ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
よろしくお願いします。
sideツキノワ
病院で【絶剣】…ユウキと何を話したのか、家で母親と何を話したのか、俺は知らない。
ただ分かるのは、蟠りが無事解消した事と、結城家のゴタゴタも片付いたこと、それだけだ。
だから俺は満足だ。
満足だから…
「こら!ツキノワ、逃げない!」
「はーなーせー!」
「え〜…それでは!顔合わせ会を祝しまして!乾杯!」
「「「「「「「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」」」」」」」
顔を合わせにくすぎるわ!
始まってしまった会を、俺はキリトたちのホームである、22層のログハウスのテラスでぼんやりとしていた。
「あはは、相変わらずアスナさんのことになると、見境無くなるんだな!」
「ケイタうるさい」
「ふふ、アスナ愛されてるね」
「サチ!はずいからやめてくれ!」
「いや〜!男だぜ、ツキノワ!」
「キリトは死ね!」
「俺だけ酷いな!?」
俺は3人のからかいをあしらいながら、ため息をつく。
はぁ…仕方ない。
俺は話した2人の場所に行き、とりあえず謝ることに。
「この間はすみませんでした」
「いえ、私たちの方こそ」
「こっちも目を覚まされた気分だぜ!」
なんというか、やけにアッサリとしているな…。
そう思っていると、不意に肩を組まれる。
「いや〜!君が噂の甘々のキス少年か!」
「…は?何それ」
「ちょ!?ノリ!?///」
何故かアスナ先輩が、大慌てでこっちに来る。
「いや、ボス戦の時さ、作戦会議中にぼうっとしてたから、どうしたのかなって思ったらものすごい惚気けちゃってさ!」
「あれは私達も、すごく興奮しました!」
「2人ともやめて〜!///」
そんなわちゃわちゃしていると
「このまま28層も突破しようぜ!」
「おお!いいな!それ!」
…え?
という訳で、現在28層迷宮区にて
「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!」」」」」」」
「「「「「「「負けるかぁぁぁぁ!」」」」」」」
何故かボス攻略に挑む羽目に。
なぜこうなった。
そして
「「「「「「「「「「「「よっしゃあ!」」」」」」」」」」」」
勢いで本当に、クリアしちゃったよ。
それからあっという間の日々だった。
視聴覚双方向通信プローグとやらで、ユウキが一緒に授業を受けたり、明日奈先輩ら女子たちと一緒に京都に旅行に行ったり、ALO内でユウキと決闘したり、本当に濃密で楽しい、3ヶ月だった。
「…え?」
そして、その時間は、唐突に終わりを告げた。
…ユウキが亡くなったのだ。
正確には、明日奈先輩から、もう限界だと連絡を受けた俺たちは、すぐにダイブして、向こうでその死に目に立ち会ったのだ。
俺たちだけじゃない。
100人は超えるだろう程のプレイヤー達が、ユウキというALO最強のプレイヤーを、見送ったのだ。
その最期の顔は、満面の笑みだった。
outside
ユウキが亡くなってから、時が経ち。
「両手を上げなさい」
「勘弁してくれよ…」
(何故こうなった…?)
ツキノワは、灰色の女騎士に刀を突きつけられながら、こうなったのか、その経緯を振り返っていた。
「…ここは?」
気付けば、ツキノワは知らない場所にいた。
右手には赤い空と赤い不毛の大地。
左手には薄暗い谷とその奥に広がる草原。
「…日本…ではないな」
(そうなると海外…もしくは何らかのVR空間か?)
そう予想してツキノワは、知ってる限りのゲームコマンドを試したが、全て反応無し。
「チッ。…そういえば…」
(これはなんだ?)
自分の足元が気になったツキノワは、つま先で軽く叩きながら足元を確かめる。
感触としては鉄…しかも相当年季が入ってる。
だがそれ以上に気になったのは、その目的だ。
「壁…?国を隔ててるのか?」
「そうよ。正解」
「っ!?」
(いつの間に…!?)
突然聞こえた女の声に、ツキノワは咄嗟に距離をとろうと、大きく振り向きながら飛んだ。
だが…
「動くな」
すぐに首筋に、黒い刀を押し当てられる。
女は、ミトくらいの身長で少し年上に見えた。
その灰色の髪と黒いリボン、赤い目からツキノワは
(うさぎ…?)
場違いなことを思いながら
「両手を上げなさい」
「勘弁してくれ…」
(何故こうなった…?)
すっかり文字通りの、お手上げ状態になるのだった。
sideツキノワ
「貴方、どこの誰?」
「俺はツ…」
ツキノワと答えようとして、少し思いとどまる。
何故か今、ツキノワと答えるべきでは無い、そう判断したのだ。
「…優月。場所は…とても遠いところから来た…と思う」
「ユヅキね。思うってなによ」
「…覚えてないんだ。思い出せないって言った方が、正解かも」
「…貴方、もしかして【ベクタの迷子】?」
は…なんだって?
ベクタの迷子?
突然の訳分からん用語に、ポカンとしていると
「…知らないのね。本当にそうなのかしら…」
そう言いながら、説明が始まった。
【ベクタの迷子】とは、暗黒神ベクタのイタズラで、どこかの土地から攫われ、全ての記憶を奪われてから、全く違い土地に飛ばされてしまった人を指すらしい。
「ん〜…そうなると、どうするべきかしら…」
「というと?」
「ここにいること自体は【禁忌目録】には違反してないけど、かといって【東の大門】によじ登っちゃった人を放っとく訳にも…」
「き、【禁忌目録】?【東の大門】?何それ?」
俺がそう尋ねると、ポカンとした顔をして見てくる。
「…ここまで忘れてるのね、【ベクタの迷子】」
「は?」
「仕方ないわね…いい?」
こうして灰色の女騎士の説明が始まる。
【禁忌目録】とは、この世界の法律。
【東の大門】とは、今まさにいる場所であり、【人界】と【
【人界】とは、左手に見えた世界で、【
「
「俺をなんだと思ってるんだよ…。普通に死ぬし、自分から捕まろうする奴、いる訳ねぇだろ」
というか、いつの間にか剣を収められてるし、口調も変わってきた。
まあ別にいいんだけど。
「…まあとりあえず、あんたを連行するわ」
「え〜、マジで?」
「マジで。拘束はしないから、しっかり私に掴まりなさい」
「掴まる…?」
このまま逃げたら余計ヤバそうなので、仕方ないが大人しくしよう。
そう言われてついて行くと、そこにはデカいトカゲが。
…いや、現実逃避はやめよう。
「…竜?」
「そう。飛竜」
流石はゲームの世界。
なんでもありだ。
ふと俺は、名前を知らないことに気付く。
「ねぇ、名前は?」
「この子?霧舞よ」
「そっちじゃねぇよ!いや、そっちを知るのもいいけど!あんたの名前だよ!」
「ああ、名乗ってなかったわね。私はイーディス。【イーディス=シンセシス=テン】よ」
という訳で、アリシゼーション編突入です。
それでは失礼します。
ありがとうございました。