ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
よろしくお願いします。
52話
side優月
俺達姉弟は、毎日明日奈先輩と、一緒に登校している。
これは中学生時代からそうであり、付き合うようになってからも続いていた。
「先輩?何見てるんですか?」
「え?これ!」
ずっとスマホを見ている明日奈先輩を、不思議に思った俺は何を見てるか尋ねると、先輩が見せてくれたのは、年明けの流鏑馬の動画だった。
「ちょ!?なんでそれを!?」
「園崎先生がデータをくれたの!深澄も持ってるよ!」
「…深澄?」
「テヘッ♪」
「消してくれぇぇぇぇ!!」
俺は深澄の肩を揺すって、直ぐに消すように要求する。
恥ずかしすぎるわ…!
「いや〜、姉として?しっかり見たいじゃない?お父さんもお母さんも、しっかり見てたわよ」
「2人もかよ!?明日奈先輩!恥ずかしいから消してください!」
「え〜!?ダメ!」
「勘弁してくれ…!」
思わずそう呟いて、赤くなっているだろう顔を隠す。
それにしても…今日はなんだか…
「ねぇ…なんか視線多くない?」
「たしかに…いつもより多いね」
10人いたら10人が美人と評価する2人と、人並み以上には容姿が整っている自覚がある俺が並べば、いやでも注目を浴びるのは必然であり、慣れている。
だが、今日のそれは多すぎる。
そして今日の一番違和感の大きい点は
「あんたじゃないの、優月」
「だな…」
何故か、注目を浴びてるのが俺である、ということだ。
どういうことだ…?
「あの!兎沢優月さん…ですよね!?」
「え?は、はぁ…そうですが…?」
話しかけてきたのは、数人の女子高生。
知らない制服の生徒で、当然顔も名前も知らない。
「あの…動画見ました!カッコ良かったです!」
「動画…?動画ってなんですか?」
「え?これです!」
そう言って見せてくれたのは
「ゲッ!?」
「これは…」
「大事ね…」
この間の奉納演武の動画だった。
恐らく誰かが、SNSに上げたのだろう。
「っ!優月、あんたこれ!」
直ぐに調べてくれた深澄が見せてくれたのは、やはり某SNSにアップされていた、動画だった。
「すごい再生数…」
「こんなに見られてるのか…?」
これは…面倒くさそう…。
「あの…!もし良かったら…一緒に写真撮ってもらえないでしょうか!?あと、連絡先を交換してくれませんか!」
「は!?写真!?連絡先の交換!?」
俺はアイドルかなにかか!?
あまりにも突然過ぎて固まっていると
「ごめんなさい。彼はそういうのは嫌いなの」
突然明日奈先輩が、俺の腕に抱きつきながら、やんわりと、でもハッキリと断った。
「え?…どちら様ですか?」
どこかムスッとしながら、反論してくる女の子に、今度は隣から深澄が答えた。
「優月の彼女よ。文句ある?あ、私は優月の実の姉だから」
「っ!…私は、彼に聞いてるんです!」
そう言うと、全員が俺を見てくる。
俺がやっと絞り出した答えは
「ええっと…悪いけど、彼女いるし、そういうのは断らせてもらうよ」
そう言うと、泣きそうな顔をして走り去っていく女の子と、それを追いかけていくお友達。
小さく、息を吐くと、両側から頬を抓られた。
「…いはい、いはいはら…」
「なんですぐに断らなかったのよ」
「そうよ。どういうつもりなの?」
「ひっふりしへ、ことははへなふぁっふぁんは」
「は?なんて?」
だったらまず、この手を離せよ…!
俺は半ば強引に、2人の手を離させると
「抓りすぎ!いったいわ!ビックリして、声が出なかったんだ!」
はぁ…俺の学生生活、どうなるんだよ…。
outside
優月達は学校について、それぞれのクラスに向かう。
と言っても、明日奈と深澄は同じ教室なので、一緒なのだが。
「疲れた…」
あれ以降も、結構な頻度で声をかけられたのだが、全て明日奈と深澄が拒絶。
その度に明日奈が不機嫌になるから、優月はご機嫌取りに疲れたのだ。
「お、よう!人気者!」
「…和人、疲れてるんだやめてくれ…」
「千笑と二人で見てみたが、すごい反響だったな!」
「だからやめろっつーの!」
「イテテテテテテ!!」
始業前に、和人から茶化される優月は、和人をアイアンクローする。
このクラスでは、割とよくある光景であり、クラスメイトは大抵、微笑ましそうに見ている。
…なお、一部腐らせた婦人がいるのは内緒である。
「いってぇ…やりすぎだろ、優月…」
「俺を茶化すなんて、一万年早い」
優月は痛がる和人を、鼻息荒くあしらう。
だが
「そういえば、優月は知ってるか?【絶剣】」
「…【絶剣】?」
聞きなれない単語が、優月を振り向かせた。
「そう。お前は京都だったから知らないと思うけど、少し前に現れたプレイヤーでさ、かなり強いんだ」
「へぇ…お前より?」
「俺より」
(マジか…)
イタズラ半分で、和人を比較した優月だったが、その和人から、自身より強いと即答されてしまい、言葉をなくした。
「そいつ、プレイヤーキラーなのか?」
「いや、決闘専門。賭けの内容がすごくて、挑戦者が絶えないんだよ」
「へぇ…何が賭けられてんだ?」
「そいつが作った
「じ、11連撃の
「たしか今の最高連撃数って…」
「ユージーン将軍の8連撃
(それは…たしかに絶えないわ…)
優月はそもそも、ソードスキルを使うのが苦手だ。
それもSAO時代に、ソードスキル無しで戦ってきたため、新生ALOになってやっと使い出したくらいだ。
当然、
「武器種は?」
「片手直剣汎用型だな。【絶剣】自身も、細い片手直剣だったし」
「ふぅん…」
優月はクラインやリーファ同様、刀を使っていため、武器種が合わないことが分かり、少しガッカリする。
(とはいえ、戦ってみたい気はする)
「気になるか?」
「まあな…」
「24層にあるデカイ木が生えた、観光スポットの小島があるだろ?あそこに毎日午後3時になると、現れるんだよ」
(今度、誘うか)
そこでちょうど、チャイムが鳴る。
「面白そうな情報、サンキュ」
「あ、最後に。挑むなら気をつけろよ。あの子は…まるでフルダイブの申し子だ」
(あの子?)
不思議な言い回しをする和人に、疑問をぶつける暇もなく、その日の授業が始まったのだった。
sideツキノワ
数日後、俺はアスナ先輩やミトを含めた皆で、噂の【絶剣】を見に来た。
どうやら先輩も、ミトから話を聞いていたらしい。
来たのはいいが
「…」
先輩の様子がおかしい。
思い詰めてるっていうか…なんて言うか…。
「先輩?大丈夫ですか?」
「そうよアスナ。この間からおかしいわ」
「え!?う、ううん!?なんでもないよ!」
俺とミトが尋ねても、すぐにはぐらかしてしまう。
こういう時は大抵、結城家で何かあった時だ。
そうなると、俺達では口を挟めない。
だからいつも通り
「先輩」
「アスナ」
ミトが先輩を抱きしめ、俺が先輩の手を握る。
「俺達がいます。それを忘れないで」
「私達、親友と恋人でしょ?」
結城家は、俺達兎沢家と違い、かなり厳しい家庭だ。
人様の家庭環境には口を挟めないから、いつも俺達は逃げ場所になっている。
「…ありがとう、2人共」
そう言う先輩の顔は、少しだけ気が抜けたような顔をしていた。
「さて、見に行きましょう!」
俺は2人を先導して、噂の24層の小島に着く。
「遅かったじゃない」
先に着いていたリズ達に、適当に声をかけると、ちょうど決闘が終わったのか、2人のプレイヤーが降りてきた。
「「…え?」」
そういえば、キリトから種族を聞いていなかったが、インプらしい。
…まあそれはいいのだが。
「ブイッ!」
楽しそうにVサインをする、そのインプは俺が勝手に想像していた【絶剣】像を見事にぶっ壊した。
なぜなら…
「「…女の子じゃん!!」」
そもそも、性別から違ったのだがら。
それでは失礼します。
ありがとうございました。