ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
よろしくお願いします。
outside
「ええ、最近あちらこちらで、多発してるらしいのです」
優月の素っ頓狂な声に、アリスと不思議そうに呟く。
【ベクタの迷子】が多発なんて事態、初めて聞いた話なのだ。
「…とにかく、南帝国に向かおう。もしかしたら、その【ベクタの迷子】にも、会えるかもしれない」
こうして一行は、再び南帝国に向かったのだが
「まさかマジで会うとは…【ベクタの迷子】」
まさか本当に遭遇するとは、優月は思ってもいなかった。
何でも村で狩人を天職とするものが、2人現れたらしく、1人は昔からこの村で狩人をしていたのだが、最近になってもう1人現れたのだ。
「こんなこと、初めて聞いたよ…」
優月は【ベクタの迷子】を、リアルワールドからのプレイヤーだと思っていたが、どこか様子がおかしいように感じた。
(俺やキリトのように、リアルワールドのことを知らない?…いや、俺たちがおかしいのか)
しかしさらに不可解な事が、目の前で起きた。
メディナの高圧的な態度に、【ベクタの迷子】が怒り、メディナを突き飛ばした後のことだった。
「…悪かったよ。俺が間違っていた。大切なことに気付かせてありがとう。あんたは…救世主だよ」
「…え?」
突然人が変わったように、メディナを救世主と崇めだしたのだ。
その様子に、優月は胸騒ぎがした。
「…優月君、大丈夫?」
「優月、何かあった?」
「…いや、なんでもない。ありがとう、2人とも」
アスナとミトは、優月の不安を感じとったのか、少し心配そうに覗き込むが、それを優月は心配ないとはぐらかす。
というより、優月自身も漠然としていて上手く伝えられないのだ。
「…とりあえず、イザコザは丸く治まったのか?」
「多分…」
みんながメディナを褒める中、どうしても違和感を拭いきれない優月。
その後、村長に話を聞くと、水路が魔獣によって塞がれてしまい、【ウィゼアの谷】に行けなくなってしまったと話を聞いた優月たちは、その魔獣を討伐することに。
「そして花の蔦が水車に絡まってる…か」
「カラント、だね」
優月たちが水車の方に向かうと、たしかにカラントがそこにはあった。
「よし、斬るか」
そういったキリトが、カラントに近付いたその時、突如地響きが響き渡る。
「キリト!?」
「サチ!下がれ!」
キリトが直ぐに飛び退いて、サチの前に立った時地面から突如、巨大な花の魔獣が飛び出してした。
「これは…!?」
「総員、警戒態勢!戦闘開始!」
アリスの一声と共に、斬りかかる優月たちなのだった。
sideキリト
「フッ!」
まず先手を取ったのは、唯一遠距離武器である、弓を持つシノン。
シノンはハイレベルアカウントの、【
特性としては、矢の無限生成や動物カテゴリーに対する、バフがある。
シノンの一射は花の真ん中を撃ち抜くが、怯んだ様子も見せない。
「タフね…」
「システムコール·ジェネレート·サーマルエレメント·フォームエレメント·アローシェイプ·ディスチャージ!」
次はサチの神聖術だ。
サチは【
「行くわよリーファ!」
「ミトさん!合わせて!」
「「ハァァァァァァァァ!」」
ミトの鎌とリーファの剣の一撃が、魔獣の蔦を切り刻む。
ミトは【戦士】のアカウントであり、リーファは【剣士】だ。
2人の特性はよく似ており、高い攻撃力とタフさが売りだ。
「…皆さん!この魔獣は球根が弱点です!」
シリカは【
その知識を武器に、俺たちをサポートしてくれる。
「クッ!」
「ミト!?大丈夫!?」
「ええ…リズが作ってくれたプレートのおかげよ!ありがとう!」
リズは【
「スイッチ!アスナさん!」
「セヤァァァァァァ!!」
閃光一閃。
アスナの一閃が、魔獣の球根を貫く。
アスナは【
こっちの上位騎士と似たようなものらしい。
「…凄い…」
「これが…アインクラッド流の戦い方…」
今回、アリスとユージオには、手を出させずに見てもらうことにした。
2人にアインクラッド流の戦い方を、知ってもらいたかったのだ。
そのまま彼女たちだけで、魔獣を討伐した俺たちは、カラントを斬って、村長に報告。
そのまま村を出て、次の【ウィゼアの谷】に向かおうとした時
「…ん?アリス、この音は…」
「ええ、飛竜ですね。何があったのでしょうか?」
優月とアリスが、飛竜の羽ばたく音に気がつく。
2人はそのまま伝令に来た騎士から、要件を聞いている。
その様子を、アスナとミトがぼんやりと見ていた。
「どうした?2人とも」
「いや…なんというか…」
「優月君、この世界で立派な騎士になってるんだなぁって…」
なるほど、身近にいた彼氏·弟が、随分と遠くに行ったと思ってるのか。
「あいつは…優月は、何も変わってないぞ」
「「え?」」
どこにいても、優月は優月だ。
誰かのために剣を握り、歯を食いしばって立ち上がる。
それをワガママだと言いながら、それでもそれを貫く男。
それがあいつだ。
「…指令、たしかに受け取りました」
「ご苦悩さん。気をつけろよ」
伝令に来た騎士を見送り、俺たちの元に戻ってくる2人。
「ベルクーリ閣下より、魔獣の討伐命令が下りました」
「被害が出る前に、早めに向かおう」
そういう優月の目は、どこまでもまっすぐだった。
俺たちは指令のあったポイントまで来たが、先にいた【ベクタの迷子】の集団が、討伐してしまったらしい。
「私の武功が…」
家の名誉挽回のため、武功を立てたがっているメディナは、不服そうに呟く。
「悪いな、お前らの獲物をとっちまって」
「いえ、構えませんよ」
「構うに決まってるだろう!」
「おい、メディナ。前にも言ったが、血の気が多すぎる。落ち着け」
怒るメディナを、優月が冷たく抑え込む。
それを見た【ベクタの迷子】たちが、代わりに更に奥にいる、彼らすら倒せなかった魔獣の情報を提供してくれた。
その時、条件として彼らも同行させて欲しいと言ってきた。
カラントが生み出す魔獣は、かなり強力だ。
そんな魔獣を倒す人達すら、諦めた魔獣なら、協力した方がいいかもしれない。
「協力か…」
メディナはあまりいい顔しないが、優月がそれを理屈で窘める。
というか優月…不機嫌?
「…多分、コーバッツと重ねてるのよ」
ミトが俺に耳打ちしてくれる。
…そういうことか。
となると気をつけた方がいいかも…優月はいざとなったら、恐らくメディナを見捨てる。
もちろん、最大限守ることを諦めず、足掻くだろうが、その果てに不可能だと思うと切り捨てるだろう。
「…仕方ない、一時共闘だ」
メディナが折れた事で、俺たちは彼らと共にその魔獣の元に向かうと、そこには複数の蜘蛛型の魔獣がいた。
「ハハ!直ぐに功績に変えてやる…!」
「行くぞ!」
そのまま俺たちは戦闘に入る。
数と力の差で一気に押し切った俺たちは、特に苦戦することなく、魔獣を討伐した。
そしてメディナ、ハイタッチをしている彼らを不思議に思いながらも、同じハイタッチをした時、
「…また、あんたと戦えることを祈ってるよ、救世主様」
「き、救世主?何を言ってる?」
…まただ。
またメディナと接触した人物が、メディナを救世主と言って崇める。
その事に疑問を思いつつ、先に進もうとすると
「待って2人とも。先に近くの村で物資の補給と、休憩をしようよ」
ユージオの提案に従い、1度村に戻ると
「悪いけど、【サスティラの村】に伝言を頼めねぇかな?」
村長から他の村への伝言を頼まれてしまった。
「優月、サスティラの村って?」
「砂漠地帯にある村だ。しっかりとした用意を整えないと、村に着く前に死ぬぞ」
砂漠超えは、相当危険だ。
できる限りの用意を整えないと、かなり危険である。
実際に旅をした優月が言うのだから、間違えないだろう。
「分かりました。任せてください」
こうして俺たちは、旧山道を使ってサスティラの村に向かうことになったのだった。
それでは失礼します。
ありがとうございました。