ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
それではよろしくお願いします。
sideミト
2人の背中を見送った私は、弟の成長への嬉しさと誇らしさ、そして一抹の寂しさを感じながら、アルゴと共に仲裁に向かった。
「姉も大変だナ、ミーちゃん」
走りながらアルゴが話しかけてくる。
確かにあの子の姉は大変だ。
昔から目を離すと、すぐに何処かへ消えている落ち着きのない子だ。
毎回両親共々、探し回っていた記憶しかない。
その為、私は絶対にあの子の手を放さなかった。
そのツキノワ…優月の手を初めて離した気がする。
「…大丈夫よ。あの子は強くなった。心も体も。だから、私はあの子の戻る場を守る為に戦う。それが姉の務め。さあ、ここからが私達の戦いよ!アルゴ、やるわよ!」
「…参ったナ。これじゃ姉なんて自称出来やしないナ。OKミーちゃん!姉の意地見せるゾ!」
その言葉を受けながら私は、鎌を思いっきりぶん投げた。
リンドとキバオウの間に向けて投げたそれは狙い通り、真ん中に刺さった。
私はその上に飛び乗り
「そこまで!ここは私が預かるわ!!!」
強く宣言した。
「なるほど…つまり俺達が聞いた情報は…」
「全くのデマ!!100%デマ!そんな事実は一切なイ!」
「このエルフクエストの報酬は確かに金と経験値、後素材よ。確かに品質はいいだろうけどボス攻略に直接関係するものはないわ」
私達はベータ時代の話を全部話して、何とか諍いを治めていた。
「言い切りよったで…こいつら…」
「し、信用できるか!2層のボスの情報だって隠してたじゃないか!」
またこいつね、学習してないのかしら?
いえ、してないのね。
「あれもベータとの変更点よ。あんなヤバい奴隠して何のメリットもないわよ。考えて物言ったら?」
私は呆れながら言い返した。
悪いけど、貴方に付き合う気は無いわ。
「今回もその変更は?」
「その可能性は否定しきれなイ。だったら代表を立てて調べさせればいい話ダ」
「その誰かってのも「悪いが、これ以上の御託は無しダ」!?」
「この口が顧客を欺くと思う者は前にでロ!!」
アルゴが堂々と大見得を切って言い放つ。
誰もその言葉に反応する者はおらず、場は丸く治まる。
「結構、そういう訳でエルフクエはミーちゃん達に任せてほしイ。もし何らかの情報が出た場合、アルゴの名に懸けて、全体に共有すると約束すル」
アルゴとキバオウ達の話を聞きながら、私は振り向く。
そこには多勢に無勢な戦況にも関わらず、一切怯まない3人の勇姿があった。
「ミーちゃん、こっちはオレッちに任せて行ってこイ!」
「…!ありがとう!アルゴ!行ってくる!」
そう言って私は走りながらツキノワの元へ走り、構えた。射程に入った瞬間、ツキノワはわざと空けておいてくれた剣線に沿って、全力でふるい、鎧ごと両断する。
「おまたせ!ここからは私も行くわよ!」
outside
激しい剣戟の中、鷹使いの一撃がキズメルの胸部鎧を捉える。
その瞬間、鎧が砕け散る。
その様子を片や全身を脱力させながら、片やじっと睨みながら構える2人の剣士。
『おや、失礼…それにしても何とも嘆かわしい!音に聞こえし我らが仇敵!リュースラ王国のエンジュ騎士団が!貴方のような美しくか弱い女性を前線に送るとは!…どうです?こちらに寝返りませんか?厚遇しますよ』
『フン、案ずるな。最近見込みのある見習いを仕入れてな。我が騎士団は益々隆盛になるだろう』
『それはそれは。是非1度ご挨拶申し上げたいですねぇ』
『ほう?今すぐにでも紹介したいのだが。はて…こういう時なんと言ったかな…ああ、思い出した』
ジリッ…ザッ…2人は今だと、静かに剣をぬく。
『すいっち』
『は?何を言っ』
ズザンッ!!!!!それ以上鷹使いの言葉は続かなかった。
右脇から全速力・全膂力で、イビルファングに斬り込まれたからだ。
「…ッ!!!」
剣士ツキノワはそのままバットでも振り抜くかの様にソードスキル【フィル・クレセント】を放った。
鷹使いが吹き飛ばされるその直後、今度は真反対の左脇から衝撃が走った。
ズドンッ!!!!!とこちらも全速力・全膂力で、シバルリックレイピアで貫かれたからだ。
「…ッ!!!」
剣士アスナは体を更に拗らせ、まさに銃弾の原理で鷹使いを吹き飛ばす。
「…ねぇキズメル?見込みがあるって本当?」
アスナはキラキラさせた目でキズメルに尋ねる。
『…ウム、大いにな…』
(人の事言えないけど、NPCが引いてるの初めて見た…)
ツキノワはそんなキズメルを見て、自分達の規格外っぷりを再確認していた。
『やれやれ、前にも思いましたが、人族には過ぎた業物ですねぇ。それにそちらの女人族のものも、すぎた業物のようですね』
そう呟きながら、立ち上がる鷹使い。
その周りに集まる6人の
「ひーふーみー…6人か…」
『多勢に無勢か…?』
「雑兵でしょ」
「余裕でしょ」
キズメルの警戒する声に、軽く一蹴するツキノワとアスナ。
キズメルは驚いた様に2人を見る。
『…そなたらがいてくれて本当に良かった。お陰で仇敵を前にしても、平静でいられる。さて、見習い騎士達よ。かような戦況の際、とるべき戦術は?』
2人を確かめるように見るキズメル。
その視線に2人は笑うながら、まずアスナが答えた。
「もちろん!まずは…一時撤退!」
そう言って3人は身を翻して逃げる。
ついでに煽るツキノワ。
そのまま天幕に滑り込んで、勢いで反対に出る。
次はツキノワが答える。
「からの、敵の分散!最後は…」
逃げる際、天幕を支える柱を斬って天幕を崩させる。
3人を追いかける為、中に入っていた3人の森エルフを中に閉じ込め、崩れた天幕を超えながら、アスナとツキノワは高らかに宣言する。
「「各個撃破!!!…でしょ?」」
『正解!』
そのまま外にいた3人を斬り払い、蹴り飛ばす。
慌てて出てきた3人は、ツキノワがまとめて相手する。
1人には逆袈裟で斬り、隣にいた敵にはそのまま振り下ろす。
鍔迫り合っている内に、後ろから襲われそうになるが、正面の敵の胸ぐらを掴み、足を払ってこかさせようとする勢いのまま持ち上げ、後ろに投げる。
慌てて受け止めたエルフを2人まとめて【リーパー】で吹き飛ばす。
最初に斬ったエルフが襲いかかるがそれも読んでいたのか、体を捻りながら躱し、その遠心力を利用しながら首を斬り落とす。
「…残り2人」
呟きながら2人に斬りかかる。
正面から右袈裟に斬りかかり、それを盾で防がれる。
その隙に左からもう1人が突きに来るも、それをスウェーで躱しそのまま腕を掴み、投げる。
一旦距離を取ろうとバックステップするも追撃するエルフ。
それに舌打ちを打ちながら下がっていつと、視界の端に何かが映る。
それを確認するとわざと膝をつきながら攻撃を受け止める。
それを隙とみたもう1人のエルフが一気に距離を詰めて、突きを放つ。
当たるその瞬間、そのエルフに大鎌が襲いかかる。
鎧ごと切り裂くと、もう1人にも斬りかかり、吹き飛ばす。
「おまたせ!ここからは私も行くわよ!」
プレイヤーを説得しに行ったミトだった。
「…遅いぞ。このまま全部斬るところだった」
そう軽口を叩きながら、立ち上がりミトの隣で構えるツキノワ。
「サクッと終わらせるよ」
「OK」
そのまま一気にエルフを倒し、アスナ達に加勢して雑魚を倒す4人。
『みんな。ここからだぞ』
そうキズメルが呟いた直後、大鷹と鷹使いが同時に襲いかかる。
鷹使いはキズメルが、大鷹はミトが相手する。
そして残る2人はまだ残っている
『鷹使い殿に加勢しろ!』
そんなエルフ達の前に立ちはだかり、地面に剣を突き立てる2人。
「悪いわね。ここから先は…」
「通行止めだ。大人しく引き返しな」
『ミト!アスナ!ツキノワ!』
「振り返らないで!」
「俺達は俺達のやる事を引き受ける!だがら!」
「貴女は貴女のやるべき事を為しなさい!」
そう言って各々、戦うべき相手に挑みかかる。
『おやおや、随分と威勢がいいですねぇ。いいんですか?人族如きに背中を預けて〜。正直背中が気になって仇討ちどころじゃないでしょうに?今ならまだ降参は受け付けますよ?』
鷹使いがねちっこい言葉でキズメルに話しかける。
しかしキズメルは獰猛に笑いながら弾き飛ばす。
『侮るな!我が背中を護る者達こそ、人族きっての剣士たち!後顧の憂いはとうの昔に絶ったのだ!』
そのまま堂々と名乗りあげる。
『今はただ、我が名を刻め鷹使い!!!リュースラ王国先遣筆頭騎士、近衛騎士キズメルが、その首を貰い受ける!!!』
キズメルカッコイイですよね〜
乳でっか!
ありがとうございました。