ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
それではよろしくお願いします
sideミト
「スイッチ!」
そう叫びながら、前衛と入れ替わり鎌で一撃を叩き込む。
仰け反った隙に仲間と入れ替わる。
下がりながら後衛の方をチラりと見る。
そこには可愛い弟である優月改めツキノワと、親友であるアスナがいる。
ボスに集中すべきだと分かってはいるが、やはり気になっていると
「後衛が気になるのか?」
バリトンボイスが近くから聞こえる。
振り返ると、B隊リーダーのエギルがいた。
「ええ、弟と親友がいるから」
そう答えながらも、やっぱりチラりと見てしまう。
「ああ、あの時の少年か。確かによく似てるな」
顎を撫でながらそっちを見るエギル。
戦いぶりを見ている限り問題は無さそうだ。
「あの感じだと問題は無さそうだが、やっぱり気になるものか」
「ええ、どうしてもね」
そう、心配でならない。
ただそれだけだ。
「なら、さっさと終わらせて安心させないとな!」
「ええ!そうね!」
気合いを入れ直す。
そうしていると
「攻撃来るぞ!B隊!援護を!C隊!攻撃後A隊とスイッチ!D.E.F隊!センチネルを近づけさせるな!」
ディアベルから鋭い指示が飛ぶ。
「分かっとるで!」
「「了解!」」
それぞれから返事が返ってくるのを聞き流しながら、鎌を強く握り直す。
そしてB隊がしっかり防ぎきった後
「スイッチ!」
その声で踏み込み
「はぁぁ!!」
気合いを込めて振りかぶる。
少しでも早く終わらせるために。
2人を守るために私は鎌を振るう。
sideキリト
「攻撃来るぞ!B隊!援護を!C隊!攻撃後A隊とスイッチ!D.E.F隊!センチネルを近づけさせるな!」
ディアベルから鋭い指示が飛ぶ。その声に俺は
「了解!」
返事をしてから
「ツキノワ!アスナ!行くぞ!」
パーティメンバーに声をかける。
「「了解!」」
力強い返事が返って来てそのまま【ルイン・コボルト・センチネル】に挑む。
最初に挑みかかったのはツキノワだ。
ツキノワは一気に加速すると、そのまま間合いに踏み込む。
センチネルがポールアックスを構えたが、構えきるより速く間合いに入り込まれ一瞬動きが固まる。
すかさずその隙を突き、ポールアックスをすくい上げるようにパリィする。
そして
「スイッチ!」
その掛け声とともに下がると、そこに今度はアスナが踏み込む。
その速度を一切落とさずそのまま
「ハァァ!」
気合いとともに【リニアー】を打ち込む。
正確無比なその一撃は、センチネルの弱点を貫き一発で体力の7割程削る。
そして
「スイッチ!」
その掛け声とともに下がると、またツキノワが前に出ると
「シッ!」
縦にセンチネルを両断した。
その様子を見届けると
「ナイスです。アスナ先輩」
「そっちこそナイスキル!ツキノワ君」
お互いの剣を軽くぶつけて健闘を称えあっていた。
その様子を見ていたキリトは
(アスナも凄いが、やはりツキノワも凄い!)
純粋に2人の実力に驚いていた。
まだデスゲーム宣言の前、ゲーム開始直後から一緒にいてキリトが思っていたのは、彼は決して才能に溢れる人物ではないという事だ。
最初、初めてでソードスキルを成功させた時は素質があるかと思ったが、あの時は偶然だったらしく、これまで一緒にやってきて最初の方はソードスキルが発動しない時もたまにあった。
そんなある日、夜な夜な出ていくツキノワを尾行してみたのだが、そこで彼はひたすら剣を振るっていた。
ソードスキルの構えから通常攻撃の精度まで、ひたすら反復練習していたのだ。
ひたすら振るい、また同じ動作を繰り返す。
それを続けていると突然動きが変わる。
防御したり躱したり、フェイントを入れたり追撃したり、色んな動きを加えだしていた。いわゆるイメージトレーニングを始めていたのだ。
俺はそんな彼の努力を知っている。
だから強い。
圧倒的努力に裏付けされた叩き上げの剣士、それがツキノワだ。
一方のアスナは恐らく対極的なタイプだろう。
彼女もかなりの手練だ。
既に先程のリニアーの剣先が、見えない程の速さ。
流石に1ヶ月であそこまで努力だけでというのは、無理があるだろう。
だからこその才能、つまり彼女は天才肌なのだろう。
才能に驕らず鍛えてきた剣士、それがアスナだ。
そんな事を考えてると次のセンチネルが出てくる。
「ツキノワ!行くぞ!」
俺はツキノワを呼ぶ。
「ああ!行くぜ!」
威勢のいい返事を聞きながら、俺はポールアックスを弾き飛ばし
「スイッチ!」
兄弟分のツキノワを呼ぶ。
「フッ!」
ツキノワが連撃で畳み掛けHPを削りきる。
そんな様子を見届けてから
「GJツキノワ!」
拳を突き出す。
「ナイスアシスト!キリト」
俺達は拳をぶつけあった。
「二人とも!次来たわよ!」
「ツキノワは休んでろ!俺が出る!」
そう言ってアスナの元へ駆けつける。
そこでアスナがレイピアで弱点を突き、態勢を崩させた。
「スイッチ!」
アスナは1歩下がり道を譲ると
「おお!」
俺は全力のソードスキルで鎧ごと切り裂いた。
outside
ディアベルの的確な指示と全体の士気の良さもあって、ボス戦は順調に進んでいた。
的確なディアベルの指示と全体の士気。
センチネルに対する対応の早さも良かった。
ほとんどツキノワ達3人で対応していたのだが、それはともかく順調だったのだ…あの時までは。
それはコボルトロードのHPバーをラスト1本まで削った時に起きた。
「武器が変わるぞ!パターンの変更に気をつけろ!C隊援護を!タゲは俺がとる!」
ディアベルの指示に思わず全員がボスを見る。
その様子を見ていたアスナはあることに気づいた。
「ねぇ、タルワールってイスラム圏の曲がった剣よね?」
突然そんなことを聞いてくるアスナに
「そうだけど?」
不思議そうに返すキリト。
そんな話を聞いていたツキノワが、突然叫んだ。
「待て、ディアベル!武器が違う!」
その言葉に全員が武器を見る。
そしてその正体に気づいたのはキリトだった。
「ダメだ!全員後ろに飛べー!!」
その声はボスのソードスキルの音にかき消されてしまい、前衛の半分近くがスタン状態になってしまった。
「キリト!あれはなんだ!?」
「刀スキルだ!10層のモンスターが使ってたんだ!」
その事実に驚愕するツキノワとアスナ。
「10層ですって!?」
「どんな初見殺しだよ!?」
まずボスが目をつけたのは、リーダーのディアベルだった。
当然ディアベルもスタンが入っており動けない。
「クソ!」
助けようと動き出すツキノワ達だか、センチネルが邪魔をする。
「「「邪魔だ(よ)!!」」」
3人は一気に瞬殺するも、その一瞬がディアベルの明暗を分けてしまった。
打ち上げられた後、さらに3連撃を受けてしまい吹き飛ばされる。
「ディアベル!」
慌てて駆けつけるキリトだが間に合わなかった。
そんなキリトの手を握りながらディアベルは
「頼む…ボスを…倒して…く…れ…」
最後の言葉を残し死んだ。
sideツキノワ
「「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」
ディアベルが死んだという事実がレイドを恐慌状態にさせてしまう。
更に畳み掛けるように6体沸くセンチネル。
「何で!?3体までじゃないのかよ!?」
誰もが不測の事態に混乱する中、キリトは静かに立ち上がると、強く剣を握りボスを睨んでいた。
そんなキリトの隣に立つと
「俺も行くぞ。キリト」
強く宣言した。
そして反対側には
「私たちはパーティメンバーでしょ。勝手はさせないわよ」
アスナ先輩がたった。
そんな俺たちを見るとキリトは
「よし!行くぞ!」
と気合を入れて飛び出した。
俺たちも並走していると、ミトがセンチネルに囲まれてるのが目に入る。
そちらに行こうとすると
「ツキノワ君!私が行くわ!」
アスナ先輩がこっちを見ていた。
「わかった!ミトを頼みます!」
「アスナ!あっちは任せた!」
それぞれエールを送る。
「ええ!任せて!そっちは頼んだわ!」
そのままミトの方へと走っていく先輩を見届けると
「手順はセンチネルと同じだ!行くぞ!兄弟!」
「ああ、勝つぞ!兄弟!」
こうして俺たち二人だけのボス戦が始まった。
sideミト
辛うじて躱しスタンを回避した私は、突如大量に湧き出したセンチネルの対応に追われていた。
「数が多いすぎる!対応しきれない!」
そう言いながら目の前のセンチネルを、屠ると次のセンチネルに狙いをつけようとするとこっちを狙う気配がした。
(避けきれない!)
そう思い目を強く瞑った途端
「はぁぁ!」
強い声と速いリニアーが私を救った。
「アスナ!?」
そのままアスナはわたしと背中を合わせると
「ミト、背中は任せたわ」
そうハッキリと言いながら、赤いフード付きのマントを脱ぎ捨てた。
その姿は見慣れている私ですら、釘付けにさせるほど美しく、凛々しかった。
アスナからの信頼の言葉に、おもわず泣きそうになるが踏みとどまり
「今度こそ守ってみせる!」
そして鎌を構え直す。
不思議ともう負けないって気持ちが湧いてきて、戦う勇気をくれた。
「「行くよ!」」
同時に地面を蹴って動き出した。
私がポールアックスを弾き飛ばし
「スイッチ!」
入れ替わると
「はぁぁ!」
アスナが的確に弱点を突き消滅させる。
次にアスナが弱点を突き体勢を崩させる。
「スイッチ!」
その隙に入れ替わると
「やぁぁ!」
私が鎌で鎧ごと切り裂く。
その息のあったコンビネーションで、次々にセンチネルを殲滅させていく私達。
後2体っていうその時
「キリト!?」
弟の焦りに満ちた声が聞こえてきた。
そっちを向くと、切られたのだろうか倒れて動けないキリトと、ボスの猛攻を1人で捌くツキノワの姿があった。
「「ツキノワ(君)!キリト(君)!」」
私たちは速攻で2体を倒すと、すぐに応援に向かった。
outside
「手順はセンチネルと同じだ!行くぞ!兄弟!」
「ああ、勝つぞ!兄弟!」
まず切り込んだのはキリトだった。
ボスのソードスキルを、同じくソードスキルでパリィする。
「スイッチ!」
すぐにツキノワに呼びかける。
その声に応じ、一気に懐に入り込みソードスキルを発動した瞬間、ボスが体勢を立て直し斬りかかってきた。
「!?ツキノワ!!」
キリトはその立て直しの速さに最悪を想像し声を張り上げる。
ツキノワも想定以上に立て直しが速いことに驚いたものの、ソードスキルのモーションを残したまま腰を落とした。
(あ、あんな体勢でソードスキルが保てるのか!?)
キリトが驚いたのはその体幹だった。
ソードスキルは規定のモーションをとる事で発動する。正しいモーションをとらないと発動しないのだ。
その判定は意外にシビアで、初日にクラインが苦戦したのはこのシビアさ故である。
だが逆にソードスキルのモーションをちゃんととっていれば、体勢自体はさほど関係ないのだ。
そう例えば、極端に腰を落として姿勢を低くしても、ちゃんとモーションさえ合っていれば発動できるのだ。
「オォ!」
そのままスキルの動きに合わせながら、重心を上に持っていく。
その勢いをブーストし強力な一撃を喰らわせた。
「キリト!次行くぞ!」
ツキノワの鋭い声にハッとしたキリトは直ぐに
「わかった行くぞ!」
気合いを入れ直し応戦する。
基本的に交互にパリィと攻撃こなすことで、ギリギリの均衡を保っていたが、数分後、ついに均衡が崩れてしまう。
「ハァ!」
キリトがパリィしようとしたソードスキルが、突然軌道を変えた。
その変化にキリトはついていけず、相手の攻撃が直撃してしまったのだ。
「ガァァ!?」
「キリト!?」
吹き飛ばさたキリトに駆け寄ろうとするも、今度はこっちに攻撃してくるボスの刀をギリギリ躱す。
「クッソ!」
悪態をつきながら負けじと切り返す。
だが技後硬直のあるソードスキルが使えない今、自分の剣技だけでやるしかない。
だからパリィではなく
「…!そこ!」
しっかり見切って躱すことにした。
剣の動きだけでなく、踏み込みの位置、踏み込んだ足の向き、相手の体勢、それらなどからどの位置から攻撃が来るかをしっかり見極め、躱し、いなす。
その隙に
「ハァ!」
通常攻撃でしっかりカウンターを決める。
その無駄のない軽やかでしなやかな動きが、後にプレイヤー達から呼ばれる【
いつまで戦っていたか分からないが、そうは長くなかっただろう。
「あっ」
何とも間の抜けた声だった。
それは極限の集中状態だったからか、気づかない間にスタミナが限界を迎えており、足がもつれたのだ。
そして避けきれなかったソードスキルが迫っていた。
(あぁ、ごめん3人とも)
ツキノワは死を覚悟し目をつぶる。
その時、ガキィーーーン!!!と、大きい衝撃音が聞こえた。
思わず目を開けると
「「アスナ!スイッチ!」」
それぞれの武器を振り切った体勢のキリトとミト、そして
「ハァァァァ!!」
リニアーでボスの腹を貫くアスナの姿があった。
「っ!3人とも!」
ツキノワはその事に驚くと
「1人で任せてすまない!一旦下がれ!」
「よく頑張ったわねツキノワ!あとは任せて!」
「ツキノワ君!早く回復して!」
それぞれがエールを送りボスに斬り掛かる。
そんな3人の後ろから
「俺らも続くぞ!これ以上ダメージディーラーにタンクやらせるな!!」
回復を終えたB隊がなだれ込む。
「よくやったぞツキノワ!ここからは俺達も戦うぜ!」
そんな頼もしい声を聞きツキノワは笑う。
「3人とも突っ込んでいっちゃうから頼む!」
と言うと
「「「お前(あんた)(あなた)に言われたくない!!」」」
戦ってるはずの3人から怒られた。
「ハハ!面白い奴らだ!行くぞ!お前ら!!」
「応!!」
そうしてB隊が参戦した事でこちら側が少しづつ有利になっていく。
「囲むと範囲攻撃来るぞ!」
キリトが戦いながら声を張る。
「ソードスキルはしっかりガードすれば問題ないわ!タイミングは私が教える!」
ミトも経験を活かした指示を出す。
「皆さん!回復終え次第参戦してください!キバオウさん!センチネルの足止めをお願いします!」
アスナが凛とした声で戦場全体に指示を出す。
そんな光景を
「早く!早く!」
HPバーを睨みながら見てるツキノワ。
そんな時
「馬鹿野郎!早くそこから移動しろ!」
プレイヤーの1人がもたつきうっかり囲まれてしまった。
すぐにプレイヤーのほとんどが避けたが、一部のプレイヤーが置いていかれてしまい、スタンになった。
そんなプレイヤーに追い討ちをかけようと、高く飛び上がるボス。
「ミトぉぉぉぉ!!!」
突然ツキノワがミトに向かって走り出す。
何がしたいか悟ったミトは
「正気なの!?」
と叫び返す。
「やるしかない!やって!」
負けじと叫び返すツキノワ。
「…あぁ!もう!やるわよ!」
そう言って鎌を低く構える。
そしてボスを睨みつけているミトとツキノワを見て、キリトとアスナも悟った。
「「正気なの!?」」
その声を無視して、ソードスキルのモーションをとりながら鎌に乗るツキノワ。
「行っけぇぇぇぇ!」
そんなツキノワを、全力で空中に投げ飛ばすミト。
そのまま空中でボスのソードスキルを、ツキノワはソードスキルで迎え撃った。
「おぉぉぉぉぉぉ!!!」
地上でやったらまず押し負けたであろう鍔迫り合いは、ミトのパワーとシステムのモーションアシストの後押しもあり、パリンと音をたててツキノワの武器が壊れてしまったものの、ボスは武器を手放し体勢をを崩したまま地面に落ちてきた。
「
「このチャンスを逃さないで!全力で叩いて!」
「「「ウォォォォォォォ!!!」」」
キリトとミトの指示の元、全員が全力でソードスキルを叩き込む。
それでも完全には削りきれず、ボスは起き上がり武器を拾いプレイヤーを蹴散らしていく。
「ツキノワ!ミト!アスナ!トドメ一緒に頼む!」
「「「了解!」」」
4人は一気に加速する。
まずツキノワはナイフを取り出し投擲スキル【シングルシュート】を放つ。
「オラァ!」
しっかり勢いを乗せたその一撃はボスの片目を潰した。その隙にアスナが懐に入り込み
「ハァァァァァ!」
全力の【リニアー】を放つ。
吹き飛ばされたボスにさらにミトが鎌で追撃する。
「やぁぁぁぁぁ!」
4人の中で1番攻撃力に長けたミトの一撃にも耐えたボスにさらにキリトが斬り掛かる。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
その2連撃ソードスキル【バーチカル・アーク】でV字に切るとそのままボスのHPをゼロにし、消滅させた。
誰もが何も言わなかった。
この後は何かあるのか?そういう不安があったが、空中にでるCongratulation!!の文字とリザルト画面を見た瞬間
「や……やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
全員が歓喜の雄叫びをあげた。
初のフロアボスとの戦いはプレイヤーたちの勝利に終わった。
今回戦闘シーンが難しく難産でした。
今回は過去一長いです。
それではありがとうございました。