは……私も少々熱くなっていた」

 

「いいや、憲紀。確かにお前のいう通りだったのだ。私はお前の母親のことは何も知らない」

 

 

それにも関わらず、知ったような口をきいてしまった。あれは反省しなくてはならないだろう。

 

 

「……鶫」

 

「私はどうやらお節介らしくてな。出過ぎた真似だったかもしれん。だが、これだけは知っておいてくれ」

 

 

 

「私はお前と仲良くしたい。お前のことを知りたいのだ」

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

憲紀から聞いていた交流会の内容は、1日目が団体戦。2日目が個人戦ということらしかった。

1日目の途中で襲撃があり、今年は中止という意見も出たらしいが、東京校・京都校全員(破損したメカ丸を除く)と相談した結果、交流会は継続することになったそうだ。

 

というわけで。

2日目は野球をやることになった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「憲紀!」

 

 

その日の夜、私は憲紀の部屋を訪れた。

ちなみに、今日は東京校内に宿泊している。襲撃もあったから念のため、学生は一ヶ所に集めるという。いい判断である。

そんな訳で、

 

 

「野球とはなんだ! 教えてくれ!」

 

 

私は2日目の内容を十全に楽しむために、憲紀に野球とは何かを教わりに来たのだった。

 

 

「鶫、おまえは……はぁ」

 

 

なぜかため息を吐かれた。首を傾げると、憲紀は真剣な様子で説明を始める。

 

 

「いいか、鶫。従兄妹同士とはいえ、私とお前は男女。こんな夜中に部屋に来るんじゃない」

 

「ふふっ」

 

「……何がおかしい」

 

 

私がその程度のことも考えずにここに来たとでも?

というわけで、私は彼女たちを部屋に招き入れた。

 

 

「こんばんは、加茂先輩!」

 

「はぁ、なんで私まで……」

 

 

そう。私はこんなこともあろうかと霞と真依を呼んでいたのである。さらに、

 

 

「メカ丸もいるぞ」

 

『…………加茂、すまなイ。俺では鶫は止められなかっタ』

 

「いや……これはもう仕方がないだろう」

 

 

残念ながらいつものメカ丸はパンダに壊されてしまったらしく、非常用として私が受け取っていたいやほんメカ丸を憲紀へ向けて、渡す。

もちろん、メカ丸はすぴーかーもーどとやらにして、会話が皆にも聞こえるようにしてある。

これでよい。今日は私や呪霊共が団体戦に水を差してしまったからな。

 

 

「京都校全員で明日の勝利を勝ち取ろうじゃないか!」

 

 

『東堂はいないがナ』

「桃先輩もいないですけど」

 

 

3年生組はどうやら不参加らしい。残念だが、ともかくだ。

 

 

「それで、野球とはなんだ!!」

 

 

それを知りたい。

 

 

……………………

 

 

結局、映像を見ながらの方がいいだろうということもあり、夜通しいんたーねっとにあった野球の映像を皆で見続け。

思った以上に面白いスポーツだったため、私が騒ぎ出し。

それを聞きつけた歌姫女史も駆けつけて。

その上、一緒に騒ぎ出した結果、次の日、私たち京都校は寝不足のままグラウンドに立ったのだった。

 

ちなみに、私は正規参加ではないため不出場。

試合の結果は1対0で東京校の勝利。2018年の姉妹校交流会は東京校の勝利で幕を閉じた。

 

 

その2日後、私は歌姫女史と共に野球の試合を観戦しに行くのだが、それはまた別のお話。

 

 

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野球感薄いのは許して。
パワプロしかしたことないのです。

姉妹校交流会編終了。
次回から新章(?)開始!

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