【悲報】私、加茂憲倫。女子に転生してしまったので一族繁栄目指す(完) 作:藍沢カナリヤ
ーーーー幸吉視点ーーーー
『オマエはそうか……我々を裏切った呪術師』
「っ!」
その呪霊はいきなり流暢に喋り出し、俺を指差してくる。
「随分日本語が上手くなったじゃないか。『花御』の腰巾着が!」
『そう。花御……花御をオマエらは……いや、オマエのせいだッ!!』
語気が強まると同時に、奴は術式を展開した。『花御』は五条悟に祓われたんだから、八つ当たりにも程があるが。
そんな危機感のない突っ込みを飲み込み、構える。
目の前の呪霊の呪力が高まると共にどこからともなく魚群が現れる。式神か!?
「三輪! 真依!」
2人に声をかけ、俺も『纏呪強化形態』を使い、手足にメカ丸を纏う。特級呪霊の式神が相手なら、変にメカ丸で対応するよりも自身の強化に呪力を回した方がいいという判断だったのだが……。
ーーバキッーー
ーーバキッーー
ーーバキッーー
「くっ!?」
威力が高く、一匹一匹が俺の手足を噛み千切ろうとしてくる。式神使いは本体を叩けとは言うが、防戦一方で攻撃をする余裕がない。だが、これだけの連撃だ。呪力の切れ目が必ずあるはず。
チラリと横目で2人の方を見る。三輪も真依も武器種的に一撃離脱型。俺よりも2人の方が危ない。仕方ない。
「っ」
ーーバギンッーー
右腕の装甲を噛み千切られながらも、2人の方へ。無事合流し、迎撃に加わる。
「幸吉!」
「問題ない。俺の方はパーツさえあればどうにかなる!」
それよりもこの場を切り抜ける術を考えろ。
十数秒、攻撃をどうにか受けながら考える。
……リスクは高いが、これしかないか!
「真依! 三輪! 一瞬でいい。あいつを止めてくれ」
「っ、分かりました!」
「無茶を言うわっ」
ほんの一瞬でいい。こちらの攻撃を躱せないように、足止めできれば、大技を撃ち込める。
ーーパァンッーー
真依の銃弾が『奴』の目を捉えた。大したダメージはなくとも、怯みさえすればーー
「ーー『抜刀』!」
三輪の『抜刀』が足首を捉える。生物的な為りをしているのだ。足の腱を切れば、一瞬動けなくなる。勿論、相手は特級。『反転術式』を廻し、肉体の再生をするなど簡単なことだろう。
ただ、その一瞬さえあれば!
「っ、メカ丸!!」
雑魚呪霊を祓っていた2体のメカ丸を呼ぶ。2体のメカ丸と俺、すべての射程圏内に『奴』を捉える。そして、呪力を解放する。
「『
「『
ーーゴゴゴゴゴゴゴゴッッーー
俺と2体のメカ丸による『三重大祓砲』。
その中心に『奴』がいる。
2人が作ってくれた隙は十分。躱せないだろ!!
『なるほど、考えたな。だがーー』
ーーザパァッーー
「「「!?」」」
水の防壁!? 式神だけじゃなく、そんなことも出来るのか!?
だが、あれだけで削り切れる訳がない!
『術式解放ーー『
まだ式神を呼べるのか!?
『奴』に呼び出された魚群は『三重大祓砲』から本体を守るように現れる。湧き出る式神に阻まれて、俺の攻撃は勢いを完全に殺されてしまっていた。
「本当に、特級は全部無茶苦茶だっ!」
『海は万物の生命、その源。『死累累湧軍』は際限なく湧き出る式神。オマエごときに突破できる術式ではない』
「っ」
無尽蔵の式神。それが『奴』の術式効果。
くそっ! 『奴』の実力を読み違えた。これでは、このままではーー
「幸吉ッ!!」
「メカ丸!」
「!?」
一瞬の隙だった。三輪と真依の声に反応した時にはもう遅い。式神が俺に襲い来る。
「ッ!」
ーーパァンッーー
「……っ」
音が響いた。
俺の肉体が喰われる音ではない。
「生きてるー? メカ丸ー?」
「西宮っ! ということは、間に合ったんだな」
見上げれば頭上には西宮がいつもの箒に乗り、こちらへ声をかけてくる。
西宮がここにいるということ。今の俺が『さっきまで特級』が居た場所にいること。それがあいつが間に合った証拠だった。
「待たせたな、与」
「遅れて登場とはヒーロー気取りか、東堂」
筋骨隆々。上半身裸の一級呪術師・東堂葵。
そいつはそこにいた。
「フッ、心配するな。俺はヒーローになどなるつもりはない。ここで漢を見せねばならんのはお前の方だろう?」
「…………」
ウインクをするな、気色悪い。
というか俺が肉体を取り戻してから……というよりも、三輪と仲良くなり始めてから、妙に東堂が馴れ馴れしい。恐らく女のタイプ云々の話が関わってるんだろうな。止めてほしいものだが、今はまぁいい。
「反撃と行こうじゃないか、与よ」
「あぁ!」
仕切り直し。その上、5対1だ。
これならばーー
『5人か。ならば……『領域ーー』
「東堂っ!」
ーーパァンッーー
『!?』
俺の隣にいる東堂と『奴』との位置替え。それによって、『奴』を俺の攻撃の射程範囲内へ。
「『絶技抉剔』!」
ーーギギギギギッーー
不意討ちでの至近距離からの攻撃ということもあり、水の防壁は呆気なく削れた。そのまま本体を抉る。
『ぐゥ……ッ』
「はぁぁぁっ!!」
抉る。抉る。抉る。
「呪霊よ!」
『!』
「そちらにばかり構っていていいのか!」
ーーパァンッーー
東堂が『奴』の頭上へ。同時に真依の銃弾が放たれた。
それに対する呪霊の判断は早い。真依の銃弾は無視して、水の防壁を東堂に、式神を俺の周囲へ展開する。
そう。それが最適解だ。
「そうなるよな!」
ーーパァンッーー
柏手が響く。
俺と銃弾が入れ替わり、
『しまっーー』
「『絶技抉剔』!」
ーーギギギギギッーー
『奴』の無防備な懐へそれを叩き込んだ。
さっきの攻撃のちょうど反対側を抉り取り、そして、
ーーパァンッーー
「『簡易領域』ーー『抜刀』」
ーースパッーー
魚群と入れ替わるように現れた三輪が、俺の攻撃で削った身体を斬り裂いた。
『ぐ……ッ』
ゴロッと『奴』の上半身が転がる。
……分かってる。それでは終わらないよな。
「東堂! 三輪!」
「あぁ!!」
「はいっ!」
「『抜刀』ッ!」
三輪の『抜刀』が『奴』の頭を捉える。硬いんだろう。刃は頭を少し斬り、止まる。
だが、
「ほうっ!!」
ーーバギィィィッーー
ーーザリザリザリザリッーー
『ぐ、がーーッ!?』
東堂の踵落としが三輪の刀を押し通していく。
そして、
ーーガシッーー
『な、に……をッ』
今にも再生しようとしている『奴』の身体を持ち、その断面に狙いを定める。
だが、
ーーフラッーー
「っ」
一瞬、眩暈がした。だが、それがなんだ!
振り絞れ、与幸吉! ここで終わらせろ!!
『やめーー』
「じゃあな、名前も知らない呪霊」
「『三重大祓砲』!!」
ーーゴゴゴゴゴゴゴッーー
ーーーー京都校女子寮内・鶫の部屋ーーーー
「…………へぇ、『陀艮』を祓ったか。やるじゃあないか、現代の術師にしては」
「…………っ」
「あぁ、怖がらなくてもいい。言っただろう、『焼相』。私が君のパパだって」
「~~~~っ」
「おい」
「『彼女』から離れろ」
「『赤血操術』2人がこちらに来たのか。少々、予想外だったよ」
「……この際、お前が加茂憲倫だろうが、『羂索』だろうがどうでもいい。俺の妹に指一本でも触れてみろ」
「お前を殺すッ!!!」
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京都校の連携で『陀艮』撃破!
領域展開されていたら間違いなく負けてます。
じゅじゅさんぽとの温度差よ。
ちなみに、じゅじゅさんぽは並び替えます。