ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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ここで最初に着ていた服はラグナをイメージした服ですよ。
よろしくお願いします。


25話

sideツキノワ

 

「転移【フローリア】」

 

次の日、俺とシリカは47層に来た。

シリカは行った事ないそうだが、これは驚くだろうな。

 

「うわぁ…!夢の国みたい!!」

 

「この層はフロア一面が花畑なんだよ…って聞いてないなありゃ」

 

目を輝かせて、花畑に突っ込んでいく。

まあ、いっか。

すると周りを見渡して顔を赤くする。

 

「ここはこういう場所だからな。デートスポットとして有名なのさ。ほら行くぞ、こっちだ」

 

「あ、待って下さい!ツキノワさん!」

 

俺はシリカを連れて、圏内の端まで来ていた。

 

「さて、行く前にこれを渡しておく」

 

俺は転移結晶をオブジェクト化して、シリカに渡す。

 

「もし何か不測の事態が発生して、俺が逃げろって言ったら何処でもいい。…欲を言うとグランザムにある【血盟騎士団】の本部がいいけど。とにかく、これを使って逃げるんだ。分かったな」

 

「…分かりました」

 

「良し。行くぞ」

 

俺達は【思い出の丘】を目指して出発した。

黙って歩いているとシリカが何か言おうとする。

 

「ツキノワさん…あの…!?」

 

突然シリカが足を取られ、吊るさせる。

そこには大型だが、かなり弱いモンスターがいた。

でもいきなりの事で動揺してのだろう。

スカートを抑えながら必死に俺に助けを求める。

 

「ツキノワさ〜ん!助けて!」

 

「落ち着けシリカ!そいつ滅茶苦茶弱い!」

 

ダメだなあれ。

聞こえてない。

 

「速く見ないで助け下さい!」

 

「それは…無理だな…」

 

そんな無茶苦茶な…。

一通り慌てて冷静なったか、もしくはヤケになったか、あっさりとモンスターを倒す。

 

「…見ましたか?」

 

スカートの中はたまたま見えなかったが、ここはいじった方が面白そうだ。

 

「おう!ナイスキル!!」

 

「〜ッ!ツキノワさん!」

 

ほら、やっぱり面白い。

 

「そういや、さっき何を聞こうとしたんだ?」

 

さっきの事で少し怒ってるシリカに聞く。

 

「…ツキノワさんはどうして、ここまでしてくれるんですか?」

 

その顔は真剣で、さっきまでとは全く別だった。

 

「?理由は昨日話したろ?」

 

「確かにそうです。装備は安全性の為。お金は命を懸けるから。その辺りは納得はいくんです。でも、そもそもどうしてあの話を受けたのかが、分からないんです」

 

ああ、そういう事。

んーそうだな…。

 

「大切な人達がいる。もしそうなったらって思うとな…。ま、そんなありきたりの理由さ」

 

そんな話をしながら、モンスターをあしらいつつ、先に進む。

トドメはシリカに刺させ、レベリングもついでに行う。

やはり高層だからだろうか、面白いくらいレベリングが進む。

やがて目的の【思い出の丘】にたどり着く。

 

「ここが…【思い出の丘】…」

 

「そう。目的の物は1番奥だ。ただし、この辺りのモンスターは、今までとは比較にならない。俺が戦うからトドメだけ任せた」

 

「…了解です」

 

そうして、俺達は戦いながら、最奥を目指す。

 

「あった。あそこだ」

 

「あそこに…!」

 

「おいシリカ!」

 

慌ててシリカを追いかける。

 

「俺の傍から離れるな!まったく…!」

 

シリカに少し説教する。

 

「ごめんなさい…」

 

「はぁ…ほら、出てきたぞ」

 

俺は咲いた花を指さして見せる。

シリカはその花を見て嬉しそうに採った。

 

「【プネウマの花】…!」

 

よし、採ったな。

 

「じゃあ、戻るぞ。ここは危険なモンスターが多い。ちゃんと落ち着ける所で復活させてやろう」

 

「はい!」

 

outside

 

ツキノワとシリカは花を摘み、街の前にあるレンガで出来た橋まで来ていた。

そこで突然、ツキノワがシリカを止めた。

 

「シリカ、さっき渡したやつ持ってるな?」

 

「は、はい…」

 

「ならいい。そこのアンブッシュしてる奴、出てこいよ」

 

「…あら、私のハイディングを見破るなんて、中々の索敵スキルね剣士さん」

 

木の影から現れたのは、ロザリアだった。

 

「ロザリアさん…」

 

シリカは驚いた様に呟く。

 

「首尾よく【プネウマの花】を手に入れたようね…じゃあ、それを渡してくるかしら」

 

その顔は邪悪な笑みを浮かべていた。

 

「そうは行かねぇな。なぁ、オレンジギルド【タイタンズハンド】のリーダーさん♪」

 

そんなロザリアに、もっと黒い笑みを浮かべながら、返すツキノワ。

その笑みに少し後ずさるロザリアだか、まだ強がる。

 

「へぇ…それを知ってるのね」

 

「グリーンが獲物を見繕い、オレンジが奇襲をする。単純だが効率的な手だ。昨晩の盗み聞き野郎もお前の仲間だな」

 

「で?それを知っていて、わざわざそこまで知っていて、その子に付き合うなんて、あんたバカ?まさか本当に誑かさたのかしら?」

 

ロザリアはツキノワをバカにしたように笑うが、それをツキノワは鼻で笑って一蹴する。

 

「ふん…シリカは知ってたよ。お前ら事教えたし」

 

「…何ですって?」

 

「そして、俺もお前に用があったんだよ。お前、10日前、【シルバーフラグス】ってギルドを潰したな。リーダー以外が全員死んだ。そのリーダーがな、最前線でお前らを投獄してくれって頼み込んでたのさ。…お前にあいつの気持ちが分かるか」

 

その声は底冷えするような冷たい声だった。

あまりの迫力にロザリアは勿論、聞いてるだけのシリカすら、恐怖で震えていた。

 

「し、知らないわよそんな事!?実際に死んだ証拠なんてないんだし、そんな事にマジになっちゃってバカなの?それよりも…あんた達は自分の事を気にしな!!」

 

ロザリアが何らかのサインを出すと、周りから7人のオレンジプレイヤーが出てくる。

 

「つ、ツキノワさん…数が多すぎます!」

 

「ん?大丈夫だぞこの程度?それよかクリスタル、ちゃんと用意しとけよ」

 

ツキノワは片手でクイックチェンジの操作をしながらシリカの頭を撫でる。

そして何時もの服装に替えて、歩き出す。

 

「ツキノワさん!!」

 

「ツキノワ?…!?真紅の着物に、黒袴。白の羽織に…赤鞘の刀!ロザリアさんこいつ!?ソロで前線に挑んでる、2人目のユニークスキル持ちだ!【剣豪】のツキノワ!!攻略組だ!!!」

 

ツキノワの正体が分かったところで、彼らに動揺が走る。

文字通り格が違う強さを持つ相手に恐れていると、ロザリアが発破をかける。

 

「こ、攻略組がこんな所にいる訳ないじゃない!ほら、とっとと始末して身ぐるみ剥いじまいな!!」

 

その声に応じて7人は一気にツキノワに襲いかかる。

何発ものソードスキルを受けるツキノワ。

それでも彼は何もせずにただ立っているだけだった。

 

「つ、ツキノワさん!!!!?」

 

シリカが助けに入ろうと思わず短剣を握る。

その時

 

(…あれ?)

 

シリカがある事に気づく。

それはツキノワのHPだった。

何発も受けている筈なのに、一向に減らず、減っても直ぐに回復していたのだ。

 

「何で…?どういう…?」

 

「何してんだいあんた達!?さっさと殺しな!!」

 

ロザリアもその異変に気付いたのか、仲間に再度声をかけるが、彼らも何が起こってるのか全く分かってなかった。

 

「ふぁ〜あ、どうした?ボーナスタイムは終わりでいいか?…10秒あたり400って所だな」

 

そんな中、ツキノワだけが退屈そうにしていた。

 

「お前達が俺に与えるダメージ総量だよ。俺のレベルは79、総HPは15200、自動ヒーリングが10秒で1000だ。要するにお前らじゃ一生俺を殺せないって事」

 

その衝撃的なカミングアウトに誰もが言葉を無くす。

あまりの絶望的な差に思わず、1人が呟く。

 

「そんなのアリかよ…」

 

「アリだよ。それがレベル制MMOの理不尽さなんだよ」

 

そう言いながら懐からある結晶出す。

 

「こいつは回廊結晶だ。黒鉄宮が設定してある。全員ここに入ってもらう。…ああ、別に入らなくてもいいぞ。その代わり…ここで死ぬとどうなるか、実際に体験してもらう事になるが…?もし、いつか会った時教えてくれ。それがこの世かあの世かは知らねぇがな」

 

そう言いながらツキノワは1番の殺気を叩きつける。その殺気にロザリア以外は武器を捨てて、投降する。

 

「も、もし私に攻撃すればあんたも!?」

 

それ以上言葉は続かなかった。

ロザリアの足元をツキノワの斬撃が、切り裂いたからだ。

 

「だから?言っとくが俺はソロだ。1日2日オレンジなった程度、なんの問題もないぞ?」

 

ついにロザリアも折れて、全員監獄に入っていっ

た。

 

「…さて!速く行こうか。シリカ」

 

「は、はい!」

 

sideシリカ

 

私達は宿に戻り、ピナを復活させました。

 

「ピナ…ピナァ!!!」

 

泣きながらピナを抱きしめて、改めてツキノワさんにお礼を言った。

 

「あの!本当にありがとうございました!」

 

「気にすんなよ。こっちも巻き込んだし、お互い様って事で。後、その装備あげるよ。いらないし」

 

「そういう事なら!有難く貰います!」

 

そういう話をしているとノックする音がする。

 

「はい!誰でしょうか?」

 

「昨日言ったろ?俺の彼女と姉を紹介「「ツキノワ君(優月)!!開けなさい!!」」…やっぱナシにしよっか?」

 

「開けますね」

 

「シリカァ!?」

 

すごく怒ってます。

一体何したんでしょうこの人?

 

私がドアを開けるとズカズカと部屋に入り込んで

 

「「貴方ねぇ!!なんなのよあのメール!!」」

 

メール?何の話?

 

「お、落ち着いて2人とも?後姉貴、本名は止めて」

 

「口答えしない!!最初はいいわよ!問題は後!『ついでにオレンジギルド潰してくるね〜♪』って何よ!!何がどうなったらそうなるの!?何であんた何時もそうなのよ!!」

 

「ツキノワ君!!何でそんな危険な事ばっかりするの!?もっと周りの事も考えて!!心配かけさせないで!!」

 

「…はい。はい。すみません」

 

「本当に弟なんだ…」

 

私の前では頼りになるお兄ちゃんって感じだったけど、2人の前では姉に怒られる弟だ。

 

「…はぁ、2人ともかなり心配してたしな…」

 

「きゃぁぁ!?」

 

ビックリした!!凄くビックリした!!

 

「わぁ!?驚かせてごめん!俺はキリト。ツキノワの兄弟分みたいな関係の奴だよ」

 

キリト…じゃあ、この人が【黒の剣士】。

 

「全く…それで?会って欲しい子ってこの子の事?」

 

どうやら説教は終わったらしく、紫色の髪をしたお姉さんがこっちを見る。

 

「そう。この子はシリカ。シリカ、こっちが姉のミト。こっちが彼女のアスナ先輩。2人にはシリカに男のあしらい方を教えてあげて欲しいんだ」

 

ツキノワさんが私の現状を説明してくれる。

 

「…分かったわ、出来るだけ教えてあげる。改めて私はミトよ。この愚弟が世話になったわね」

 

「アスナです。よろしくね。私からもツキノワ君がご迷惑おかけしちゃったみたいで…」

 

あまりに優雅なお辞儀に思わず見とれてしまいました。

 

「い、いえいえ!むしろ私の方こそお世話になりましたし!」

 

そうして私の対人マナー講座が始まりました。

その後、私達はフレンド交換をして、今では他の女性プレイヤーさん達と、たまにお茶をする仲になっています!

本当にツキノワさんに会えて良かったです。

ツキノワさん!私のお兄ちゃん!

ありがとうございました!!




ユニークスキルも相まって、実はアニメの時のキリトのステータスより少し強いです。
数少ない兄貴面出来る数少ない相手として、今後シリカには少し甘くなります。
それではありがとうございました。

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