ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
それと今回は、謎解きの時間です。
それではよろしくお願いします。
sideツキノワ
「とりあえず、アスナ先輩に連絡しよう」
そう言って俺は、先輩にメッセージを送った。
ついでに、道中である事をお願いしておいた。
「さてと…まず、また会えて嬉しいよ、ヨルコさん」
「そっちは初めましてだな、カインズ」
俺とキリトが2人にそう言うと、ヨルコは申し訳なさそうに頭を下げた。
「すみません、全てが終わったら皆さんには改めて謝罪に向かうつもりでした。信じてもらえないでしょうけど………」
キリトは苦笑いを浮かべる。
俺は、シュミットに声を掛ける。
「麻痺はもう大丈夫そうか?」
「ああ、なんとかな………キリト、それにツキノワ。助けてくれたことは礼を言う。だが、どうして奴らがここに来ると分かったんだ?」
分かって言うか…
「分かったって言うより、あり得ると推測したのよ。ヨルコさん、カインズさん。2人はグリムロックに武器を作ってもらう時、今回の計画の事を全部話したんじゃない?」
ミトが尋ねると、二人は頷いた。
「 最初、グリムロックさんは気が進まない様でした」
「でも、僕らが必死に頼み込んだら、ようやくあの武器を作ってくれたんです。届いたのは、僕じゃない方のカインズさんが亡くなった日の、3日前です」
ミトが言いにくそうに、彼らに告げる。
「残念だけど、貴方達の計画に反対したのはグリセルダさんの為じゃないわ。圏内PKなんて派手な事件を演出し、大勢の注目を集めたら、いずれ誰かか気づいてしまうと思ったのよ。結婚によるストレージ共通化が、離婚ではなく死別で解消された時…その中のアイテムがどうなるか」
「…え?」
「…どういう事ですか?」
「詳しい説明は、役者が揃ってからにしよう」
俺は2人を待たせる。
その時、ちょうどいいタイミングでアスナ先輩が、ここに着いた。
「おまたせ。皆無事で何よりだわ。それと…見つけたわよ彼」
「アスナ先輩、お疲れ様です。そして…やっぱ来てたか、グリムロック」
そう、アスナ先輩にお願いしていたのは、おそらく来ているであろう、グリムロックの確保だった。
outside
「やあ、久しぶりだね、皆」
アスナに剣を突きつけられながらも、薄ら笑いを浮かべるグリムロック。
「キリトさん…何がどうなって…」
困惑するヨルコ達にキリトは、自分達の仮説を説明する。
その仮説に、一切否定をしないグリムロック。
「何で…何でなのグリムロック!?グリセルダさんを…奥さんを殺してまで指輪を奪ってお金にする必要があったの!!?」
「…ふん」
この時、初めてグリムロックの顔色が変わる。
「金…金の為だって?…そんなものの為じゃない。私はね、どうしても彼女を殺さなくてはならなかった。彼女がまだ私の妻でいる間に!」
「…どういう事?」
皆が困惑する中、ミトが代表して聞く。
「彼女は現実世界でも、私の妻だった」
「何!?」
思わずツキノワは声を出してしまうが、この場にいる皆が驚いていた。
それは同じギルドだったヨルコ達も同様だった。
「彼女は理想的な妻だった。可愛らしく、従順でね、ただの1度も夫婦喧嘩すらした事無かった。だが、このデスゲームに囚われて、彼女はは変わってしまった。強要されたデスゲームに怯えていたのは私だけだった。現実世界にいた時より、遥かに活き活きしていて、充実していた様子だった。…私は認めざると得なかった。私の愛したゆうこは消えてしまったのだと!」
その歪つな懺悔は続いた。
「なら!ならいっそ合法的殺人が可能なこの世界で、ゆうこを永遠の思い出の中に封じてしまいたいと願った私を、一体誰が誰が責められるのだろう!?」
その顔は狂気に染っていた。
「お前は…そんな理由で愛した人を殺したのか…」
「君達にもいずれ分かるよ探偵諸君。愛情を手に入れ…それを失おうとする時にね」
キリトが呆然と喋った呟き、尚狂った笑顔で言うグリムロック。
「「「いいや(いいえ)、間違ってるのはあんただ(貴方よ)グリムロック(さん)」」」
ツキノワとアスナとミトは同時に否定した。
「貴方が抱いていたのは、愛情じゃない。ただの所有欲だわ!」
「何故自分の手で殺らなかった?あんたが本当に愛を抱いていたなら、せめて自分の手で終わらせるべきだった。俺ならそう考えると思う」
「貴方の愛した奥さんが消えたんじゃない。貴方の愛、そのものが消えたのよ」
3人がグリムロックの愛を否定する。
その言葉を受け、グリムロックは膝から崩れ落ちた。
「皆さん。この男の処遇は私達に任せていいですか?」
「わかった」
代表してキリトが答える。
「…さあ皆、帰りましょう」
ミトが声をかけ、主街区に向かう。
道中ボソッとアスナが、ツキノワに話しかける。
「ツキノワ君」
「うん?」
「もし私の隠れた一面を知った時、君はどう思う?」
「んー…まあ、人様に迷惑かけなければ、いいと思いますよ。俺に迷惑かける分には、気にしなくていいんで」
あっけらかんと告げるツキノワ。
その顔は、本当に気にしてないような顔だった。
「どうして?」
「だって、それを含めてアスナ先輩ですよね?だったら俺は好きになりますよ、絶対に」
「もし…それが人様に迷惑かけるものなら?」
「その時は…ちゃんと話します。話してそれでもダメなら、その矛先を俺だけに向けて貰います。だって、他の人に目移りされるのは嫌ですし、そういうのでも、俺だけであって欲しいんで」
そのツキノワの少し怖い思考に、思わず少し笑うアスナ。
「もしかして…少しヤンデレ?」
「俺病んでるの!?」
「フフ…アハハ!!」
その大袈裟な反応についに堪えきれず、大笑いするアスナ。
そのアスナを笑い声に、何事かと振り返るキリトとミト。
「ちょ!?笑わなくてもいいじゃないっすか!」
「アスナ?どうしたの?ツキノワが何かした?」
「うん、ツキノワ君がね「アスナ先輩!」ダメだって〜!」
そう騒ぎながら、彼らは暗い森を抜けていく。
その後ろ姿を優しい笑みで女性が見守ってるように見えたのは…きっと気のせいだろう。
今回少し短いですが、区切る場所がここしかなかったんですよね〜。
そして、少しヤンデレ要素が入ってしまったツキノワ君。
これは書いてて想定外でしたね自分でも。
でもそのままにしました。
アスナもかなり重い部分があるので、重いもの同士のカップルにしちゃいました。
それでは失礼します。
ありがとうございました。