ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
仕事が忙しくて…
それではよろしくお願いします。
sideツキノワ
「待ちやがれ!」
赤いロングコートに黒い袴を履き、腰には【送刀:天狐(おくりかたなてんこ)】を指した1人の男。
俺だけど。
俺は目の前を走る盗人を追いかけていた。
その速さ、身軽さはアルゴみたいだと思いながら、こっちも負けじと追いかける。
「何でこんな事を…!」
話は数時間前に遡る。
50層主街区【アルゲート】でとある依頼を受けた。
内容は盗まれた家宝を取り返して欲しいという内容だ。
これを軽いノリで受けたのが、そもそもの間違えだったのだ。
盗人自体は直ぐに見つけたのだが、こいつが滅茶苦茶速い。
しかも身軽なのだ。
屋根から屋根へ飛び移ったりとか路地に逃げたかと思えば、今度はすぐ後ろにいるわ。
【追跡】スキルがなければ諦めてた。
しかも転移門まで利用する始末。
幸い、行先は聞こえたのですぐに追いかけてきたのだか…
「!?あいつフィールドに!?」
何とフィールドに逃げ込みやだったのだ。
しかもご丁寧にモンスターまでけしかけてきた。
「はぁ…やるか」
俺は溜息をつきながら、一掃した。
その後も追いかけ続けた先は、見た事の無い洞窟だった。
「ここは…この依頼専用か?」
俺は慎重に進むことにした。
仮にも最前線の依頼だ。
それ専用の場所なら高難易度のモンスターがいてもおかしくない。
しばらく進むと、祠をみつけ、その手前には盗人がいた。
見つけた。
「おい!大人しくそいつを返せ!」
『嫌だ!これはオイラのもんだ!』
「違ぇだろ!?いいからさっさと…!?」
突然、祠が開いた。
俺も盗人も何事かと見ていた瞬間、突然祠から何か出てきて、盗人の口から体内に入っていく。
『な、何カボッ!?ゴボゴボゴボ!?』
「…は?」
何事だ?いきなりどんなホラーに、ジャンルがシフトした?
さ〇子か?〇だ子なのか?
呆然としているといつの間にか、盗人は落ち武者に変わった。祠の中にあった刀を取りだし、構えた瞬間、HPバーが2本出てきた。
そのレベルがわかった途端、俺はゾッとした。
「こいつ!?50層のフィールドボス並か!!」
流石に1人で最前線のフィールドボスクラスは無理だ!
そう思い直ぐに撤退を選んだが洞窟から出れなかった。
「クソ!倒さないと出れない仕組みか!」
もう退路はない。後ろに退けない以上、やる事は1つ。
「…やってやる」
前に押し通る。
それだけだ。
こうして俺は、落ち武者と対峙した。
outside
雄叫びを上げながら、落ち武者は刀を振り下ろす。
ツキノワは刀身で滑らせながら一回転させ、その勢いを乗せて振り下ろす。
それは躱され返す刀で下から切り上げられる。
ツキノワもそれを躱し所で、落ち武者は全力で振り下ろす。
直撃こそしなかったものの、剣圧で後ろの壁まで吹き飛ばさせるツキノワ。
「ガッ!?馬鹿力か…よぉ!?」
咄嗟に身を翻すツキノワ。
そこに落ち武者が突きを放ちながら突撃する。
壁に刀が刺さるも、そのまま壁をえぐりながらツキノワに迫る。
「わとととととっ!?止まれ!!」
少し距離をとったツキノワはソードスキル【絶空】で、落ち武者の胴を横に切る。
やっと動きが止まると思ったが、
「な!?ガッ!」
動きは止まったものの怯むことはなく、技後硬直で動けないツキノワの首を掴み持ち上げる。
そのまま切っ先をツキノワの心臓部分に向ける。
「ギ…グ…こ、こんのぉぉぉぉぉぉ!!!」
ツキノワは咄嗟に剣を振り上げ、掴んでる腕を切り落とす。流石に効いたのから奇声を上げながら後退する。
ツキノワは呼吸が上手くいかず、蹲っている。
「ゴホッ…!ゴホッ…!グホッ!?」
蹲っているツキノワを落ち武者は蹴り飛ばす。
ツキノワは転がりながら、メニュー画面を弄り、何かをする。
そのまま背中を向きながら、嘔吐く。
その隙を落ち武者は飛びかかり、トドメを刺そうとする。
その瞬間
「はぁぁぁ!!」
振り向きざまに放つツキノワの斬撃。
その一撃は落ち武者の体を深く切り裂き、壁まで吹き飛ばした。
複数のポーションをあおりながら、ツキノワは立ち上がる。
そして、切っ先を落ち武者に向けると
「さあ、第2ラウンドだ」
強く宣告し、斬り掛かる。
sideツキノワ
「なんだこれ?」
俺がそのスキルを見つけたのは数ヶ月前だ。
趣味でとってる【料理】スキル熟練度を調べようと、メニュー画面を見ていた時初めて気づいた。
「【剣豪】スキル…ダメだ。覚えがない」
俺は不思議に思いながら詳細を確認する。
「これはまあ、何とハイリスクハイリターンな…とんだじゃじゃ馬だなこいつは」
その余りにもピーキーなスキルに逆に感心していた。
これを一言で表すなら
「完全プレイヤー依存型スキル…かな?」
システム的補助はあっても補正はない。
まさに使い手を選ぶスキルだ。
俺はこれを公表するか迷ったが、考えた末、黙ることを選んだ。
理由は
「これって【ユニークスキル】だよな…多分」
【ユニークスキル】とは、このアインクラッドにただ1つしかないスキルを指す。
ヒースクリフが持つ【神聖剣】がそれだ。
発生条件一切が不明のこのスキルはいつしかそう呼ばれるようになった。
これもその1つなのだろう。
「ま、余計なリスクは負う必要は無いしな」
そうして俺は今までこっそりとレベリングと同時にスキルの強化に詰めてきたが、今回等々、お披露目となった。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
俺は一気に近づきて射程圏内に収めると剣を振った。
その斬撃は落ち武者まで飛んでいき、直撃する。
それを走りながらどんどん放つ。
そう、このスキル最大の特徴は攻撃が飛ぶこと。
斬撃、刺突、打撃、この3種類に分かれていて、それぞれに射程、勢い、特性に差がある。
例えばこの斬撃は射程10m、勢いはソードスキル並、特性は連発可能だろうか。
1番オーソドックスな攻撃方法である。
そうやって畳み掛けていた時、突然奇声をあげる落ち武者。俺は咄嗟に耳を塞ぎ動きを止めてしまう。
そこで改めて様子を確認すると
「は!?デカくなった!?」
さっきよりかなりデカくなった。
そのまま襲いかかってくる落ち武者。
俺はその攻撃をいなしながら、至近距離で斬撃を放つ。
体勢を崩した所に俺は刺突を放つ。
手で防がれるが、この刺突の特性は貫通。
いくら防ごうが貫くが、落ち武者は俺の刀を掴んで離さないようにする。
「この…放せ!」
俺は体術スキル【弦月】で顎を蹴りあげ、力が緩む隙に剣を抜き、着地してから剣を峰に持ち帰る。
そのまま
「ぶっ飛べ!!」
打撃を放つ。この打撃は射程は短いがその分威力は最強。
その威力で吹き飛ばす。
数メートル吹き飛ばして、俺は更に斬撃で畳み掛けるが、その斬撃が弾き飛ばされる。
目の前に落ち、砂煙が上がる。
その瞬間
「…え?」
宙に浮いていた。
その時、ディアベルがよぎった。
正確にはディアベルが死んだ時だ。
俺は下を向くとあの時と同じ構えをしていた。
「間に合え…!」
俺は何発も斬撃を放つも止めるには至らず、俺は空中で対応せざるを得なくなった。
一撃目は躱し、二激目は【弦月】で側面を蹴り回転しながらいなす。
三撃目は力技だ。
打撃を放ち相殺させる。
その反動で俺は地面に叩きつけられる。
「体力は…ゲッ…残り2割…」
俺はポーションを飲みながら、立ち上がる。
落ち武者も技後硬直が解けたのかこっちを向く。
瓦礫が落ちた時、俺達は3度目の衝突をした。
sideアスナ
「ツキノワ…ツキノワ…」
「大丈夫、大丈夫だよミト。ツキノワ君は強いもん」
ツキノワ君…どこにいるの?
連絡がとれなくなって、もうすぐ一日が経つ。
ミトを励ましながら、アルゴさんに聞きに行ってくれたキリトくんを待つと、丁度帰ってくる。
「戻ったよ」
「キリト!ツキノワは!?無事なの!?」
「ミト!落ち着いて!」
ミトがキリト君に詰め寄るのを慌てて止める。
「ツキノワの名前はまだ線は引かれてなかった」
その言葉にへたり込むミトを慌てて支える。
「アルゴが言うには何らかのクエストをやっていて、10層で行方が分からなくなったって」
え?10層?
「それってどういう…?」
「恐らくインスタンスマップに入ったんだと思う。それなら追跡出来ないのも納得出来る」
そういう事か。
つまりツキノワ君はまだ生きていて、クエストから抜け出せなくなっているという事。
そして、今私達に出来るのは
「ツキノワ君を信じて待つしかないってことね」
「そういう事だ。だからミト!シャキッとしろ!俺も兄だから気持ちは分かる。でも俺達兄姉はそれを弟妹に見せる訳には行かないだろ!!」
キリト君はミトの肩を掴みながら言う。
そのキリト君を見て、少しずつ目に光が戻る。
「…ごめんなさい2人とも。もう大丈夫よ」
「ミト…大丈夫?」
「正直、大丈夫じゃないけど姉だから」
そう言いながら立ち上がるミト。
そのまま私達は団長率いる本体に合流する。
「…アスナ君、ミト君大丈夫かな?」
「「大丈夫です。行けます」」
「ふっ…いい目だ。それでは諸君、行こうか」
団長の一言で、私達は行軍を開始した。
sideツキノワ
「つ、疲れた…」
俺は何とか洞窟から出て、俺は家宝と祠にあった刀を持って、依頼主の元まで戻ってきた。
ポーションは尽きた。
刀も壊れた。
溜息をつきながら俺はフラフラと歩いて戻ってきたのだ。
「取り返したぞ」
『剣士様!ありがとうございます!!?その刀は!』
「知ってるのか?」
『この家宝はかつて、その刀の持ち主の戦装束なのです!』
「そうだったのか…」
あの祠に逃げたのは偶然ではなかったらしい。
『もしよろしければそちらもお預かりしてとよろしいでしょうか?』
「ええ。どうぞ」
刀を渡していなくなる。
少しして家宝と刀を手に戻ってきた。
『お待たせしました。こちらをどうぞ』
「これは…凄いな」
黒と赤の柄に赤い鞘。刃は少しそっており、綺麗な刃紋。その輝きはまるで斬るものでも求めているような美しさがあった。
『そちらの刀【和泉守兼定:真打】とこの家宝は貴方様に差し上げます』
「いいのか!?」
『きっとこれもなにかの運命。どうぞこれらと共に戦ってくだされ』
そういう事ならばと有難く頂くことにした。
戦装束は鎧かと思ったが、綺麗な着物で今の服より性能が段違いだったので着替えることにした。
真紅の着物は袖や襟が黒、白、金のトリコロールで縫われている。
袴は同じ黒だが、性能は段違いだった。
靴は編み上げるタイプの黒いブーツ。
そして最後に羽織があった。
白をベースに裾や袖が黒くなっている。
俺はそれらの装備に着替えてから出た。
アイテムを買い直していると
「つ、ツー坊!?いつの間二!?その格好ハ!?」
アルゴと出会った。
「おうアルゴ、クエスト報酬だ。どうよ、似合ってる?」
「う、うん…似合ってるよ…?」
アルゴよ、語調が変わってるぞ。
「そ、それよりリ!!攻略組がもう出発したゾ!」
「マジか!?行ってくる!」
そう言って俺は腰に差した、【和泉守兼定:真打】を支えながら、走り出す。
「間に合ってくれよ…!」
俺は全速力で少しでも速く追いつけるように、ボス部屋まで駆け出した。
ありがとうございました。
最初の服のイメージはBLAZBLUEのラグナ=ザ=ブラッドエッジです。
最後の服のイメージは刀剣乱舞の和泉守兼定です。
あくまでイメージ。大まかの形だけ寄せてます。
それでは失礼します。