ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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お久しぶりです。
やっと一区切りです。
それではよろしくお願いします。


閑話休題③

outside

 

「それでは!50層突破を記念して!かんぱ〜い!」

 

「「「「かんぱ〜い!!!」」」」

 

50層のレストラン。

ここにはボス攻略戦を終えた攻略組が、打ち上げを行っていた。

死者への弔いを行ったあと打ち上げをしようと【青龍連合】のリンドが提案したのだ。

全員乗り気で、普段こういう事には出てこない、ヒースクリフすら出てきていた。

あちらこちらでギルドの垣根を越えてワイワイしている中、ある一角では攻略戦の立役者である、ツキノワ・キリト・アスナ・ミトの4人が集まっており

 

「「「さあ、ツキノワ(君)。話してもらうぞ(わよ)」」」

 

ツキノワを尋問していた。

 

「3人とも?ちょっと落ち着こう?な?」

 

「「「落ち着いてるよ(わよ)(ぞ)?」」」

 

「絶対違うだろ!?」

 

何とか切り抜けようとするツキノワを前からミトが、斜め前からキリトが、隣からアスナが逃がさないように囲っている。

更にはキリトの後ろから

 

「そうだよツキノワ。私達にもちゃんと説明して」

 

サチ達【月夜の黒猫団】とリズが。

 

「そうだぜ!ツキの字!隠すことねぇだろ!」

 

ミトの後ろからクライン達【風林火山】が。

 

「ま、諦めて話す事だな」

 

ツキノワの後ろからエギル達【ツーハンデッド・ビルダーズ】が囲っていた。

逃げられないと悟ったツキノワは溜息をついて説明する事にした。

 

「わかったよ…」

 

まずクエストの事を説明した。

 

「最前線のフィールドボスクラスだと!?」

 

「1人でやったのか!?」

 

「何でそんな無茶したの!?」

 

クラインとエギルが驚き、ミトが怒る。

 

「いや、俺だって逃げようとしたけど、逃げれなかったんだよ!」

 

脱出不可能の状態だった事を説明する。

 

「装備はクエスト報酬だったんだろ?」

 

次にキリトが聞いてきたのは装備の事だった。

 

「そう、この【真紅の戦装束】と【和泉守兼定:真打】はクエスト報酬だったよ」

 

「私メンテした時、ビックリしたわよ!それ魔剣クラスの装備じゃない!」

 

その言葉に全員が驚く。

ドロップ品で落ちるならともかく、それがクエスト報酬だとは思いもよらなかった。

 

「そのクエは俺達も受けれるのか!?」

 

1番に食いついたのは同じ刀使いのクラインだった。

 

「いや、アルゴに試してもらったけど無理だって」

 

「そんな〜…」

 

「て事はあんただけのユニーク武器って事!?」

 

「そうなるな」

 

リズの言葉に肯定すると皆がおお〜と言う。

 

「それはそうとどうよ?似合ってる俺?」

 

そう言ってツキノワはその場に立って一回転する。

 

「あんたって本当に何でも着こなすわよね…」

 

「サンキューミト。アスナ先輩!どうですか?」

 

「う、うん…に、似合ってるよ!」

 

ミトはいつもの事なのかあっさりと返すが、アスナは顔を真っ赤にさせながら答える。

その顔を見てツキノワは心配そうに覗き込む。

 

「先輩?顔赤いですけど、大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫!?大丈夫だから!」

 

更に顔を赤くさせ、手をバタバタと振るアスナ。

 

「…ミト?あれってワザと?」

 

「…いや、あの子は天然よ」

 

「それは逆に恐ろしいね…キリトみたい」

 

「何故に俺?」

 

「…キリトのにぶちん」

 

「サチ?」

 

前の席で何やらごちゃごちゃとやっているのを、不思議そうに見るツキノワ。

 

「てめぇら!!当て付けか!?」

 

「「何が!?」」

 

クラインの男泣きに困惑するツキノワとキリト。

そんな混沌とした場をエギルがまとめる。

 

「お前ら…目的から脱線してるぞ…。ツキノワは最後に聞くが、あれはなんだったんだ?」

 

その一言で全員がツキノワを見る。

その視線に居心地悪そうに目を逸らしてから答える。

 

「…エクストラスキルだよ。【剣豪】」

 

「…その入手条件は?」

 

「不明。気づいたらあった」

 

「つまり…ユニークスキル!?」

 

アスナが驚きながら、核心をつく。

 

「…まあ、そうなります」

 

またどよめきが上がる。

 

「何か効果はあるのか?」

 

キリトが尋ねる。本来マナー違反だが、ここに咎めるものは居ない。

 

「…クリティカル発生率500%アップ、クリティカル威力500%アップ。後はステータス大幅アップ。後は…飛ぶ斬撃かな。パターンは3種類、それぞれ特徴があって、無制限」

 

「ご、500%アップ!?どんな規格外スキルなの!?」

 

「それに飛ぶ斬撃って…それ遠距離攻撃だよね!?」

 

ツキノワの説明にリズとサチが驚く。

他のメンバーも同様で、目を見開いていた。

 

「…でも、デメリットもあるだろ?」

 

「そうね、決定的なのが1つありそうね」

 

しかし、キリトとミトだけは違って険しい顔をしていた。

 

「デメリット…?ツキノワ君あるの?」

 

「あるよ。1つだけ」

 

「それは?」

 

代表してアスナが尋ねる。

 

「…ソードスキルが使えない。正確には【剣豪】スキルに適応したソードスキルがない、って感じかな」

 

その言葉に違う意味で黙り込んだ。

このSAOにおいて、ソードスキルは必殺技でもある。

そのソードスキルが使えないという事はつまり

 

「つまりこのスキルは、完全プレイヤー依存型スキルって事」

 

そう、使い手の力量がそのままスキルの強さになるという事だ。

そんなピーキーなスキルを実践レベル、ましてやボスに通用させるレベルにまで高められた剣技、まさに剣豪だ。

まるでツキノワの為のスキルではないか、そう錯覚させる程の衝撃が走った。

 

「よし!聞きたい事は聞けたからな!後はパーッとやろうぜ!!」

 

「そうだな!!よし!食うぞー!」

 

クラインがそう騒いで、キリトがそれに便乗する。

なんとも言えない空気がそれで流され、彼らもまた、パーティに参加していくのだった。

 

sideツキノワ

 

「はぁ〜食った食った…」

 

俺は腹ごなしに外に出ていた。

理由はそれだけ。

のんびり店の周りをブラブラしていると

 

「ツキノワ君!」

 

「アスナ先輩?」

 

アスナ先輩が走ってきた。

何かあったのか?

 

「どうしました?」

 

「ううん、ただ外に行くのが見えたから、追いかけてきたの」

 

なんだ、そういう事か。

ちょっと…いや、かなり緊張するけど少し勇気を出そう。

 

「じゃあ、ちょっと歩きませんか?」

 

「うん、そうしよっか」

 

こうして俺達はフラフラと歩き出した。

特に会話もなく、当てもなくブラブラしているだけだったが、突然アスナ先輩が立ち止まった。

 

「アスナ先輩?」

 

「…ツキノワ君!!」

 

突然アスナ先輩が抱きついてきた。

その目には涙がチラリと見えた。

 

「アスナ先輩!?どうしたの!?」

 

「すごく心配した…!心配したんだよ!?もし何かあったらって怖かったんだよ!!でも、無事で良かった…!あの時、間に合って良かった…!」

 

かなり心配かけたらしい。

俺は申し訳なるのと同時に、泣くほど心配してくれていて、嬉しくもなっていた。

 

「…心配かけさせて本当にごめんなさい。でも、前にも約束したでしょ?『どれだけ遠くに行っても、絶対に帰ってくる』って」

 

「うん…!うん!そうだよね!約束したもんね!守ってくれたもんね!」

 

そう言って嬉しそうに笑う先輩を見て、とうとう我慢できなくなった。

 

「先輩、俺がなんであんな約束したと思います?」

 

「…どうしてなの?」

 

「…好きだから。俺はアスナ先輩が、結城明日奈さんが大好きだから。だから俺と付き合ってください!」

 

俺は勢い任せに、頭を下げて人生初の告白をした。

顔は真っ赤だし、緊張がヤバい。ボス戦より心臓が爆発しそう。

 

「ツキノワ君…顔を上げて」

 

そう言われ顔を上げると、目に前に先輩の顔があって、唇に柔らかいものが当たる。

今のって…。

 

「せ、先輩…?」

 

「私もツキノワ君が…兎沢優月君が大好きです!だから!これからよろしくお願いします!」

 

マジか…?マジなのか!?

 

「…本当に…?」

 

「フフ。本当に!」

 

理解がやっと追いついてきて、感情が爆発した。

 

「やったーーーーーー!!!」

 

「きゃ!?もうツキノワ君!」

 

思わず抱きついたけど抱き締め返してくれる先輩。

俺達はそのまま少し抱きしめあってから、どちらからという訳でもなく、キスをした。

 

「…これからよろしくお願いします、アスナ先輩」

 

「うん、よろしくねツキノワ君」

 

そう言って俺達は店に戻った。

その瞬間

 

「「「「「「「2人とも!おめでとう!!!!!」」」」」」」

 

「「…は?」」

 

何故か店にいた全員に祝服された。

その時1人だけニヤニヤした奴がいた。

その正体は

 

「「ミト!!!見てたでしょ!!!」」

 

「最高に良かったわよ!2人とも!」

 

ミトだった。

どうやらつけてたらしく、俺らが戻る前に戻ってわざわざ言いふらしたらしい。

 

「2人とも奥手すぎるんだもの。じれったい事この上ないわ!でもおめでとう!親友として、姉として嬉しいわ」

 

「ツキノワ!アスナ!おめでとう!」

 

ミトのにやけ顔とキリトの純粋な祝福のギャップに少し目眩がする。

その時、先輩という目が合う。

恐らく同じことを思ってたのだろう。

俺達は敏捷性をフルに活かしてミトを捕まえる。

 

「へ!?2人とも!?」

 

「そういや、ミトを弄る約束してたっけね先輩?」

 

「そうね。してたわね。ウッカリしてたわ」

 

「へ?2人とも?」

 

「ところでミト。意中の殿方とはどうなのかな?」

 

「確かクで始まってンで終わる人だよな!」

 

ワザと大きな声で言う。その瞬間、場が一気に変わる。

 

「「ツキノワ!アスナ!詳しく!!」」

 

女性陣は身を乗り出し、男性陣はざわめき出す。

 

「ち、違う!彼の事はそういう風には!?」

 

「「またまた〜!あんな女の顔しといて〜!」」

 

「変にシンクロするな〜!」

 

こうして俺達は無事ターゲットの擦り付けに成功して、ミトを弄った。

それはミトがパンクするまで続いた。

こうして俺達のパーティは更に盛り上がっていったのだった。

次の日、新聞に俺の【剣豪】スキルの事と、俺と先輩の交際報道が一面を飾ったのは言うまでもない。

 

「「アルゴ(さん)!!」」




今ロクアカが暗くなってるので、こっちは幸せ全開で行けたらなって思ってます。
また明日から仕事が忙しいです。
多分年明けまで無理かな〜…
それでは良いお年を

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