ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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お久しぶりです。
よろしくお願いします。


45話

sideツキノワ

 

「…遅い!」

 

【SBCグロッケン】にある、【総督府】と呼ばれる建物。

ここで今日の17時まで、GGOのトーナメント【BoB(Bullet of Bullets)】のエントリーが行われる。

なのだが…

 

「シノンとキリトは、何してやがる!」

 

出場予定のシノンとキリトが、まだ来ないのだ。

もう時間ギリギリだぞ…!

そう焦っていると、向こうの方から、見慣れた水色の髪の少女と、()()()()()

 

「シノン!遅い!…で?その子は?」

 

「ごめんなさい!この子の面倒見てたら、遅くなっちゃって…!とにかく先にエントリー済ませるわ!貴女も急いで!」

 

「は、はい!」

 

2人は慌ててエントリーを済ませる。

 

「ふぅ…ギリギリだったわね。ああ、紹介するね。コイツはツキノワ。私のパートナーで、こんな見た目でも男よ。ツキノワ。この子は…名前聞いてないわね。なんて言うの?」

 

「ええっと…()()()()…です…」

 

…え?今なんて言った?

()()()だと?

 

「…ちょっと来て」

 

「はい…」

 

俺はシノンを無視して、キリトの腕を引き、連行する。

 

「…お前、()()()だろ」

 

「…ツキノワだよな?」

 

「なにしてんの!?もしかして何も言ってないの!?」

 

「いや…だって…ナンパだと思われるのも…!それだったら、このまま利用しちゃおうかと…」

 

「バカか!後で絶対にバレるんだぞ!?本当にバカかお前は!?」

 

俺はキリトを説教して、シノンの前に出させる。

その様子を不思議そうに見るシノン。

 

「ええっと…実は…ごめんなさい!」

 

キリトは自分のアバターカードを可視化して、シノンの前に突き出す。

 

「え?ええっと…kirito…()!?嘘!?その見た目…だもんね…」

 

「おい、俺を見て納得すんな。まあなんだ、こいつ俺の知り合いなんだよ。悪気あった訳じゃないんだ。すまん」

 

俺も一緒に謝る。

特に何か不利益をこうむった訳では無かったのか、何事もなく了承された。

 

 

outside

 

エントリーを済ませたツキノワ達は、そのまま待機ルームに着いた。

 

「ツキノワは何ブロックなんだ?」

 

「Eだけど。2人はFなんだよな」

 

「ええ。当たるとしたら決勝ね」

 

そう聞くと、ツキノワはどこか、安心したように息を吐く。

 

「ツキノワ?」

 

「いや、BoBは決勝まで行けば本戦への出場は決定だから。2人は順当に勝ち進めば、両方とも本戦出場出来るって事」

 

ツキノワがそう説明すると、キリトは納得したように頷く。

 

「ま、生き残ればって話しよ。そしてもし生き残っても、私が教えてあげる。…敗北を告げる、弾丸の味を」

 

シノンの挑発的な一言を受けたキリトは、逆に不敵な笑みを浮かべて

 

「…へぇ。それは楽しみだね」

 

逆に挑発を仕返した。

睨み合い2人を尻目に、ツキノワは対戦相手を考える。

 

(大抵の奴らはなんとかなるが…問題は【闇風】だな)

 

闇風とはGGOトッププレイヤーの1人で、前回BoBの準優勝者だ。

とにかくAGTを極振りしたこの男は、とにかく速い。

1度動きだしたこの男を捉えるのは、至難の業だ。

 

(幸い決勝で当たるから、負けても問題ないが…それ抜きにしても、やるからには勝ちたいしな…)

 

そんな事を考えていると、突然ツキノワの体が光り出す。

 

「お、始まったか。行ってくるわ」

 

ツキノワはそのままワープして、待機ポイントでカウントダウンを見ている。

 

「対戦相手は…【赤兎馬丸】?初めて聞いたな」

 

とにかくツキノワは装備を整えて、フィールドに飛ぶのを待つ。

飛ばされたのは、市街地だ。

 

「やれやれ…殺りますか」

 

ツキノワはフィールドを走り出す。

曲がり角に警戒しつつ、出来るだけフィールド全体…特に裏道や抜け道を知ろうと、キョロキョロしながら走る。

だから恐らく、運が良かったのだろう。

曲がり角を曲がった瞬間

 

「〜〜〜ッ!?」

 

「ヒャッハーーーーーー!!!」

 

機関銃の弾幕を避けられたのは。

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!

 

「オラオラオラオラ〜!!!」

 

「チッ…トリガーハッピーかよ」

 

(あういうのが、リアルだととんでもない陰キャだったりするんだよな…)

 

ツキノワはそんな現実逃避もそこそこに、路地裏に目をつける。

 

「…とりま行ってみますか」

 

ツキノワはすぐそこの路地裏に入り込み、そっと覗き込むと

 

「…いや、マジか」

 

全くのノーマーク。

チラリともしない。

 

「…脳筋バカめ」

 

ツキノワはフルオートから単発に切り替えて、そっとスコープで覗き込んで

 

「…チェックシックスだぜ、脳筋くん」

 

パンッ!

 

シックスどころかワンチェックもしてない、おバカさんの脳天を撃ち抜いたのだった。

 

「…ふぅ。やれやれだ」

 

無事初戦を勝ち抜いたツキノワは、ぶらりとエントランスを散歩していると、顔色真っ青のキリトを見つける。

 

「キリト!?どうした!?何があった!?」

 

慌てて駆けつけると

 

「つ、ツキノワ…あい、あいつら…ら、ラフコフが…!?」

 

「…は?」

 

イマ、ナンテイッタ?

…ラフコフ…だと?

 

「ラフコフって…あいつらか!?【笑う棺桶(ラフィン·コフィン)】か!?」

 

ツキノワがそれを問い詰めようとした時、キリトの試合がマッチングされ、いなくなってしまう。

そこにシノンが近づいてくる。

 

「お疲れ様。…どうしたのよ、その顔」

 

「いや…ちょっとな…」

 

そう言いながらツキノワは、スクリーンを見上げる。

そこには、鬼気迫るような迫力と共に、フォトンソードで弾丸を払いながら駆け抜け、そのまま横凪に薙ぎ払うキリトがいた。

そんな時、ツキノワも光り出す。

 

「お、俺の2回戦だな。行ってくる」

 

ツキノワの次の相手は【ザビエル】。

このプレイヤーには、覚えがあった。

アサルトライフルを主武装とし、ハンドガンとナイフを副武装とする、典型的なバトルスタイルだ。

 

(キリトに出来るなら、俺だって…)

 

ツキノワは何気なくフォトンソードを撫でながら、スタートする。

今度は森林ステージだった。

お互い中距離武器、なんならザビエルの方が火力が高い為、有利だ。

お互いある程度は近づかなくてはいけなく、それ故に鉢合わせの遭遇戦になるのは、致し方なかった。

唯一ツキノワにとっての誤算は

 

「なんだよあれ…!硬すぎんだろ!」

 

ザビエルの防御力が高すぎるのだ。

何やらヘンテコな壁を、用意してきたのだ。

機動力を殺し、待ち構えるスタイル。

 

(俺がサブマシンガン使いだと、見越しての戦い方か!?)

 

崖を背にして構えるその姿は、まるで要塞。

当然背後を取られるような、マヌケはしないだろう。

ツキノワは自分の武装を確認する。

その中に使えそうなのは手榴弾弾くらいであり、さて、どうすれば?と悩んでいると、さっきの光景を思い出す。

 

「弾道予測線を予測する…」

 

そうしてツキノワは、フォトンソードを手に取り、一気に駆けだす。

弾道予測線が、ツキノワの体を赤く染める。

それに合わせて、あとはタイミングを見極め、剣を振る。

 

「な…にぃ!?」

 

自分の撃った銃弾が、尽く切り伏せられ、慌てるザビエル。

弾切れを起こした瞬間、ツキノワはグレネードを投げつける。

その目標は、上の崖。

 

ドガァン!

 

爆発音と共に、崖が崩れて瓦礫が落ちてくる。

 

「うわぁ!?」

 

慌てて逃げ出すザビエルにむかって

 

「くらえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

そのままフォトンソードで、貫くツキノワ。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

そのまま気合一閃、横凪に切り払うツキノワ。

こうして2回戦も無事に突破したのだった。

 

side優月

 

結局俺は、決勝で闇風相手に負けた。

流石にGGO最速クラスの速さと経験には、反応は出来てもジリ貧になり、押し込まれてしまった。

後で聞いた話だが、キリトはシノン相手に勝ったらしい。

 

「結局、ラフコフは出てこなかったな」

 

和人が見たラフコフメンバーは、一体誰なのだろうか。

そう思いながらバイクを走らせ、俺は家に帰った。

 

「ただいま〜…?」

 

女物の靴が幾つかある。

その内2足には、見覚えあり。

その内1足はいつも見ている深澄の靴で、もう1足は、明日奈先輩だ。

では残りは…?

そう思いながら、リビングのドアを開けると

 

「あら、おかえり優月」

 

「お邪魔してるわよ、優月!」

 

「お久しぶりです!優月さん!」

 

「こんにちは!優月さん!」

 

「お邪魔してるね、優月」

 

中には深澄を始め、里香、珪子、直葉、千笑がいた。

要は女子会か?

 

「おっす、久しぶりみんな。今日は女子会?」

 

「うん、そうだよ」

 

後ろから声をかけてきたのは、明日奈先輩だ。

 

「おかえり、優月君」

 

「ただいま、明日奈先輩」

 

殺伐とした場所にいたからか、先輩を見た瞬間、どうにも体から力が抜けかけた。

それを強引に踏ん張って笑いかけると

 

「ほう〜『おかえり』だって、深澄!」

 

「そうね。すっかり新婚さんかしら?」

 

「っ!?///ふ、2人共!///」

 

里香と深澄が先輩を明日奈からかい、それを皆が笑う。

それを見ながら、俺は千笑に耳打ちする。

 

「千笑、和人が少し精神的に弱ってるかもだから、気にしてあげて」

 

「っ!…分かった。ありがとう」

 

その直後、千笑のスマホが鳴る。

 

「…私、そろそろ帰るね。呼ばれちゃった」

 

「呼ばれた?誰に?」

 

「…和人///」

 

顔を赤くする千笑に、少しだけ羨ましそうな顔をする珪子と直葉。

そして一瞬だけ羨ましそうな顔をしたが、すぐに持ち直して茶化しだす里香。

その様子を3人は、少しだけ引きつった顔で見ていた。

 

「私も帰ろうかな。そろそろ門限近いし」

 

「じゃあ、送っていきます。深澄、行ってくる」

 

それを皮切りに、それぞれ帰り支度を整えだし、帰路に着く。

 

「…ねぇ、優月君。何かあった?」

 

「…」

 

その言葉に、すぐに返事が出来なかったことを、俺は後悔した。

本音を言えば助けて欲しい。

でも、既に賽は投げられた。

進むことも退くことも出来るが、後追いは出来ない。

俺と和人、2人しか戦えない。

だから俺は…

 

「…大丈夫、何にもないですよ」

 

そう強がることしか出来なかった。

 

「そっか…」

 

「…明日、和人と一緒に、GGOの試合に出るんですが、もし良かったら応援してください。ALOでも見れるはずなので」

 

「っ!うん!精一杯応援するね!」

 

2人は手を繋いで、楽しそうに夕焼けに染る道を歩くのだった。




もう、仕事が本当にいそがしくて…。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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