ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
オリキャラが登場します。
某アイドルアニメのキャラクターをモデルにしてます。
ええ、モデルって言うだけで、本人ではありません。
あくまでオリジナルです。
それではよろしくお願いします。
side優月
ドカカッ!ドカカッ!ドカカッ!
馬に乗り、俺は揺られながらも弓を引き、しっかりと狙いを定めて、矢を射った。
しかしその矢は、大きく上に逸れてしまい、的の引っ掛けてある木に刺さった。
「ブレすぎです!もっと衝撃を足腰で吸収しなさい!」
「だー!大体流鏑馬なんて、そうそう出来るか!!」
ここは東京の端の方にある、とある人の牧場。
俺はそこで、流鏑馬をしている。
なぜこうなったかと言うと、話は12月初日まで遡る。
「失礼します」
俺は帰還者学校の職員室に、ノックをしてから入る。
職員室というのは、やはり緊張するものだ。
そう思っていると
「兎沢君!こちらですよ!」
奥の方から声をかけられ、俺はその声の人物に呼び出されたのだ。
「俺、呼び出されるような事、してないっすよ、海ちゃん先生」
「兎沢君?」
「…何の御用でしょうか、園崎先生」
俺を呼び出したこの人は、園崎海先生。
古典の教師で、俺が所属する弓道部の顧問だ。
「実は貴方にお願いしたい事がありまして」
こんな風に、俺達生徒に対しても敬語を崩さない。
そして真面目な為、生徒の相談を親身に聞いてくれるし、少しウッカリをやらかしたりと、けっこう馴染みやすい先生なのだ。
だから俺のような一部の生徒から、海ちゃん先生と呼ばれたりしている。
まあ、それはともかく。
「お願い…ですか?」
「はい。これを見てください」
そう言われて渡されたポスターを見る。
そこには新年奉納演舞と書かれており、場所は京都のとある神社だった。
内容としては、流鏑馬と普通に的を射る。
「…まさか、これに出ろと?」
「実はこの神社が、園崎家と繋がりのある家でして、本来行うはずだった方が、怪我をしてしまったんです。その方からの直々の推薦で、貴方に声がかかったという事です」
どこの誰か知らないが、そんなに注目されるほどかね?
「俺に的を射ろと」
「いえ、両方ですね」
「…はい?」
今、なんて言った?
両方?
それってつまり…
「元々1人でやるつもりでしたらしく、流鏑馬もやっていただきたいのです」
「…無理」
無理無理無理無理無理!
絶対に無理!
流鏑馬なんて、いきなりど素人が出来る訳無い!
普通に射るだけなら、やらないでもないけど、流石に流鏑馬は無理!
「大丈夫です!ちゃんと1ヶ月、私も練習に付き合います!私も経験ありますから!」
「だったら先生がやってくださいよ!学生には荷が重すぎます!」
「兎沢君は乗馬経験もあると聞いています!それに馬も既に、八王子の端にある、知り合いが持っている牧場に連れてきてもらいましたから!」
「ふれあい体験程度を頼りにしないでください!というか、俺に拒否権は!?」
そんなやり取りをしたのが、その日の昼休み。
結局俺は押し切られてしまい、放課後、八王子の牧場に連れてこられた。
「…で?コイツが?」
「はい。黒斗というらしいですよ」
真っ黒で、力強そうな馬。
これ…制御するの大変そうだな…。
「大丈夫よ。見た目に反して大人しいから」
不意に後ろから、第三者の声が聞こえてきた。
振り返ると、真っ赤な髪をしたモデル体型の超美人さんが。
「久しぶりね、兎沢君。元気にしてたかしら?」
「あれ?西織先生?」
この人は西織真織先生。
医者であり、俺と明日奈先輩と深澄が入院していた病院で当時、研修医だった人だ。
今は実家の病院で働いてるとか。
「…2人は知り合い?」
「ええ、そうですね。それはともかく、ここは真織の実家が持っている牧場で、ここで練習させてもらえることになりました」
どんな金持ちだよ…西織の家…いや、結城家も大概か…。
それにしても…人の縁ってのは、よく分からないものだ。
海ちゃん先生が大和撫子とするなら、西織先生はバラ一輪って感じだ。
2人共、方向性の違う美人さんである。
「何ぼうっとしてるのよ?」
「大丈夫ですか?」
心配そうに顔をのぞきこんでくる2人に、俺は問題ないと告げ、兎にも角にも馬に慣れないと話にならないので、早速乗馬してみる事に。
「よし…うわっと…やっぱ力強いな」
「無理して引いたらダメですよ。そっと行きたい方に誘導するように、手綱を操ってください…そう、筋がいいですね」
筋がいいって…歩かせてるだけなんだがら、ここまでなら、素人でも問題ないだろうに。
「それじゃあ、走らせてみましょうか。腕の力では無く、太ももで行きたい方に誘導するんですよ。実際には的を射る事になりますから、手は塞がっていますからね」
難しい事を言ってくれるな…。
だがその通りなので、出来なくては話にならないのだ。
「ちくしょう!やってやらぁ!」
俺の足腰が崩壊するのは、数時間後の話だった。
side明日奈
最近、優月君と帰っていない。
いつもは私のクラスに迎えに来て
「先輩!帰りましょう!」
って言って現れるのに、ここ1,2週間来てくれない。
よくよく聞いてみると、すぐにクラスを飛び出しているのだとか。
どういう事か深澄に尋ねてみると
「え!?あの子、何も言ってないの!?」
言ってないって…何を?
「はぁ…。さては恥ずかしがって言ってないのね…」
恥ずかしがるって何を?
「これよ」
深澄がタブレットで見せてくれたのは、京都にある結城家本邸の近所の神社で行われる、新年奉納演舞の案内だ。
そこには流鏑馬と遠当てを行うと書かれており、その下には優月君の名前が。
「優月君!?まさか出るの!?」
「そうよ。優月はこの練習に八王子の奥の方まで、練習しに行ってるのよ」
そうなんだ…。
…見に行っちゃおうかな。
という訳で
「私、これを見に行きたい」
夕飯時、家族にお願いをしてみた。
みんなそれを見て、お父さんとお兄ちゃんは、納得したような顔で頷き、お母さんは少しだけ悩んでから
「…まあ、いいんじゃないかしら」
意外にあっさりと、許可を出してくれた。
「え!?いいの!?」
「実際に挨拶回りしないといけないのは、2日からだもの。1日は構わないわ。それにしても…」
何故かお母さんが、ジロジロと見てくる。
な、何…?
「貴女、少し変わったわね。随分と彼にご執心のようね…」
「お、お母さん!?//な、何言ってるの!?///」
うぅ…お母さんにからかわれるなんて、初めてだよ…!///
「そういうお母さんも、私も大一番の時は…」
「あ、あなた!///」
我が家にしては珍しい、騒がしい夕飯時だった。
それから月日が経ち、京都のとある神社。
「優月君!」
私は最高にカッコイイ彼の姿を、見たのだった。
side優月
1ヶ月、地獄の訓練を受けて、本番を迎えた。
俺は流鏑馬用の衣装に着替えて、黒斗と最後の調整をしていた。
頭には
服は
その上から、左腕には
最後に武矢を入れるための
本来なら太刀だのなんだの、もう少しゴテゴテしてるのだが、今回は省略。
「さて、兎沢君。最終確認をしますよ」
コースの全長は、約220m。
的は射手である俺から、進行方向左手に、射手と的の距離を5m以上開けた状態で配置され、トータル3つ。
まあ、基本はこれであり、今回もそのパターンだ。
「さて、なにか質問はありますか?」
「まあ、なるようになる事を、祈ります。…よろしく頼むぞ、黒斗」
小さく嘶く黒斗を、俺は優しく撫でて、アナウンスを待つ。
そしてついにかけられる、出馬のアナウンス。
「…よし!行ってきます」
「行ってらっしゃい、兎沢君」
海ちゃん先生の激励を受けた俺は、ゆっくりと馬を前に進ませて、定位置につく。
少し深呼吸をしてから
「…ハッ!」
ドカカッ!ドカカッ!ドカカッ!
馬を走らせた。
どんどんと近づく的を確認して、俺は手綱を離して、矢を番えて、弓を引く。
振動とタイミングを合わせて…矢を放つ。
バァン!
「次…!」
盛大な音と共に、的に命中した事を確認して、すぐさま次の的へ。
しっかりとタイミングを合わせて…
バァン!
「ラスト…!」
しっかりと足腰で衝撃を吸収して、やがて…矢を放った。
バァン!
「よし…!」
見ていた観客の人達から、盛大な拍手が起こる。
こうして俺は、なんとか流鏑馬演舞を終えたのだった。
少し休憩を挟んで、次に行うのは奉納演舞。
俺はさっき衣装から、いつもの弓道着へと着替える。
「…」
突然だが、弓道では、射法八節というものがある。
正射必中…正しく射られた矢は、必ず当たるという教え。
その正しく射られるというのを支えるのが、この射法八節というものだ。
まず矢束というのを計る。
これが定まらないと、射法八節は出来ないのだ。
この矢束は基本的に、各個人の腕の長さ+5,6cmである。
「…」
まずは足踏み。
しっかりと中心に持ってきて、立つ位置や足の幅などを計る。
「…」
次に胴造り。
膕を伸ばし、肩·腰と足幅を平行に合わせる。
他にも注意すべき点は多く、シンプルに見えて、かなりシビアな所作を求められる。
「…」
次に弓構え、打起し、引分け、会と弓を引き、狙いを定めて
「…ッ!」
離れで矢を放つ。
そして最後に残心。
矢の行き着く先を見届ける…これも立派な礼節だ。
正射必中とは、これらが出来ていれば、必ず中るというものであり、俺の今放った矢も、しっかりと正鵠を射抜いたのだった。
俺はこの動作を3回繰り返して、無事全部の矢で正鵠を射抜いたのだった。
「兎沢君!大変素晴らしい射でしたよ!」
控え室に戻った俺に、海ちゃん先生がべた褒めしてくれた。
むず痒がったが、素直に賛辞を受け取る事に。
「はい。ありがとうございます、海ちゃん…園崎先生」
その笑顔…滅茶苦茶怖いから、やめて欲しい…。
「さて、私は家の都合がありますが、兎沢君は自由行動です。これで美味しいものでも、食べてきて下さい」
そう言った海ちゃん先生は、俺に2万程渡してくれた。
「あざっす!」
何食べようかな〜?
俺は神社の中にあるシャワーを借りて、制服に着替えてからお社を出たその時
「優月君!」
聞きなれた声が聞こえて、振り返ると明日奈先輩が飛びついてきた。
「あ、明日奈先輩!?」
突然の事によろめきながらも、ちゃんと受け止めた俺は、そのまま抱きしめる。
「あけましておめでとう!すごく!すごくカッコよかったよ!」
「あ、あけましておめでとうございます…見てたんですか…恥ずかしい…」
俺と先輩はそのまま、話し込んでいると
「お熱いね」
「貴女達、いつまでそうしているの」
「お父さん!お母さん!」
先輩のお父さんである結城彰三さんと、お母さんである結城京子さんが現れた。
俺は明日奈先輩と離れて、2人に新年の挨拶をすると
「優月君。君はこれからどうするんだい?」
突然、これからの日程を聞かれた。
「いえ、特にすることは。ご飯を食べて、予約したビジネスホテルに行こうかと…」
「そうか。なら、うちに来るかい?」
「え?」
うちって…結城家本邸?
いやいや流石に…。
「実はね、明日奈への見合いの話が来てて、君がいたら断りやすいのだが…」
「たとえ火の中水の中。どこへなりとも行きましょう」
そんなこと言われたら、速攻で手のひらを返さないとな。
そうして俺の正月は、結城家での先輩の護衛及び、俺という存在のアピールに費やされる事になったのだった。
次はキャリバーを通り越して、マザーズロザリオです。
理由はキャリバー編の間は、ずっと流鏑馬の練習をしていた、という体です。
要するにお得意のすっ飛ばしです。
それでは失礼します。
ありがとうございました。