ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
それではよろしくお願いします。
sideユージオ
あの人からの、足止めせよという命令をこなした僕は、鎧を脱ぎ、あの人の元に近付く。
「よくやったわ、ユージオ。ご褒美をあげなくちゃ。いらっしゃい」
そう言われた僕は、あの人のベッドに入り、ご褒美を貰おうとする。
でもその時、何か昔の記憶が過ぎる。
「…」
「…?」
「う…うご…けぇぇぇぇぇぇ!!!」
「お前は!?」
正気を取り戻した僕は、直ぐにカーディナルさんから貰った短剣を、あの人…アドミニストレータに突き刺そうとした。
だがその直前で阻まれ、吹き飛ばされてしまった。
「騙されたわ…まさか正気を取り戻してたなんて。それにそのおもちゃ、図書室のちびっ子の仕業ね。でも残念、私の肌は、金属武器を受け付けないの」
クソ…!
どうする…!
「残念だわ、ユージオ。私に全てを捧げれば、その分私も愛してあげたのに…」
「永遠の…愛…永遠の…支配」
「そうよユージオ。貴方が求めてきた愛を、あなたにあげるわ。最後のチャンスよユージオ。その剣で、そこのおもちゃを壊しなさい」
愛は支配し、支配されるすること…。
「可哀想なのは、そんなふうにしか言えない貴女の方だ」
きっとアドミニストレータも同じだったんだ。
愛に飢え、愛を求めて、得られなかった。
愛とは支配することでも、見返りを求めることでも、取引で手に入れるものでもない。
花に水を注ぐように、与え続けること。
「それこそが、きっと愛なんだ」
「そう…残念ね。仕方ないわね。あの子みたいに強制【シンセサイズ】しようかしら」
まさか…あの子って!?
「貴方がご執心なサーティちゃん。せめて、同じ体験してみる?」
よくも…アリスを…!
「ぜぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
僕は【青薔薇の剣】を抜き、全速力で斬り掛かる。
力むな、込めるな…今は全てを乗せろ!
僕のソードスキルと、アドミニストレータの神聖術がぶつかる。
「く…だ…け…ろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
僕は何とか砕いたが、その後すぐに風素によるカウンターを受けて、吹き飛ばされる。
クソォ…!
僕は痛む背中に鞭を打ち、カーディナルさんがくれた短剣を手にして立ち上がる。
この【青薔薇の剣】は金属じゃない。
だからアドミニストレータの防御だって、打ち破れる。
「…そういうこと」
その時下からチュデルキンが、下からはい出てくる。
「猊下!お助けを!オヒョォォ!」
チュデルキンの下から手が出てきて、足を掴む。
そのままチュデルキンは靴を脱ぎ、どういう仕組みか転がって逃げていく。
「よっと」
現れた黒ずくめの男を、僕は知っている。
「キリト…」
「よ、ユージオ」
そして続いて出てきたのは、ピンク色の上着を着ている、紫の髪の男。
「ユヅキ…」
「おう、1人でよく頑張ったな」
最後に出てきたのは、黄金の整合騎士。
彼女こそ、僕が探してやまなかった
「アリス…!」
「…私達も戦います」
みんな…!
来てくれたんだね…!
でも…
「ごめんみんな。僕はアドミニストレータの誘惑に負けて…」
「水臭いぜ、ユージオ。お前の考えなんて、直ぐにわかったぜ」
あっさりと言い放つキリトに、僕は思わず笑ってしまう。
「…君はいつもそうだ…!」
side優月
さてと…ずっとあのままだな、あの女。
何をブツブツ言ってるんだ?
「…ねぇ、アリスちゃん。ユヅキくん。言いたいことがあるのでしょう?言ってご覧なさい」
「…ッ!」
そのオーラに圧倒されかけたアリスだったが、後ろに踏み込んだ足を止めて、逆に前に出た。
俺も不敵に笑いながら、堂々と言いたい放題させてもらうことにした。
「最高司祭様。栄えある我らが整合騎士団は、本日をもって壊滅しました。我らの隣に並ぶ、2名の反逆者の手によって。そして、あなたが積み上げてきた、膨大な欲望と欺瞞ゆえ」
「我らの究極的な役目は、人界の民の平穏を守ること。それを脅かす存在となりかねない貴女を…ここで斬る」
その時チュデルキンが喚き散らすが、俺はそれよりアドミニストレータの言葉が気になった。
「あの者が施したコード871を、自発的に破ったのかしら」
あの者…コード871…やはり何か知ってるな?
「ま、解析しないと分からないわね。チュデルキン、お前の評価を上げる機会をあげるわ」
それならチュデルキンがとった行動は、説明するのも憚るほどに、醜いものだった。
まあ、男の欲望を満たしたい…そういうものだ。
それを了承するアドミニストレータ。
「システムコール!ジェネレート!サーマルエレメント!」
嘘だろ…あの野郎…自分の目玉まで焼きやがった。
都合22の熱素によって作られたのは、炎の魔人。
「さてと…ユージオ…無理?」
「無理だね、残念だけど」
ダメか…俺やアリスの花でも厳しいぞ…あれは。
「10秒。何とか持ち堪えます。その間にチュデルキン本人を」
「よし。俺とキリトが仕留める。ユージオは気を逸らしてくれ」
「分かった」
「…行きますよ!」
アリスが少し俺たちから離れて
「廻れ!花たち!」
アリスが全力で防いでくれる。
「システムコール…ディスチャージ」
ユージオがチュデルキンの気を引き
「「アァァァァァァァァァァァァァァ!!!」」
俺とキリトの心意が跳ね上がる。
その時俺とキリトの服装が変わる。
キリトは黒の剣士に。
俺は剣豪に。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
こうしてキリトの【ヴォーパル·ストライク】と、俺の【心意の斬撃】が、チュデルキンを貫き、切り裂いた。
「フォォォォォォォォォ!?」
断末魔を上げながら、死んでいくチュデルキン。
「キリト…ユヅキ…」
「「はぁ…はぁ…はぁ…」」
これ…滅茶苦茶疲れるな…。
「ま。それなりにいいデータが取れたわ。ユヅキくんを拾ったのは、非正規婚による未登録ユニットのがどんな風になるのか…それを知りたかったからだけど…まさか2人とも、未登録ユニットじゃなくて、あっち側から来たのね」
流石に知ってるか…。
「そうだ。と言っても。俺たちに与えられた権限レベルは、この世界の一般人と何ら変わらないがな」
「それで?貴方たちは何をしに、私の世界に転げ落ちてきたのかしら?」
「
「なぜ私たちの魂に、貴女へと忠誠を強制させるような術式を組み込んだのですか!?貴女は、閣下の葛藤をご存知ではなかったのですか!?」
アリスの悲しみに満ちた叫びを、アドミニストレータは蔑むように言い放った。
「知ってたわよ、そんなこと。実はね、100年前にも、同じことを言ってたのよ。ベルクーリだけじゃないわ。100年以上たった整合騎士は、一度でリセットしてあるのよ」
こいつ…マジでイカれてる…!
「私は未だかつて無い、胸の痛みを感じています。ですが、この痛みを消したくありません。なぜなら…これこそが、私が人間であるということの照査に他なりません!私は、貴女の支配を望まない!」
俺たちの言葉は、もはや平行線だ。
どれだけ言っても絶対に、交わらないだろう。
「…このまま進んでも、お前の望み通りにはならねぇぞ。この向こうには、真に絶対の権限を持つ連中がいる」
「そいつらはこう思うぞ。『今回は失敗だった。やり直そう』…そしてボタンひとつで、この世の何もかもが消滅するぞ」
俺たちの言葉に、ユージオとアリスが息を呑む。
2人には到底、理解出来ない話だろう。
無理もない、こんな話普通は信じられないからな。
「じゃあ貴方たちはどうなのかしら?貴方たちの世界より、より上位の世界に創造された可能性を、常に考えているのかしら?…そうではないわよねぇ。だった戯れに世界を作って、壊そうなんて連中だものね」
それは…!?
そう言われては、俺達も反論出来ない。
「私は支配することこそが、存在証明。この足は踏みしだく為にあり、断じて膝を屈する為のものでない!!!」
「だったら貴女は、皆殺しされた民の中、1人玉座に座ってる気か!」
「…正直言ってね、整合騎士は繋ぎだったの」
何…?
整合騎士団が…繋ぎ?
「私が真に求める武力には、記憶も感情も考える力すら要らないの。つまり…人間である必要もないのよ。リリース·リコレクション!」
「これは…」
「まさか!?」
壁にあった武具が、一つの形になる。
まさかあれ…全部神器だったのか!?
「剣の…自動人形…!?」
都合30本分の神器…どう戦う!?
「さあ、行きなさい!ソード·ゴーレム!」
最初に狙われたのは…ユージオ!?
間に合え…!
「ユージオ!エンハンス·アーマメント!」
俺は咄嗟にユージオに体当たりして、【武装完全支配術】で刀を大きくして、攻撃に対抗した。
だが
「ゴフッ!?」
ヤバい…シャレにならねぇ…!?
俺は1太刀受けただけで、壁まで吹っ飛ばされて、血を吐き出した。
「あぁ…ァァァァァァァ!!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
さらに立て続けにキリト、アリスがやられる。
クソ…ユージオ…逃げろ…!
「あら?…あらあら…随分と残酷な神器だったのね、それ」
「うる…せぇよ…ガフッ!」
クソ…立とうにも…力が入らねぇ…!
「空間神聖力を吸い、自動回復なんて…死ぬに死ねないのね!」
「死ぬに…死ねない…?その…デク人形が…弱っちい…だけ…だろ…?」
俺が死にかけの負け惜しみを言っていると、突然でかいクモがソードゴーレムを襲い、さらにユージオが昇降盤に、ナイフを突き立てていた。
現れたのは…小柄の女の子。
だがその雰囲気は…長い時を生きた賢者のようだ。
その女の子は、一撃でソードゴーレムを吹き飛ばした。
「…お前…は…」
「黙っておれ」
そう言って、俺たちの傷を癒してくれた。
「…キリト…そいつは…」
「カーディナルだ。200年前、アドミニストレータと戦った、もう1人の最高司祭」
…カーディナル…だと?
それ…信じていいのか…?
「優月、俺たちの知るカーディナルは、彼女のオリジナルらしい。だがあのカーディナルとは、最早別物と見ていい」
「…お前がそう言うなら…」
「私も信じましょう。この身を癒してくださった、この暖かい神聖術を信じます」
そして俺たちは、再びアドミニストレータと向き合う。
「随分と人の真似が上手くなったようじゃな」
「ふふふ…久しぶりね、おチビさん。200年前、心細そうに震えていた女の子とは思えないわ、りセリスちゃん」
「ワシをその名で呼ぶな!クィネラ!わしの名はカーディナル!貴様を消し去るシステムの名じゃ!」
「そうだったわね。そして私の名前はアドミニストレータ。全てのシステムの支配者」
ついに最終決戦の幕が開く予兆を、俺は感じたのだった。
それでは失礼します。
ありがとうございました。