ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

78 / 98
特に書くことが思いつかない…。
それではよろしくお願いします。


67話

side優月

 

目を覚ましてから俺は、現実世界で起きたことを、アスナ先輩に教えてもらった。

 

「あ〜…そうだ、思い出した…。俺、子供助けようとして、トラックに撥ねられたんだ」

 

「そうだよ…死ぬかと思ったんだからね…!」

 

「心配かけさせるんじゃないわよ、バカ!」

 

うぅ…申し訳なさ過ぎて、小さくなりそうだ…。

とはいえ、そろそろ会議の時間だ。

 

「えぇっと…そろそろ会議の時間だから、行かないと…」

 

「…はぁ。話はまた後でね」

 

「あ、まだ続くんだ」

 

「当然でしょ!バカ優月!」

 

会議後、日暮れまで怒られるとはこの時思ってなかった。

それはともかく、会議用の大天幕にて。

カセドラルがダメになった今、北セントリア修剣学院に設置された、対策本部が俺達の…そして人界の中心地だった。

 

「ベルクーリ閣下!優月=シンセシス=ゼロ!無事帰還しました!」

 

「…坊主…まだダメなのか…?」

 

「おいおっさん、久しぶりに真面目にやった俺の時間を返せ」

 

「なら心配してやった俺の時間を返すこった」

 

そう言われると、ぐうの音も出ない。

俺はムスッとしていると、突然頭をぐしゃぐしゃに、撫で回してくる。

 

「…よく戻ってきたな、坊主」

 

「ちょ!?やめろよ…!」

 

俺は強引に離させながらも、頭に残る温かさに、リアルワールドの親父を思い出す。

親父はこういう人ではなかったが、それでもやはり、俺たち子供のことを考えてくれてはいた。

…戻ったら、謝らないのな…。

 

「さて…それじゃあ、会議を始めるか。それぞれ、色々あると思うが、今は悪ぃが、腹の中に収めてくれ。まずはこっちの新顔…てぇか、凍結から目覚めさせれた整合騎士を紹介しておこう」

 

そう言っておっさんが呼んだのは、無表情な女性と、優しげな男性。

というか男の方…誰かに似てる?

 

「こっちはシェータ=シンセシス=トゥエルブだ」

 

「…」

 

無言…?

何も話さないのか?

 

「えぇっと…武器は何を?」

 

同伴していたキリトが、果敢に質問したが

 

「この【黒百合の剣】よ。…斬られたい?」

 

「すみませんでした」

 

まさかの試し斬りされたい発言とは…随分とバイオレンスだな…。

何でも凍結処分といっても、特殊は方法だったらしく、この人しか解除出来なかったらしい。

…あれ、ということはこの人は?

 

「で、こっちが…」

 

「レンリ=シンセシス=トゥエニセブンです…」

 

「…ユージオに似てる…」

 

キリトの呟きに、俺はやっと感じていた違和感にたどり着いた。

 

「あぁ!どこかで見たと思ってたら…たしかに、ユージオに似てるかも!」

 

「2人とも…いきなりそんなこと失礼だろ?それにレンリさんの方が、洗練されてると思うけど…」

 

「貴方たち!話の腰を折るのをやめなさい!レンリ殿が困ってしまうでしょう!?」

 

レンリの方は、チュデルキンが先に解除していたらしい。

数を増やそうとしたのだろうが、結局意味は無く、完全覚醒する頃には、全てが終わっていたということらしい。

 

「イーディスは?東に?」

 

「ああ、あいつはお前さんと戦ってすぐに、東に飛んだ。あいつとは密に情報のやり取りをしてるから、問題ねぇ。そんで、次はそっちだぜ?随分と大所帯になってるが…?」

 

多すぎるため、一人一人の紹介はせず、俺とキリトの仲間であると説明。

そして、その流れでカーディナルを紹介した。

 

「わしのことは、最高司祭代理とでも呼ぶがいい」

 

諸々の基礎情報が整った上で、俺たちは会議を始めた。

まずはいきなり現れた樹について。

 

「あれから、アドミニストレータの心意を感じた」

 

これは近くまで見に行った、俺とキリトの見解だ。

さらに付け加えるなら、あの樹はユージオ達が住んでいたルーリッド村に生えていた、ギガスシダーという樹にそっくりだとか。

 

「だからあれを【カセドラル·シダー】と仮の名前をつけた。…キリトが」

 

「おい、お前も『それでいいんじゃね?』とか言ってたじゃないか」

 

知らん知らん、無視無視。

問題は山積みだ。

混乱する央都の民に、飛竜の件…飛竜の件?

 

「何それ?」

 

「ああ、坊主と嬢ちゃんには、まだ知らせてなかったな。実はな、あの樹が出てくる直後、何者かが飛竜に乗って飛び去ったんだよ」

 

それは…穏やかじゃないな。

凍結中の整合騎士は、何故か浮いてる層の中だし、動ける整合騎士はイーディス以外全員いる。

つまり…整合騎士以外は乗れない飛竜に、おっさんすら知らない誰かが乗った…ということになる。

 

「…とにかく、それは後回しだな。まずは混乱する民への対応だな」

 

それから落ち着きを見せたのは、実に十数日後だった。

 

outside

 

「志願者?」

 

「おう、各騎士団や修剣学院の生徒に、募集をかけたのさ。ここ最近、魔獣の発生が急増してるだろ?本来俺たちが対応すべきなんだが…」

 

「まあ、果ての山脈の警護に、四帝国近衛軍の再編及び、再教練…やることが山積してるしね」

 

ベルクーリの召集を受けた優月は、説明を聞いて納得する。

だが、あまりいい顔はしない。

 

「修剣学院の生徒には、荷が重いんじゃ…?」

 

「だからこそさ。坊主には、学院生の振り分けをして欲しい」

 

急に荷が重い内容に、優月は少し顔が強ばる。

それと同時に、ある懸念を自身に抱いていた。

 

「俺、結構シビアだよ?最悪全部ダメにするかも」

 

「それくらいで丁度いいのさ。まあ、ダメにしたら、他の奴らに再テストさせるさ」

 

(仕方ないな…引き受けるか…)

 

優月は状況的に、引き受けるしかないと判断して、始めたはいいが

 

「使えねぇ…」

 

あまりの不出来さに、尽く不合格を突きつけた。

 

(なんだよこれ…学生ってこの程度か?それとも…俺の求めるハードルが高すぎるのか?)

 

その答えは両方だ。

上級貴族の腐敗さと、優月の求める水準の高さが相まって、なかなかお眼鏡にかなわないのだ。

 

「…次」

 

「ろ、ロニエ=アラベル初等錬士です!よろしくお願いします!」

 

「て、ティーゼ=シュトリーネン初等錬士です!よろしくお願いします!」

 

「はい。優月=シンセシス=ゼロです。よろしくお願いします」

 

制限時間は10分。

それまでに優月から合格を貰うこと。

それが条件だ。

 

「ああ、先に言っとく。剣を抜かせたかったら、抜かせるように頑張って」

 

優月は木刀だが、それを腰に差したまま、一度も抜いていない。

一方の志願者は、実剣を使用させられている。

これも優月の要求だ。

理由は2つ。

剣そのものに慣れることと、生き物に…人に剣を向ける…その意味を知ってもらうこと。

この2つを学ばせるために、わざと実剣を使わせているのだ。

 

「わ、分かりました…!」

 

「行きます!」

 

「「やぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

2人同時に斬りかかるが、優月は難なく避ける。

避けるが、ある疑問が過った。

 

(今の剣筋…キリトに似てる?)

 

そして自身のよく知る剣筋に似ている。

そしてそれは、ロニエが秘奥義…ソードスキルを発動した時に気付く。

 

「やぁぁぁぁぁぁ!」

 

(ソードスキル【バーチカル】!)

 

避けた隙に、横から駆け寄ってくるティーゼは

 

(こっちは【ホリゾンタル】か!)

 

こっちもあっさりと躱しながら、優月は内心驚いていた。

そして、その正体に気付く。

 

(…なるほど、そういうことか。それに、見込みはあり、だな)

 

この時から優月の方向性は、審査から稽古に変わっていた。

 

「はい隙だらけ。獣は敏感だよ?魔獣なら尚更だ」

 

「は、はい!」

 

「踏み込みが浅い!素早いんだからもっと速く深く!」

 

「わ、分かりました!」

 

「次の判断が遅い!一手出遅れたら命取りだぞ!」

 

「「はい!」」

 

そして残り3分。

 

「やぁぁぁぁぁぁ!」

 

ロニエが優月に突っ込む。

その動きを見つつ、何らかの狙いがあることを、優月が悟った時、突然ロニエが左に飛ぶ。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

(【ソニック·リープ】!)

 

ティーゼの【ソニック·リープ】に、無意識に避けようとして、左からの剣閃に、身をよじる。

 

(動きを止めさせるための【ホリゾンタル】…いや!違う!)

 

未だライトエフェクトが点る、ロニエの剣を見て、これが連続技だと悟る。

 

(2連撃ソードスキル【ホリゾンタル·アーク】!)

 

この時既に、2人のソードスキルは、回避不能の距離まで迫っていた。

ゆえに優月は…木刀を抜いて迎撃を選んだ。

 

「ソードスキル【絶空】」

 

ロニエの剣をかちあげて、ティーゼの剣と衝突させる。

その衝撃で、ロニエの剣が飛んでいく。

 

「きゃ!」

 

「ロニエ!?…あ」

 

「隙ありだぜ、ティーゼ」

 

目前で寸止めされる、優月の木刀。

そのまま座り込むティーゼから、ロニエに視線を向ける優月。

 

「で?あと1分あるけど?」

 

「…っ!やぁ!」

 

弾かれたように動くロニエは、砂をつかみ優月に投げる。

 

「っ!」

 

「ティーゼ!」

 

咄嗟に顔を隠しながら距離をとる優月と、その隙にティーゼの前に立ち、ティーゼの剣を構えるロニエ。

その様子を確認した優月は

 

「…はい、2人とも合格」

 

そう言って木刀をしまった。

 

「「え?」」

 

「君たちに紹介したいやつらがいるから、そこの天幕で待ってて」

 

そうして優月は、ロニエ達を天幕へと押し込んだのだ。

 

「さて…次」

 

その次に現れた女子を見て、優月は直ぐに木刀を片付けた。

 

「…え、えぇっと…」

 

「うん?ああ、ちょっと待ってて…こっちに変えるから」

 

そう言って優月は、木刀から神器へと持ち替えた。

 

「さて…優月=シンセシス=ゼロだ」

 

「め、メディア=オルティナノスです」

 

「よし、始めるか!」

 

といいつつも、優月は既に、彼女の合格を思っていた。

見ればわかる、その剣気に、既に図るべくもなし、そう思っていた。

そして結果は…

 

「まあ合格だけど、課題もあるな。引き際を心得な。血の気が多すぎる。突っ込みすぎだ」

 

そう言って、天幕にて待機するように、言い渡した。

彼女で最後であり、報告に向かった時

 

「失礼します!こちらで審査を受けるようにと、騎士様に言われたのですが!」

 

1人の大人の女性が現れる。

紫の服装に身を包んだその女性は、優月を本気にするには、充分な雰囲気があった。

 

「聞いてないですけど…名前は?」

 

「【ソルティリーナ=セルルト】でごさいます!」

 

(セルルト…【セルルト流】か)

 

「…わかりました、構えてください」

 

「よろしくお願いします!」

 

優月は前々から、セルルト流に興味があった。

この世界の格式ばった剣術が多い中、実戦に重きを置く、この流派はいかなるものか。

今回、それを改めて実感した。

 

「いや〜!強いですね!びっくりしました!」

 

「いえ…その…完膚なきまでに負けると、その言葉も耳が痛いといいますか…」

 

肩で息をするソルティリーナと、まだ余裕のある優月。

どっちが勝ったかは明白だが、優月も見た目以上に、余裕などなかった。

 

(焦った…エルドリエの鞭を見てなかったら、ワンチャンやられてたかも…。それに見た目に反した重さ…この人、かなり強い)

 

日頃の整合騎士との稽古が、優月を強くしていた。

改めてそれを実感した優月だったのだ。

 

side優月

 

「騎士長、審査終わりました」

 

「おう、ご苦労…案の定、かなりふるい落としたな」

 

まあ、厳しくやると言った手前、妥協は許されないだろう。

丁度そこへキリトたち、幼馴染組が通りがかった。

 

「小父様、これは一体…?」

 

ベルクーリは同じ説明を3人にした。

 

「なるほど…それはご苦労様です、ユヅキ」

 

「しかし相当削ったみたいだな…いや〜!手厳しいですな〜!優月先生は!」

 

「やかましいわ、バカキリト。…あ、そうだ。お前とユージオに会わせたい連中がいるんだった。あそこの天幕にいるから、会ってこいよ」

 

そう言って2人を送り出し、俺は残りの仕事を片付けようと、自分の天幕に向かおうとすると

 

「おい、ちょっと待て坊主」

 

「ん?なに?おっさん」

 

「お前さんの今の仕事は、嬢ちゃんに引き継げ。坊主には別の仕事がある」

 

別の仕事…?

不思議に思っていると、何故か俺の天幕を指さす。

 

「お前の天幕に用意してあるから、頼むぞ」

 

「はぁ…じゃあアリス、頼むわ」

 

「…ええ、任せなさい」

 

何故か少しだけムスッとしたアリスに背中を押され、俺は自分の天幕に入ると、あの2人…いや、おそらくもっと多くの人間の策にハマったと思った。

ったく…どいつもこいつも…。

 

「やってくれる…」

 

「優月君、こっち来て」

 

「分かりましたよ…アスナ先輩」

 

部屋にいたのは、アスナ先輩だった。

俺はアスナ先輩に呼ばれるままに、ベッドに腰をかける先輩の隣に座る。

しばらく黙っていると、

 

「抱っこ」

 

「ハイハイ」

 

「…ギュッてして」

 

「ハイハイ」

 

甘えん坊になっちゃったのかな?

甘えてくるアスナ先輩の言われるがままに、膝の上に乗せ、抱きしめる。

やがて…アスナ先輩の体が震えだし…泣き出してしまう。

 

「私…私…怖かったよ…。目の前で…トラックに轢かれて…血まみれで倒れて…。何とか一命は取り留めたって…。でも、予断の許さない状況って言われて…」

 

「先輩…」

 

「なのに…こっちでも倒れて…!なかなか起きなくて…!やっと目を覚ましたって思ったら…!バタバタ忙しそうで…!寂しいよ…!側にいてよ…!」

 

「…ごめんね、心配かけて…。大丈夫。俺はここにいるよ」

 

「優月君…優月君…!」

 

本当に…先輩には心配をかけたな…。

いや、ミトやみんなにもか。

後で謝らないと…。

しばらく背中を擦りながら落ち着くのを待っていると、俺の膝の上から立ち上がって、腰に手を当てながら

 

「みんなにも謝ってくること!いい?」

 

そう優しげな顔で、外を指さしながら言った。

 

「…行ってきます!」

 

「うん!行ってらっしゃい!」

 

行ってきますと言ったからには、ただいまって言いたい。

行ってらっしゃいと言われたからには、おかえりなさいと言ってもらいたい。

こんなちっぽけで当たり前な、その程度でいいのだ。

その程度のために戦ってもいいんだ。

そのことを教えてくれる、この笑顔が好きなんだ。

 

「…さてと、まずは姉貴だな」

 

俺は対策本部の中を、ミトを探して走り出したのだった。




久しぶりにアスナとイチャイチャさせました。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。