ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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すみません。前に後2話くらいって言ったけど、まだ続きます。それではよろしくお願いします。


12話

sideツキノワ

 

「さて、話を聞かせてもらうか」

 

俺達いつもの4人+アルゴの5人はネズハへの事情聴取を始めた。

 

「…僕達レジェンドブレイズは他のゲームで出来上がったチームなんです。ランキングでは常に上位にくい込んでいた実力派ギルドなんです。そんな時です。SAOの話を聞いたのは」

 

ポツポツと語り出すネズハだがキリトはそこには触れず、もっと核心的な部分に触れてきた。

 

「何故、こんな事をした。何故こんな犯罪に手を染めた!?」

 

「ちょっとキリト!落ち着きなさい!」

 

ミトが慌てて制止しようとするもそれでもキリトは止まらない。

 

「落ち着いてなんかいられるか!もし犯罪に手を染めても何とも思わない連中が、トップギルドになってみろ!誰も手を出せなくなるぞ!そうなれば何もかもがこいつらの「「キリト(君)!」」ってなんだよ!?」

 

キリトの言葉を強引に止めたのは俺とアスナ先輩だった。

 

「キリト、多分それは違うと思うぞ」

 

「はぁ?どういう意味だよ!?」

 

「あいつらの装備を見て思い出したんだけど、前にミトから聞いたんだ。あいつらはレベルは低いけど装備がいいって。で、実際ボス戦の戦ってる所を見たけど連携もいいんだ。つまりあいつらは、装備と連携に対してレベルが追いついてないんだ」

 

「それと、ネズハさんこれ」

 

先輩がテーブルに見慣れないナイフを突き刺した。

 

「アスナ、それは…あの時の?」

 

「そう、ミト2人でレベリングしてた時に見つけたやつ…。ネズハさんこれ、取ってもらえない?」

 

先輩はよく分からない事を言い出した。

ネズハは恐る恐るナイスを取ろうとして…その手は空振ってしまった。

 

「「「「な!?」」」」

 

先輩以外全員が驚くなか、先輩だけは分かっていたのか冷静だった。

 

「やっぱりあなた…目が…」

 

「…見えない訳ではないんです…。ただ…奥行きが…掴めなくて…」

 

それって…まさか…

 

「っ!FNCカ!?」

 

アルゴの声に頷くネズハ。

先輩はその言葉が分からなかったのか俺に意味を聞いてきた。

 

「…FNCって何?」

 

「【Fulldive・Non・Connecting】の頭文字の略です。意味はフルダイブ不適合。フルダイブする際、五感のどこかに何らかの障害が発生してしまうんです。最悪の場合、フルダイブそのものが出来なくなります。彼の場合、恐らく目の異常で奥行きが掴めないって所でしょうね」

 

2人で話しているとちょうど同じ所を話していたネズハ達が先の話の続きを話していた。

 

「最初は僕も戦闘職を目指したんです。そのために投擲スキルを鍛えたんですけど…」

 

「あれはあくまで、戦闘中のサポート的な役目のスキルだから、メインには向かないのよね。それこそ戦闘中のボスの目玉にナイフを投げつけるなんて、ツキノワ以外には出来ないわ」

 

「あれは俺も驚いた…」

 

「…あれってそんなに難しいんだ」

 

「さ、流石弓道部だね…」

 

「お前たチ、話が脱線してるゾ」

 

話が脱線しだした俺たちをアルゴが引き止める。

 

「…凄いですねツキノワさんは。ミトさんの言う通り、とても実戦向けのスキルじゃなくて、2週間で諦めてしまったんです。その時には既に攻略に乗り遅れていて、かなり険悪な空気だったんです。そんな時です。あいつが声をかけてきたのは」

 

「…あいつ?」

 

思わず俺は聞き返す。

ここで第三者が出てくるとは思ってなかったのだ。

他の4人も驚いたのか一気に場が引き締まる。

 

「どんな奴だ?」

 

「黒い雨合羽みたいなのを着ていて、顔は見えませんでした。いや、刺青みたいなのがほんの少し見えた様な…後凄く綺麗な笑顔で笑ってました。まるで映画みたいな…」

 

黒い雨合羽に顔には刺青有りかも、綺麗な笑顔か…特徴をしっかり記憶しておき、先を促した。

 

「話の続きを」

 

「『そいつが戦闘スキル持ちの鍛冶屋になるなら、すげぇクールな稼ぎ方があるぜ?』そう言ってこのやり方を教えてくれたんです。その後何も見返りを求めずに、ただ『GOOD LUCK』って言い残して消えたんです」

 

「…それで言われるがままに手を染めたのか」

 

「最初はみんな否定的でした。でもあいつと話してからかどんどんみんなのり気になりだして、誰かが言ったんです。『ここはネットゲームの中だ。やっては行けない事は始めから出来ないようになってるんだ』って。僕自身もみんなのお荷物になるくらいならって思えてきて…」

 

「ふざけないで!!そんなの詭弁よ!!」

 

「そうよ!その理屈だと圏外で人を…っ!!」

 

アスナ先輩の言葉が詰まる。

その先の言葉を口にしたくないのだろう。

 

「…初めて教えてもらった通りに詐取をした時…すり替えられたエンド品が砕けた時のお客さんの顔を見てようやく気づきました…。こんなこと、たとえシステム的に出来ても絶対にしてはいけない事だって…そこで剣を返して、何もかも打ち明ければよかったんですが…そんな勇気もなくて、せめてこの一回限りで、そう思いながらみんなの所に戻ったんです。そうしたら、みんなが僕の騙し取った剣を見て凄く…褒めて…くれて…僕は、僕は…!」

 

頭を強く打ち付けるも圏内なのでHPは減らない。

それを繰り返していると

 

「僕にはもうこれしか…償う方法は無い…!」

 

ネズハがそう言って窓に向かって走り出した。

俺たちは慌てて追いかけて、比較的AGI値の高いアスナ先輩と俺が、ギリギリで追いつき何とか足を掴んだ。

 

「ふっざけんな…お前はそのまま、そんなクズで終わる気か!!死んで逃げようなんて甘いんだよ!!」

 

「あなたも勇者になりたいんでしょ、ナーザ!!だったらこんな所で、こんな風に死ぬんじゃなくて」

 

「「戦って、戦場で死になさい(死ね)ナーザ!!!」」

 

そう言って2人がかりで全力で中にぶん投げる俺たち。

中のテーブルに当たったのか鈍い音が聞こえたが気にしない事にした。

肩で息をしながら座り込んでいると、ミトが俺達の肩を叩いて労ってくれた。

 

「お疲れ様2人とも。よくやったわ」

 

「…ミト達がやってよ。私達よりSTR値は高いんだから」

 

「だって間に合わなかったんだもの」

 

「脳筋め」

 

そんな風に悪態ついているとキリトはある物を取り出した。

 

「ネズハ、今あんたのスキルはなんだ」

 

「【投擲スキル】、【所持容量拡張】、【片手武器作成スキル】です…」

 

「そうか…なら勇者ナーザよ。もしお前に使える武器があると言ったら、【片手武器作成スキル】…鍛冶スキルを捨てる覚悟はあるか」

 

outside

 

事情聴取から3日後、ツキノワとキリトは2層フロアボス戦に向かっていた。

 

「あいつら、ムキになりやがって…」

 

「まあまあ、キリト落ち着けって」

 

勝手な行動でムスッとするキリトとそれを宥めるツキノワの元に1人の人物が近づいてきた。

 

「おう、お嬢たちはいないのか?」

 

「エギルさんどうも。まあちょっと事情がありまして…」

 

1層のボス戦の時に手伝ってくれたエギルに穏やかに対応するツキノワ。

その様子にキリトが驚いており、それを見たツキノワがキリトに尋ねた。

 

「…なんだよ」

 

「いや、お前が俺達以外にツンケンしてないの初めて見たから…」

 

「俺だって最低限の人は選んでるわ!エギルさん達は信頼出来る人達だからな」

 

「目の前でそう言われるのは少し気恥しいな…お前たち2人だけなら俺達とパーティ組まないか?」

 

エギルの突然の提案に驚く2人。

 

「え?エギルさんは既にパーティメンバーMAXじゃあ…」

 

「実は事情があって2人出られなくてな。ちょうど空いているんだ」

 

「…その2人がいいって言うなら」

 

キリトが遠慮がちに聞いてみたがその2人は快諾してくれたので、ツキノワとキリトはエギルのパーティに入れてもらう事にした。

そんな中、ボス戦の最終確認が行われる。

今回の指揮権もリンドだ。前回のエリアボス戦の後、キバオウとリンドの間に取り決めが出来ており、その取り決めに従っての人選だ。

ボスは2体、【バラン・ザ・ジェネラルトーラス】と【ナト・ザ・カーネルトーラス】だ。

彼らH隊はG隊と共に【ナト・ザ・カーネルトーラス】、通称ナト大佐の相手を務めることになっていた。

 

「今更だけど、2パーティで中ボスとかハードすぎね?」

 

「全くをもって同意だな。骨が折れるなこれは…ところでG隊ってどこだ」

 

「ああ、それならあいつら…って向かってきたな」

 

キリトの疑問にエギルが指を指して答える。そこにいるのはレジェンドブレイズだった。

 

「私はG隊レジェンドブレイズのリーダーオルランドである。H隊のリーダーはどなたか?」

 

「俺だ。エギルってもんだ。よろしくな。こいつら2人は今回だけの臨時パーティだ。黒髪がキリト、紫の髪がツキノワだ」

 

「「…よろしく」」

 

「よろしく頼む。卿らは既に2つ名があるのだとか。確か…【ブラッキー】と【舞闘家(ダンサー)】とか。よろしく頼むぞブラッキー殿、舞闘家(ダンサー)殿」

 

「「…はぁ!?二つ名って何だよ!!」」

 

余りにも突然のカミングアウトに驚く2人。

自分たちがそんな有名人とは思ってなかったのだ。

 

「やれやれ…今更かよお前らは…。全身黒づくめの格好からブラッキー。ボス戦で見せた立ち振る舞いからつけられたダンサー。これらが密かにつけられてたんだぞ」

 

驚きのあまり完全にフリーズしていると

 

「それではしゅ「待ってくれ」なんだエギルさん?」

 

出撃しようとしてるリンドをエギルが止める。

 

「前回、俺達はベータの情報を鵜呑みにしてディアベルを失った。まさか同じ事を繰り返す気はないよな?」

 

「…当たり前だ。攻略本と違う点が出た時点で即撤退。これで行くつもりだ」

 

「分かった」

 

「…よし!それじ「ちょう待ってんか」今度はなんだ!?」

 

今度はキバオウが止める。

 

「エギルはんの言う通り、攻略本を鵜呑みにするのは危険や。せやから…ここに1度ボスと戦った奴がいるならそいつの話を聞く手はないやろ。百聞は一見にしかずってやつや」

 

そう言ってキバオウはキリトを見る。

みんなの視線がキリトに集中する。

キリトはその視線にかなり緊張しながら話し出した。

 

「あくまで参考程度に留めてくれ。ベータ時代とは、全くの別物の可能性もあるからな…。まず、ボスのパターンはMOBと大差なかった。ただし、ナミングを2連続で食らうのは避けてくれ。スタンが麻痺に変わる。麻痺ったやつの最後は…」

 

そこまで言って言葉を止める。

みんなその先が分かったのか誰も何も話さなかった。

 

「ナミング2連続は絶対受けたらあかん。そういう事やな…。それだけ分かれば充分や。みんなちゃんと聞いとったな!ほな 行くで!」

 

キバオウはキリトの話を話をまとめて突撃指示を出した。

 

「お、おい待て…!全員突撃!」

 

慌ててリンドが号令を出してボス部屋に突撃する。

第2層フロアボス戦の始まりだった。




次回はボス戦を書けたらなっと思ってます。
3層どうしよう…かなり時間がかかりそうだな〜これは…

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