古城くんが好きだから一つになっただけの話 作:名も無き二次創作家
主人公の回りには、主人公を憎からず思っている美少女が集まります。
じゃあその主人公を殺せば?
もぐもぐ、おいちい……おいちい……。
日本国絃神市。
通称絃神島。
樹脂とカーボンファイバーによって作られた、太平洋に浮かぶ常夏の人工島。
「がはっ!?」
「先輩!?」
「
「お兄ちゃん!?」
三人の真祖達に『大規模破壊魔具』の認定を受けた絃神島は、本国である日本から
これは絃神島の市民達に伝えられる事も無く決定し、市民に知らされたときには聖域条約機構軍が包囲・殲滅しようとしていた。
もはや全ての市民を逃がすのは不可能であり、絶体絶命の危機を迎えた絃神島の住民達。
しかし、その状況を逆手に取って起死回生の一手を打った存在がいた。
世界に三人しか存在しないはずの吸血鬼の真祖────その四番目。
第四真祖、暁古城。
彼は日本が所有権を放棄したその島を占領し、自らの
自らが支配する領地を得たことにより聖域条約機構理事会で正式な吸血鬼の真祖として認められた彼は、真祖にのみ与えられた“拒否権”を発動。
たったの一票で聖域条約機構理事会の決定を覆せるそれにより、絃神市改め絃神市国は大規模破壊魔具の認定を取り下げられ、条約機構軍は撤退していった。
かくして、
そして、その
監視役の
担任教師の
実の妹である暁凪沙の目の前で。
神によって死ねない呪いをかけられたと言われる吸血鬼の真祖、その呪いを受け継ぎし暁古城が殺された。
あり得なくはない。
吸血鬼の真祖を殺すための兵器は幾つか開発されている。
だが、少なくとも彼女たちにとってはあり得ないことだった。
今まで幾つもの死線を共にくぐり抜け、文字通り死んでも生き返ってきた彼のパートナーとして。
面倒ばかりかけさせられて、でも手の掛かる子ほど可愛いなんて思うこともあったり無かったりして。
家族として一緒にいるのが当たり前だった存在として。
こんなにもあっさりと、自分の目の前で死んでしまうなんて。
王になっても容赦の無い担任による、放課後補習の終わりに突然死んでしまうなんて。
そんなの認められるはずが無かった。
認められない『現実』を、呆然と眺めるしか無かった。
◇◇
僕は暁古城が好きだ。だからストブラの世界に転生したときに思った。
古城くんに会いたい、と。
好きな人に会いたいと思うのは普通のことだ。
好きな人と一緒に居たいと思うのは普通のことだ。
好きな人と一緒になりたいと思うのも普通のことだ。
だから、僕は好きな人と
僕の中で暴れる血の記憶を転生特典の力で押さえ込み、人間から吸血鬼の真祖になった。
「これで古城くんと同じになれたね。嬉しいね、古城くん」
初めましての挨拶は必要だったかもしれない。
でも、もう一つになれたから僕と古城くんは同一人物で、もう彼と挨拶することは出来ない。
自分で自分に挨拶するなんておかしいから。
さっきまでは別人だったからよかったが、もう今は別人ではないのでそうもいかない。
だから、僕は一生に一度の“古城くんに挨拶する機会”を逃してしまったのだ。
勿体ない。
ところで僕は古城くんと一体化したんだから、今日からは僕も暁古城を名乗れるのでは?
「貴様ッ!!!起きろ、
那月ちゃん可愛い!
僕が原作で好きだった古城くん以外のキャラは、那月ちゃんと凪沙と
それに叶瀬夏音とラ・フォリア。
みんな可愛いね。
勿論それ以外のキャラも好きだけど、でもやっぱり彼女たちが一際好きだった。
好きな子の事はなんでも知りたいよね。
それは普通のことだ。
僕は前世で読者として神の視点でストブラの世界を見ていたから、彼女たちのことをかなり知っていると思う。
でも、こんなにも感情を露わにしている那月ちゃんを正面から見るのは初めてだ。
それも、その感情が僕に直接向いている。
これって凄く嬉しい!
きっと僕はこれから先、彼女のこの表情をおかずに白米を食べられる。
怒ってる那月ちゃんには申し訳ないけど、ファンってそういうものなんだよね。
怒ってる君も可愛いよ。
そういえば今気がついたのだけど、彼女たちからみたら僕は古城くんを殺したヤバイ奴になっているのでは?
本当は古城くんと一体化しただけで殺してはいないんだよ?
ほら、僕の中で血の記憶として生きてるからさ。
古城くんは死んでないから、僕と一つになっただけだから、ちゃんと説明すれば、怒らなくてもいいんだって教えて上げられるはずだよね?
親切にそのことを教えてあげようと口を動かした次の瞬間、僕は殺された。