ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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タイトルがシンプルな理由ですか?
センスがないからです。
それではよろしくお願いします。
ここから少しづつ個人視点で書いてみようと思います。



5話

sideツキノワ

 

デスゲーム宣言から1ヶ月がたった。

その間にひたすら牛を狩ったり、虫を狩ったり、亜人を狩ったり、時には人が死んだ瞬間を見たり、かなりハードな1ヶ月だった。

なんでも1ヶ月で2000人ぐらい死んだらしい。

ここまで数人の死を見てきたがそろそろ慣れてきてしまった。

その事に自分が怖くて仕方なくなって、あまり眠れず夜にこっそり狩りに行くことが増えた。

そして朝方には、素振りや型の稽古みたいな事をして、ずっと剣を握っていた。

そんな姿をキリトに見られ、1回睡眠毒で強制睡眠させられた事もある。

その時のキリトの顔は、申し訳なさで泣きじゃくりそうだったため、少なくとも夜中のレベリングは少し自制し、控えるようになった。

そんな俺は今、

 

「はぁ〜…癒される…」

 

農家の2階を割り勘で借りて、備え付けの風呂で朝風呂を堪能している。

何故って?稽古の汗を流しているのだ。

実は風呂好きの俺は、この1ヶ月ほど風呂という存在を諦めていた。

だがキリトのおかげでこうして風呂に浸かってられるのだ。

もうキリト様々だ。

 

「お〜い、まだか〜?そろそろ行こうぜ」

 

外から急かしてくるキリトにまったりとした声で

 

「あと5分… 」

 

と返すと

 

「そう言って30 分は出なかったろ!?早く行くぞ!」

 

怒られた。

その時の事を思い出し、ため息をひとつつく俺は

 

「分かった分かった、今出るよ」

 

そうして風呂から出て装備を整えてから風呂場を出る。

 

「ほい、準備完了。いつでも行けるぞ」

 

暇そうにするキリトに声をかける。

 

「よし!じゃあ行くぞ!迷宮区!」

 

「4時に中央広場で攻略会議だったな」

 

「ああ。それまでに戻れる範囲でレベリングだ」

 

キリトと行動予定を確認し合い、

 

「今日も生きて帰るぞ、兄弟(ブラザー)

 

「ああ、絶対に帰るぞ、兄弟(ブラザー)

 

お互いの拳をぶつけあった。

 

outside

 

壁に引っ掛けられた松明がユラユラと揺れる不安定な影を生む。

その影はかなりの速さで駆け抜け、その後を鎧を装備した2体の人型モンスターが追いかける。

少し離れすぎたと思った途端、紫色の髪をした少年はピックを取りだし全力で投げつける。

的確に鎧の隙間を抜けたピックは、ピンポイントで中に当たりモンスターを仰け反らせる。

その隙だらけの姿を見て

 

「スイッチ!」

 

と叫ぶ。

その瞬間、その横を通り過ぎる黒い影。

その影は黒髪の少年で、先程の少年より小柄だが歳は近いだろう。

その速度を落とさずに剣を引き抜き構える。

その瞬間

 

「ハァ!」

 

まるで銃弾ように駆け抜け、モンスターの一体をソードスキル【ソニックリープ】で真っ二つにする。

だが、モンスターはもう一体いる。

体勢を整えたモンスターは、黒髪の少年に斧を振り下ろそうとする。

だが黒髪の少年はただ冷静に見てるだけだ。

何故なら

 

「シッ!」

 

紫色の髪をした少年が、剣線に入り斧を弾き飛ばしたのだ。

またもや大きく体勢を崩したモンスター。

そしてその隙を的確かつ冷静に

 

「…ザァ!」

 

ソードスキル【リーパー】で首を切り落とし消滅させた。

そして剣をしまいながら

 

「お疲れ、キリト」

 

「お疲れ、ツキノワ。そろそろコボルト戦も慣れてきたか?」

 

黒髪の少年キリトと、紫色の髪をした少年ツキノワはお互いを労っていた。

 

「ああ、だいぶな。俺が斧をかちあげた時点で本来スイッチをすればいいんだろ?」

 

「ああ、基本はそうだ。ただ今回みたいに自分でいける時はいってくれて構わないな」

 

「了解」

 

同時に戦闘分析をしつつ、周囲の警戒をしていた。

 

「…少し少なくないか?」

 

「やっぱりツキノワもそう思うか?俺もそんな気がしてたんだ」

 

モンスターの少なさに疑問に思いつつ警戒していると、何か音が聞こえてきた。

 

「?これは…戦闘音?」

 

「え?聞こえるか?そんなの」

 

どうやら聞こえるのはツキノワだけだったらしく、キリトは不思議そうにする。

 

「こっちだ。行こう」

 

そうしてそっちの方に走り出すツキノワとキリト。

そして進むにつれキリトの耳にも音が聞こて来る。

 

「本当だな。急ごう!」

 

「ああ!」

 

お互い走り抜けたその先には、

 

「ハァァァ!」

 

まるで流星のように美しいソードスキルを使って戦う、女性プレイヤーがいた。

コボルトの攻撃を的確に避け、その隙を正確無比のソードスキル【リニアー】で貫く。

その戦い方は美しく思わず

 

「「……」」

 

2人揃って見惚れていた。

ただツキノワは見惚れていただけではなく、同時に疑問にも思っていた。

 

(この人…この動き…どこかで見た事ある様な)

 

そんな事を考えていた。そうして考え込んでいると

 

「今のはオーバーキルだよ。通常攻撃1発で倒せたはずだ」

 

気づいたら戦闘が終わってたらしく、キリトが話しかけていた。

「…それの何が悪いの?」

 

疲れ切っているのだろう、気だるそうな声だった。

その声に

 

(やっぱり聞いた事ある気がするぞ、この声)

 

ツキノワはそう思っていた。

さらに思考に沈んでいると

 

「悪くは無いけど、疲れるだろ?ダンジョンを抜けるだけでも1時間はかかるし、さらに最寄りの街まで30分はかかる」

 

デメリットを説明していると

 

「…なら大丈夫。私、帰らないから」

 

など言い出した。

 

「「はぁ?」」

 

思わず声が被る。

無理もない、街に帰らないと言い出したのだから。

 

「いや!?ポーションとか武器のメンテは!?」

 

驚くキリトに対し

 

「当たらなければ回復する必要は無いし、武器も同じものを5本買ってきた。それよりももういかしら?そろそろリポップするだろうし」

 

そう言ってふらつきながらさらに進もうとする。

 

「ちょ、ちょっと待てよあんた!そんな状態で行ったら死ぬぞ!?」

 

慌てて腕を掴んで止めるツキノワ。

ここで初めて、あちらはツキノワを認識したのだろう。

驚いてこっちを見ながら黙り込んでいた。

というより、唖然としていたと言った方が正解なのだろうか。

ピタリと固まってしまった彼女に対し困惑しながら

 

「あの〜、大丈夫?」

 

顔の前で手を振って確認をとるツキノワ。

すると

 

「…優月君?」

 

掠れた声で本名を呼ばれた。

思わず

 

「は?」

 

とつぶやくツキノワ。

やがてフードの下の顔を覗き込むと、今度は彼が固まってしまった。

それは想定外だった。

いるとは思ってなかった人物が、そこにはいたからだった。

 

「…明日奈先輩?」

 

今度はツキノワが、掠れた声で女性の本名を呼んだ。

そう、この赤ずきんの正体は、姉である兔沢深澄の親友である結城明日奈だった。

そしてお互い正体が分かった途端

 

「…っ!優月…君!」

 

と言って泣きじゃくりながら抱き着いてくる明日奈改め【アスナ】。

その事に驚きながらも、しっかり抱きとめるツキノワ。

 

「私…私!うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

ダンジョン中に響き渡るのではないかというほど、大泣きするアスナ。

その背中を

 

「大丈夫。大丈夫ですよ。俺たちがいますから」

 

そう言いながら優しく背中を撫でるツキノワ。

そして

 

「…俺、どうすればいいの?」

 

本気で困惑するキリトという、カオスな空間が出来上がっていた。

 

sideアスナ

 

ミトに、親友に見捨てられた。

デスゲームが始まってからずっと一緒にいた、親友のミトこと兔沢深澄。

ある時、リトルネペントを狩っていた時、突然

 

「1層じゃ滅多に出ないレアキャラがいた!レアアイテムをドロップするかもしれないからここで倒しておきたい!」

 

そう言い出した。

こっちも順調だったので

 

「分かった!こっちは任せて!気をつけてね!」

 

そう言って送り出した。

少しして戻ってきた時には、ほぼ狩り終えていた。

そして目の前の敵を倒そうとした瞬間

 

「待って!ダメ、アスナ!」

 

突然止めようとするミト。

 

「え?」

 

その瞬間ソードスキルが暴発してしまった。

目の前の敵を倒した時見えたのは、実付きのリトルネペントだった。

それを認識した時ミトの警告が頭をよぎった。

 

「実付きを攻撃したらダメよ。煙が吹き出して、大量のリトルネペントを呼び寄せてしまうの」

 

そう言われたのを思い出したが、止められずそのまま実を貫いてしまった。

その瞬間、ブシューーー!!!と吹き出す煙。

そのまま大量のリトルネペントに襲われた。

 

「アスナ!!」

 

ミトも最初は、アスナを助けようと懸命に鎌を振るっていたが突然

 

「あ!?」

 

崖から落ちてしまったのだ。

 

「ミト!?」

 

その事に驚きながらも、目の前の大群に対応せざるを得なくされた。

自分のHPが赤になった時、突然ミトがパーティを解散した。

 

「…え?ミト?」

 

何で?どうして?

そんな疑問を浮かべながらも分かったのは1つ。

1人でどうにかしないと死ぬ、という現実だけだった。

 

「…あぁァァァァァァ!!!」

 

そこからはがむしゃらだった。

ただひたすら目の前の敵を貫いた。

貫いて、貫いて、貫いて、貫いて、貫いた結果、残り数ドットという所で何とか全滅させた。

そのまま命からがら村にたどり着き、気づいたら宿に転がり込んだ。

そのままベッドに倒れ込み考える。

何でパーティを解散したのか、何で助けに来てくれなかったのか。

 

「…ねぇ、何でなの、ミト…?」

 

そして見捨てられたという事実に泣きじゃくりながら気づいたら寝落ちしていた。

次の日、装備やアイテムを整えて外に出た時、2000人くらい死んだという話を聞いた。

その事がショックでしゃがみ込んでしまう。

そんな私に冷たい雨が降り注ぐ。

 

「…もう、生き方なんて選べない」

 

だってここから出られる訳ないんだから。

でも

 

「…でも死に方くらいなら選べる」

 

この世界には負けたくない。

最後まで私が私らしくいるために。

たとえその結果、モンスターに殺されるかもしれないとしても、ここで腐っていくのはごめんだ。

そう思い装備を整えた。

そしてそのまま迷宮区に潜り込み狩りを始めた。

 

3日目か4日目がたった頃、突然1人のプレイヤーに話しかけられた。

何でもオーバーキルだとか何とか。

 

「…それの何が悪いの?」

 

流石に疲れており、気だるそうな声で返した。

そのまま何か理屈を捏ねていたがほとんど聞き流し、先に進もうとした。

その時だった

 

「ちょ、ちょっと待てよあんた!そんな状態で行ったら死ぬぞ!?」

 

誰かが私の腕を掴んで止めた。

どうやらもう1人いたようだ。

気づかなかったが、今はそれよりその腕を掴んだ男から目を離せなかった。

何故ならその男の事を知っていたからだ。

ミトと同じ紫色の髪に赤い目。

この子はこの目を密かに気に入っていると言っていた。

同年代に比べてかなり身長があり、体格も見た目よりしっかりしている。

そう、この子の名前は

 

「…優月君?」

 

そう、ミトの、深澄の弟の兔沢優月だ。

彼も本名を言われ驚いたのか、固まっていると突然こちらを覗き込んできた。

 

(あ、目が合った)

 

等と考えると恐る恐ると言った感じで

 

「…明日奈先輩?」

 

と言ってきた。

あぁ、ずっと張っていた気が緩んでしまう。

末っ子である自分にとって、まるで弟の様に可愛がってきた子がここにいる。

もう限界だった。

そのまま彼に泣きついてしまった。

そして恥も外聞もなく泣きじゃくり、穏やかな声と優しく撫でられる背中に導かれるように、そのまま気を失ってしまった。




という訳でヒロインアスナの登場です。
このままオリ主に向けていくのはかなり難しい予感がします。
そしてミトは中々出てきません。
中々出せなくてすみません。
次回あたりから出します。
次回あたりで1回オリジナル話を入れます。
そして戦闘描写難しいですね!

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