ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

75 / 98
リコリスの続編的な新作ゲーム…楽しみです!
それではよろしくお願いします。


64話

sideユージオ

 

あの人からの、足止めせよという命令をこなした僕は、鎧を脱ぎ、あの人の元に近付く。

 

「よくやったわ、ユージオ。ご褒美をあげなくちゃ。いらっしゃい」

 

そう言われた僕は、あの人のベッドに入り、ご褒美を貰おうとする。

でもその時、何か昔の記憶が過ぎる。

 

「…」

 

「…?」

 

「う…うご…けぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「お前は!?」

 

正気を取り戻した僕は、直ぐにカーディナルさんから貰った短剣を、あの人…アドミニストレータに突き刺そうとした。

だがその直前で阻まれ、吹き飛ばされてしまった。

 

「騙されたわ…まさか正気を取り戻してたなんて。それにそのおもちゃ、図書室のちびっ子の仕業ね。でも残念、私の肌は、金属武器を受け付けないの」

 

クソ…!

どうする…!

 

「残念だわ、ユージオ。私に全てを捧げれば、その分私も愛してあげたのに…」

 

「永遠の…愛…永遠の…支配」

 

「そうよユージオ。貴方が求めてきた愛を、あなたにあげるわ。最後のチャンスよユージオ。その剣で、そこのおもちゃを壊しなさい」

 

愛は支配し、支配されるすること…。

 

「可哀想なのは、そんなふうにしか言えない貴女の方だ」

 

きっとアドミニストレータも同じだったんだ。

愛に飢え、愛を求めて、得られなかった。

愛とは支配することでも、見返りを求めることでも、取引で手に入れるものでもない。

花に水を注ぐように、与え続けること。

 

「それこそが、きっと愛なんだ」

 

「そう…残念ね。仕方ないわね。あの子みたいに強制【シンセサイズ】しようかしら」

 

まさか…あの子って!?

 

「貴方がご執心なサーティちゃん。せめて、同じ体験してみる?」

 

よくも…アリスを…!

 

「ぜぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

僕は【青薔薇の剣】を抜き、全速力で斬り掛かる。

力むな、込めるな…今は全てを乗せろ!

僕のソードスキルと、アドミニストレータの神聖術がぶつかる。

 

「く…だ…け…ろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

僕は何とか砕いたが、その後すぐに風素によるカウンターを受けて、吹き飛ばされる。

クソォ…!

僕は痛む背中に鞭を打ち、カーディナルさんがくれた短剣を手にして立ち上がる。

この【青薔薇の剣】は金属じゃない。

だからアドミニストレータの防御だって、打ち破れる。

 

「…そういうこと」

 

その時下からチュデルキンが、下からはい出てくる。

 

「猊下!お助けを!オヒョォォ!」

 

チュデルキンの下から手が出てきて、足を掴む。

そのままチュデルキンは靴を脱ぎ、どういう仕組みか転がって逃げていく。

 

「よっと」

 

現れた黒ずくめの男を、僕は知っている。

 

「キリト…」

 

「よ、ユージオ」

 

そして続いて出てきたのは、ピンク色の上着を着ている、紫の髪の男。

 

「ユヅキ…」

 

「おう、1人でよく頑張ったな」

 

最後に出てきたのは、黄金の整合騎士。

彼女こそ、僕が探してやまなかった

 

「アリス…!」

 

「…私達も戦います」

 

みんな…!

来てくれたんだね…!

でも…

 

「ごめんみんな。僕はアドミニストレータの誘惑に負けて…」

 

「水臭いぜ、ユージオ。お前の考えなんて、直ぐにわかったぜ」

 

あっさりと言い放つキリトに、僕は思わず笑ってしまう。

 

「…君はいつもそうだ…!」

 

side優月

 

さてと…ずっとあのままだな、あの女。

何をブツブツ言ってるんだ?

 

「…ねぇ、アリスちゃん。ユヅキくん。言いたいことがあるのでしょう?言ってご覧なさい」

 

「…ッ!」

 

そのオーラに圧倒されかけたアリスだったが、後ろに踏み込んだ足を止めて、逆に前に出た。

俺も不敵に笑いながら、堂々と言いたい放題させてもらうことにした。

 

「最高司祭様。栄えある我らが整合騎士団は、本日をもって壊滅しました。我らの隣に並ぶ、2名の反逆者の手によって。そして、あなたが積み上げてきた、膨大な欲望と欺瞞ゆえ」

 

「我らの究極的な役目は、人界の民の平穏を守ること。それを脅かす存在となりかねない貴女を…ここで斬る」

 

その時チュデルキンが喚き散らすが、俺はそれよりアドミニストレータの言葉が気になった。

 

「あの者が施したコード871を、自発的に破ったのかしら」

 

あの者…コード871…やはり何か知ってるな?

 

「ま、解析しないと分からないわね。チュデルキン、お前の評価を上げる機会をあげるわ」

 

それならチュデルキンがとった行動は、説明するのも憚るほどに、醜いものだった。

まあ、男の欲望を満たしたい…そういうものだ。

それを了承するアドミニストレータ。

 

「システムコール!ジェネレート!サーマルエレメント!」

 

嘘だろ…あの野郎…自分の目玉まで焼きやがった。

都合22の熱素によって作られたのは、炎の魔人。

 

「さてと…ユージオ…無理?」

 

「無理だね、残念だけど」

 

ダメか…俺やアリスの花でも厳しいぞ…あれは。

 

「10秒。何とか持ち堪えます。その間にチュデルキン本人を」

 

「よし。俺とキリトが仕留める。ユージオは気を逸らしてくれ」

 

「分かった」

 

「…行きますよ!」

 

アリスが少し俺たちから離れて

 

「廻れ!花たち!」

 

アリスが全力で防いでくれる。

 

「システムコール…ディスチャージ」

 

ユージオがチュデルキンの気を引き

 

「「アァァァァァァァァァァァァァァ!!!」」

 

俺とキリトの心意が跳ね上がる。

その時俺とキリトの服装が変わる。

キリトは黒の剣士に。

俺は剣豪に。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

こうしてキリトの【ヴォーパル·ストライク】と、俺の【心意の斬撃】が、チュデルキンを貫き、切り裂いた。

 

「フォォォォォォォォォ!?」

断末魔を上げながら、死んでいくチュデルキン。

 

「キリト…ユヅキ…」

 

「「はぁ…はぁ…はぁ…」」

 

これ…滅茶苦茶疲れるな…。

 

「ま。それなりにいいデータが取れたわ。ユヅキくんを拾ったのは、非正規婚による未登録ユニットのがどんな風になるのか…それを知りたかったからだけど…まさか2人とも、未登録ユニットじゃなくて、あっち側から来たのね」

 

流石に知ってるか…。

 

「そうだ。と言っても。俺たちに与えられた権限レベルは、この世界の一般人と何ら変わらないがな」

 

「それで?貴方たちは何をしに、私の世界に転げ落ちてきたのかしら?」

 

暗黒界(ダークテリトリー)の侵攻に、俺たちだけでなんとかなると、本気で考えているのか?これは同じ懸念を、ベルクーリさんもファナティオさんも抱いていたぞ」

 

「なぜ私たちの魂に、貴女へと忠誠を強制させるような術式を組み込んだのですか!?貴女は、閣下の葛藤をご存知ではなかったのですか!?」

 

アリスの悲しみに満ちた叫びを、アドミニストレータは蔑むように言い放った。

 

「知ってたわよ、そんなこと。実はね、100年前にも、同じことを言ってたのよ。ベルクーリだけじゃないわ。100年以上たった整合騎士は、一度でリセットしてあるのよ」

 

こいつ…マジでイカれてる…!

 

「私は未だかつて無い、胸の痛みを感じています。ですが、この痛みを消したくありません。なぜなら…これこそが、私が人間であるということの照査に他なりません!私は、貴女の支配を望まない!」

 

俺たちの言葉は、もはや平行線だ。

どれだけ言っても絶対に、交わらないだろう。

 

「…このまま進んでも、お前の望み通りにはならねぇぞ。この向こうには、真に絶対の権限を持つ連中がいる」

 

「そいつらはこう思うぞ。『今回は失敗だった。やり直そう』…そしてボタンひとつで、この世の何もかもが消滅するぞ」

 

俺たちの言葉に、ユージオとアリスが息を呑む。

2人には到底、理解出来ない話だろう。

無理もない、こんな話普通は信じられないからな。

 

「じゃあ貴方たちはどうなのかしら?貴方たちの世界より、より上位の世界に創造された可能性を、常に考えているのかしら?…そうではないわよねぇ。だった戯れに世界を作って、壊そうなんて連中だものね」

 

それは…!?

そう言われては、俺達も反論出来ない。

 

「私は支配することこそが、存在証明。この足は踏みしだく為にあり、断じて膝を屈する為のものでない!!!」

 

「だったら貴女は、皆殺しされた民の中、1人玉座に座ってる気か!」

 

「…正直言ってね、整合騎士は繋ぎだったの」

 

何…?

整合騎士団が…繋ぎ?

 

「私が真に求める武力には、記憶も感情も考える力すら要らないの。つまり…人間である必要もないのよ。リリース·リコレクション!」

 

「これは…」

 

「まさか!?」

 

壁にあった武具が、一つの形になる。

まさかあれ…全部神器だったのか!?

 

「剣の…自動人形…!?」

 

都合30本分の神器…どう戦う!?

 

「さあ、行きなさい!ソード·ゴーレム!」

 

最初に狙われたのは…ユージオ!?

間に合え…!

 

「ユージオ!エンハンス·アーマメント!」

 

俺は咄嗟にユージオに体当たりして、【武装完全支配術】で刀を大きくして、攻撃に対抗した。

だが

 

「ゴフッ!?」

 

ヤバい…シャレにならねぇ…!?

俺は1太刀受けただけで、壁まで吹っ飛ばされて、血を吐き出した。

 

「あぁ…ァァァァァァァ!!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

さらに立て続けにキリト、アリスがやられる。

クソ…ユージオ…逃げろ…!

 

「あら?…あらあら…随分と残酷な神器だったのね、それ」

 

「うる…せぇよ…ガフッ!」

 

クソ…立とうにも…力が入らねぇ…!

 

「空間神聖力を吸い、自動回復なんて…死ぬに死ねないのね!」

 

「死ぬに…死ねない…?その…デク人形が…弱っちい…だけ…だろ…?」

 

俺が死にかけの負け惜しみを言っていると、突然でかいクモがソードゴーレムを襲い、さらにユージオが昇降盤に、ナイフを突き立てていた。

現れたのは…小柄の女の子。

だがその雰囲気は…長い時を生きた賢者のようだ。

その女の子は、一撃でソードゴーレムを吹き飛ばした。

 

「…お前…は…」

 

「黙っておれ」

 

そう言って、俺たちの傷を癒してくれた。

 

「…キリト…そいつは…」

 

「カーディナルだ。200年前、アドミニストレータと戦った、もう1人の最高司祭」

 

…カーディナル…だと?

それ…信じていいのか…?

 

「優月、俺たちの知るカーディナルは、彼女のオリジナルらしい。だがあのカーディナルとは、最早別物と見ていい」

 

「…お前がそう言うなら…」

 

「私も信じましょう。この身を癒してくださった、この暖かい神聖術を信じます」

 

そして俺たちは、再びアドミニストレータと向き合う。

 

「随分と人の真似が上手くなったようじゃな」

 

「ふふふ…久しぶりね、おチビさん。200年前、心細そうに震えていた女の子とは思えないわ、りセリスちゃん」

 

「ワシをその名で呼ぶな!クィネラ!わしの名はカーディナル!貴様を消し去るシステムの名じゃ!」

 

「そうだったわね。そして私の名前はアドミニストレータ。全てのシステムの支配者」

 

ついに最終決戦の幕が開く予兆を、俺は感じたのだった。




それでは失礼します。
ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。