転生男の娘は道化の海賊を王にする   作:マルメロ

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18時間に合わなかったけど明日まで待つのもあれなんで投稿します。



バギー海賊団

 その日、新聞にて報じられた大事件が世間を賑わせた。天竜人には逆らわない、つまらない世の鉄則を打ち破り、聖地マリージョアを襲撃した者達の存在に世界中が沸き、誰もが彼らを称えた。

 天竜人の傍若無人ぶりは誰もが知るところ。怒りや不満を溜め込む者こそ多かれ、報復を恐れて誰も行動することはおろか口にすることさえ出来なかった。

 そんな中たった二人で聖地マリージョアに乗り込んで大暴れし奴隷達を解放した彼らは英雄と称され、人々の賞賛を集めた。

 

 まず一人目が

 

「お、おい……今日の新聞読んだか!?」

 

「ああ……!あの天竜人に逆らったって!!?」

 

「フィッシャー・タイガー……!!彼こそが英雄だ!!」

 

 未だ差別の残る魚人の身でありながら、種族関係なく奴隷達を解放した英雄。後に元奴隷の者や彼を慕う魚人達を率いて“タイヨウの海賊団”を結成するタイの魚人。

 

 

タイヨウの海賊団船長“奴隷解放の英雄”フィッシャー・タイガー懸賞金2億3000万ベリー

 

 

 

「アーロンさん!無事で良かった!」

 

「…………」

 

 世界政府から追われる身となったタイガーを案じ、集まった数多の魚人達。魚人街ではタイガーに次ぐNo.2だったジンベエ。魚人にして人攫い業を営むマクロ一家。はっちゃん、チュウなどの多くのチンピラ達。そしてバギー海賊団の怒りを買い、囚われていたが解放されたアーロン。

 彼は無事を喜ぶ仲間達を無視し、タイガーに詰め寄った。

 

「久しぶりだな、タイの兄貴。感謝するぜ、あんたのおかげで自由になれた」

 

「アーロン……お前」

 

「だがな、人間まで助けたってのはどういう訳だ?奴らがおれ達魚人に何をしたか……知らねェとは言わせねェ!」

 

「……確かにお前の怒りもわかる。だがあの場にいたのは魚人を虐げていた人間じゃない。天竜人に飼われた哀れな奴隷だ。そこに種族の違いはない」

 

「はっ!どうせ奴らも一年も経てばあんたへの恩なんて忘れて魚人を差別するようになる!人間ってのはそういうもんだ!」

 

「アーロン!!」

 

「おれがこの五年でどういう仕打ちを受けたか……あんたにはわからねェよ」

 

「……!?……お前」

 

 アーロンはそれ以上何も言わず、船に乗り込んでいく。その言葉に何も言えず、タイガーは拳を握りしめる。おれもお前と同じだ、そう言えればどれだけ楽だろう。だがそれを口にすることは出来ない。彼の中に潜む鬼が、表に出てくることを恐れているから。

 

 

 

 奴隷解放の英雄、もう一人は海賊だった。

 

 あの伝説の海賊王“ゴールド・ロジャー”の元船員、“千両道化のバギー”が率いるバギー海賊団の副船長、“宵魔女ミズキ”だ。不殺を貫いたタイガーとは違い、マリージョアに常駐していた衛兵や役人、そして天竜人を多数殺害し彼らが所有していた財宝や悪魔の実を持ち出した凶悪犯。本来ならば恐れられる存在であろう。

 だが世間の反応はそれとは真逆だった。

 

「フィッシャー・タイガーと共に奴隷を解放したんだってよ!天竜人も沢山死んだ!」

 

「ざまァねェぜ!本当によくやってくれた!」

 

「天竜人をも恐れない“宵魔女”……それを従える“千両道化”はどれほどの男なんだ!」

 

 誰もが胸の内に抱いていた怒りを晴らしてくれたミズキに、大っぴらには言えないものの賞賛の声が集まっていた。そしてそれだけの事件を起こせば当然懸賞金額も上がり更新された手配書が配布される。だが事件が事件、世間の注目はこれまでより遥かに集まっていた。それにより、ある事件が起きる。

 

「“宵魔女ミズキ”……なんて…………可愛いんだ♡」

 

「これで男だなんて信じられねェ……いや、むしろそれが……!」

 

「本当に可愛いわ、家に貼っておきたいくらい」

 

 老若男女問わず虜にするミズキの可愛さ。それが世間に知れ渡り、手配書が欲しいと世界政府に問い合わせの電話が相次いだ。しかし世界政府や海軍にも面子がある。海賊の手配書をまるでアイドルのブロマイドのように配ることなど出来るはずがない。その結果ミズキの手配書は各地で需要が急上昇。場合によってはオークションで100万ベリーの価値がつくようになり、市場は一時大混乱に陥ったという。

 

 その当人は本拠地であるカライ・バリ島にて、巨大なサーカスのテントを模したバギー海賊団のアジトに連れ出した奴隷達を集めていた。

 

「……なァに……これ?」

 

「マリージョアに捕まってた元奴隷君達だよ!ざっと千人はいるかな!」

 

『うォォォォォ!!ありがとう!!キャプテン・バギー!!ミズキさん!!』

 

「おれ達は自由だァァァァァ!!」

 

「よかった……本当によかった……」

 

 雄叫びを上げ勇ましく吼える者、涙を流して安堵する者など反応は様々だが、共通しているのは誰もが奴隷という境遇から救ってくれたバギーやミズキに感謝や尊敬の念を抱いていることだ。

 

「軍艦を二隻奪ってタイガーと二手に別れたから全員は連れてこれなかったけど、マリージョアの奴隷の半分くらいはここにいるんじゃない?」

 

「新聞を読んだ時は目を疑ったが……まさか本当にマリージョアに乗り込んでいたとは、相変わらず命知らずだガネ……」

 

「おめェなァ……やるならやるって言いやがれ……新聞の一面を見た時はコーヒー吹いちまったぜ」

 

 ミズキの突発的な行動はいつものこと。だから事件それ自体に文句は言わないが、せめて一言伝えてからやって欲しいとバギーはため息混じりに言う。こんなことを突然やられると心臓に悪いのだ。

 

「さてと、それじゃあキャプテン・バギー。ここからは君の出番だね」

 

「お、おう…………ごほん」

 

 ミズキに促されるとバギーはステージに上がり、咳払いをしてマイクに叫んだ。

 

「よく来たなおめェら!!マリージョアでは色々あったみてェだが……それはもう過去のこと!!この島にいる限りおめェらの安全はこのおれ様、千両道化のバギー様が保証してやる!!」

 

「うォォォォォォォォォォ!!」

 

「キャプテン・バギー!!」

 

「バギー船長万歳!!」

 

 元奴隷の中でも海賊や荒くれ者だった者達、そして元からバギー海賊団に所属していた船員までもが歓声を上げバギーを称える。その熱量はもはやある種の宗教だ。しかし尊敬される理由も実績もある、彼らを心酔させるには十分だった。

 

「さて、おめェらには二つの選択肢がある!!バギー海賊団に入りおれ様と果てなき夢を見るか!!はたまたこの島の住民となり、恩恵を受けながら働くか!!どっちを選んでも構わねェ!!女子供もいることだしな……ただし!!おめェらには相応の見返りを与えると約束しよう!!どっちを選んだかは関係なしにな!!」

 

 それを聞いて元海賊の奴隷達はもちろん、男達は次々と名乗りを上げていった。そもそも奴隷制度は認められないがそこから逃げ出すのは罪になる歪んだ世界だ、どうせ真っ当に生きられないのならバギーの元で海賊として活動した方がずっと安全だし利益になる。

 対して女子供は迷う者が多かった。非力な者が海賊になってもすぐに死んでしまうのは子供にでもわかることだ。だがそれを見兼ねてか、今度はミズキがステージに上がった。

 

「迷ってる人もいるみたいだね、でも大丈夫だよ!うちは衣食住全部ついてるし成果によってはボーナスも出ちゃう。それに武器も完全支給、もちろんボクの魔法で強化してあるから戦ったことのない人でも安心!怪我しても最新の医療技術があるしいざとなったらボクが回復魔法使ってあげる!」

 

 バギー海賊団に入ることのメリットをアピールする。それを聞いて何人かは決心したようだが、やはりまだ決められない者が多いようだ。

 そんな中、ある男が一人ステージに上がってきた。緑色の髪色をした長身の男性。彼はバギーとミズキの前で膝をつき、敬意を込めて頭を下げる。

 

「……あはは♪」

 

「キャプテン・バギー、ミズキさん。この度は命を救っていたたき、心より感謝致します」

 

「ぎゃははは!!構わねェさ!!おめェも堅苦しくしねェで顔を上げろ!!」

 

 助けたのはボクなんだけど、とミズキが不満そうに顔を膨らませるがバギーは気にせず彼に顔を上げるように言った。

 

「ありがとうございます……お二人に受けた恩義に報いることが出来るよう、誠心誠意働く所存です」

 

「そんなこといいって♪それより、なにか野望でもあるんじゃない?例えば……天竜人絡みでさ♪」

 

「……!!?」

 

 自分の胸の内を言い当てられ、男は驚いたような顔をする。しかしすぐにそれを笑みに変え、ミズキの言葉を肯定した。

 

「ははは……さすがです……全てお見通しという訳ですか。……そうです……私はあなた方の元で力をつけ、そしていつの日かあの天竜人をも支配してみせる!」

 

 拳を握りしめ、歯を食いしばる。思い出すのは奴隷だった日々、そして最愛の女性を救えなかった己の無力さ。金さえあれば……そう思わなかった日はない。ゆえにもう同じ過ちは繰り返さない。ここで力をつけ、富を得て、今度は自らが支配する側に立ってみせるのだと。

 

「なるほど、ハデに復讐って訳だ」

 

「あはは♪いいね……君、名前は?」

 

「はい……ギルド・テゾーロと申します」

 

 ミズキに名を問われた男は不敵に笑い、そう名乗った。心の中に眠る鬼を呼び起こし、必ず復讐を達成すると誓って。

 

「……復讐」

 

 そしてその一連の流れを見ていた少女もまた、心の中に潜む鬼を呼び起こそうとしていた。何故か着ていた服の一部をちぎり、雑巾代わりにして掃除をしていた少女。

 

「お、おい!お嬢ちゃん、ここはマリージョアじゃないんだ!もうそんなことしなくても……」

 

「ほっといてやれ……トラウマってのはそう簡単に忘れられるものでもねェさ」

 

 そう、少女の行動はトラウマから来るもの。手を休めたら殺される、そのトラウマが心を支配していた。だが本心は別のところにある。天竜人が憎い、復讐したい。そんな思いが少しずつ、少女の心を支配し始めていた。

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 半年後、新世界カライ・バリ島。

 

 その島を支配するのは元ロジャー海賊団の船員、“千両道化のバギー”が船長を務めるバギー海賊団。そのアジトである巨大なサーカスのテントを模した建物の中では、宴会が行われていた。

 並べられた豪華な料理の数々は、全てこの島で採れた肉や魚、野菜から作られている。ステージ上ではジャグリングやイリュージョン、アクロバットなど様々なパフォーマンスが行われている。そして今、最も注目を集め観客を沸かせている男は一輪車に乗り、アクロバットを披露していた。

 

「うォォォォォカバジィィ!!」

 

「カバジ様ァァァ!!」

 

 左側だけ長い髪型にマフラーが特徴的な男だ。五年前にバギー海賊団に加入し、最近では剣の腕も上達しパフォーマンスも板に付いてきたワノ国出身の剣士。

 

 

バギー海賊団戦闘員“大道曲芸(だいどうきょくげい)のカバジ”懸賞金8400万ベリー

 

 

「ウサフフフ……随分と張り切ってたね。面白かったよ」

 

「姉さん!!いえ、自分などまだまだです!」

 

 カバジと入れ替わりでステージに現れた美女。着物風のドレスを身に纏い、マイクを握り観客にウィンクでサービスする。

 

「ギオンさんだ!!」

 

「相変わらずお美しい……」

 

 見事な歌唱力で演歌を披露するその女性は、元海兵という異色の経歴を持つ。始めは渋々仲間入りしたという雰囲気だったが、海軍に所属していた際に溜まっていた上層部に対するストレス。それを思うままに、自由に生きることの出来るバギー海賊団で発散し今では随分と馴染んだ、そんな経緯を持つ幹部の一人だ。

 

 

バギー海賊団幹部“桃兎ギオン”懸賞金2億1000万ベリー

 

 

 アンコール含め四曲を熱唱した彼女はバックステージへと戻っていく。その途中でバックコーラスをしていた緑色の髪の男が話しかけてくる。

 

「いやァ、相変わらず見事な歌だ。私のバックコーラスなどなくてもよろしいのでは?」

 

「ウサフフフ……そんなことないさ、あんたの歌も中々だよ。それより、最近頑張ってるみたいじゃないか、テゾーロ」

 

「そう言っていただけると光栄です。しかし私の働きなどまだまだ、あの方達から受けた恩には到底足りない」

 

 懸賞金はまだ懸けられていないが最近になって海賊団内でも頭角を現してきたのが彼、元奴隷のギルド・テゾーロだ。戦闘の面でもちろん実力をつけてきているが、このように宴の席で歌を披露することも少なくない。

 彼のように元奴隷でミズキに救出され、その恩からバギー海賊団に入った者は多い。ミズキが連れてきた元奴隷千人余りのうち、八割はバギー海賊団へと加入した。残りの二割は街へと移り住みそれぞれ与えられた仕事をこなしているのだ。

 

「船員も順調に増え、街の発展も目を見張るものがある。ここまで上手くいくと怖いくらいだガネ。そういえば昨日海賊の襲撃があったそうだが大丈夫なのカネ?」

 

「ああ、おれとアップルで片付けた。ってもほとんどこいつ一人でやっちまったがな」

 

「ええ!ちょっと物足りない相手だったけど楽しかったわ!」

 

 ギオン達がステージの裏に戻ると、海賊団の幹部が勢揃いし食事を楽しんでいた。まずは数字の3を模した髪型が特徴的な男。島の政治や経済のことを任されている頭脳派、ギャルディーノだ。

 

 

バギー海賊団幹部“闇金ギャルディーノ”懸賞金1億3000万ベリー

 

 

「それならばいいが……海賊による暴動は早めに鎮圧しなければ我々の信用に関わるガネ」

 

「任せておきなさい!私がいる限りこの島は安全よ!だからいくらでも攻めてくるといいわ!」

 

「……おめェは戦いてェだけだろう」

 

 

バギー海賊団幹部“森の中のアップル”懸賞金1億9500万ベリー

 

 

バギー海賊団幹部“箱入りのガイモン”懸賞金1億1500万ベリー

 

 

 クマのような耳が特徴の半ミンク、活発な印象を受けるやや童顔な美女がアップル。そして彼女にツッコミを入れる箱に入った男がガイモン。二人ともバギー海賊団がこのカライ・バリ島を拠点にする前から海賊団に所属している古参の船員だ。

 

「そういえばヤマトの奴はどうした?」

 

「外でミズキやルナリアと遊んでるわよ。私も混ざってこようかしら!」

 

「混ざらんでいいガネ!お前達には限度というものを弁えて欲しいものだ、この前も壊れた街の修復に私やガイモンがどれだけ手を尽くしたことか……」

 

「……?よくわからないけど楽しそうね!」

 

「ちっとも楽しくないガネ!!早く連れ戻すガネ!!」

 

「は〜い」

 

 少ししょんぼりした様子でアップルはミズキとヤマトを呼びに行く。だがギャルディーノの怒りにも正当な理由がある。ミズキにヤマト、アップル。最近では新入りのルナリアも交えてよく四人で特訓をしているのだが、盛り上がりすぎて周りが見えなくなり街を破壊してしまうことがあるのだ。

 といってもこの街には優秀な建築士が多くおり、ギャルディーノやガイモンの尽力もありすぐに復旧するので街の人々はそこまで気にしていない。むしろ女の子四人組(一人は男で一人は自称男だが)による微笑ましい遊びだと和やかに見守っていた──破壊された家の住民以外は。

 

「ふゥ……今日も強くなれた!これで僕はまた一歩おでんに近づいたってことだ!」

 

 金棒を持って入ってきたのはヤマト。白髪に2本の角が特徴の少女だ。

 

 

バギー海賊団戦闘員“鬼姫ヤマト”懸賞金3億5000万ベリー

 

 

 弱冠十三歳ながら懸賞金は三億超えの大物賞金首。実力もあるがそれ以上に大きいのは彼女が四皇“百獣のカイドウ”の実の娘だからだろう。本人はその境遇に嫌気がさしバギー海賊団に加入したのだが、やはり血縁までは絶てないのだ。

 

「ヤマト、ミズキとルナリアはどうしたんだい?」

 

「もうすぐ来ると思うけど……」

 

 ギオンがミズキとルナリアはどうしたのかと問う。そしてちょうどそのタイミングで二人の少女が現れた。

 

「ここにいるよ〜〜!」

 

「……」

 

 

バギー海賊団戦闘員“憎炎(ぞうえん)のルナリア”懸賞金4億2900万ベリー

 

 

バギー海賊団副船長“宵魔女ミズキ”懸賞金12億7000万ベリー

 

 

 手を振りながら現れた少女のような見た目をした少年、ミズキ。そしてその後ろを歩いてくる褐色肌に白髪、黒い羽根を持ち背中に炎を燃やしている少女、ルナリアだ。

 

「みんな揃ってるね、後はバギーだけかな!」

 

「ああ、だが何故態々あたし達を集めたんだい?」

 

「宴会とはいえ全員を集めるのは珍しいガネ」

 

 ギオンとギャルディーノはそれぞれ疑問を口にする。宴会の席で結果的に集まることはあるものの、ミズキが招集をかけるのは珍しい。

 

「まァその辺は……ルナリアよろしく」

 

「はい」

 

 ミズキがルナリアに任せると言うと、彼女は頷くとその場にいる者達を一瞥して招集の理由を語りだした。

 

「先日私とミズキお兄様で攻め落とした海賊島ハチノスに、王下七武海“鷹の目のミホーク”が滞在しているようです。それだけならいいのですが、どうやら赤髪海賊団もハチノスに向かっているそうで……」

 

「鷹の目に赤髪……彼らは確かライバル関係だったはずだガネ」

 

「ええ、彼らがハチノスで戦いを始めれば被害は甚大です。ですので私達もハチノスに向かい彼らを迎え撃ちます」

 

「せっかく白ひげ海賊団から奪った重要な拠点だからね!荒らされたらちょっと困っちゃうから追い返しちゃおうってこと!」

 

 それを聞いて一同は納得する。ハチノスは白ひげ海賊団から奪った重要な島だ。今のところ白ひげ側から仕掛けてくることはないが、常に警戒は怠っていない。そこに“鷹の目”や“赤髪”まで加われば混乱は避けられない。ゆえに白ひげに横槍を入れられる前に彼らを潰そうということだ。

 

「いつも通りガイモンとギャルディーノはお留守番で、他は全員参加ね!」

 

「“鷹の目”に“赤髪”……一筋縄ではいかなそうだね」

 

「どんな強い人がいるのかしら!楽しみね、おやつはいくらまでかしら!」

 

「気楽だな!遠足に行くんじゃないんだぞ!」

 

「赤髪のシャンクス……おでんと同じロジャー海賊団の元船員か」

 

 ミズキが参加メンバーに声をかけると、ギオンは冷静に敵戦力を考察し始めアップルはワクワクした様子で喜ぶ。そんな彼女にカバジがツッコミ、ヤマトは憧れのおでんと同じ船に乗っていたシャンクスに興味津々だ。

 

「よォてめェら、ハデにやってるか?」

 

 会話の最中に入室してきたその男に全員の視線が集まる。伝説のロジャー海賊団の元船員。一説によれば偉大なる航路最果ての島、ラフテルを見たとされる世界の全てを知る男。そして今はこのバギー海賊団の船長だ。

 

 

バギー海賊団船長“千両道化のバギー”懸賞金15億1500万ベリー

 

 

「おめェらよく集まったな!今日は無礼講だ!ハデに騒げ!」

 

「相変わらずうるさい男ですね。ミズキお兄様に近寄らないでもらえますか?」

 

「辛辣だな!?無礼講とは言ったけどよ!?」

 

「ルナリア、これでも一応バギーは船長だからね。敬意は払ってよ」

 

「はい、すみませんでした。バギー船長」

 

「ミズキに対してだけは素直だよなお前……」

 

 早々にバギーに辛辣な言葉を投げるルナリア。そんな彼女にバギーがツッコミを入れるがルナリアは何処吹く風だ。それを見てミズキがルナリアを咎めると、彼女は素直に返事をしてバギーに謝罪した。

 

「まァいい……とにかくだ、聞いたと思うが鷹の目とかいう野郎とシャンクスの馬鹿がやり合う前に止めようってこった。宴が終わったらすぐに準備だ、シャンクスの奴もそうすぐにドンパチやるようなことはねェと思うが……」

 

 幼い頃から共に過ごしてきたバギーにはわかる。シャンクスはそこまで馬鹿ではない、鷹の目と出会って早々に喧嘩を始めるようなことはないと。そう思っていたのだが──

 

「大変だキャプテン・バギー!!ハチノスで鷹の目と赤髪が大暴れを!!」

 

「はァァァァ〜〜!!?なんだってそんなすぐにやり合ってんだ!!?てめェら、宴会は中止だ!!馬鹿共を止めに行くぞ!!」

 

 ──彼の予想は大ハズレ。鷹の目と赤髪の抗争は既に始まってしまったようだ。

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 

 ──新世界のとある海上。

 

「親父、ハチノスで鷹の目と赤髪が……!」

 

「千両道化も船を出したみてェだ!」

 

「ああさっき聞いた。ハナタレ小僧共が……うちの島を乗っ取った挙句好き勝手やりやがって」

 

 船の上で報告を聞いた世界最強の海賊はため息をついて、息子と呼ぶ船員達の中でも幹部である隊長のみを集めた。

 

「聞いた通りだ、最近は海軍の動きも活発だから放置していたが……ボチボチ動くとするか」

 

「……!?……それじゃあ」

 

「ああ……船を出すぞ!!小僧共に新世界の洗礼を与えてやれ!!」

 

 かつてロジャーと渡り合った伝説の大海賊が動き始めた

 

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