ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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レッツクライミング!
というわけで、よろしくお願いします。


61話

side優月

 

あっぶねぇ…何とか間に合った。

俺とキリトは咄嗟に剣を突き刺して、キリトはギリギリで、アリスの手を掴むのに間に合った。

 

「アリス!手を伸ばせ!」

 

「いえ…!罪人に助けられるなんて、生き恥を晒すつもりはありません!離しなさい!」

 

あ、バカ!

なに自分から落ちようとしてるんだ!

 

「動くなバカ!」

 

「こんな時まで石頭はやめろ、バカ!俺たちは整合騎士だぞ!」

 

「ここでヤケになっても、何も解決しないことくらい悟れよ、バカ!」

 

「なっ!?2人揃って、またしても私を愚弄しましたね!撤回しなさい!」

 

「うるせぇ!バカにバカって言って何が悪い!」

 

「このバカ野郎!いいか!ここで死ねば、ユージオは直ぐに最高司祭の元に行くぞ!」

 

「俺たちの仕事は、それを止めることだろうが!だったら今は、生き残ることが最優先だろうが、バカ!」

 

「そんな理屈も分からないバカだから、バカって言ってるんだ!」

 

「「このバカ!」」

 

俺たち…バカしか言ってなくね?

場違いにも、そう思った俺。

 

「じ、10回もその屈辱的な言葉を言いましたね!?」

 

「バカの回数を数えてたのか!?バカなのか!?」

 

場違いがもう1人いたわ…しかも本人だし。

 

「1回追加です!」

 

「だからカウントしなくていい!」

 

だがやっと、アリスは冷静になったのか、今度は違う言葉を口にした。

 

「ではなぜ、お前はその手を離さないのです?その理由が、私にとって死ぬより、耐え難い憐憫ではないと、お前は証明できるのですか!?」

 

その言葉に、キリトは言葉を詰まらせながらも、その胸中を口にする。

 

「俺とユージオは…公理教会を壊滅させたくて、ここまで登ってきた訳じゃない。俺達だって、人界を暗黒界から守りたい気持ちは同じなんだ」

 

だからこそ、こいつらは今まで、1人も整合騎士を殺していない。

それは神聖術を使い、見てきたから知っている。

 

「ならばお前は、何故その刃を人に向け、血を流すという最大の禁忌を犯したのですか!?」

 

「俺たちが斬ったのは…公理教会と禁忌目録が間違っていると思ったからだ!」

 

なんでも女の子が、貴族に辱めを受けるのを止めるために、やむを得ず斬ったらしい。

なるほど、それは仕方ない。

よくやったな、キリト、ユージオ!

 

「禁忌目録に違反してないからって、ロニエやティーゼのような女の子が、上級貴族から辱められてもいいって言うのか…!答えろ!!整合騎士!!!」

 

「…法は法…罪は罪です…それを私意によって判断するのなら、どのように秩序は守られるのですか…」

 

アリスとて、決してそれを良しとする訳では無い。

だが、だからと言って逆らう訳にもいかない。

 

「ならその最高司祭が正しいか、誰が決める!天界の神か!?ならどうして、俺に裁きの雷が落ちない!?」

 

「…神の!ステイシア様のご意思は下僕たる我らの行いによって、明らかになるものです!」

 

「それを明らかにしたくて、俺たちはここまで来たんだ!」

 

今、ミシッて…!?

マズイ…壁の方が限界に…!?

 

「キリト!」

 

「今あんたを…死なせる訳には…いかないんだ!」

 

強引に持ち上げたキリト。

今のアリスは鎧も着てるため、かなり重いはず。

 

「アリス!早く壁の継ぎ目に、剣を刺せ!」

 

そしてアリスが刺したの同時に、キリトの方が限界を迎えた。

 

「キリトぉぉぉぉ!!!」

 

ダメだ…届かない…!?

 

「え?」

 

あ、アリス…

 

「…」

 

アリスは何も言わず、キリトを掴み楽々持ち上げる。

 

「良かった…」

 

「助けた訳ではありません。借りを返しただけですし、お前とは剣の決着がついていない」

 

「…そういうことにしておくよ。優月、どうにかならないか?」

 

俺に言われてもな…。

壁の破壊はほぼムリ、飛竜は来れない、ここから下に降りるのもムリ。

こうなると手はひとつ…上に登るしかない。

 

「さっきみたいに壁の継ぎ目に棒をさして、フリークライミングしかねぇな」

 

「上に行って入れる場所はあるのか?」

 

「ある。俺の本来の持ち場、95層の【暁星の望楼】は吹き抜けだから、そこしかない」

 

「少し待ちなさい」

 

俺たちが方針をまとめていると、アリスが口を挟む。

 

「ユヅキ…貴方は、この男の味方なのですか?」

 

「…あぁ、そうだ。とは言っても、こいつがここに来たのは、予想外だったが」

 

「俺のセリフだ、それは。なんで優月がアンダーワールドに?」

 

「え?ここがそうなの?」

 

「…そうか。優月はその辺は何も知らないか…」

 

「だから待ちなさい!2人で話を進めない!」

 

おおっとそうだ。

アリスに説明しないとだな…何をどう説明しよう?

 

「…悪い、よく考えたら、俺も何を説明したらいいか分からない。というか、説明出来るだけの材料がないんだ」

 

「…まあ、ステイシアの窓すら知らない貴方でしたから、期待はしてませんでした。さて、貴方たちはどうやって登る気ですか?」

 

そうだな…まずは…

 

「アリス、その手甲さ、鎖に変えてよ」

 

「は?なぜです?」

 

「命綱代わり」

 

「…仕方ありません。システムコール·フォームオブジェクト·チェインシェイプ」

 

アリスが神聖術で手甲を、鎖に変換する。

 

「な!?物質変換術!?」

 

「お前の耳は節穴か…」

 

「今のは形状変化です!」

 

俺とアリスから呆れられ、小さくなるキリト。

クク…笑える。

 

「優月!笑ってるの気付いてるからな!」

 

「しっつれ〜」

 

「お前なぁ…!」

 

「お前たち!状況をわかっているのですか!?」

 

「「は〜い…」」

 

怒られる俺たちだが、そろそろ移動を始めよう。

 

「システムコール·ジェネレート·メタリックエレメント·フォームエレメント·ウェッジシェイプ」

 

俺は鉄素で杭を作り、それを刺して剣をしまう。

そのまま鉄棒の要領で半回転して、杭の上に乗る。

もう1回同じことをして、登れることを確認する。

 

「よし!これで行けるぞ!」

 

「なら俺も…!」

 

「…り…す」

 

キリトが登ってくる中、アリスだけはそこから動けないでいた。

 

「はぁ?何だって?」

 

「無理です、と言ったのです」

 

はぁ、何言ってるんだこいつ?

 

「お前、神聖術なら騎士団でもトップクラスの…」

 

「そう意味では無いのです!このような状況初めてで…恥を晒すようですが、こうしてぶら下がってるだけで、精一杯なんです」

 

ああ…要するに、腰を抜かしのか。

全く…世話の焼ける…。

 

「なら俺たちが鎖を引っ張って、あんたを杭の上に乗せる!」

 

「仕方ねぇな…貸1だぞ!」

 

キリトと息を合わせて持ち上げる。

クソ…マジで重いな…!

 

「両手で壁に掴まれ…!」

 

「アリス…鎧…何とかならねぇのか…!?」

 

「変えても結果の重さは同じです…すみません…」

 

まあ、形状変化はその名の通り、形を変えてるだけだしな。

無理もないか…。

というか、そんなにしおらしくされたら、調子が狂う。

俺たちはこれを数時間続けて、既に夕方。

 

「「はぁ…はぁ…はぁ…」」

 

2人で分担してきたが、ソルスが落ちてきたせいで、空間神聖力が落ちてきた。

鉄素の生成には、神聖力を大量に使うから、夜までには何とか、あのでっぱりに行きたい。

 

「おい、みんな。あそこなにか見えないか?」

 

「ん?…石像でしょうか?」

 

石像って…なんであんな場所に?

 

「まあこの際、なんでもいいか。休めるならどこでもいい」

 

「違いねぇ。だが…あと2本はいるな…」

 

「…仕方ありません。いざという時のために、取っておきましたが、今がその時ですね」

 

アリスが手甲を、杭に変えた。

おぉー、ナイス!

その手があったか!

 

「しかしこう見ると、気味悪い像だな…」

 

たしかによく見ると…よく…見ると…!?

 

「嘘だろ…!?」

 

「これは…まさか…!?」

 

その時突然、石像が動き出した。

だがそれ以上に問題なのは、動き出した事実より、動き出したヤツの方だ。

 

「な、なんだよこいつら!?」

 

「【ミニオン】…!暗黒界の連中の使い魔だ!」

 

outside

 

突然動き出した石像に、アリスは呆然として、キリトと優月は戦闘態勢に入る。

 

「アリス!剣を抜け!ボサってするな!」

 

「アリス!」

 

だがアリスは何も出来ず、ただ鎖にしがみつくだけだった。

 

「クソ…エンハンス·アーマメント!」

 

優月は【桜刀:舞姫】の【武装完全支配術】で、迎撃する。

 

「魅せろ…舞姫!」

 

変幻自在の刃が、ミニオンの一体を切り刻んだ。

 

(クソ…イチがバチか…!)

 

「優月!俺を守ってくれ!アリスはしっかり鎖に掴まれ!」

 

「「お前…まさか!?」」

 

「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

キリトは全力でアリスの鎖を、上にぶん投げた。

 

「キャァァァァァァァァァァァァァア!!!」

 

(アリスもこんな悲鳴あげるんだな…)

 

そんな場違いな感想を抱く優月だったが、

 

「うぉ!?」

 

「キリト!っぶぇ…!?」

 

滑り落ちるキリトと、それをギリギリで掴む優月。

その時、キリトの体が少し浮く。

その事に、顔を青くする2人。

 

「「…まさか…!?」」

 

「こんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「「うおわぁぁぁぁぁぁぁあ!?」」

 

アリスの渾身のバカ力で、2人まとめて投げられる。

優月は完全に投げられ損である。

 

「何を考えてるのです、この大馬鹿者!!」

 

「…お前が腰抜かさなきゃ、良かっただけの話だろうが!このバカ力女!」

 

「なんですってぇ!?」

 

「優月!アリス!今は後!残り2体、片付けるぞ!」

 

キリトの声に、2人は直ぐに剣を構え直す。

 

「…アリス、あれは…」

 

「自分で言っていたでしょう。あれはミニオンです」

 

「だよな…クソッタレ…!」

 

優月とアリスの言葉に、キリトが尋ねる。

 

「2人はあれを知ってるのか…?」

 

「暗黒界の暗黒術師…こっちでいうところの神聖術師が使う使い魔です」

 

「名をミニオン。間違っても…整合騎士すら近付けない場所にいていいやつでは無い」

 

2人が何よりも気にしていたのは、そこだった。

ここは飛竜すら近付けない程に、高い場所。

決してあってはならない事態。

 

「ましてや…高い権力を持つ教会内部の人間により、匿われていたなんて、あってはないません」

 

「っ!?来たぞ!優月!アリス!そっちにもだ!」

 

「…ここは任せたぞ、アリス」

 

「ええ、私が斬ります」

 

横に一閃。

それだけで、真っ二つになるミニオン。

そして、縦切り4連撃【バーチカル·スクエア】によって、ミニオンを切り裂くキリト。

 

「…なんだよ」

 

「言え、奇妙な技を使う思っただけですよ。夏至のお祭りの芝居小屋で披露すれば、それなりに客を呼べるのではないですか?」

 

「そりゃどうも…あれ?あんた、セントリアの夏至祭に行ったことあるのか?あれは庶民のお祭りで、修剣学院でも、見ない生徒がほとんどだったぞ」

 

こっそり抜け出して、行ったことがあるな、それ。

たしかにあれは、庶民向けって感じだったな。

まあまあ楽しかったけど。

 

「私を気取った連中と一緒にしな…」

 

突然アリスの言葉が止まる。

2人は不思議そうに、首を傾げていると

 

「…なんでもありません。それより、ミニオンの血を落としておきなさい。病を呼ぶと言われていますから」

 

そう言われたキリトは、戸惑いながら袖で拭おうとすると

 

「こら!…あぁもう!男というのはどうして…」

 

「おい、一括りにするなよ。…俺もないけど」

 

「無いんですか!?全く…!手巾の1枚くらい持っておきなさい!」

 

俺たちはそのまま、でっぱりで一休みすることにした。

 

「ユージオのやつ…大丈夫かな…」

 

キリトの呟きに、優月はハッキリと答えた。

 

「大丈夫、あいつは強い。そうそう負けねぇよ。…あの人が相手じゃなかったらな」

 

「あの人?」

 

「そのまま登ったとして、90層にて待ち受けるのは整合騎士最強のお方…整合騎士長ベルクーリ=シンセシス=ワン」

 

セントラル·カセドラル内部にて、北の英雄に、北の若き剣士が戦いを挑んでいたのだった。




それでは失礼します。
ありがとうございました。
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