【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完) 作:藍沢カナリヤ
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ーーパァァンッーー
「それでっ! いつまで続ければいいわけっ!?」
私の隣に張り付く『そいつ』に訊ねながらも、呪力は廻し続ける。それが殺しても死なない『青瘀』という呪霊を祓う唯一の手段だと言うから。
正直、呪霊のことを信じるなんて反吐が出る。けれど、今はこうするしか勝てる筋がない。
「ここの墓地にうまってる死体をぜんぶ壊すまで!」
「はあ!?」
無茶な要求だった。
私の武器は銃。弾数も限られてるし、そもそも私の呪力は無尽蔵に湧いてくる死体全てに撃ち込めるほど多くない。その上、
「おぇぇぇっ」
ーービシャァァーー
「っ」
「『焼土永霙』!」
隙を見せれば、あの気持ち悪い液体が飛んでくる。こちらに当たる前に焼き尽くされるとはいえ、ホント生理的に無理……。
「鶫、呼び戻そうかしら……」
肩で息をしながら呟く。いや、ホントそう言いたくもなるわよ。終わりの見えない体力的にも精神的にもキツい作業を延々と続けろって言われるんだから。
「がんばって、怖いおねえちゃん!」
「……他人事みたいにっ」
『こいつ』は呪力を溜めているのか、迎撃以外では術式を使わない。舐めてるのって言いたくなるけれど、そんな文句を言う暇もなかった。
ーービシャァァーー
「っ、また!?」
「『焼土永霙』!」
ーーボッーー
また燃やす。いい加減にッーー
ーービタンッーー
「!?」
いい加減、ぶちギレそうになったその時だった。
死人の這いずる音や銃声に紛れて、さっきまでの吐瀉物を撒き散らす音とは明らかに違う音が聞こえた。音のする方向に咄嗟に目を向けると、『奴』の口から何かが飛び出したのが一瞬見えて、それが別の死体に入り込んだ。
「なに、あれ……?」
「あれがたぶん……ほんとの『青瘀』お兄ちゃん……だとおもう」
なるほど。
ここに埋まってる死体を全部壊すまでっていうのは、死体から死体に乗り換えるという『青瘀』の術式を封じるためってわけか。
でも、それなら全部壊さなくても、あの気持ち悪い『なにか』を破壊すればいい。その方が現実的。
「『あれ』を殺せばいいって訳ね」
「……うん、たぶん」
たぶんとか、だとおもうとか。そんな曖昧な勝算で命かけなきゃならないなんて……。
「笑えないっ」
ーーパァァンッーー
また撃つ。残りの弾は……15発と1発ね。いつ終わりが来るのか分からない戦いだから、心許ないけれど。
ーーパァァンッーー
「勝算はあるんでしょうねっ!」
「うん……怖いおねえちゃんの術式がさっきの話通りなら」
「この状況で嘘はつかないわよ」
「うん、あとは隙を見つけられればいいんだけど」
隙を見つける。
相手は特級ではないとはいえ、それでもそれなりの等級でしょうね。それを私みたいな中途半端な術師と得体の知れない呪霊で相手するのはやっぱり厳しい。
ーーパァァンッーー
ーーパァァンッーー
ーーパァァンッーー
ーーパァァンッーー
あと10発。死体はまだ数がいる。
やっぱりすべての死体を破壊は無理。隙を見つけなければーー
ーーゴッーー
周囲の死体どもに注意を配っていたせいか、不意に足元の何かに躓いた。よろけながら、一瞬足元を確認すると、そこには猫の死骸。
「チッ、なんでこんなところにーー」
毒づこうとして気づく。
『屍嵬操術』。
死体を操るっていう術式。なら、その効果範囲は『人間の』死体のみ?
「可哀想なコ」
ーーガシッーー
それに思い至るのが遅すぎた。
その声と共に、猫の死骸、その口の中から青黒い腕が伸びてきて。
私の足をそれに掴まれた。
「っ」
「怖いおねえちゃんっ!?」
しくじった。
この呪霊の術式範囲は『死体』……それは動物の死骸をも含めるってこと。
「頭が足りないのねぇ……生きてるものはすべて死に繋がってるのよぉ? 死体をすべて壊そうとも、貴女がいるじゃな~いっ」
ーーパァァンッーー
猫の死骸へ向けて、銃弾を放つ。だけど、その行為は無意味のようで、それから這い出てきた青黒い『本体』が私にまとわりついてきた。
「これで終わり……ねぇ、ご覧なさい。『焼相』ちゃん」
「っ、やめてっ、『青瘀』お兄ちゃん……」
「やめないわよぉ? あなただって、ボクたちお兄ちゃんの言うことを無視して、家出しちゃったでしょぉぉ??」
「っ」
「そこで見てなさぁい! これはあなたへのお仕置きよぉぉ!!」
『奴』はそう叫んで、青黒い腕を私の口内へ捩じ込もうとしてくる。
「~~っ」
私は柄にもなく目をつぶってしまった。
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思ったよりも長くなったので分割。
43話も近いうちに更新します。
『愛し子』編はもう少し続きます。番外編の日常回いりますか?
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いる。憲倫くんを見せてくれ!
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いる。ようじょが足りない!
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いる。誰とは言わないがいちゃつけ!
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いらん。本編を書け!