【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完)   作:藍沢カナリヤ

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新章開始
※中身はおっさんなんですよね


幕間
第26話 憲倫くん、尾行される


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こんにちは。役立たず三輪です。

交流会が終了した次の日。

京都校の皆は京都へ帰るまでに1日だけ自由時間をもらえました。買い物にいこうと、桃先輩に誘われていたので、わたしも真依も快諾して。

買いすぎないように気を付けようとか。弟たちに何を買っていってあげようとか。

そんなことを考えながら、鶫ちゃんにも声をかけたのですが……。

 

 

「すまない。明日は先約があってな」

 

 

そう言われてしまいました。

ただちょっと違和感。先約って誰だろう?

それは真依も同じことを考えたようで、2人で顔を見合わせて首を傾げました。

まぁ、きっと加茂先輩かなと思って、先輩にそれを訊ねたのですが、返ってきた返事はノー。つまり、知らないということでした。

いよいよおかしい。

そう思って、私たちはーー

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「…………これは、どうなんだ?」

 

「しっ! 静かにしてください、加茂先輩!」

 

「あなたも従姉妹のこと心配でしょう?」

 

「……それは、そうだが」

 

 

わたしと真依、加茂先輩。そして、加茂先輩の耳にはイヤホン型のメカ丸がいました。

そう。わたしたちは鶫ちゃんを尾行することにしました!

 

 

『趣味がよくないのは確かだガ。まぁ、心配なのだろウ』

 

「…………ふむ」

 

 

そう言って、メカ丸もわたしたちのフォローをしてくれます。

でも、ごめんね、メカ丸。

真依もわたしも正直、好奇心に負けただけなんだ。

 

 

「………………」

 

 

忠犬ハチ公像の前で、鶫ちゃんはどうやら誰かを待っているようです。しきりに時計を気にしていました。

 

 

「どう思う?」

 

「いつもと違う。明らかにお洒落してる」

 

 

いつもは制服だから当たり前なんだけど、今の鶫ちゃんは明らかにいつもとは違う格好。女の子らしい格好をしていて、喋らなければ美少女そのものだった。

だから、わたしが切った前髪が浮いててちょっと罪悪感……。

 

 

「憲紀、あんな格好してるの見たことある?」

 

「いや、今までの鶫では考えられない格好だ」

 

 

真依の質問に加茂先輩も首を横に振る。従兄弟で長い付き合いのはずの加茂先輩も知らない姿。ますます気になる。

これはもしや……。

 

 

「デート、ってやつじゃないですか!?」

 

「ちょっと! 声が大きいわよ!」

 

 

しまった。興奮しすぎた。

色恋沙汰なんて京都校の人たちの中ではなかったから、ついつい楽しくなってしまってる。女の子はそういうのは大好きなんだからしょうがないよね!

そんな言い訳がましいことを心の中で考えているとーー

 

 

 

「わざわざすまないな」

 

 

 

「『「「!!」」』」

 

 

鶫ちゃんが動いた。相手が来たみたいで、駅の改札に向かって軽く手を振っています。

わたしたちは目を凝らして、相手を探す。

わたしと真依の推理によると、恐らくお相手は呪術高専関係者のはず。さらに、それの裏付けとなるように加茂先輩も鶫ちゃんの交遊関係の狭さを証明してくれてる。

だから、恐らくだけど、相手はわたしたちも見たことある人物のはず!

 

 

「なっ!?」

 

 

見知った人物を見つけたみたいで、加茂先輩が指をさした。わたしたちもそちらへ視線を向ける。そこにいたのは、

 

 

「ツナマヨ!」

 

 

狗巻棘くん。

東京校の『呪言』遣いの彼だった。

 

 

「へぇ、意外ね」

 

 

わたしも真依と同意見だった。例の虎杖くんと顔見知りだったみたいだから、わたしはてっきり彼なのかと思ってたけど。

まず、狗巻くんって語彙がおにぎりの具しかないらしいから、会話成り立つのかな?

 

 

「いや、今来たところだ。気にするな」

 

「明太子」

 

 

会話成立してる……。

 

 

「移動するみたいよ」

 

「行きましょう!」

 

 

真依の言葉に頷いて、2人と少しだけ距離を開けながらわたしたちも渋谷駅の中へ入った。

 

 

……………………

 

 

そのまま電車で何駅か揺られ、ほどよく眠くなったところで、加茂先輩に起こされる。寝ぼけ眼で電車から降りて、ホームの駅名を見ると……。

 

 

「秋葉原?」

 

「…………」

 

 

真依が少し嫌そうな顔をしていた。人が多いから気持ちは分かるけど、今は見失わないように気をつけながら後をつけるしかない。

電気街口から出ると、大きなゲームセンターやホビーショップがそびえ立っていた。

 

 

「ほぇぇ、なんか凄いですね」

 

「…………まぁ、そうね」

 

「?」

 

 

秋葉原ひ初めて来たからそんな感想を口にしたんだけど、なぜだろう。真依がさっきから俯いて、視線を合わせてくれない。

んん?

 

 

「2人とも、鶫を見失うなよ」

 

「あ、はい」

 

「……分かってるわ」

 

 

加茂先輩に促され、周囲を見渡す。うん、ちゃんと追えてる。少し先に2人は肩を並べて歩いている。

……まぁ、身長差もそれなりで、お似合いといえばお似合いだよね。狗巻くんも鶫ちゃんも整った顔してるし。

 

 

「楽しそうだな、鶫」

 

 

そんな風に加茂先輩がふと呟いた。

後ろから尾けているから、2人が話すときの横顔がちらちらと見えるだけだけど、確かに加茂先輩の言う通りで、鶫ちゃんはニコニコとしていた。心なしか興奮してるようにも見えるけど……気のせいかな?

駅から大通りに出て、200mくらい歩いたところで2人は左の路地に入っていく。

 

 

「追うわよ」

 

「うん」

 

 

少し元気を取り戻したのか真依が率先して歩き出した。さっきの様子はなんだったんだろうとは思うけど、ひとまず鶫ちゃんたちを優先しよう。わたしはそう考えて、その路地の方へ歩を進めた。

 

 

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