ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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久しぶりに投稿します。
ネタはあったんですが、ロクアカ熱が再発しまして…。
こっちが疎かでした。すみません。
今回から74層です。
それではよろしくお願いします。


32話

outside

 

「ふぅ…疲れた…」

 

ここは74層迷宮区入口。

そこから出てきたのは、和装の少年ツキノワだ。

攻略を切り上げ、街へ帰る最中なのだ。

森をのんびり歩いていると、モンスターの反応を検知する。

 

「数は3…それにしても、妙に小さいな…」

 

反応のする方へ向かうと、そこには兎がいた。

 

「あれは…【ラグー・ラビット】…!!!しかも3羽!?」

 

S級食材【ラグー・ラビット】。

SAOで最も美味しいとされる食材の1つだ。

その出現率は超激レアで、それが3羽となると、最早夢なのかと、錯覚するほどだ。

 

「よし…そっと…そっと…」

 

音を消し、気配を消した彼は、ゆっくりと近づき…そのまま…

 

 

sideツキノワ

 

「さぁて、どうしようかな〜♪」

 

ウキウキ気分が止まらない。

それもそのはず、何と【ラグー・ラビット】を3羽、全部確保したのだから。

 

「今日の晩飯は俺だし…やっぱシチューかな。ragoutだけに」

 

確か…フランス語だったかな?

まあ、それはともかく俺は今50層のエギルさんの店に向かっていた。

その時、店から誰か出てきた。

 

「あれ?キリト?サチも。どしたん?こんな所に」

 

「お!ツキノワか。久しぶりだな」

 

「久しぶり、ツキノワ。私達はエギルさんの所に納品に来たの」

 

「納品…?ああ、そういや、ここで売ってるんだっけか」

 

サチの作るものは主に防具、回復アイテムだ。

それ故にサチの商品は、ここエギルさんのお店か、48層【リンダース】にある、リズのお店【リズベット武具店】で、販売しているのだ。

当初は仲間内だけにしていたらしいが、ギルドの為にとサチ自身が、売り込んで置かせてもらっているのだとか。

 

「あの2人はそういうの妥協しないタイプだろうに…。よくやってるよ、サチは」

 

「ああ、サチのおかげで本当に助かってる。ありがとうな、サチ」

 

「そ、そんな…!///」

 

サチは慌てるように手を振るが、顔は隠しきれてない。

 

「そんなサチにはこんなプレゼントだ!」

 

そう言って俺は、【ラグー・ラビット】を1つあげる。

 

「こ、これ…!?【ラグー・ラビット】!?」

 

「な、なにぃ!!!?おま、これどこで!?」

 

「たまたま捕まえたんだよ。3羽いるから1羽やるよ」

 

「「さ、3羽!!!?」」

 

2人の動揺も仕方ないだろう。

何せこんなレア素材2度と手に入らんだろうし。

 

「ほ、本当にいいの…?」

 

「おう、サチは料理スキルコンプしてるよな?なら大丈夫だろ」

 

キリト…ヨダレをしまえ、ヨダレを。

 

「じゃあ…有難く貰うね!ありがとうツキノワ!」

 

「どういたしまして。美味しく食べろよ〜」

 

そのまま別れた俺は、そのままお店に入っていった。

 

「こんにちは〜」

 

「おう、ツキノワか。いらっしゃい」

 

「さっきそこで、サチ達と会いましたよ。どうですか?」

 

「ああ、完成度はドンドン上がってる。売れ行きもまあまあだぞ」

 

「へ〜そうなんですね。なら良かったです」

 

「そういや、アイツらが来る前にアスナ達が来たぞ?」

 

「え?アスナ先輩達が?」

 

今日アスナ先輩は、ミトと2人で、女子会とか言ってたけど…。

 

「女子会でここに来たんですか?」

 

「…それは俺も疑問だったな…」

 

女子会…よく分からん。

俺はフレンド機能で先輩の位置を調べると、まだこの層にいるらしい。

 

「まだいるみたいなんで、声掛けていきますね。それと…これ買取お願いします」

 

「分かった。どれどれ…」

 

こうして俺は当初の目的を達成してから、2人を探し始めた。

転移門広場で、直ぐに見つけた。

 

「先輩!ミト!」

 

「あれ?ツキノワ君?」

 

「どうしたのよツキノワ」

 

それぞれの反応を受けながら、俺は挨拶した。

 

「いや、素材売りきたらこの層にいたから、声掛けに来た」

 

「そうなのね」

 

「ところで…ミトにこれあげる」

 

俺はミトに【ラグー・ラビット】をあげた。

 

「?…【ラグー・ラビット】!!!?どうしたのよこれ!?」

 

「【ラグー・ラビット】!?」

 

先輩もトレード画面を覗こんでくる。

 

「3羽捕まえたからあげるよ。俺達用には確保してあるし」

 

アスナ先輩が、慌ててストレージを確認する。

結婚している俺達はストレージは共有されてるので、直ぐに確認出来るのだ。

 

「本当に入ってる…!ツキノワ君!!」

 

キラキラした目でこっちを見る。

 

「今日はシチューですよ。ragoutだけに。だから早めに帰ってきてくださいね」

 

「やったぁ!!!楽しみにしてるね!!!」

 

ニッコニコの笑顔で笑いかけてくるアスナ先輩。

可愛すぎて、心臓が辛い。

 

「私はどうしようかな…?」

 

ミトは肉を見ながら、メニューを考えている。

 

「じゃあミト!クラインさんに食べて貰ったら!」

 

「あ、アスナ!?何言ってるのよ!?///」

 

アスナ先輩の爆弾発言に、ミトがかなり顔を赤くする。

 

「そういや、どこまで進んだんだ?最近聞いてないな」

 

「ツキノワまで!?どこまでも何も…///」

 

こいつ…さてはチキってるな?

 

「…先輩」

 

「…ツキノワ君」

 

「あ、貴方達?どうしたの?顔が怖いわよ」

 

「「お話、しよっか」」

 

こうして急遽女子会は終了、これからは如何にクラインを堕とすか、の会議が始まった。

 

 

outside

 

「じゃあ、直ぐに用事しますね」

 

「お願いしまーす!」

 

ここはツキノワとアスナが同棲する部屋。

61層【セルムブルグ】にあるマンションの一室である。

部屋そのものも然ることながら、家具もいいものが揃っている。

基本的なレイアウトはアスナのセンスであり、テーブルや照明はツキノワのセンスである。

そんな2人のセンスの結晶でもあるこの部屋を、アスナは見渡しながら、ニコニコしていた。

 

「…何してんですか?」

 

そんな様子をツキノワは呆れた様子で聞く。

 

「早いね!もう終わったの?」

 

「はい、後は待つだけなので…SAOの料理は簡略化されすぎてつまらない。そんな事より、何してんですか?」

 

「ううん、ただ、これが私とツキノワ君の部屋なんだなって…嬉しくって!」

 

そんな事を嬉しそうに話すアスナに、ツキノワは顔を赤くしながら、そっぽを向く。

 

「い、何時までもそんな事言ってるんですか…!///ほら!もうできますから、早く用意手伝って!///」

 

「ふふっ、はーい!!」

 

そんなツキノワをアスナは優しく笑いかける。

そこにはとても平和な、愛おしい日常があった。

 

 

「美味かった…過去一かも…」

 

「はぁ…今まで頑張って生き残ってて良かった…」

 

シチューを完食した2人は、至福の一時を過ごしていた。

 

「ミトはちゃんとやったのかなぁ〜…」

 

「分からないわ…でも…不思議ね…」

 

突然、アスナがそんなことを言い出した。

 

「不思議って何が?」

 

「何か、この世界に生まれてずっと暮らしてきたみたいな…そんな気がする」

 

「…確かに。俺も最近、あっちの事を思い出さない日がある気がします」

 

そう言われて、初めてそんな事にも気づきたツキノワ。

それが、少し…寂しく感じたのか暗い顔をした。

 

「それに…最近はクリアだの脱出だの、血眼になるやつが減った気がする」

 

「ええ…今最前線で戦ってるプレイヤーなんて、500人いないんじゃないかな…」

 

2人はいつの間にか、飲んでたお茶のカップを置いてしまっていた。

 

「でも、私は帰りたい」

 

その言葉にハッと顔あげるツキノワ。

 

「だって向こうでやり残した事いっぱいあるもの」

 

その瞳は強くて、美しい輝きを持っていた。

 

「…そうですね。俺もやり残した事沢山あります。それに…先輩と行きたい所もいっぱいあります!何より…このアバターじゃなくて、本物の先輩の暖かさを感じたいです」

 

そう言ってツキノワは優しく、アスナの手を取り、自分の頬へ持っていく。

その目はどこか…甘えるような色をしていた。

 

「優月君…」

 

「明日奈先輩…」

 

そして2人の影は重なった。

 

 

「…明日は、一緒に迷宮区行きましょうか」

 

夜も更けてきた頃、アスナが同じベッドに入っているツキノワに、そう提案した。

 

「了解。先輩の為なら例え火の中水の中ってやつです。…一緒に最後まで頑張りましょう。そして…向こうでも、ずっと一緒にいましょうね」

 

「…うん。ずっと一緒だよ」

 

こうして、2人はキスをして、就寝したのだった。




ツキノワ君のラックが炸裂です。
S級アイテムが3つとか、エグイですね☆
ま、創作物って事で許して下さい。
それでは失礼します。
ありがとうございました。

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