ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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気づいたらSAOのストックが溜まりました。
しばらくは大丈夫かな…。
それではよろしくお願いします。


36話

sideツキノワ

 

引っ越してから暫く、色んな人が来た。

キリト達月夜の黒猫団を始め、エギルさん達、クライン達風林火山、リズやシリカなど。

そんな中、やっとキリトとサチが付き合う事になったらしい。

 

「長すぎでしたね…」

 

「本当に鈍いんだから…」

 

その話を聞いた俺達は、祝福と共に、キリトへのため息を送った。

ちなみに2人は今、22層の湖畔にあるログハウスで、暮らしているらしく、攻略もお休み中だとか。

 

「後はミトだけだね…」

 

「ですね…本当に今がチャンスだぞ…!」

 

俺達は密かにミトを、応援していた。

ゆったりとした日常を過ごす事、約12日、それは突然だった。

 

「…ん?キリト?」

 

キリトからのメッセージが来た。

 

「キリト君?どうしたの?」

 

「今すぐ来てくれって…?なんだろ?」

 

「行ってみよっか」

 

「ですね」

 

俺達はすぐに用意をして、22層のログハウスへ急いだ。

 

「キリトー!来たぞー!」

 

「しっ!…入ってくれ」

 

ノックをして呼ぶと、何故か静かにしろされる。

言われるがままに奥に行くと、そこには

 

「…女の子?」

 

「…SAOって子作り出来たっけ?」

 

「「ち、違う!///」」

 

サチに膝枕された、黒髪の女の子がそこにいた。

 

「静かにしろよ。冗談だ…それで?」

 

「実は…」

 

何でも湖畔を散歩中に出会ったらしく、記憶喪失なんだとか。

名前だけは名乗れたらしく、【ユイ】というらしい。

自分達のことをパパとママと呼び、懐いてる。

そして1番不可解なのが、カーソルが無い事と、彼女のメニュー画面に【MHCP-01】と出てきたらしい。

 

「【MHCP-01】か…」

 

「ああ、それがよく分からいんだ…」

 

全く心当たりが無い。

何かの商品番号みたいだが…?

 

「…ねぇ、はじまりの街に行ってみない?あそこって確か、児童養護施設みたいな場所あるよね」

 

「アスナ先輩ナイスです!そこに行きましょう」

 

1つ問題があるとするなら、軍の存在だが、まあいいか。

邪魔するなら蹴散らせばいい。

 

「…んん?」

 

「あ、起きちゃった?おはよう、ユイ」

 

サチの声が聞こえてきた。

どうやらユイが起きたらしい。

 

「おはよう、ユイ」

 

「おはようございます…パパ…ママ…」

 

「…本当にパパとママなのね…」

 

「ですね…ビックリです」

 

俺達はその様子をヒソヒソと話しいていると、こっちに気付いたのか、不思議そうに俺達を見ている。

 

「ああ、ユイ。紹介するよ。俺達の友達のツキノワと、アスナだ」

 

「ツキノワだ。よろしくな、ユイ」

 

「初めまして、アスナです。よろしくね、ユイちゃん」

 

俺達は腰をかがめて、出来るだけ目線を合わせてあげる。

こう見ると…2人によく似てるな〜。

 

「つゅきにょわ…あしゅな…?」

 

ああ、言いにくそうだな…特に俺の名前。

なんか猫みたいだし…。

 

「フフ、好きなように呼んでくれていいよ?」

 

その様子を可愛らしく感じたのか、アスナ先輩が嬉しそうに頭を撫でる。

 

「…お兄ちゃん?お姉ちゃん?」

 

あ、今キュンって来た。

これは…俺達にかなり効くぞ…!

 

「…!うん!お姉ちゃんだよ〜!」

 

「アスナ先輩、落ち着いて。離してあげて」

 

先輩もキュンって来たのか、それとも末っ子だから姉呼びされて嬉しかったのか、思いっきり抱きしめて、よしよししてるし。

俺の声にハッとしたのか、ゆっくり離すが、その勢いにすっかりビックリしたのか、先輩から離れて、俺の後ろに隠れてしまった。

 

「…ユイ。お姉ちゃんは怖い人じゃないからね?お兄ちゃんの1番大切な人なんだ」

 

「…?お兄ちゃんの…ママ?」

 

そう言われると、マザコンに聞こえるな。

 

「えっと…ユイのパパとママの関係って言って分かるかな…?」

 

そう言って2人を見ると、ベットに腰掛け、ユイを優しく見ている。

何となく察したのだろう、黙って頷く。

 

「いい子だ。俺の事はお兄ちゃんでいいからな?よろしくね、ユイ。ほら先輩、いつまでしょげてんの?」

 

「うぅ…ユイちゃんに嫌われた…」

 

はぁ…この人は何してるのやら…?

 

「…ユイ。お姉ちゃんの事、許してあげて?」

 

そういうと静かに近づいて、アスナ先輩に抱きつくユイ。

 

「…ごめんなさい。お姉ちゃん」

 

「…!ユイちゃん!」

 

先輩は嬉しさのあまり抱きしめるが、今回は暴走してなかった。

 

「とりあえず、明日1層に行こう」

 

「そうだね。2人共ごめんね?巻き込んで」

 

「ま、乗りかかった船ってことで。先輩!そろそろ帰りますよ!」

 

そうして俺達は明日、1層に行く事にしたのだった。

 

 

次の日、1層に来た俺達だったが、あまりにも閑散としていた。

 

「…妙だな」

 

「ああ、ここにはまだ大勢のプレイヤーが、いるはず」

 

俺とキリトが、あまりの静けさに首を捻っていると

 

「子供達を返してください!!!」

 

突然、悲鳴じみた声が響いた。

 

「「「「!」」」」

 

俺達は慌ててそっちに駆けつけると、軍の連中が、子供に寄ってたかって何かしていた。

 

「あんたら相当上納金、滞納してたでしょ。こいつらの持ってた金だけじゃ足りないね〜」

 

「だから、こいつらの武器も取り上げさせてもらった」

 

…どこまで腐ってやがんだ、コイツら。

 

「…先輩」

 

「ええ、キリト君とサチはユイちゃんを」

 

俺と先輩は、一気に駆け出して、集団をまとめて飛び越える。

 

「もう大丈夫よ。武器を戻して」

 

後ろの子供達は先輩に任せよう。

俺は目の前のバカ共を、シバく。

 

「おいおいおい、何なんだお前ら!?」

 

「我々軍の任務を妨害する気か!?」

 

チッ…雑魚共が、よく吠える。

 

「…はぁ」

 

俺はため息を1つつくと

 

「シッ!」

 

全速の抜刀術で切り払う。

 

「ギャア!?」

 

圏内戦闘特有のノックバックが、そいつを吹っ飛ばす。

 

「…安心しろ、圏内戦闘は死なない。ノックバックが発生するぐらいだ。だから…地獄の恐怖を教えてやるよ」

 

そのまま俺は、全員を細々に切り刻んだ。

もちろん比喩だが、あいつらは本気で死ぬほど怖かっただろうな。

まあ、知った事じゃないけど。

そのまま俺達は施設まで来たのだが、手掛かりはなく。

それどころか、何故か軍の【ユリエール】から持ち込まれた、面倒事を片付けていた。

 

「なんでこんな事に…」

 

「いいから!ほら来たぞ!」

 

ここは黒鉄宮の奥にあった、ダンジョンだ。

そこに嵌められた【シンカー】というプレイヤーを助けに来たのだ。

そのダンジョンで待ち受けていたのが、【スカベンジ・トート】というカエルの大軍だ。

まあ、相当弱い。

一撃で倒せるぐらいなのだが…

 

「とにかくキモイ!あとうるさい!」

 

俺は叫びながら、キリトと共に何とか殲滅したのだった。

 

「何だよこの【スカベンジ・トートの肉】って…カエルの足じゃんか。気持ち悪い。やるよ」

 

「いいのか!?ありがとつ!」

 

「おう、カエルの肉押し付けて喜ばれるとは、思わなかったぞ」

 

そう言って俺は全部キリトにあげた。

あ、キリトとサチがアホな事してる。

 

「笑った!お姉ちゃん、初めて笑った!」

 

よく見ると、ユリエールがその光景を見て笑っていた。

それを見てもっと嬉しそうに笑っているユイ。

俺達はそんな2人を見ながら、先に進んだ。

程なくして、シンカーがいると思しき場所に着いたのだが

 

「シンカー!」

 

「ユリエール!来ちゃダメだー!!!」

 

来ちゃダメって何が…!?

何だ、何が来る!?

 

「「クソ!!」」

 

俺とキリトが駆け出し、俺がユリエールを引っ張り寄せ、キリトが鎌の一撃をいなす。

 

「ッ!?サチ!ユリエールさんとユイちゃんを!」

 

「う、うん!さあこっち!」

 

すぐにアスナ先輩も駆けつける。

そこにいるのは、大型の鎌を持った黒衣の死神。

識別スキルで、ステータスが見えない。

おそらくは90層クラスの化け物。

そいつの名は【The Fatal Scythe】。

 

outside

 

ツキノワとキリトはすぐに決断した。

叶わない…逃げる。

 

「アスナ先輩!先に転移結晶で、皆を連れて逃げて!」

 

「そんな!?ツキノワ君達は!?」

 

「俺達は時間を稼ぐ!!速く!!」

 

アスナは一瞬迷った後、逃げるのでなく、ツキノワ達の元へ向かった。

大振りの一撃を放つモンスターに、3人がかりで、防いだが

 

「「ガアァァァァァ!?」」

 

「キャァァァァ!?」

 

攻略組きっての実力者3人が、まとめて吹き飛ばされる。

そのHPは、半分近く減らされていた。

 

「嘘…!?」

 

「クッソ…!」

 

「マジ…かよ…!?」

 

いよいよ絶体絶命かと思ったその時、

 

「ユイ!ダメ!」

 

「お2人共!?行っては!?」

 

ユイが突然、彼らの前に立つ。

 

「ユイ…ちゃん…!?」

 

「馬鹿野郎!?早く戻っ」

 

「大丈夫だよ、パパ。ママ。お兄ちゃん。お姉ちゃん」

 

そう言って振り下ろされた鎌が当たった瞬間、表示される【IMMORTAL OBJECT】の文字。

 

「破壊不能…オブジェクトだと?」

 

そこままユイは、巨大な炎の剣を生み出して、【The Fatal Scythe】を、鎌ごと両断してみせた。

 

「「「「…」」」」

 

あまりの光景に、誰も何も言えなくなる。

 

「パパ、ママ。…全部思い出したよ」

 

そんなユイは、今までにないくらいしっかりとしていて。

その顔は、とても悲しそうな笑顔をしていた。




前から思っていたのですが、ユイってアスナよりサチに似てる気が…。
ですので、ここではツキノワとアスナではなく、キリトとサチにしました。
まあ、あくまで個人的感想ですので、気にしないでください。
それでは失礼します。
ありがとうございました。

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