ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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30話突入。
それと今回は、謎解きの時間です。
それではよろしくお願いします。


30話

sideツキノワ

 

「とりあえず、アスナ先輩に連絡しよう」

 

そう言って俺は、先輩にメッセージを送った。

ついでに、道中である事をお願いしておいた。

 

「さてと…まず、また会えて嬉しいよ、ヨルコさん」

 

「そっちは初めましてだな、カインズ」

 

俺とキリトが2人にそう言うと、ヨルコは申し訳なさそうに頭を下げた。

 

「すみません、全てが終わったら皆さんには改めて謝罪に向かうつもりでした。信じてもらえないでしょうけど………」

 

キリトは苦笑いを浮かべる。

俺は、シュミットに声を掛ける。

 

「麻痺はもう大丈夫そうか?」

 

「ああ、なんとかな………キリト、それにツキノワ。助けてくれたことは礼を言う。だが、どうして奴らがここに来ると分かったんだ?」

 

分かって言うか…

 

「分かったって言うより、あり得ると推測したのよ。ヨルコさん、カインズさん。2人はグリムロックに武器を作ってもらう時、今回の計画の事を全部話したんじゃない?」

 

ミトが尋ねると、二人は頷いた。

 

「 最初、グリムロックさんは気が進まない様でした」

 

「でも、僕らが必死に頼み込んだら、ようやくあの武器を作ってくれたんです。届いたのは、僕じゃない方のカインズさんが亡くなった日の、3日前です」

 

ミトが言いにくそうに、彼らに告げる。

 

「残念だけど、貴方達の計画に反対したのはグリセルダさんの為じゃないわ。圏内PKなんて派手な事件を演出し、大勢の注目を集めたら、いずれ誰かか気づいてしまうと思ったのよ。結婚によるストレージ共通化が、離婚ではなく死別で解消された時…その中のアイテムがどうなるか」

 

「…え?」

 

「…どういう事ですか?」

 

「詳しい説明は、役者が揃ってからにしよう」

 

俺は2人を待たせる。

その時、ちょうどいいタイミングでアスナ先輩が、ここに着いた。

 

「おまたせ。皆無事で何よりだわ。それと…見つけたわよ彼」

 

「アスナ先輩、お疲れ様です。そして…やっぱ来てたか、グリムロック」

 

そう、アスナ先輩にお願いしていたのは、おそらく来ているであろう、グリムロックの確保だった。

 

outside

 

「やあ、久しぶりだね、皆」

 

アスナに剣を突きつけられながらも、薄ら笑いを浮かべるグリムロック。

 

「キリトさん…何がどうなって…」

 

困惑するヨルコ達にキリトは、自分達の仮説を説明する。

その仮説に、一切否定をしないグリムロック。

 

「何で…何でなのグリムロック!?グリセルダさんを…奥さんを殺してまで指輪を奪ってお金にする必要があったの!!?」

 

「…ふん」

 

この時、初めてグリムロックの顔色が変わる。

 

「金…金の為だって?…そんなものの為じゃない。私はね、どうしても彼女を殺さなくてはならなかった。彼女がまだ私の妻でいる間に!」

 

「…どういう事?」

 

皆が困惑する中、ミトが代表して聞く。

 

「彼女は現実世界でも、私の妻だった」

 

「何!?」

 

思わずツキノワは声を出してしまうが、この場にいる皆が驚いていた。

それは同じギルドだったヨルコ達も同様だった。

 

「彼女は理想的な妻だった。可愛らしく、従順でね、ただの1度も夫婦喧嘩すらした事無かった。だが、このデスゲームに囚われて、彼女はは変わってしまった。強要されたデスゲームに怯えていたのは私だけだった。現実世界にいた時より、遥かに活き活きしていて、充実していた様子だった。…私は認めざると得なかった。私の愛したゆうこは消えてしまったのだと!」

 

その歪つな懺悔は続いた。

 

「なら!ならいっそ合法的殺人が可能なこの世界で、ゆうこを永遠の思い出の中に封じてしまいたいと願った私を、一体誰が誰が責められるのだろう!?」

 

その顔は狂気に染っていた。

 

「お前は…そんな理由で愛した人を殺したのか…」

 

「君達にもいずれ分かるよ探偵諸君。愛情を手に入れ…それを失おうとする時にね」

 

キリトが呆然と喋った呟き、尚狂った笑顔で言うグリムロック。

 

「「「いいや(いいえ)、間違ってるのはあんただ(貴方よ)グリムロック(さん)」」」

 

ツキノワとアスナとミトは同時に否定した。

 

「貴方が抱いていたのは、愛情じゃない。ただの所有欲だわ!」

 

「何故自分の手で殺らなかった?あんたが本当に愛を抱いていたなら、せめて自分の手で終わらせるべきだった。俺ならそう考えると思う」

 

「貴方の愛した奥さんが消えたんじゃない。貴方の愛、そのものが消えたのよ」

 

3人がグリムロックの愛を否定する。

その言葉を受け、グリムロックは膝から崩れ落ちた。

 

「皆さん。この男の処遇は私達に任せていいですか?」

 

「わかった」

 

代表してキリトが答える。

 

「…さあ皆、帰りましょう」

 

ミトが声をかけ、主街区に向かう。

道中ボソッとアスナが、ツキノワに話しかける。

 

「ツキノワ君」

 

「うん?」

 

「もし私の隠れた一面を知った時、君はどう思う?」

 

「んー…まあ、人様に迷惑かけなければ、いいと思いますよ。俺に迷惑かける分には、気にしなくていいんで」

 

あっけらかんと告げるツキノワ。

その顔は、本当に気にしてないような顔だった。

 

「どうして?」

 

「だって、それを含めてアスナ先輩ですよね?だったら俺は好きになりますよ、絶対に」

 

「もし…それが人様に迷惑かけるものなら?」

 

「その時は…ちゃんと話します。話してそれでもダメなら、その矛先を俺だけに向けて貰います。だって、他の人に目移りされるのは嫌ですし、そういうのでも、俺だけであって欲しいんで」

 

そのツキノワの少し怖い思考に、思わず少し笑うアスナ。

 

「もしかして…少しヤンデレ?」

 

「俺病んでるの!?」

 

「フフ…アハハ!!」

 

その大袈裟な反応についに堪えきれず、大笑いするアスナ。

そのアスナを笑い声に、何事かと振り返るキリトとミト。

 

「ちょ!?笑わなくてもいいじゃないっすか!」

 

「アスナ?どうしたの?ツキノワが何かした?」

 

「うん、ツキノワ君がね「アスナ先輩!」ダメだって〜!」

 

そう騒ぎながら、彼らは暗い森を抜けていく。

その後ろ姿を優しい笑みで女性が見守ってるように見えたのは…きっと気のせいだろう。




今回少し短いですが、区切る場所がここしかなかったんですよね〜。
そして、少しヤンデレ要素が入ってしまったツキノワ君。
これは書いてて想定外でしたね自分でも。
でもそのままにしました。
アスナもかなり重い部分があるので、重いもの同士のカップルにしちゃいました。
それでは失礼します。
ありがとうございました。

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