ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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第2話です。よろしくお願いします。


プロローグ②

「「あれ?ログアウトボタンがない?」」

 

同時に呟くツキノワとクライン。

そんな2人に

 

「はあ?そんな訳ないだろ?ちゃんとここに…ってない?」

 

キリトは自分のメニュー画面を見ても、ログアウトボタンが確かに存在しない事を疑問に思う。

3人揃って何が起きたのか分からず困惑していた時、ゴーンゴーンと鐘の音が鳴り響いた。

 

「これは鐘の音?はじまりの街からか?」

 

そうツキノワが呟いた瞬間、突然青い光に包まれるクラインとキリト。

 

「おわ!?何だこりゃ!?」

 

「これは…強制テレポート!?」

 

「キリト!?クライン!?って俺もか!?」

 

 

あまりの眩しさに目を瞑ってしまう3人。

次に目を開けた時に見えたのは、はじまりの街だった。

 

「ここは、はじまりの街じゃねぇか!」

 

「一体何が起こってるんだ?」

 

「2人とも、周りを見ろ」

 

周りには自分たちと同じ様に、突然の事に困惑するプレイヤーがどんどん増えていた。

 

「まさか、今アインクラッドにいる全プレイヤーが集められてるのか!?」

 

「だとしてもよぉ、俺たちは一体何のために集められたんだ?」

 

そう呟くツキノワとクライン。

そんな2人にキリトは

 

「運営から何かアナウンスでもあるのか?」

 

そう考えていると誰が突然大きな声を上げた。

 

「おい!上を見ろ!」

 

反射的に上を見ると赤い字でWARNINGと書かれたシステムの案内。

そこ瞬間、突然その文字が空を覆った。

システムの案内表示の隙間から血のようなものが溢れ出すと、それはローブを纏った謎の人物を作り上げた。

そしてその人物は

 

「プレイヤーの諸君、私の世界にようこそ。私の名は茅場晶彦。今やこの世界を操作できるただ唯一の人物である」

 

と淡々と言い放った。

 

「何ぃ!?」

 

「茅場晶彦だと!?」

 

驚くキリトとクライン。

 

「茅場晶彦って確か…このゲームの開発者だっけ?そんなに驚く事なのか?」

 

ツキノワは驚く2人に聞く。

 

「茅場晶彦はあまりメディアには出てこないんだ。だからこんなアナウンスで出てくるなんて思ってなかったんだ」

 

教えてくれるキリト。

そんな間にも淡々と続くアナウンス。

 

「諸君らは今、メニュー画面からログアウトボタンが消えてる事にに気がついているだろう。そしてそれが不具合なのでは?という疑問を抱いているだろう。だがこれは不具合では無い。もう一度言おう。これは不具合では無く、ソードアート・オンラインの本来の仕様である」

 

「し、仕様だと?」

 

「何を言ってんだ…?」

 

掠れた声で呆然とつぶやくクラインとツキノワ。

 

「今後君たちプレイヤー諸君は、この浮遊城の頂を極めるまで自発的にログアウトすることはおろか、外部からの切断でもこのゲームから脱出することは出来ない。仮に外部からの切断が試みられた場合…諸君らの脳はナーヴギアから発せられる高出力マイクロウェーブにより破壊され、生命活動を停止する」

 

そう告げられる。

 

「はは…何言ってんだよあいつ。ナーヴギアはただのゲーム機だぞ。そ、そんなもんで人を、こ、殺せる訳ないだろ!?」

 

動揺するクラインに対しツキノワは

 

「いや…できる。ナーヴギアは原理的には電子レンジと一緒だ。だから暴走させれば…」

 

そうつぶやく。

 

「この事は外にも知られている。しかし残念ながら、この警告を無視したものたちの行動の結果…213名のプレイヤーがアインクラッドおよび現実世界から永久退場している」

 

「…マジかよ…」

 

声を震わせるツキノワ。

 

「諸君らが現実の身体に関して心配する必要はない。現在、あらゆるメディアを通じて私が話している内容は全国へと届けられている。ナーヴギアが外部から強制的に外される心配はほぼ無くなったと言っていいだろう。ナーヴギアを装着したまま回線切断の猶予時間のあるうちに厳重な介護の行われる施設へと搬送されることだろう。だから、諸君らは安心してゲーム攻略に臨んでほしい」

 

「な!?こんな状態でゲームを攻略しろ!?ログアウト出来ないこの状態で呑気に遊べと言いたいのかお前は!こんなのもう、ゲームでもなんでもないだろ!」

 

たまらずそう叫ぶキリト。

そしてそれを無視するように

 

「しかし諸君らは十分に留意して欲しい。ログアウト不可の状態では今はここが諸君らの現実に他ならない。今後このゲームにおいて、あらゆる蘇生手段は機能しなくなる。君たちのHPがゼロになった瞬間、諸君らのアバターはこの世界から消滅し…更に諸君らの脳は、ナーヴギアによって破壊される」

 

誰もが黙り込む。

誰も信じられなかったからだ。

この目の前に広がる現実という名の絶望を。

そんな彼らに現実を突きつけるように、さらに続ける茅場晶彦。

 

「私から諸君にささやかながらプレゼントを用意した。アイテムストレージを確認するといい」

 

そう言われ確認するツキノワ。

そこには1つアイテムがあった。

 

「手鏡?」

 

疑問に思いながらオブジェクト化させる。

そして覗き込んだ瞬間突然また青い光が彼らを包んだ。

 

「ちょ!?またかよ!?」

 

驚くツキノワ。

瞑った目を開けると、鏡に映る少し薄い紫色の髪と実は気に入ってる赤い目。

先程までと変わらない自分の姿だった。

 

「なんだったんだ?キリト!クライン!大丈夫か!?…って誰だあんたら?」

 

キリトとクラインの方を向くとさっきまでとは見た目が全く違っていた。

 

「誰って俺だよ。キリトだよ」

 

「そうだぜ。俺はクラインだぞ」

 

「いや、見た目変わってるから」

 

そう言いながら2人に手鏡を向ける。映る姿しばらく見たあと

 

「「うお!?現実の俺だ!?」」

 

ハモる2人。つまり2人は

 

「ほんとにキリトとクラインなのか!?」

 

「「だからそう言っただろう(が)!」」

 

またもやハモる2人。

 

「そういや、ツキノワは変わんねぇんだな」

 

クラインに言われたので

 

「VRショッピングのやつを間違ってコンバートしたんだよ。リアルと一緒にしないと参考にならんだろ?」

 

そう返す。納得しているクラインを他所に

 

「顔はマイクロウェーブで高密度スキャニングしてるから再現できるだろうけど体格はどうやって…」

 

「あれじゃねぇか?初期設定したから覚えてるが、確かキャブレーションとか何とかで身体中触っただろ?」

 

と考察するキリトとクライン。

 

「それよりもあいつは何でこんな事…」

 

とツキノワは考えてるとそれに答えるかのように

 

「諸君は、今なぜこのようなことをしたのか、と思っているだろう。大規模なテロでも身代金目的でもない。私の目的はすでに達成してる。この状況こそが私の最終目的なのだ。…以上で《ソードアート・オンライン》正式チュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る」

 

そうして茅場晶彦は姿を消した。


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