ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
それではよろしくお願いします。
outside
攻略組は56層パニで、フィールドボス攻略会議を行っていた。
「フィールドボスを村に誘導します」
血盟騎士団、副団長のアスナが作戦を発表する。
その瞬間、場がざわめき出す。
それに待ったをかけるのは、彼氏であるツキノワだった。
「ち、ちょっと待って下さい!それじゃ村の人達が…!」
「それが狙いです。ボスがNPCを殺してる間に攻撃、殲滅します」
「NPCはオブジェクトじゃない!彼らだって…」
「生きていると?…彼らだってオブジェクトです。殺されたってまたリポップするのだから」
確かにその通りだ。
言い分としての道理は通ってる。
「その意見には反対です」
しかしツキノワはそれを良しとは出来なかった。
今まで多くのNPCを見てきた。
この世界は、彼らにとっての現実なのだ。
それをよく知ってしまった故に、その作戦には乗れなかった。
「今回の作戦は私、血盟騎士団の副団長アスナが指揮をとる事になっています。それに従えないのなら…」
その瞬間、ツキノワは初めてアスナに怒りを覚えた。
「ならもういい!このボス戦は降りる!それでいいんだろ!」
そう怒りながら出ていこうとするツキノワ。
またもや周りはざわめく。
攻略組、ひいてはSAO内でもかなり仲良しカップルだった2人が、喧嘩を始めたのだから無理もない。
「…え?」
「ちょ!?ツキノワ!?待ちなさい!」
呆けるアスナと慌てるミト。
2人を一番理解しているミトだが、こうなるとは想像もしてなかったのだ。
普段、大体はツキノワが折れる形でアスナの意向に沿っていくのだが、今回は初めてツキノワが曲げなかったのだ。
「うるさい!ミトは黙ってろ!…アスナ先輩。お疲れ様でした。攻略頑張って」
そう言って出ていくツキノワ。
その背中を何も言えずにただ見つめるアスナ。
こうしてなんとも言えない空気のまま、フィールドボス攻略会議は終了した。
sideミト
「アスナ大丈夫?」
「…グスッ…みすみぃ…」
あ、大丈夫じゃないわねこれは。
思いっきり泣いちゃってるし、本名で呼ばれちゃってるし。
「ほらアスナ、泣き止んで?ツキノワだって怒っちゃっただけだから?ね?あっちだってすっごい落ち込んでるはずだから」
「…でも、あんなに…怒った優月君…初めてだし…」
「それは、いつもアスナの事を尊重してたからあの子も。私達が喧嘩すると大体あんな感じよ?それにそろそろ頭も冷えて、自己嫌悪しだす頃合いね」
私達が喧嘩すると大体、優月はどっか行く。
そして話し合いも無く、ある日突然謝ってくるのだ。
こっちも謝ってお互い和解する。
兎沢姉弟の喧嘩は大体こんな感じ。
まあ、いつかのデュエルみたいな例も、無くはないけど。
「あの子が珍しく意固地になったのも悪いけど、アスナの言い方も少し悪かったと思うわよ?少しあの子に甘えすぎだったんじゃない?」
「…何だかんだで、優月君は着いてきてくれるって思ってた…」
「…なんにせよ、ちゃんと謝るんだよ?多分あの子から謝ってくると思うけど、それでもちゃんと謝らないと解決しないからね?」
こうして私は親友のフォローをした。
仲直りのキッカケになることを祈って。
しかし、それから約1ヶ月たった今59層。
ここに来てもなお、仲直り出来ていないこの2人はどうすべきだろうか?
sideツキノワ
…足音が聞こえる。
芝生を踏みしめる音だ。
「何してるの?」
次に聞こえてきたのは、俺が1番好きな人の厳しい声だった。
「…アスナ先輩」
「攻略組のみんなが必死に迷宮区の攻略をしてるのに、何で君は呑気にお昼寝してるのよ?」
どうやら昼寝してるのが気にいらないらしい。
とはいえ、何もしなかった訳では無い。
「…夜の内に未踏破エリアを開けてきた。マップが出てたでしょ?あれは全部夜にやったやつです」
「!?あれだけの量を一晩で!?」
周りを気にせずにやるには深夜が一番なのだ。
その影響もあって寝てないので、すごく眠かったのだ。
「だから寝てました。これならいいですか?」
「う、うん…」
流石にちゃんとやっていたので、先輩も強くは言い返せず、どもってしまう。
「…この間はすみませんでした。…先輩の気持ちも考えずに…」
俺はこの1ヶ月間、ずっと言えずにいた事を言った。
あの後、直ぐに謝りたかったのだが、タイミングと、意地が邪魔して中々切り出せなかったのだ。
「…私の方こそごめんなさい。ツキノワ君は着いてきてくれるって甘えてた。ツキノワ君を傷つけた。ごめんなさい」
先輩は俺の上に膝をついて、俺の頬を撫でながら謝ってくる。
「じゃあ、お互い様って事でもう終わり。それより先輩寝てますか?顔色悪いですよ?」
「それは…」
やはり寝てないらしい。
ミトと2枚看板で副団長を務めているけど、その内容はまさに激務なんだろう。
ミトはゲーム事の要領はいい。
一応、レベリングとかは上手いことやってるらしい。
しかし、アスナ先輩はその辺はまだ慣れてない。
それでもなお、俺達と同等のレベルを維持しているのだから、それこそ寝る暇を惜しんでるのだろう。
「先輩!一緒に寝ましょう!」
俺は強引に休ませる事にした。
今1番必要なのは息抜きだ。
「ダメよ!そんな暇は!?」
「ダーメ!はいゴローン!!」
「きゃあ!ツキノワ君!?」
「暖かい…おやすみ〜…」
俺は強引にアスナ先輩を抱きしめそのまま寝っ転がる。
先輩を離さないようにしながら俺は、そのまま寝落ちした。
「ん…」
俺が目を覚ましたのはそれから1時間後くらいだ。
ふと目を開くと、目の前にアスナ先輩の寝顔があった。
「…ホント綺麗な人だな。なのに…すごい隈」
これはちょっとやそっとじゃ起きないな。
俺はゆっくりと体勢を変え、膝枕をした。
「いい夢を見てますように…」
そう祈りながら、俺は先輩を護衛を務めることにしたのだった。
sideアスナ
「クチュッ!」
寒い…なんでだろう。
それに何故か眩しい。
でも頭の方は暖かい。
「あ、起きました?」
その時、1番愛おしい彼の声が聞こえる。
まだ夢でも見てるのだろうか。
だったらまだ甘えてもいいかな?
「…ゆづ…き…君…大…好き…」
「ん!?そ、そういうのはちゃんと目を覚ましてから言ってください!!///後、外で本名呼ばないで!」
「…ん?」
ん?何かリアルな対応された気がする。
ていうか、すごく近くから聞こえるような…?
私は気になって目を開けると
「…おはようございます///」
顔を真っ赤にしながら、こちらを覗き込むツキノワ君がいた。
「…おはよう?」
なにか掛けられている。
これは、彼の羽織?
しかもこの体勢は…またもや膝枕?
という事はさっきのは夢じゃない?
徐々に意識が覚醒してきた私は、先程やらかした事を少しずつ思い出していき
「~~~!?///」
顔が燃えるのではと思うほど熱くなる。
私は立ち上がって思わず睨んでしまう。
何とか気持ちを落ち着かせてから、彼にある提案をする。
「…ご飯1回」
「へ?」
「ご飯1回!何でも幾らでも奢る!これでチャラ!」
我ながら、何て可愛げのない提案なんだろうか。
sideツキノワ
アスナ先輩に誘われ、57層のレストランに来た。
周りのヒソヒソ声が気になる。
まあ、有名税として諦めるしかないか。
「…ガードしてくれてありがとう」
少し気まずそうにお礼を言うアスナ先輩。
「気にしないでください。彼氏として当たり前です」
「でも…あんな態度とっちゃって…」
ん?もしかして誘ってきた時のこと気にしてんの?
何を着にしてるかと思いきや。
「むしろ先輩の可愛い寝顔とテレ顔が見れて役得です!」
「大きた声でそんなこと言わないの!!」
いや、先輩の方が声でかい。
周りの視線に気づいたのか、顔を赤くしながら席につき直す。
「…街の中は安全な圏内だから心配ないけど、寝てる時は別だから…」
「デュエルを利用した睡眠PKですね」
本来、腕試しや賭け的な使い道をされるデュエルだが、その間はHPは減る。
それを利用し、寝てる相手に勝手に操作して承諾させて、一方的に嬲り殺す。
そういう事件が実際に起こっているのだ。
「うん…だから…」
「先輩。言ったでしょう?彼氏として当然です。むしろ他の誰にもさせたくありません。…まあ、ミトは例外的に認めます」
「…フフ!」
「な、なんで笑うんですか!?」
「2人はやっぱり仲良いなって…妬けちゃうな」
そう言われてはこっちも照れてしまう。
まあ、やっと笑顔になったならそれでいっか。
そう思った瞬間
「きゃあーーーーーーーーー!!!」
外から女性の悲鳴が聞こえてきた。
「!?先輩!」
「行くわよ!」
俺達はすぐに店を飛び出し声の方へ走っていく。
角を曲がったところで向かいから知った顔が飛び出してきた。
「キリト!黒猫団のみんなも!?」
「ツキノワ!アスナ!2人も聞こえたのか!」
「ええ!急ぐわよ!!」
俺達8人は一気に走り出して、声の方へ向かう。
「…!あそこだ!!」
そこには胸に槍が突き刺さったフルプレートの男が、ロープでつられていた。
まだHPがあるのか、槍を抜こうとしている。
「アスナ先輩!中をお願い!キリト達は下で受け止めて!俺が縄を切る!」
「「了解!」」
俺はすぐに指示を出して走り出す。
遠すぎて斬撃が届かず、刺突は狙いづらいのだ。
先に走ったキリト達のセットが完了した所で俺は壁を走り登って、斬撃を飛ばして紐を切る。
しかしその瞬間、何かを呟いて砕け散るプレイヤー。
「…間に合わなかった…」
目の前が真っ暗になる。
助けられたかもしれないのに、間に合わなかった…。
「みんな!WINNER表示を探してくれ!!」
キリトが場にいる全員に呼びかける。
「中には誰もいないわ!」
中からアスナ先輩の声が響く。
俺も切り替えて必死に探すも見つからず
「クソ!!30秒たった!」
こうして表示時間も過ぎてしまった。
「…圏内殺人…だと?」
恐らくSAO史上最も謎の殺人事件が発生した。
ありがとうございました。
という訳で痴話喧嘩させてみました。
この章では、久しぶりに戦闘描写を書くつもりです。
難しいですが、頑張ります。