ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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非常に嬉しい応援がありました。
ご指摘のコメントも嬉しいですが、応援コメントも嬉しいものですね。
ありがとうございます。
それではよろしくお願いします。


46話

outside

 

「「…」」

 

優月と和人は、静かにGGOにログインする準備を整えていた。

 

「…なあ、優月」

 

「どうした?」

 

「…お前は、SAOで殺した人の事、覚えてるか?」

 

和人の質問に、優月の手が止まる。

少し目を瞑り、やがてポツリと呟いた。

 

「…顔だけなら、覚えてる。ほとんど知らない奴だったしな。名前と顔が一致してるのは、クラディールと、ヒースクリフだけだ」

 

「そうか…すまない、不躾な質問で」

 

和人はそれきり、口を開くことは無く、優月もまた、何かを語ることはしなかった。

 

「…忘れたいと、思った事無いのか?」

 

「…お前さ、俺の事嫌いなの?」

 

「な、なんでそうなるんだよ!?」

 

優月の呆れたような一言に、和人は慌てて立ち上がって否定する。

 

「当たり前だろ。さっきから絶妙に俺のトラウマ抉ってきやがって…」

 

「トラウマって…!?」

 

「『忘れたい』かって?忘れたいに決まってるだろ。俺がどれだけ取り繕っても…どれだけご大層な理由があっても…俺は9人…いや、11人もの人を殺した、殺人鬼なんだぞ!」

 

優月は耐えきれなさそうに、頭を抱えて、体を震わせる。

その様子に、和人は慌てて優月の体を摩ってやる。

 

「優月!?大丈夫か…!?」

 

「それでも…それでも!俺は生きたい…!明日奈先輩や、姉貴…和人や皆と…生きたいんだ…!」

 

「優月…」

 

不安に揺れ、脂汗を浮かべながらも、優月は強く虚空を睨みつける。

 

「…もし、あのデスガンが、ラフコフの生き残りなら、俺がケジメをつける。あの事件で一番人を斬ったのは、俺だから。だから…「今度こそ」!?」

 

優月の言葉を、和人は強引に割って止める。

 

「今度こそ、お前だけには背負わせない。俺も一緒に背負う。俺達は…兄弟、なんだからな」

 

和人のその目は、とても強く、そして優しく優月を見ていた。

その目で見られた優月は、不思議と体から力が抜けていった。

 

「…行くぞ、兄弟。今日でケリをつける」

 

「…ああ、やるぞ兄弟」

 

「「リンク·スタート!」」

 

sideツキノワ

 

GGOにログインした俺達は、直ぐにエントリー会場に向かい、本戦の準備をしていた。

そこに、シノンが通りがかった。

 

「よう、シノン」

 

「…おう」

 

「…ええ」

 

キリトはフレンドリーに挨拶したが、俺とシノンは酷く淡々としている。

というのも、俺もシノンも、既に戦闘態勢であり、お互いをパートナーでは無く、ライバルと認識しているからだ。

このBOBは、個人戦だ。

だから、例え普段チームを組んでるパートナー同士でも、敵だと認識してるのだ。

なんだけど

 

「つ、ツキノワ…?し、シノン…?2人共…喧嘩したのか?」

 

このバカキリトは、そういう考えでは無いらしい。

はぁ…仕方ねぇな。

 

「…シノン、このあんぽんたんに付きあってくれ」

 

「…はぁ。仕方無いわね。貴方ねぇ、私達は敵同士になるのよ?貴方と仲良しこよしする必要無いじゃない。今だけはツキノワとだって、パートナーでは無く、ライバルよ」

 

という訳で、結局始まるまで、一緒にいる事に。

エントランスに着くと、そこは色んなプレイヤーが、賭けをしたりインタビューを受けたりと、お祭り騒ぎになっていた。

 

「ん?お、おい!あれ、キリトちゃんだろ!」

 

「しかも一緒にいるのは、ツキノワちゃんじゃん!」

 

「だけじゃねぇ!シノンもいるぞ!」

 

こりゃ…注目の的だなぁ…。

まあ、俺もキリトも目立つような行為しちゃったしな…。

 

「…ツキノワ」

 

「うん?」

 

「ちょっと遊ばない?」

 

どういうつもりなのか?

キリトが俺に耳打ちしてきた内容に

 

「はぁ!?」

 

思わず声を張り上げる俺。

それのせいで、余計注目を集めてしまう。

 

「はぁ…」

 

「やるぞ!君たち…」

 

「「応援してね♡」」

 

2人揃ってウインク決めながら、可愛いポーズ。

しかも、わざわざ頬を寄せあって、手を繋ぎあって媚びる。

 

「「「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」」」」」」

 

こいつら…単純すぎるだろ。

ヤバい…吐き気がしてきた。

 

「あんた達…何してるのよ?」

 

全くをもってその通りですね、ハイ。

さて、俺達でのルール説明。

 

「さて、どうせまともに見てないだろうから、説明するぞ」

 

BoBは簡単に言うと、直径10kmの円形フィールド。

山あり谷あり、森あり砂漠あり、市街地、川ありの複合ステージ。

試合時間は午後から始まるから、長引けば夜になる。

配置位置はランダムで、最低限1000mは離れている。

 

「それ、ちゃんと遭遇出来るのか?」

 

「銃で撃ち合うから、それくらいは必要なのよ。それに、参加者には【サテライトスキャン端末】っていうのが、自動配布されるわ」

 

「サテライトスキャン端末?」

 

「15分に1回、空を飛ぶスパイ衛星が、全員の居場所を教えてくれる…という設定」

 

つまり、1ヶ所に潜伏出来るのは、15分が上限ということになる。

 

「そんなのがあるなら、スナイパーには不利なんじゃないか?」

 

「その程度のハンデでどうこうなるなら、BoB有力選手にはなれないさ」

 

キリトの少し意地悪な顔に、俺は呆れながら返す。

この女を舐めてると、マジで痛い目を見る。

隣で戦ってきて、それを実感している。

 

「…シノン。最後に聞きたい事がある」

 

「はぁ?まだあるの?」

 

「シノン、俺からも頼む」

 

ここからが、俺達の本題。

俺もBoBは初参加だから、ルールはともかく、選手までは分からない。

だから、シノンに聞かなくてならないのだ。

 

「…何よ」

 

キリトは参加者名簿を可視化して、シノンに見せる。

 

「参加者の中で、初参加の奴、知らないか?」

 

「頼む、大事な事だ」

 

「…はぁ。名前だけなら」

 

そう言ってシノンは仕方なさそうに、名簿を見る。

 

「初参加は…私の頼れるパートナーと、どっかのムカつく光剣使い除くと、3人ね」

 

3人…以外に少ないな。

 

「誰だ?」

 

「ペイルライダー…銃士X……Sterben(スティーブン)って読めばいいのかしら?」

 

Sterben…これは…。

 

「違うな。これはドイツ語の英語表記だ」

 

「ドイツ語?どういう事?」

 

「…医療用語なんだ、これ。医療用語には、ドイツ語がよく使われる。読み方はSterben(ステルベン)。意味は…死」

 

「「死…」」

 

これで分かった。

デスガンの正体は、Sterben(ステルベン)だ。

ただ問題は

 

「こいつが何者なのかが、分からない…キリト、何か特徴は無いのか?」

 

「…ボロマントに、骸骨のような仮面…」

 

骸骨のような仮面…?

記憶が疼く。

 

「カタコトの言葉使いに、後は、目の部分が赤かった」

 

カタコト…目が赤い…?

 

「…ま、まさか!!」

 

そうか…そういう事か!

だからあいつは、俺の前には現れなかった!

俺に会えば、直ぐに正体が割れるからだ!

 

「ちょ、ちょっと!どうしたのよ!?」

 

「ツキノワ!誰かわかったのか!?」

 

「…ザザだ。そいつの正体は、赤目のザザだ!!」

 

「あ…あぁぁぁぁぁ!!」

 

赤目のザザ。

俺と戦った、笑う棺桶(ラフィン·コフィン)の最高幹部の1人。

そして…対人戦において、俺が最も苦戦したプレイヤーの1人だ。

 

「…何者なの…そいつ…?」

 

「俺が本気で殺しあった男だ。…あのSAOで、本気で殺しあった」

 

「ツキノワ!?それは…」

 

「シノンには教えてある。気にするな」

 

「…『それでも君は、引き金を引けるか』」

 

何の話だ?

俺はキリトを見ると、気まずそうな顔をして、目を逸らした。

 

「キリトは昨日、そう言ってたわね。ツキノワは、引ける?」

 

「…多分、引ける。俺は、躊躇わない…いや、躊躇ったらいけないんだ」

 

俺はもう躊躇わない。

俺は、戦う事から逃げない。

そして…今度こそ断ち切ってやる、この負の連鎖を。

 

「覚悟しろ、ザザ」

 

俺の殺意に満ちたその声は、賑やかな空間に低く小さく響いたのだった。

 

「…そろそろ、待機ドームに行きましょう」

 

そうしてついに、カウンドダウンが始まり…俺達の転移が始まった。

 

「Bullet of Bullets!スタート!!!」

 

さあ、始めよう。

鉄と火薬の匂いが充満する殺し合いを。




ミトの家庭環境について、改めて調べ直したら、自分の書いてる小説とは、かなり違っていてビックリしました。
まあ…見逃してください。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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