ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
それではお願いします。
outside
『…鷹使いよ。言い残す事はあるか』
『チックショョョョョョョウ!』
キズメルと鷹使いの戦いはキズメルの勝利に終わった。
それをプレイヤー達はただ見守るだけだった。
「なあ、キバオウさん。そっちのエルフクエってあんな感じなのか?」
「アホ言うなや。こんなんアイツらだけや」
「やっぱりなあ…どんなチート使ったんだあんたら」
リンドとキバオウは回復しつつ、成り行きを見守っていたが、気になったのか今頃やってきたキリトにそう聞かずにはいられなかった。
「してねぇよ。つかどういう状況だよこれ。俺だって最初のハロウドナイト倒せちゃってから戸惑いっぱなしだわ」
「あれを倒したんか!?エリートMOBやぞ!非常識な…!?」
キリトの発言にキバオウや周りは驚きに包まれていると
『ふざけるな!今更…命乞いだと!?』
キズメルの大声に何事かと振り向く。
そこには短剣を差し出し、頭を垂れる鷹使いがいた。
『貴様それで、貴様らが奉ずる白の大聖樹に!死んで行った同胞に!祖先に!どんな顔で会うというのだ!?慙愧の念は感じないというのか!?このような者に…妹は…義弟は…!!!』
それでもその姿勢を変えない鷹使いに深く溜息をついて、剣を引いて後ろを向いた。
『分かった、もういい。リュースラの騎士は下り首は取らない。ゆけ』
その瞬間、その背中に襲いかかる鷹使い。
誰もが唖然とした瞬間、
『そうだ、お前なぞ…
大狼が鷹使いの喉元に噛み付いて、食いちぎった。
そして、主人の弔いをするかのように遠吠えをした。
sideツキノワ
そんなこんなで3層迷宮区は2大ギルドに任せ、俺たちはエルフクエを進めつつ、ボス攻略を行っていった。
3層以降も基本の攻略は任せて、俺達はエルフクエを最後まで進めた。
途中、リンド暗殺疑惑事件だの、ギルドフラッグ事件だの、色んな事件が起きた。
10層攻略以降は4人で、どんどんと攻略に精を出した。
途中で俺がアインクラッドで初めて刀スキルを見つけ、習得した。
1番衝撃だったのがALSの壊滅だ。
25層、通称クォーターポイントのフロアボスを単独撃破しようとしたALSが、返り討ちにあい壊滅した。
その後ヒースクリフというプレイヤーが率いる【血盟騎士団】が台頭、クォーターポイント攻略に大きく貢献する。また、そのギルドにアスナ先輩とミトが勧誘され、2人は副団長としてギルドに入る事となった。
俺とキリトはそれぞれの理由でその話を断り、ソロを続けている。
そんな俺は今、ある場所にいた。
ここ、27層の迷宮区はトラップばかりで、しかも毎日マップが変わるという鬼畜仕様であり、アスナ先輩達もマッピングを諦める程だったのだ。
俺はそこにあるモンスターハウスと言われるジャンルのトラップをわざと開けて、レベリングを行うという、かなり無茶苦茶な事をしていた。
今日もそれを行い帰ろうとした時、前から団体客が来た。
最前線では見た事もない連中で、物見遊山にしてはここは危険すぎる。
警告しようと急いだ時
「おお!隠し部屋だ!」
と言ってそのまま部屋に入ってしまう。
「馬鹿野郎!!」
ここのトラップにはたまに【結晶無効エリア】がある。
もしそれを引いたらかなりマズイ。
そう思い、彼らの元へ走る。
「やめろ!それを開けるなーー!」
聞き覚えのある奴の声が聞こえたと思った瞬間、ビー!ビー!ビー!とやかましいブザー音が鳴り響く。
ドアが閉まりそうになるが、滑り込んでギリギリ侵入する。それと同時にPOPしだすモンスター。
「1番近いお前!箱を壊せ!そうすればこれ以上は増えない!破壊次第、全員角に集まれ!そっちの方が守りやすい!」
ハッとした連中は俺の指示通りにして角に固まる。
その時俺の隣にキリトが並ぶ。
「キリト!?もしかして最初からいた!?」
「いたよ!今はそれよりここを終わらせよう!みんな!転移結晶は!?」
「だ、ダメだ!?使えない!?」
キリトが誰かに結晶を使おうとするも使えない。
恐らく結晶無効エリアなのだろう。
舌打ちする俺達はそのままモンスター達に斬りかかった。
何とか全て倒した俺達は、彼らをホームに帰したあと、俺はキリトに事情を聞く事にした。
「それで?お前は何をしてたんだ?」
俺はキリトからここまでの経緯を聞いた。
たまたま10層に降りた時に助けた事。
成り行きで彼らのギルドに入る事になった事。
その時レベルを嘘ついてしまった事。
リーダーがギルドホームを買いに行く間に、家具を買う為の金を稼ぐ為に、あんな所にきてしまった事。
そして、あわや大惨事になる前に俺が助けられた事。
一通り話を聞いた俺は
「バカかお前は!!」
全力でキリトを叱り飛ばした。ここで誰もが優しくするのだろう。
でもそんな事しない。
もしそれをしてしまえば、キリトの自責の念は一体どこに向ければ良くなるのか、わからなくなると思ったからだ。
そうなってしまえば、きっとキリトは廃人になってしまう。だから俺は怒る。
キリトの心を守る為に。
「そもそも、いくらマナー違反としても素直に理由を言えばまだ、情状酌量の余地があっただろうが!もしちゃんと言っていれば、あんな事起こらなかったかもしれないだろうが!お前の下手な言い訳が、結果的に4人の命を危険に晒したんだぞ!?」
「…」
キリトは黙って俺からのお叱りを受ける。
大分長いことキリトを見てきたが、少しミトに似ている。
要はコミュ障だ。
人との関わり方に関して臆病なのだ。
最初は保身の為の嘘だったのだろうが、途中で嫌われなかったのだろう。
「…俺」
やっと話し出したか。
涙堪えられてないし。
「…おう」
「…おれ…さいじょば…こわぐで……じぶんを…まもるためで……でも…とちゅうがら…さけられだぐながっだんだ…」
「…おう」
鼻まで垂らしちゃってこいつ。
本当に世話のやける兄弟だぜ。
「でも…きょう…ダッカーが…だからばご…あけるの…どめられなぐて…すごぐ…ごわくて…」
「…そうだな。怖かったよな。でも、ひとつ聞いていいか。あいつらはお前の秘密を知って離れてくような、そんな奴らなのか?」
「ぢがう!!そんなこと…ない!!」
そうだろうな。
じゃなきゃ俺がこいつを連れ出した時、あんな心配した顔しないよな。
「じゃあ、全部話そうぜ。お前の隠し事も、今の気持ちも。もしダメなら俺も謝ってやるよ。俺ら兄弟だろ?」
折れそうなら肩を貸してやる。
間違ってんならぶん殴ってでも止める。それが兄弟ってもんだろ?
「…ツキノワ…」
「ほら、さっさとその顔何とかしろ。すげー顔してるぞ?」
そんな話をしてると、リーダーが帰ってくる。
俺達はキリトの事情を全部話した。
「…そうか。正直、キリトがすごく強い気がしてたけど、やっぱりそうなんだ。何か手加減してた気がしてたし」
「き、気づいてたのか…?」
「これでもリーダーだからね。これぐらい出来ないと」
なるほど。流石リーダー。
素質は十分って事か。
「それで今後の事だけど…キリトがいいなら俺達【月夜の黒猫団】にいて欲しい」
「…え?」
なんだ、やっぱり杞憂じゃないか。
これなら俺はいらないな。
そう思い、こっそり部屋を出た。
その後のやり取りは知らないが、みんなに言う事があるとするなら、キリトは月夜の黒猫団に所属したという事。
そして、近い将来、彼らが最前線に来て攻略組に仲間入りする事。
これくらいだ。
さて、ところで何故俺がこんな事言い出したと思う?
それはな
『つ、捕まるわけにゃ、行かねぇのさ!!』
「待ちやがれ!こそドロ!!」
SAO開始から1年以上たった今、2番目のクォーターポイント、50層に着いていたのにも関わらず、俺は泥棒NPCを追いかけて、この10層に降りて来ていたからだ。
ありがとうございました。
いや〜すみません駆け足気味で。
月夜の黒猫団編は本当にザックリですみません!
関わりすぎると、キリトにあの恐怖を与えずにすんじゃいそうといいますか、個人的にあそこはキリトにとって必要な事件だったんではと思い、残しつつどうするか考えた結果、最後の最後だけ関わって助ける、そういう展開にする必要があったのです。
だからかなり短く片付けました。
さて、次はオリジナル話です。
それではありがとうございました。