ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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本編では、アスナが言うセリフを、ツキノワに言わせました。
彼も大人のような反応をしていても、子供であることには変わらない。
そういうちょっと弱い一面を、感じていただけたらなと思います。
それではよろしくお願いします。


38話

sideツキノワ

 

「偵察隊全滅って、どういうことですか」

 

俺はグランザムについて早々、ヒースクリフに尋ねる。

 

「…来るボス戦に備え、我々は5ギルド合同で20名の偵察隊を組んだ。しかし最初の10名が入り、ボスが出現した途端、扉が閉まってしまったのだ。そして5分後、再び開いた時には、何も無かったのだよ」

 

「【生命の碑】を確認したけど、10名全員の死亡が確認されたわ…」

 

結晶無効化エリアか…!

 

「これを理由に攻略を止めることは出来ない。故に我々は、出来る限りの大隊を組んで当たる他ない」

 

「ツキノワ、アスナ…ごめんなさい…!貴方達の力を貸して…!」

 

「協力はします。…でも、俺はパーティより、アスナ先輩とミトが大事です。2人に何かあるなら、俺は2人を優先します」

 

これだけは譲れない。

何があっても、2人は…!

 

「…フッ。なにか守るものを持つ者は強い。君の実力に期待する」

 

そう笑うヒースクリフは、何故か不敵な笑みを浮かべていた。

俺達は一礼して、会議室出た。

 

「…」

 

「あと3時間、何しようか?」

 

アスナ先輩の言葉に返事をする余裕も、今の俺には無い。

頭を埋め尽くすのは、悪い予感と最悪の光景。

もし…もし…もし…!

 

「…大丈夫だよ」

 

不意に頬を手で挟まれ、強引に顔を上げさせられる。

目の前には強く、そして優しいアスナ先輩の笑顔。

 

「…先…輩…」

 

「勝てる…勝てるよ。私達は勝てる。だから…顔を上げて?」

 

「…先輩、俺達のリアルの体って、どうなってるのかな?」

 

俺はある時、ふと思い出したのだ。

ゲームが始まって数週間がたった頃、突然回線切断されたのだ。

それは全プレイヤーがそうだったらしく、俺がなってから暫くして、キリトがそうなった。

ちなみにこの時、俺とキリトは狩りに出ていて、戦ってる最中に突然落ちたのだ。

キリトの騒ぎっぷりはすごく、また俺の苦労もすごかった。

それはいいとして…

 

「多分俺達は、病院に搬送されてるんだと思います。そして今は、病院のベットの上だと思います」

 

「…まさか…」

 

先輩も何が言いたいか気づいたらしい。

 

「点滴のチューブだらけの俺達だろうけど、そう長くは持たないはず」

 

つまり、クリアしようがしまいが、タイムリミットは存在するって事だ。

俺は思わず先輩に泣きつく。

 

「嫌だよ…先輩…!俺、先輩とずっと一緒にいたい!向こうでも、本当にデートしたい!結婚したい!最期の時まで、一緒にいたいよ…!」

 

みっともないし、女々しいにも程がある。

でも…これは俺の本心。

 

「そうだね。私もそう。逃げたいって気持ちがある。2人であの桜の綺麗な家で、ずっと一緒に暮らしたい。でもね…ううん、だからこそ、戦わないといけないの。戦わないと、何も未来は掴めないの。だからお願い…立って?」

 

…そうだ、ここで泣いても何も変わらない。

怖くても、前に進むしかないんだ…!

 

「…ありがとう、先輩。俺は、戦います。先輩、一緒に来てくれますか?」

 

「うん、私がツキノワ君を守るよ!」

 

「…だったら俺は、先輩を守ります」

 

俺達は決意を新たに、集合場所である転移門広場に向かったのだった。

 

outside

 

ツキノワ達がついて早々、ある人物達が話しかけてきた。

 

「ツキノワ、アスナ」

 

「キリト。黒猫団のみんなも」

 

キリトが所属する、月夜の黒猫団の面々だ。

その中には、あまり前線に出てこないサチの姿もあり、アスナが不思議そうにする。

 

「サチも参加なの?」

 

「ううん。私は見送り。…私じゃ、皆の足を引っ張るだけだし。2人もこれ、使って」

 

サチが差し出したのは、サチが作ったポーションの数々だった。

店売りより性能がいいので、重宝する。

 

「ありがとう、有難く使うよ」

 

「ええ、サチだって形は違えど、私達と一緒に戦ってくれてるのよ。だから、私達に任せて」

 

2人の言葉に嬉しそうに笑うサチ。

そんな彼らに、再び声がかかる。

 

「おーおー!若者達は仲良いな!」

 

「おう、お前ら。今回は俺も参加だ。よろしく頼む」

 

「クラインさんに、風林火山の皆さんも」

 

「エギルさんに、ツーハンデット·ビルダーズの皆さんも」

 

新たな頼もしい援軍に、つい笑みを浮かべるツキノワ。

そんなツキノワを見て

 

「ツキノワ、話がある」

 

「?はい?」

 

クラインはツキノワを少し外れに連れてき、真面目に話を切り出した。

 

「…俺、ミトに告白された」

 

「…はぁ!?やっと!?」

 

ツキノワが目を見開く。

苦節約1年、ミトがやっと勇気を出したのだ。

 

「それで…返事を待ってもらってる状況だ」

 

「は?何それ。切り刻みますよ」

 

あまりの発言に、ドスの効いた声で脅すツキノワ。

 

「怖いわ!…そこで何だが、俺はミトの告白を受けようと思う。まずはそのことを身内のお前に、報告しようかと思ってな」

 

やっと訪れたミトの春の訪れに、ツキノワは嬉しそうに笑う。

そうこうしてるうちに、ヒースクリフが回廊結晶を取りだし、ボス部屋前まで飛ぶ。

皆が来たのを確認して

 

「諸君、それでは行こう。解放の日の為に!」

 

「「「「「「おぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」」

 

 

sideツキノワ

 

皆が雄叫びをあげる中、俺はただそれを聞いているだけだった。

必ず生き残る、そう言い聞かせながら。

 

「…ツキノワ君。大丈夫だよ」

 

先輩が優しく、俺の手を握ってくれる。

その温かさが、俺の焦りを溶かしてくれる気がした。

 

「ツキノワ」

 

近づいてくるのはミトだ。

少しだけ笑ったミトは

 

「いつも通りにやるわよ。ツキノワ」

 

「…ああ、やろう。ミト」

 

これまでの会議の時みたいな感じで、俺の背中を叩く。

これだから…姉には叶わないんだ。

 

「そろそろ開くわね。2人共、今回も生き残るわよ」

 

そう言い残して立ち去るミトを見送り、深呼吸を1つ。

もう大丈夫、やれる。

決意を胸に、俺達は一斉にボス部屋に乗り込む。

中は真っ暗で、何もいない。

全神経を集中させ、周囲を見渡す。

右も左もどこにも…いや、気配はする。

 

「「…ッ!上!!」」

 

俺と先輩が同時に声を上げ、上を見上げる。

その時、真っ赤に光る目と視線が合う。

そのままそいつは落ちてきて、部屋に明かりが灯される。

全身骸骨のムカデのようなモンスターを認識した途端、ボス部屋の扉が閉まる。

 

「全隊!距離を取れ!!」

 

ヒースクリフの冷静な指示に、全員が一斉に動き出す。

しかし逃げ遅れたタンク隊の奴らが2人、もたついている。

 

「おい!急げ!」

 

キリトの悲鳴じみた声が響くも間に合わず、ボスの攻撃を受けてしまい、2人が吹っ飛ばされる。

 

「クソ!」

 

「間に合え!」

 

俺とキリトが慌てて2人を受け止めようと身構えて、目の前に来た瞬間、2人はポリゴン状に砕け散った。

 

「…は?」

 

「嘘…だろ?」

 

誰も何も言えなかった。

いくら無防備だったとはいえ、攻略組のタンク隊が一撃で死んだ。

 

「これほどのボスかよ…!」

 

かつてない強いボスの登場に、俺は震える手を強引に押さえつけるしか出来なかった。

そんな75層…3つ目のクォーターポイントのボスの名は、【The Skull Reaper】。




ツキノワ達がユイの事に付きっきりなってるうちに、ミトがクラインに告白しました。
どうなるのか…そのうち明かします。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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