古城くんが好きだから一つになっただけの話 作:名も無き二次創作家
分けた方が良いとの判断から。
教え子を殺してくれた不審者を拘束し、監獄結界にたたき込んだ私はとりあえず現状を整理するために教職の仕事を片づけていた。
奴の目的は不明。
第四真祖を殺すことが目的なのか、それともそれはただの手段なのか。
一人なのか仲間がいるのか。
背後になにかあるのか。
何もわかっていない。
そして、タイミングも最悪すぎる。
聖域条約機構軍は第四真祖の拒否権により撤退した。
その第四真祖が死んだとなれば件の拒否権を無効と判断し、再び絃神島を包囲・殲滅してきかねない。
何処から情報が漏れるかも分からない以上、何処にもこの不審者に関する調査も依頼できないし自分で調べ回るのも目立つから良くない。
調査ができない以上、本当なら本人に直接尋問したい。
だが、真祖の力を手に入れた正体不明の敵を相手に、咄嗟に手加減せずに守護者を使ったため粉々にしてしまった。
吸血鬼というのは生命力が高いが、肉体強度は魔族の中でも脆弱な部類だからな。
奴が生き返って口をきけるようになるまで暫く時間が掛かりそうだ。
私としたことが、やり過ぎてしまったようだ。
いや、あの場には一般人である暁妹がいた。だから手加減しなかったのは正しい判断だった筈だ。
まさか訊問を優先して一般人に被害を出させるわけには行くまい。
ひとえに英語のプリントと言っても、小テストや授業用の物が各クラスの人数分ある。攻魔官よりは平和だが、教師というのも楽では無いな。
……ん?
そういえば、バカ生徒から先ほど受け取った補習プリントを採点していなかったな。
まったく暁のやつ、手間ばかりかけさせおって。
どうせまた授業をサボり倒して単位が危うくなるのだから、今のうちに新しい補習プリントを…………
「あ」
もう、その生徒は死んでしまったのだった。
「ッ……」
教え子が死んだのは、なにもこれが初めてでは無い。
私のマネをした卒業生が攻魔官になって、初めての任務で戦死した事もあった。
だが、自分の目の前で殺されたのは初めてだ。
いや、違う。
何処で殺されたかは関係ない。
こんな事態になってようやく気がついた。
どうやら私はあの面倒ばかりかける馬鹿で生意気な生徒を、存外気に入っていたらしい。
あいつをに恋慕している女共に、この事態をどう説明したものか。
しばらくは誤魔化すとしても、聖域条約機構軍が完全に撤退してほとぼりが冷めたら説明しないわけにもいくまい。
だが、奴のことが好きな者程、なにをどう言っても奴の死を認めなさそうだな。
何故なら私自身が、あり得ないと分かっていながらも、また暁がひょっこり生き返って来る願望を捨て切れていないのだから。
仕事柄知人の死に馴れている私ですらこの様だ。
那月ちゃんをもっと曇らせたいけどノープラン。
ドウシヨ……ドウシヨ……
思いついたら投稿しますかね。