【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完)   作:藍沢カナリヤ

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口調はお察し
あんま期待せんといてくださいよ!


第28話 憲紀くんは同級生と遊びたい

ーーーー京都校寮内ーーーー

 

 

「さて、新田。ゲームをするぞ」

 

 

とある休日の昼間。

私は唯一の同級生・新田新の部屋に押し掛けて、そう言った。

 

 

「……また来た」

 

 

呆れられている気もするが仕方がない。京都校の寮内でゲーム機があるのはここだけなのだ。自分で買ってもいいんだが、いまいち踏ん切りがつかないのである。だから、レトロゲーを買ったのを機に、こうして新田の部屋に遊びに来ることが多くなっていた。

 

 

「いいじゃないか。唯一の同級生だ、仲良くしよう」

 

「そう言うて、この間の交流会1人だけ参加した癖に」

 

 

どうやら拗ねているらしい。

 

 

「拗ねるな拗ねるな、仕方ないだろう」

 

「別に拗ねてはおらんけど……」

 

 

呪術師とはいえ、彼もまだまだ若い。まだ16ならば可愛いものだ。

 

 

「というわけで、ゲームをしよう」

 

「この人、ほんとに話聞かへん……」

 

 

……………………

 

 

なんだかんだと言いつつも、共にゲームをしてくれる新田。まぁ、今やっているのは私が買ってきたレトロゲームではなく、新田の部屋に元々あった簡単なミニゲームを集めたものだ。

かれこそ1時間ほどいわゆる双六をやっているのだが、2人でだらだらとできるからいい。

 

 

「あっ、また戻された!」

 

「ふふん、勝負は時の運。まぁ、運も実力のうちだがな…………あっ」

 

「運も実力のうちやったっけ?」

 

「止めろ、駒を戻すな! 止めてくれ!」

 

「無理な相談ってやつだ」

 

 

さらにそこから約1時間ほどそのゲームに興じて、

 

 

「んー!!」

 

 

ひとつ伸びをした。朝からぶっ通しでやっていたのだ。体も凝る。それは新田も同じようで、軽く肩を回していた。

時計を見れば、ちょうどお昼時。

…………ふむ。

 

 

「腹がすいたな」

 

「同感」

 

 

2人の意見はすぐに一致し、私たちは立ち上がる。集合時間を改めて確認し、私はそのまま部屋を出た。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

私たちはふぁみれすに直行した。

ふぁみれすはいい。なんでもある。ほとんどのものは私が知らない料理なのだが、写真があるお陰でどんな味なのか大体想像できるのもいい。

 

 

「ポテト摘まむ?」

 

 

新田にそう聞かれ、めにゅーを確認する。なるほど、揚げた芋か。それはまずい訳がない。

 

 

「頼もう」

 

「ん……あとは……」

 

 

めにゅーとにらめっこする新田。彼はその術式の特質上、あまり前線に出ない。そのため、他の術師と比べて稼ぎは少ないのだ。色々と苦労はしてるのだろう。

 

 

「新田」

 

「なに?」

 

「ここは私が出そう」

 

「…………ほんまに?」

 

「ほんまほんま」

 

 

私がそう言うと、新田は目を輝かせ出す。

ふふっ、まるで子供のようだ。父性のようなものを感じながら、私は彼が選ぶのを待ったのだった。

 

 

「すんませーん! メニューのここから、ここまで」

 

 

おい。

 

 

……………………

 

 

「いくら、なんでも……頼みすぎ、だ」

 

「しゃあないでしょ。そんなこと言われたら」

 

 

2人で破裂しそうな腹を撫でながら、言い合う。なんと新田は食べきれる算段もなく頼んだのである。計画性がないにも程がある。そのせいで私の胃袋も破裂寸前だ。この男、紳士のような見た目の癖に、たまに変なことをやらかす。

まぁ、そこが面白いのだが。

 

 

「もう少し休もうか」

 

「賛成」

 

 

背もたれに寄りかかって、腹を休めている間。

何気ない会話を交わす我々。

 

 

「新田」

 

「なんです?」

 

「お前は京都校の誰と仲がいいんだ?」

 

「んー、メカ丸さん? なんだかんだ面倒見いいし、あの人」

 

「ふむ。確かにメカ丸はいい奴だな」

 

「なんでそんな得意気なん?」

 

 

憲紀以外だと恐らく一番仲のよい友人が褒められているのだ。これが得意気にならないでいられるか。いや、いられまい。

 

 

「霞や真依はどうだ?」

 

「三輪さんはまぁ、普通やけど……真依さんは苦手」

 

 

まぁ、物言いも強く煽り癖の強い女性だからな、彼女は。仲良くできるかどうかは人を選ぶというものだ。

 

 

「それに俺、強い人ダメ。姉ちゃん思い出して胃が痛なる」

 

「そういえば、姉がいると言っていたな。姉も呪術師なのか?」

 

「いや、東京で補助監督やってる。強いのは、態度というかなんというか……ヤンキー気質で」

 

「ヤンキー……?」

 

「昔、ちょっと悪さしてたんよ。そのくせ、俺の監視のために補助監督にまでなって……」

 

 

そういう彼の口調は迷惑そうではあったが、どこか優しげだ。きっと彼自身も姉からの愛情を感じているからなのだろう。弟の監視なんて理由だけで、呪術の世界に入ってくる人間など普通はいない。その姉はきっと新田のことが心配なのだ。

 

 

「ふふっ、いい姉弟愛だ」

 

「話聞いとった?」

 

 

ふと辺りを見渡すと、ちらちらと店員がこちらを見ているのが分かった。時計を見ると、優に店に入ってから4時間は経っていた。

ふむ、ここいらが潮時かな。

 

 

「新田、そろそろ出ようか」

 

「……はぁ、分かった」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

帰り道。

少しずつ日が落ち始めていて、夕焼けが私たちの影を長く伸ばしていた。そろそろ10月。少々、冷えるな。

 

 

ーーフラッーー

 

「あっ……」

 

 

一瞬、気が遠くなり、足元がふらつく。そこを、

 

 

「ちょ、大丈夫かよ」

 

 

隣を歩く新田に支えてもらう。大丈夫だとは言葉を返すが、先日といい、今といい、やはり私の体は不調を来しているのかもしれないな。

 

 

「…………」

 

ーーピッ、ピッーー

ーーパンッーー

 

 

ふと彼は私の背中を叩いた。なにかと訊ねると、ただのおまじないだと答える新田。

 

 

「昔、姉ちゃんにこうしてもらったことがあって」

 

「いい姉ではないか」

 

「……まぁ」

 

 

少しだけ楽になった気がする。まぁ、気のせいだとしてもいいさ。

 

 

「今日はありがとう、新田」

 

「……なんやかんや俺も楽しかったから」

 

 

とある休日。

私は唯一の同級生と楽しく過ごしたのだった。

 

 

ーーーーーーーー




毒のない日常回

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