ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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GGO終わるまで、一気に出します。
よろしくお願いします。


50話

sideツキノワ

 

俺は今、砂漠のど真ん中にいる。

俺は全神経を集中させて、周囲の気配を感じ取る。

…南東から足音、闇風だな。

あいつはシノンとキリトが何とかしてくれる。

放置して良し。

あの時、どうやって奇襲を読んだんだっけ?

…そうだ、あの時は殺気を感じたんだ。

まるで、水面に石を投げ込んで波紋が出来たような不安。

そう例えば…今みたいな感覚…!

 

「ッ!?」

 

俺は咄嗟に体を逸らして躱す。

髪を掠めたが、まあ別にいい。

 

「見つけた…!ハァ!」

 

第2射、第3射と次々に、弾きながら俺は、真っ直ぐにデスガンの元へと走っていく。

あと少し…!

その時、デスガンに向かって弾道予測線が向けられる。

シノンのアシストだ。

そうしてへカートの銃弾が、サイレントアサシンを破壊した。

 

「ナイス!ハァ!!」

 

俺は一気に加速して、全速の突きを放った。

 

「…え?」

 

しかし、パーツの一部を拾ったデスガンは、あの時よりも速い動きで突きを躱して、逆に左肩にカウンターを放ってきた。

 

「クソ!」

 

俺はすぐに刺さっているそれを弾いて、距離をとる。

その手に握られているのは、金属製のエストックだった。

 

「相変わらずのエストックか、デスガン…いや、ザザ。というか…GGOに金属剣があるなんてな」

 

「オ前トシタコトガ…勉強不足ダナ…【剣豪】。【銃剣作成スキル】デ作レル。長サヤ重サハ…コノアタリガ限度ダガナ」

 

お互い距離をとって、睨み合いながら、軽口を叩き合う。

 

「なるほど…俺が使うには、ちょいとばかり、貧弱そうだな」

 

「相変ワラズ…頑丈ナ武器ガ…オ好みカ?ナラバ…ソンナオモチャハ…サゾ物足リナイダロウ」

 

「そうでもねぇよ。こういうのもロマンだろ。それに、剣は剣だ。お前をぶった斬れれば、それで十分!」

 

俺は一息に距離を詰め、斬りかかった。

俺の一撃は躱され、お返しの突きが来る。

俺はすぐに払って、攻撃を返そうとして、咄嗟に首を捻る。

 

「ッ!?こいつ…!」

 

戻しが速い!

ていうかこいつ、こんなに速かったか!?

気づけば防戦一方になっていく俺。

 

「オ前ハ…現実ノ腐ッタ空気ヲ…吸イ過ギタ。オ前の刀ハモウ…錆ビツイタ!ソンナ鈍デハ…俺ハ斬レナイ!」

 

好き放題言いやがって…!

でもそうか、こいつが速いんじゃなくて、俺がなまってるのか。

その証拠に、ザザの突きの濁流を捌ききれず、少しづつ身体中にダメージエフェクトが刻まれる。

 

「この…くらいやがれ!」

 

俺は咄嗟にAR-57を取り出して、弾丸をばらまいた。

 

「クッ!?」

 

突然の事で、デスガンも対応出来なかったか、俺の銃弾をモロに受けて、後ろに飛んでいく。

だが、倒すには至らなかったらしく、まだ生きている。

 

「隙あり!」

 

俺はその隙を斬ろうと、斬りかかったが

 

「ヌルイ」

 

デスガンは転がりながら、砂を掴んで俺にかけてきた。

 

「ッ!?クソ!」

 

俺は銃で顔を隠して、砂から避けるがその隙に、俺の銃が蹴り上げられてしまう。

 

「にゃろう!」

 

俺は蹴った体勢のデスガンに斬りかかるも防がれて、しかも腹を蹴られながら、投げ飛ばされる。

 

「グハッ!」

 

「ダカラ言ッタダロウ。オ前ハナマッタンダト!」

 

クソ…!何としても、まずはこのラッシュをブレイクしないと…!?

 

side明日奈

 

私は今、千笑と一緒に、千代田区にある病院にいる。

この病院は、和人君がリハビリをしていた病院で、今は2人が、GGOにダイブしている病院だ。

 

「ッ!?優月君!」

 

「和人!」

 

私達は直ぐに2人に駆け寄り、2人がすごく辛そうなのに気づいた。

 

「結城さんと、指原さんね。話は菊岡さんから聞いてるわ」

 

そう、私にここを教えたのは菊岡さんだ。

…強引に聞き出した、と言った方が正解だけど、有事だから、なりふり構う気は無い。

 

「あの!2人は!?」

 

「それが突然心拍が上がって…でも、命の心配は無いから安心して」

 

突然心拍が?

どういう事?

 

『ママ!お姉ちゃん!モニターに、試合映像を流します!』

 

千笑の端末からユイちゃんの声が聞こえ、つられるようにモニターを見ると、優月君がデスガンと、和人君が闇風というプレイヤーと、戦っていた。

 

「和人!」

 

「2人は戦っているのね…」

 

私はここからでは何も出来ず、ただ祈るしか出来やなかった。

神様…お願い…どうか、彼に力を…!

 

sideツキノワ

 

激しいラッシュが続く。

その度に、俺の体にダメージエフェクトが発生して、俺のライフを削っていく。

弾く…弾く…弾く…!

何度も何度も繰り返して…俺は引くのでは無く、前に出た。

 

「ナニ!?」

 

デスガンの突きを滑らせながら、あえて前に出て、距離を詰める。

詰めながら鳩尾辺りに肘をねじ込み、体勢を崩させる。

 

「グッ!」

 

「まだ…だぁ!」

 

襟首を掴みヘッドバッドを叩き込み、よろめいた所を、飛び膝蹴りで吹き飛ばした。

 

「オラァ!」

 

「グッ…!コノ程度デ…!」

 

そう、この程度では大したダメージは無い。

だがこれで、ラッシュを切る事には成功した。

そしてその時、デスガンに弾道予測線が向けられた。

これは…!?

 

「ッ!?」

 

「逃がすかァァァァァ!!」

 

この予測線による攻撃は、シノンの経験と閃き。

闘志のあらん限りを詰め込んだ、幻影の一弾。

このラストアタック…幻の銃弾(ファントム·バレッド)を無駄にはしない!!

俺は土壇場で、あと一歩間に合わないと踏んで、掴もうと伸ばした手を引っ込めて、Five-seveNを引き抜いた。

 

「ッ!?」

 

「ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

全弾打ち込んだ俺は、透明化して逃げようとするデスガンを、防ぐ事に成功した。

 

「グゥ…!コノォ!」

 

デスガンの【スタースプラッシュ】が、俺の体を貫く。

 

「ぐっ…ガアァァァァァァァァ!!!」

 

それを無視して俺は、フォトンソードをデスガンの体にめり込ませた。

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」

 

そして俺は、デスガンの体を真っ二つに切り裂いたのだった。

 

outside

 

「マダ…マダ…終ワラ…」

 

切り裂かれたデスガンは、そう弱々しく言い残して、倒れた。

 

「いや、もう終わりだ、デスガン。…いや、ザザ。お前の正体は既に、外に伝えた。ミトなら気づくはずだ。お前の共犯者もすぐに洗い出される。ラフコフの殺しは、俺達の戦いは、もう終わりだ」

 

ツキノワはそう言い残して、死亡判定で動かないデスガンのアバターに背を向けて、AR-57を回収して立ち去る。

 

「やったな、ツキノワ」

 

「お疲れ様、ツキノワ」

 

「キリト、シノン。ありがとう」

 

3人は合流して、拳をぶつけあった。

 

「あいつらは、自分の力を誇示する事を第一としている。だからあいつの仲間も、手は出せない筈だ」

 

「ただ何が起こるか分からないから、警察に連絡した方がいい」

 

「警察って…なんて説明するのよ?」

 

シノンにそう言われて、キリトとツキノワは顔を見合わせて、肩を竦める。

 

「たしかに…ここでシノンの住所聞く訳にもなぁ…」

 

「ツキノワの親父さん、公務員だろ?何とかならないのか?」

 

「多分、ザザの身柄を抑える方に手を回してるから、何とかなると思うけど」

 

「…いいわよ。ツキノワは私の事知ってるし。住所と教えるわ」

 

そう言って2人は、シノンのプライベート情報を教えてもらう。

住所を聞いて、2人は目を見開いた。

 

「驚いたな、俺達の今いる場所から近いじゃん」

 

そう、2人は今、千代田区の病院にいる。

シノンの家は、そこから近かったのだ。

 

「俺達がそっちに行くよ」

 

「…ありがとう、でも近くに信用出来る友達がいるから、大丈夫よ」

 

シノンの言葉を聞いて、少しだけ嫌な予感を抱いたツキノワだが、それは棚上げする事に。

キリトの方も本名を教えて、そろそろ決着をつける事に。

 

「どうするよ?乱戦でケリつけるか?」

 

ツキノワの言葉に、シノンは2人を見比べてため息をつく。

 

「あのねぇ…2人共ボロボロじゃない。そんな奴らに勝っても、嬉しくないわ。…決着は次の機会にする」

 

「じゃあ、どうやって?」

 

「それはね…」

 

そう言ってシノンは、ツキノワの手首を掴む。

不思議そうに首を傾げるツキノワとキリトを無視して、説明を始めるシノン。

 

「第1回優勝は、2人同時優勝なの。理由は、勝つはずだった選手が油断して、負けるはずの選手のお土産グレネードに引っかかったのよ」

 

「は?…テメェ!?」

 

お土産グレネード。

この言葉の意味に気づいたツキノワは、全速力で逃げようとするが、当然シノンはその手を離さない。

 

「おまっ!シノン!ふざけんなぁ!」

 

「あら?へカートぶん回してる私に、STRで勝てるとでも?」

 

そんなぎゃあぎゃあ騒ぐツキノワを見て、ヤバいと悟ったキリトは、コッソリと逃げようとするが

 

「クソ!こら、キリト!逃がさねぇぞ!」

 

「グェ!?ツキノワ!離せ!」

 

それを見抜いたツキノワは、キリトの襟首を掴んで逃がさない。

そんなやり取りをしてる隙に、グレネードを起動させたシノンは、それを持ったまま、2人に抱きつく。

 

「ふふーん♪」

 

「「ふざけるなぁァァァァ!!!」」

 

ドガァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!

 

男2人の悲鳴は、爆発音によって掻き消されたのだった。

 

sideツキノワ

 

「ったく…シノンの奴め…」

 

俺はログアウトの待機時間中、愚痴りながら、ある事を考えていた。

シノンの言う、信用出来る友達、という奴だ。

恐らくはシュピーゲルとかいう、プレイヤーだろう。

リアルで同じ学校だと言っていた。

だがあの男の目は、嫌な記憶を過ぎらせる。

そう…クラディールと同じ目をしてきた、そんな気がするのだ。

 

「…すぐに向かうか」

 

この胸騒ぎを、勘違いだと分からせるために。




それでは失礼します。
ありがとうございました。
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