ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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中々ネタが進まなくてすみません。
それではよろしくお願いします。


10話

sideツキノワ

 

「全くこんな所で何やってんだよあいつは」

 

昨日の観光から一夜明け、俺はある山を登っていた。

目的は昨日帰ってこなかったキリトを探すためである。フレンドリストから生存確認と場所確認を行った俺は、反応を元にこの山に向かった。

そして登りだして20分ほどしたところでやっと山頂が見えてきたのだ。

 

「やれやれ…やっと着いたか…って何してんだあいつ」

 

山頂に着いてすぐにキリトは見つかったが当の本人は馬鹿でかい岩を素手で割ろうとしていた。

訳が分からんがとりあえず呼ぶことにした。

 

「おい!キリト!何やってんだ連絡もせずに!心配したんだぞ!」

 

「っ!?ツキノワ!?どうしてここに!?てかこっち見んな!」

 

気づかなかったのだろうすごく驚いてこっちを見たキリトの顔には髭が生えていた。

 

「…ブハッ!!何それ!?キリえもんか!!」

 

思はず大爆笑してしまった。

 

「だから見るなって言ったんだよ!」

 

顔を真っ赤にしながら怒るキリトに迫力はなく、むしろシュールさから来る面白さに更に笑えてくる俺。

その時

 

「…試練を受けに来た者か?」

 

突然奥に建ってた道場から仙人みたいなじいさんが出てきた。

 

「試練?何の試練なんだ?」

 

とキリトに聞き返すと

 

「…エクストラスキル【体術】のクエストだよ」

 

「体術!?そんなスキルがあるのか!?」

 

この剣の世界にまさか体術なんてスキルがあるとは思わなかった。

 

「そうだ。その内容がこの岩を割ることなんだ」

 

「へぇ…面白そうだな、いいぜ!受ける!」

 

「おい!ツキノワ!」

 

慌ててため止めようとするキリトを無視して話を進める。

 

「…修行は厳しいぞ?」

 

「上等、やってやる」

 

「…そうか…それでは、修行者の証を付けよう」

 

「…証?」

 

そう言いながら筆と墨を取り出したじいさんは目にも止まらない速さで俺の顔に何かを書いた。

 

「それでは我が弟子よ、それは修行が終わるまで取れんぞ。修行が終わるまでこの岩山から出ることは一切禁ずる。試練はこの大岩を割ることじゃ、健闘を祈る」

 

そう言って建物の奥の方へと消えていった。

 

「キリえもんの正体はこれか」

 

そういいながらアスナ先輩達へ攻略に行けない事と、命に別状は無いことを伝えた。

 

「そういう事だ。こんな顔、人に見せられたいだろ?」

 

「確かに…早く終わらせよう!」

 

そう言って早速この岩を割り始めた。

何回か叩き硬さを確かめてから、思いっきり殴った。

ゴン!という鈍い音がなり手応えも確かなものが返ってくる。

 

「…今のどうやったんだ?」

 

驚きながら聞いてくるキリトに中心、核の捉え方のコツを教える。

割と直ぐに感覚を掴んだキリトはそのまま打ち続ける。俺も負けじと続けた結果、俺たちは同じ日、俺は2日目で終わらせ、キリトから見れば3日目で終わらせた。

 

outside

 

ツキノワ達が下山した次の日、フィールドボスの攻略戦が行われる事になった。

少し遅れて集合した彼らの目に飛び込んできたのは、キバオウとリンドの言い争っている状況だった。

 

「何あれ」

 

「ディアベルさんの後継者争い兼フィールドボス戦の指揮権争いよ」

 

呆れたように呟いたツキノワにこちらも呆れたようにアスナが答えた。

 

「リンド率いる【ドラゴン・ナイツ・ブリゲード】とキバオウ率いる【アインクラッド解放隊】が揉めてるのよ」

 

そこにこれまた呆れた様子のミトが更に付け加える。

 

「へ〜俺らが山篭りしてる間に随分変わったな」

 

キリトが何気なくそう呟く。

その途端、ミトの目の色が変わる。

 

「ツキノワ、どこかに行くならちゃんと連絡しなさいと言ってあるわよね?」

 

「いや、ガキじゃないんだしいいだろ。ちゃんと問題なしの連絡は送ってたし、フレンドリストから生存確認と場所確認は出来るだろ?」

 

「そういう問題じゃないでしょ!」

 

「へーへー」

 

「ツキノワ!」

 

今度は姉弟喧嘩を始めるミトとツキノワ。

 

「おいおい」

 

「2人とも!」

 

慌てて止めるキリトとアスナ。

その時

 

「全員注目!」

 

リンドの声が届き全員がそっちを見た。

どうやら今回はリンドが仕切るらしい。

ふと見慣れない集団に気づくツキノワ。

騎士の様な格好をした人達だ。

 

「ミト、あいつらは?」

 

「あいつらは急に出てきた人達よ。レベルは低いけど装備がいいからとりあえず参加させるらしいのよ」

 

「ふーん、名前は?」

 

「えっとギルド名は【レジェンドブレイズ】。リーダーの【オルランド】に【クフーリン】、【ベオウルフ】「ちょっと待って!」何よ?ツボったの?」

 

突然止められて何かと思えば肩を震わせて笑いを堪えるツキノワ。

 

「いや、ごめん…クッ…センスが…面白…ハハ!」

 

「そこはちゃんと噛み殺しなさい」

 

そんな弟を呆れた目で見るミト。

そんな事をしながらも話は進み、今回も取り巻きを狩ることになった。

 

「また取り巻き?」

 

復活したツキノワが聞くと

 

「ウインドフルーレの強化に取り巻きの素材が必要なの」

 

アスナが答える。今回は利益を重視した結果の担当らしい。

 

「分かってると思うけどハチ型モンスターだから飛ぶし毒針も使う。全員気をつけろよ」

 

キリトが再確認し、全員が頷いた所で

 

「それでは!作戦開始!」

 

2層フィールドボス戦が始まった。

 

 

「28!」

 

アスナが突然カウントしだした。どうやら数えてたらしい。

 

「え!?数えてたのか!?」

 

驚くキリトを他所に今度はミトが数をカウントした。

 

「私も!28!」

 

「30」

 

「「「なに!?」」」

 

ちゃっかり一番倒してるツキノワにみんなが驚く。

 

「!みんな!競争しましょ!」

 

ミトがムキになって提案する。

 

「はぁ?ミト何言ってるんだよ!?」

 

キリトが止めようとするもそれでもミトは止められず

 

「男子VS女子よ!負けた方が【トレンブル・ショートケーキ】を奢りよ!」

 

「「トレンブル・ショートケーキ?」」

 

「トレンブル・ショートケーキ!?」

 

首を傾げるツキノワとアスナに対し本気で焦った声で返すキリト。

そんなにヤバいのか?とツキノワが疑問に思ったところで 、

 

「よーいドン!」

 

一方的にミトが宣言をした。

鎌で一気に薙ぎ払うミトと正確無比なレイピア捌きでどんどん倒す数を増やしていくアスナを見て、男二人は焦る。

 

「なんてコンビだよ…」

 

「まさに広域爆撃と精密射撃だなあれ」

 

奮闘ぶりに引き攣る2人。

だがその光景が2人の男の闘争心に火をつけた。

 

「やるぞツキノワ」

 

「ああ、あっちがああするならこっちは…」

 

そう言って一気に踏み込むツキノワ。

ソードスキルである程度ダメージを与えてから、すかさず体術スキル【閃打】を打ち込んで爆散させる。

ソードスキルで生じる技後硬直を体術スキルのモーションで打ち消したのだ。

一方的のキリト同じようにモンスターの攻撃を躱し、ソードスキルを打ち込んだ後閃打を打ち込んで倒す。

 

「「こっちは連続射撃だ!」」

 

そう宣言して一気に速度を上げて狩っていく。

 

「あの2人、山篭りしたと思ったらあんなものを!」

 

「負けられないわよアスナ!」

 

「ええ!行くわよミト!」

 

一方の女性陣も更に効率をあげる。

アスナがモンスターを一箇所に集めさせた所で

 

「スイッチ!」

 

「ハァァ!!」

 

ミトがまとめて薙ぎ払う。

その隙を狙うモンスターを

 

「セァァァ!!」

 

アスナが一撃で弱点を貫き倒す。

そうして団体戦は膠着状態にもつれ込んだ。

その時キリトがある事に気づいた。

 

「なんだあいつ?」

 

キリトが見つけたのはボスの後ろを飛ぶ取り巻きだった。

ツキノワも疑問に思っていた時、突然取り巻きがフィールドボスの尻を針で刺したのだ。

 

「ヴモォォォォ!!!」

 

突然大暴れするボス。

当然も本隊は巻き込まれ、

 

「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」

 

一気に包囲網を突破しこちら側に突撃してくる。

 

「げ!?こっち来る!?」

 

「ミト!アスナ!前足を攻撃してくれ!!」

 

「「了解!」」

 

すぐに指示を出すキリトに従う3人。

 

「ツキノワ!あれやるぞ!」

 

「あれか!OK、やるぞ!」

 

何かを打ち合わせながら走り出す2人。

先行したミトとアスナがボスと接敵する。

 

「アスナ、関節を狙って!同時に行くわよ!」

 

「分かったわ!いっせーのーで!」

 

「「セァァァ!!」」

 

同時に関節を切られたボスはその速度のまま倒れ込む。

 

「「スイッチ!」」

 

そう言って避ける2人の横を影が2つ走り抜ける。

 

「やるぞキリト!」

 

「3カウント!3,2,1」

 

「「ハァァァァ!!」」

 

キリトとツキノワが一気に飛ぶ。そのまま空中で突進系ソードスキルを発動する。ソードスキルのアシストモーションを利用して空中を駆け登り、弱点を貫きボスを撃破する。

 

「「はぁ!?空中でソードスキル!!」」

 

その光景に驚くミトとアスナ。

そんな2人を無視しながら着地したツキノワが振り向きながら走り出す。

その理由にすぐ気づいたミトも一気に走り出し

 

「「ハァァ!!」」

 

最後の取り巻きに同時に攻撃を仕掛ける。

その結果は

 

「よし!私の勝ち!」

 

「くっそぉ!負けた!」

 

武器のリーチと位置関係的にミトの攻撃が先に当たり、取り巻きを倒したのだ。

結果は一体差で女子チームの勝ちになった。

 

「じゃあ、罰ゲームよろしくね!」

 

ニコニコと笑いながら言うアスナに

 

「「ハァァ…」」

 

深いため息で返事するキリトとツキノワだった。

 

sideアスナ

 

私達は前にも来たレストランに来ている。

隣に座るミトも楽しみなのか笑顔を浮かべていた。

 

「とりあえず注文しましょうか。ディナーはこっちが出すわ」

 

ミトがそう言い出し、ディナー分は私たちが出す事になった。

 

「じゃあ、頼むか…トレンブル・ショートケーキ2つ」

 

と言ってキリト君が払う。

 

「金送るわ。えっと…は?7000コル!!馬鹿なのかこの金額設定!!」

 

ツキノワ君が驚きの声をあげる。

7000!!そんな高いの!?

その事に驚いてるとため息をつきながら送金するツキノワ君。

 

「あ、キリト。渡す暇無かったからこれも今あげるわ。この間のおみやげ」

 

そう言って何かをあげる。

それはこの間私達があげたやつの色違いだった。

 

「お、サンキュー!これはチェーンリング?」

 

「そ、これの色違い。これは二人から貰ったやつでSTRが上がるんだけど、そっちはVITが上がるんだよ」

 

「そうなのか!ありがとう、大事にするよ!」

 

「へー!お揃いになるなんて偶然ね!」

 

ミトはそう言うが、確かにツキノワ君のは最終的には私が選んだが、ある程度絞ったのはミトだ。

まさかと思いミトを見ると目が合い、そのままミトはウインクしながら口元に指を当てる。

その仕草で私は悟った。

きっとミトはツキノワ君がキリト君に選んだものを知ってたのだろう。

その上で私に選ばれるように仕組んだのだ。

流石は姉と言うべきか、ツキノワ君の事は何でもお見通しなのだろう、そう思うとまた胸が少しモヤッとする。

 

「アスナ先輩?どうしました?」

 

向かいの席に座るツキノワ君が心配そうに聞いてくるので大丈夫だと返すと

 

「おまたせしました」

 

とNPCのウエイトレスがケーキを持ってくる。

 

「来た…来てしまった…」

 

「来た!来たわよ!」

 

キリト君とミトが対称的な反応をしている。

そのケーキが目の前に置かれその全容が見えた。

大きさは半径約25cm、厚さは約10cm、上にはクリームが乗っており高さはもう約40cmを超えるものだった。

結構なクリーム量、というよりほとんどがクリームだった。

 

「「うわ〜!大きい(デカい)!」」

 

私とツキノワ君は全く同じ反応をしてしまう。

でも凄く美味しそうだ。

ミトと2人で手を合わせ

 

「「いただきます!」」

 

切ろうとした時向かいから凄く羨ましそうな視線を感じた。

そういえばツキノワ君って甘いもの大好きだったよね。そう思ってると

 

「ツキノワ、はしたないからそんな目でアスナのを見ないの」

 

「だって美味しそうだし…」

 

「はぁ、仕方ないわね。私のあげるからお皿取りなさい」

 

「っ!ありがとう!」

 

嬉しそうにお皿を取るツキノワ君とそれを優しい目で見るミト。その時またモヤっとしてしまい

 

「ミト。私のやつあげるからいいよ?」

 

ついそんな事を言ってしまった。

驚く2人。

 

「そんな!?アスナ!悪いわよ!」

 

「いいからいいから!はい、ツキノワ君!」

 

「ありがとうございます!」

 

嬉しそうに受け取るツキノワ君を見てると胸が温かくなってくる。

隣ではミトが仕方なさそうにキリト君に分けており4人でケーキをシェアして堪能した。

 

outside

 

「「「「美味しかった…」」」」

 

すっかりケーキを堪能した4人。

そんな4人は街を歩いていた。

 

「ベータの時より美味しかったかも…」

 

「ああ、しかもこんなバフも無かったしな」

 

そう言うキリトには四葉のクローバーマークが付いていた。

これは幸運判定ボーナスであり4人ともに付いていた。彼らはこのままアスナの武器を強化することにしたのだ。

 

「どこでやります?強化」

 

ツキノワがアスナにそう聞く。

 

「そうね、折角なら鍛冶屋さんに行きましょうか」

 

「鍛冶屋?もう出てきたのか」

 

そう、この2層に来て直ぐにプレイヤーの鍛冶屋が出てきたのだ。

その噂を聞いていたアスナはそこでやろうとい言い出したのだ。

 

「じゃあ、探しますか。その鍛冶屋」

 

そう言って街を歩く事数分後、無事に目的の鍛冶屋を見つけたので早速強化する事にした。

 

「いらっしゃいませ、メンテですか?買取ですか?」

 

「強化でお願いします。種類は正確さと丈夫さで」

 

「…分かりました。強化素材は?」

 

「これです」

 

「…それでは始めます」

 

必要事項を終えて、強化が始まる。

カンッカンッと音が鳴り出すとアスナはミトとツキノワの手を握り出す。

 

「「アスナ(先輩)?」」

 

突然の事に驚くと

 

「…2人の幸運も分けて」

 

と言うので2人は笑って

 

「「了解」」

 

優しく握り返した。

 

「じゃあ、俺も」

 

と言ってキリトがツキノワと肩を組む。

 

「なぜ俺と組むんだよ?そこはアスナ先輩だろ」

 

「俺がアスナに触るとハラスメ『バギーーーーーン!!』ん?」

 

キリトとツキノワが寸劇始めるまさにそのタイミングで何かが砕ける音がした。

全員がそっちを見ると

 

「「「「…え?」」」」

 

ウインドフルーレが粉々に砕け散っていた。




という訳で2層攻略開始です。
3層ぐらいまではやりたいなと思っております。 それではありがとうございました。

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