ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
ネタはあったんですが、ロクアカ熱が再発しまして…。
こっちが疎かでした。すみません。
今回から74層です。
それではよろしくお願いします。
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「ふぅ…疲れた…」
ここは74層迷宮区入口。
そこから出てきたのは、和装の少年ツキノワだ。
攻略を切り上げ、街へ帰る最中なのだ。
森をのんびり歩いていると、モンスターの反応を検知する。
「数は3…それにしても、妙に小さいな…」
反応のする方へ向かうと、そこには兎がいた。
「あれは…【ラグー・ラビット】…!!!しかも3羽!?」
S級食材【ラグー・ラビット】。
SAOで最も美味しいとされる食材の1つだ。
その出現率は超激レアで、それが3羽となると、最早夢なのかと、錯覚するほどだ。
「よし…そっと…そっと…」
音を消し、気配を消した彼は、ゆっくりと近づき…そのまま…
sideツキノワ
「さぁて、どうしようかな〜♪」
ウキウキ気分が止まらない。
それもそのはず、何と【ラグー・ラビット】を3羽、全部確保したのだから。
「今日の晩飯は俺だし…やっぱシチューかな。ragoutだけに」
確か…フランス語だったかな?
まあ、それはともかく俺は今50層のエギルさんの店に向かっていた。
その時、店から誰か出てきた。
「あれ?キリト?サチも。どしたん?こんな所に」
「お!ツキノワか。久しぶりだな」
「久しぶり、ツキノワ。私達はエギルさんの所に納品に来たの」
「納品…?ああ、そういや、ここで売ってるんだっけか」
サチの作るものは主に防具、回復アイテムだ。
それ故にサチの商品は、ここエギルさんのお店か、48層【リンダース】にある、リズのお店【リズベット武具店】で、販売しているのだ。
当初は仲間内だけにしていたらしいが、ギルドの為にとサチ自身が、売り込んで置かせてもらっているのだとか。
「あの2人はそういうの妥協しないタイプだろうに…。よくやってるよ、サチは」
「ああ、サチのおかげで本当に助かってる。ありがとうな、サチ」
「そ、そんな…!///」
サチは慌てるように手を振るが、顔は隠しきれてない。
「そんなサチにはこんなプレゼントだ!」
そう言って俺は、【ラグー・ラビット】を1つあげる。
「こ、これ…!?【ラグー・ラビット】!?」
「な、なにぃ!!!?おま、これどこで!?」
「たまたま捕まえたんだよ。3羽いるから1羽やるよ」
「「さ、3羽!!!?」」
2人の動揺も仕方ないだろう。
何せこんなレア素材2度と手に入らんだろうし。
「ほ、本当にいいの…?」
「おう、サチは料理スキルコンプしてるよな?なら大丈夫だろ」
キリト…ヨダレをしまえ、ヨダレを。
「じゃあ…有難く貰うね!ありがとうツキノワ!」
「どういたしまして。美味しく食べろよ〜」
そのまま別れた俺は、そのままお店に入っていった。
「こんにちは〜」
「おう、ツキノワか。いらっしゃい」
「さっきそこで、サチ達と会いましたよ。どうですか?」
「ああ、完成度はドンドン上がってる。売れ行きもまあまあだぞ」
「へ〜そうなんですね。なら良かったです」
「そういや、アイツらが来る前にアスナ達が来たぞ?」
「え?アスナ先輩達が?」
今日アスナ先輩は、ミトと2人で、女子会とか言ってたけど…。
「女子会でここに来たんですか?」
「…それは俺も疑問だったな…」
女子会…よく分からん。
俺はフレンド機能で先輩の位置を調べると、まだこの層にいるらしい。
「まだいるみたいなんで、声掛けていきますね。それと…これ買取お願いします」
「分かった。どれどれ…」
こうして俺は当初の目的を達成してから、2人を探し始めた。
転移門広場で、直ぐに見つけた。
「先輩!ミト!」
「あれ?ツキノワ君?」
「どうしたのよツキノワ」
それぞれの反応を受けながら、俺は挨拶した。
「いや、素材売りきたらこの層にいたから、声掛けに来た」
「そうなのね」
「ところで…ミトにこれあげる」
俺はミトに【ラグー・ラビット】をあげた。
「?…【ラグー・ラビット】!!!?どうしたのよこれ!?」
「【ラグー・ラビット】!?」
先輩もトレード画面を覗こんでくる。
「3羽捕まえたからあげるよ。俺達用には確保してあるし」
アスナ先輩が、慌ててストレージを確認する。
結婚している俺達はストレージは共有されてるので、直ぐに確認出来るのだ。
「本当に入ってる…!ツキノワ君!!」
キラキラした目でこっちを見る。
「今日はシチューですよ。ragoutだけに。だから早めに帰ってきてくださいね」
「やったぁ!!!楽しみにしてるね!!!」
ニッコニコの笑顔で笑いかけてくるアスナ先輩。
可愛すぎて、心臓が辛い。
「私はどうしようかな…?」
ミトは肉を見ながら、メニューを考えている。
「じゃあミト!クラインさんに食べて貰ったら!」
「あ、アスナ!?何言ってるのよ!?///」
アスナ先輩の爆弾発言に、ミトがかなり顔を赤くする。
「そういや、どこまで進んだんだ?最近聞いてないな」
「ツキノワまで!?どこまでも何も…///」
こいつ…さてはチキってるな?
「…先輩」
「…ツキノワ君」
「あ、貴方達?どうしたの?顔が怖いわよ」
「「お話、しよっか」」
こうして急遽女子会は終了、これからは如何にクラインを堕とすか、の会議が始まった。
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「じゃあ、直ぐに用事しますね」
「お願いしまーす!」
ここはツキノワとアスナが同棲する部屋。
61層【セルムブルグ】にあるマンションの一室である。
部屋そのものも然ることながら、家具もいいものが揃っている。
基本的なレイアウトはアスナのセンスであり、テーブルや照明はツキノワのセンスである。
そんな2人のセンスの結晶でもあるこの部屋を、アスナは見渡しながら、ニコニコしていた。
「…何してんですか?」
そんな様子をツキノワは呆れた様子で聞く。
「早いね!もう終わったの?」
「はい、後は待つだけなので…SAOの料理は簡略化されすぎてつまらない。そんな事より、何してんですか?」
「ううん、ただ、これが私とツキノワ君の部屋なんだなって…嬉しくって!」
そんな事を嬉しそうに話すアスナに、ツキノワは顔を赤くしながら、そっぽを向く。
「い、何時までもそんな事言ってるんですか…!///ほら!もうできますから、早く用意手伝って!///」
「ふふっ、はーい!!」
そんなツキノワをアスナは優しく笑いかける。
そこにはとても平和な、愛おしい日常があった。
「美味かった…過去一かも…」
「はぁ…今まで頑張って生き残ってて良かった…」
シチューを完食した2人は、至福の一時を過ごしていた。
「ミトはちゃんとやったのかなぁ〜…」
「分からないわ…でも…不思議ね…」
突然、アスナがそんなことを言い出した。
「不思議って何が?」
「何か、この世界に生まれてずっと暮らしてきたみたいな…そんな気がする」
「…確かに。俺も最近、あっちの事を思い出さない日がある気がします」
そう言われて、初めてそんな事にも気づきたツキノワ。
それが、少し…寂しく感じたのか暗い顔をした。
「それに…最近はクリアだの脱出だの、血眼になるやつが減った気がする」
「ええ…今最前線で戦ってるプレイヤーなんて、500人いないんじゃないかな…」
2人はいつの間にか、飲んでたお茶のカップを置いてしまっていた。
「でも、私は帰りたい」
その言葉にハッと顔あげるツキノワ。
「だって向こうでやり残した事いっぱいあるもの」
その瞳は強くて、美しい輝きを持っていた。
「…そうですね。俺もやり残した事沢山あります。それに…先輩と行きたい所もいっぱいあります!何より…このアバターじゃなくて、本物の先輩の暖かさを感じたいです」
そう言ってツキノワは優しく、アスナの手を取り、自分の頬へ持っていく。
その目はどこか…甘えるような色をしていた。
「優月君…」
「明日奈先輩…」
そして2人の影は重なった。
「…明日は、一緒に迷宮区行きましょうか」
夜も更けてきた頃、アスナが同じベッドに入っているツキノワに、そう提案した。
「了解。先輩の為なら例え火の中水の中ってやつです。…一緒に最後まで頑張りましょう。そして…向こうでも、ずっと一緒にいましょうね」
「…うん。ずっと一緒だよ」
こうして、2人はキスをして、就寝したのだった。
ツキノワ君のラックが炸裂です。
S級アイテムが3つとか、エグイですね☆
ま、創作物って事で許して下さい。
それでは失礼します。
ありがとうございました。