ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。


南帝国 第1話

side優月

 

数日が経ち、会議中のことだ。

【サザークロイツ南帝国】のウォーミア緑地にて、新種の魔獣が確認された。

南帝国は温暖な気候で、央都の近くなら、熱帯林位で済むが、南下していくにつれ、砂漠地帯になっていく。

 

「今回は央都の近くだから、急な雨に気をつければ大丈夫なはずだ。それと、俺が旅してた時に書いてた地図だ」

 

「ユヅキが書いてくれた地図は、鮮明で分かりやすいのよ。ありがとう、ユヅキ。助かるわ」

 

「え…あ、はい!」

 

ファナティオさん…急な女口調はやめてほしい…。

ついていけない…。

 

「優月君?」

 

「勘違いです。決してやましいことではありません」

 

「あら、夜中に夜食作ってくれたり、色々してくれたじゃない。お世話になってたわ、本当に」

 

「そう思うなら、火に油注がないでくれます!?」

 

「あ〜…その…アスナ…?我々も戸惑っていますから、その辺にしておいては…」

 

アリスの援護射撃のおかげで、やっと治まった先輩の嫉妬。

ふぅ…困ったもんだぜ、副騎士長様には。

 

「とにかくだ。央都以外にも被害が出だしたが、学生などは当然出せん。そして俺たちもここを早々離れる訳にはいかねぇ。イーディスを中心に、暗黒界への警戒もあるしな。…すまねぇが、お前さん方で頼めねぇか?」

 

というわけで、俺たちリアルワールド組+アリスとユージオで、この事態に対応することに。

各自で用意をしていると

 

「いた!おーい!ユヅキ!」

 

「うん?ユージオ?どう…うぉ!?」

 

「少し来てくれ!」

 

何故かズルズルと、ユージオに引っ張られていくことに。

そこにいたのは、キリトとアリス。

 

「なるほど…あの人って、ユヅキのことですか」

 

「…そうだ。優月だって、なくてはいけない人だな」

 

一体何の話だよ…?

 

「僕達は昔、ある約束をしたんだ。その約束を今再び…今度は君も一緒に」

 

それは…お前たち幼馴染たちの…。

 

「いいんだよ。俺とお前は兄弟分だぜ?だったら、一緒じゃないと、おかしいだろ?」

 

「…バカな連中」

 

そう言って合わせている3つの拳に、俺も4つ目の拳を合わせた。

 

「よし!約束だ!俺達4人は、産まれた時も、死ぬ時も一緒だ!」

 

「うん!約束!」

 

「ええ、約束しましょう」

 

「ああ!約束だ!」

 

「「「「おー!」」」」

 

outside

 

「へぇ…随分と変わるんだな」

 

「これを4つ見ると、気候がどうなってるのか、謎すぎて頭痛くなるぞ。…さて、まずはロナールの養蜂場に行くか」

 

優月たちは道なりに進み、目的地に着いたのだが、そこには魔獣の影も形もなく

 

「そもそも、人里に出る方が、珍しいんじゃないかしら?」

 

「たしかにそうよね。リアルワールドでも、出没したら大騒ぎになるし…」

 

シノンとミトの話を聞きながら、優月は獣の痕跡を探す。

 

「…優月さん、これって…」

 

先に気が付いたのは、シリカだった。

よく見ると四足歩行的な生き物の足跡が草花を押し倒して、ある方向に進んでいた。

 

「…こっちか。進もう」

 

その先には、デカい実のようなものをつけた、植物が生えていた。

 

「花…?」

 

「なにこれ?」

 

近付くと、不穏な気配を感じた。

 

(この感じは…まさか…!?)

 

「優月!来るわよ!」

 

リズの声に優月はハッとして、剣を抜くとそこにはパンサーのような獣が。

飛びかかってきたのを軽くいなして、逆に斬りつけるが

 

「ダメージ薄いな…」

 

存外タフらしい。

彼らはそれぞれ囲い込みながら、削っていく。

 

「ハッ!アスナ!」

 

「はぁぁぁ!」

 

ミトの一撃に怯んだ魔獣を、アスナの一突きが仕留める。

 

「…みなさん、強いのですね」

 

「ま、伊達や酔狂でここまで来てないからね」

 

ミトとアリスの話を聞きながら、優月はキリトに尋ねた。

 

「キリト…これって…」

 

「ああ…アドミニストレータの心意を感じる…しかもこれ…」

 

「うん。神聖力を吸収してる…ギガスシダーと同じ能力だ」

 

つまりこの花は…アドミニストレータと関連がある、ということだ。

とにかく下手に触る訳にもいかない。

とにかく他にも探すことに。

その結果

 

「あそこにも…」

 

同じものをもう一つ見つけた優月たちは、その花を精査して絶句した。

 

「そんな…これって…」

 

「ま、魔獣!」

 

「この花、魔獣を育ててるってことですか!?」

 

この事態を一番重く受け止めたのは、優月とアリスの整合騎士たちだ。

 

(本来、魔獣は私たちの仕事です。ですがそれが追いつかないから、志願者を募った。ですが…魔獣を相手するには、まだ力が足りない)

 

(そしてなにより、この花からはアドミニストレータの心意が籠ってる。この世界の奴らは、あいつに逆らえない。剣を向けるなんて論外だ。そしてそれは…整合騎士も例外じゃない)

 

つまりこの花を切除出来るのは、優月たちリアルワールドの人間と、自分の意思で禁忌目録に背けるユージオとアリスだけだ。

 

(圧倒的に人手が足りない…どうする…)

 

「優月君!!」

 

そんな優月に、大型の魔獣が牙を向ける。

アスナたちが悲鳴をあげ、ミトとキリトとユージオが駆け出し、アリスが剣を抜き、シノンが弓を引く。

そして誰よりも速く、桜の花びらがその魔獣を、真っ二つに斬り裂いた。

その花びらは、魔獣が撒き散らす血からすら、主を守るように舞い散る。

 

「エンハンス·アーマメント」

 

優月の【武装完全支配術】だ。

そして術を解き、そのまま鞘にしまいながら、振り返る優月。

 

「みんな、一度カーディナル…と…?何その顔?」

 

「もう!もう!もう!!」

 

「あんたねぇ…」

 

「勘弁しなさいよ…」

 

半泣きのアスナと、呆れるミトとシノン。

 

「よ、良かった…」

 

「し、心配しました…」

 

「私も…腰が抜けちゃいました…」

 

「ふっざけんじゃないわよ!」

 

腰が抜けてへたり込むサチとシリカとリーファと、怒るリズ。

 

「…本当に…お前ってやつは…」

 

「あ、あはは…今のは僕も焦った…」

 

「…ユヅキ…貴方は…」

 

苦笑いのキリトとユージオとアリス。

全員の反応に

 

「いや、なんでさ」

 

不思議そうに首を傾げる優月だった。

 

side優月

 

カーディナルを呼び、改めて調べてもらった結果、やはりアドミニストレータの心意を感じられた。

それはいいのだが…

 

「ええっと…花とか植物とか実とか…何か名前を統一しないか?」

 

キリトの言う通り、流石に呼び方を統一しないと、まともに調査も出来ない。

 

「たしかに…何か案はあるかい?」

 

「ミニシダーでいいんじゃないか?小さいし」

 

「「はい、他にある人ー?」」

 

「無視かよ!」

 

俺とユージオはなかっとことにして、さっさと次の意見を求めた。

だって…いくら何でも酷すぎる…。

 

「じゃあ、【カラミティ·プラント】はどう?」

 

「なるほどね…カラミティは厄災、プラントは植物ね。流石はアスナ!いいセンスだわ!」

 

たしかに、これなら意味も通じやすい。

 

「でも、少し長くない?」

 

「だったら、略して【カラント】にするか」

 

リズの言葉に、俺は略称をつけた。

もちろん略したのには意味がある。

 

「いや…それだと…何か…」

 

「せっかくのセンスのいい名前が台無しじゃない」

 

「俺はいいと思うぜ。軍として動く以上、簡潔で分かりやすい名前ってーのは、定着させやすいんだ」

 

というしっかりとした理由がある。

おっさんのおかげで、呼び方が固まったところで、次の問題。

 

「これを切れば、魔獣の発生を抑えられるでしょうか?」

 

「恐らくの。じゃが、これを切るには、相当な心意がいるじゃろう。キリト、ユヅキ。試しに切ってみよ」

 

「「わかった」」

 

俺たちは心意を込めて、カラントを両断した。

 

「ふぅ…少し疲れるな、これ」

 

「だな…これがまだあるのか…」

 

「上出来じゃ。じゃが、これを全員が出来ると思うかと言われれば、難しいじゃろうな」

 

「だな…俺たちにゃ無理だ。最高司祭の悪行を知ったとしても、俺達には敬神(パイエティ)モジュールがある。心の底から敵視できない以上、心意を練ることは不可能だ」

 

カーディナルと一緒に来ていたおっさんが、俺の予想通りの答えを口にする。

やはりか…。

 

「俺たちだけでやるしかない…そういうことか」

 

「だろうな。その間俺たちは魔獣の被害を抑える。だから、飛竜は俺たちで使わせてもらうぜ」

 

とはいえ、闇雲に探す訳にも行かないため、今は一度戻り、しっかりと報告と用意を整えたから進むことになった。

だが用意を整え直して、いざ出発となった直前

 

「はぁ?【ベクタの迷子】が多発してる?」

 

などという、よく分からない噂を耳にするのだった。




それでは失礼します。
ありがとうございました。
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