ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
sideアリス
人界で…
ですが、話を聞く限り、それ以外有り得ない。
【南の回廊】はエルドリエが…!?
「まさか!?」
「落ち着け、アリス。エルドリエがそう簡単に負けるはずがない」
ユヅキの強い言葉が、私を冷静にさせてくれた。
そうだ…彼は、エルドリエは、強い。
巨人族に遅れをとるなど有り得ない。
となると…一体どういう…!?
「とにかく!まずは目撃があった巨人を探そう」
私たちは他の情報がないか探してみたが、それ以上の情報はなく、仕方なく野営することに。
翌日、メディナ殿が手に入れた情報を元に、調査を進めると、
「…いました。
…妙ですね。
「今まで、あんな風に傷つけあうなんて、無かったよね?」
「そうですね…」
「みつけた…オレの新たな獲物…」
思ったより、流暢に話すんですね…。
私はそんな見当違いなことを考えながらも、ゆっくりと近付く
「おい!お前は何をしにここに来た!」
「オレは…ザクザ。力を示すために、兄弟と共にここに来た!魔獣も…イウムも!例外ではない!」
イウムとは、
それにしても…兄弟…まだいるというのですか…
「さて…やるか」
ユヅキが一歩前に踏み出した時、ユージオがその肩に手を置いて引き止める。
「フゥ…」
「ユージオ…?」
まさか…一人でやると言うのですか!?
「ユージオ!いけません!ここ…」
「アリス!…ここは任せよう。優月も、そのつもりらしいし」
そう言われて、ユヅキを見ると、刀を離して、ただ傍観に徹していた。
「ユージオ…」
一体…どうしたのですか…?
sideユージオ
背筋に走るこの悪寒…間違えない。
北の洞窟で、ゴブリンから感じたものと同じ…
あの時は何も出来ず、キリト一人で戦っていたけど…
「フゥ…」
今の僕は…違う。
「貴様からか。捻り潰してくれよう」
そうして放たれる一撃を、僕は何とかいなす。
その一撃は重く、受け流しても骨が軋む。
「くっ…!」
全身に満ちる力から放たれる拳は、とてつもない破壊力だ。
ただ破壊するためだけの力…生まれついての凶暴性…これが、暗黒界の住人…巨人族!
「やはり脆い…シネィ!」
ーーいいか、ユージオ。渾身の一撃を放つ時、必ずその部位の筋肉が張り、力が漲る。それこそが攻撃の合図だ!見逃すな!見切れ!
「…ここ!」
僕は巨人の連撃をしっかり見切って躱した。
ありがとうございます、ゴルゴロッソ先輩!
そして、体格差がいくらあろうと、剣に込めた思いがそれを凌駕すると、ソルティリーナ先輩から知った。
「はァァァァァァァ!」
「ぐぉぉぉ!?」
これが修剣学院で教わった、基本にして極意!
「お、おのれぇぇぇぇぇ!」
「たぁぁぁぁ!」
しなやかで強靭な攻撃…!
でも、エルドリエの鞭の方が、よっぽど強く靱やかだった!
「グォォォォォォ!」
大木を貫くほどの突き…!
でもデュソルバートの矢の方が、強くて速い!
そして…
「スー…」
無駄な力を向いて、一気に接近する。
【青薔薇の剣】が、巨人に当たった瞬間…
「フン!!」
一気に筋肉を締め上げて、力の全てを乗せる!
「ウォォォォォォ!」
ーーいいか、ユージオ。緊張と脱力。これが鍵だ。ただ力を抜く、ただ力を乗せる、そういう訳じゃない。必要な時に、必要な分の力を乗せるんだ。
最初は難しかったけど、最近はコツを掴めた。
ありがとう、ユヅキ。
そして…もう終わりだ。
「この…イウムガァァァァァァァ!!…な、なんだ…体が…血が…凍っていく!?」
「…最強の整合騎士を凍らせた技だ。お前を凍らせるなんてわけない!」
戦える…!
僕だってもう、戦えるんだ!
色んな強者…その全てが僕の血であり、肉であり、師なんだ。
そしてそのきっかけをくれたのは、キリトだ。
…ありがとう、みんな。
ありがとう、キリト。
…僕の英雄。
「これで…終わりだァァァァァ!!!」
僕の一撃は、巨人の首を跳ね飛ばした。
side優月
「…おい、キリト。お前抜かれたんじゃね?」
「そ、そんな訳ないだろ!?」
そんな話をしていると、突然ザクザが何やら喚き出して、壊れたように叫ぶ。
そして…死んだ。
あまりにも不気味な光景に、俺は絶句していると
「アスナ、今のって…」
「うん…フラクトライトの崩壊…だね…」
「…知ってるんですか?」
俺は先輩にそう尋ねる。
簡単にまとめると、自分の確固たる思考に矛盾が生じると、フラクトライトが処理しきれなくなって、崩壊してしまうらしい。
「そんなもの…どこで知って…?」
「ここに来る前にね…比嘉さんに見せてもらったの…」
その比嘉とやらが誰かわからないが、サチの顔色を見るに、あまりにいい光景では無いらしい。
まあ、これもそうだったんだ…無理もない。
「…さて、先を急ごう。こいつはずっと、兄弟と言っていた。最低限もう1人いると見るべきだ」
俺たちはエルドリエの安否もあって、出来るだけ早く移動したが、やはり一泊は野営が必要だった。
「優月君!起きて!ミトも早く!」
「んぁ…あすなぁ〜?」
「ど、どうしたの!?アスナ先輩!」
「…メディナ殿がいなくなりました」
…あの…バカ女!!
オルティナノス家の汚名返上を目的としているのは、知っているが、勝手なマネは認めてないぞ!
「クソ!あのバカ女!たぶん【南の回廊】だ!」
「ああ!急ぐぞ!」
俺たちは急いで移動しながら、メディナの行動が読めずにいた。
「どうして一人で…!?」
「…一人じゃないかもしれない」
「は!?どういうことだ!?」
キリト曰く、何者かと夜更けに接触しているのを、見かけたことがあるらしい。
まさかそいつらと一緒に…?
「とにかく、メディナに追いつくのが先だ!急ごう!」
ユージオの言葉に、俺たちは可能な限り早く移動して、【南の回廊】にたどり着いた。
その中では、キリトの推測通り、謎の協力者たちとともに、巨人と戦っていた。
「あのバカ…!」
「手を貸すぜ!」
「キリトっ!?…これは私の獲物だ!」
俺たちはそれを無視して、目の前の巨人を倒すことに成功した。
「…さて、どういうつもりか説明してもらうぞ、メディナ」
「…話すと長くなります。ですが、あのまま私たちだけでも、討伐可能でした。現にユージオは一人であの巨人を…」
「…あくまで自分に、非は無いと…」
俺とアリス、そしてメディナの視線が、ぶつかり合う。
空気がどんどんと悪くなっていく中、キリトが仲裁に入る。
「優月、ちょっと落ち着けって…。メディナ、俺たちは本当に心配したんだぞ?それにその人たちは一体…?」
「…これも話すと長くなる」
「そうか…。メディナ達も奥に進むんだよな。だったら俺たちと来ないか?生存率をあげるためだ」
「…わかった」
キリトのおかげで、特に荒事になる訳でも無く、そのまま巨人を倒しながら奥に進む。
そして最奥にたどり着いた時
「これは…!?」
「巨人族同士で、殺しあってるんですか!?」
大広間では、何故か
その時シノンが、あることに気が付いた。
「…っ!?優月!あそこ!」
奥にあるカラント·クラスタよりさらにデカいやつには、ある者が縛り付けられていた。
「…エルドリエ!?」
そう、ここを守っていた、エルドリエ=シンセシス=サーティワンだ。
「…行くぞ、下も終わったらしい」
俺たちは階段を下り、大広間にて、一体の巨人と相対した。
「我は…ジクジ…我こそが…最強だァァァァァァ!!!」
「うるせぇよ、雑魚が。引っ込んでろ」
俺は【桜刀:舞姫】を抜いて、構える。
「俺はその先に用があんだよ…邪魔すんじゃねぇ!エンハンス·アーマメント!!!」
【武装完全支配術】を発動した俺は、刀身を花びら状にして、ジクジに向かって放つ。
「ムダだァァァァァァ!」
力任せに薙ぎ払われた花びらを、俺はそのまま上から叩きつける。
「グォォォォォ!」
「魅せろ、舞姫」
俺はそのまま一度刀身を戻して、鞭みたいにする。
そのまま立とうとする腕に巻き付けて
「ふん!」
思いっきり引っ張って、引き千切る。
「グォォォォォ!」
痛みに叫びながら、ジグジは立ち上がり、俺に突撃してくる。
俺は刀身を伸ばして頭を潰そうとしたが、
「ガァァァァア!」
こいつ…俺の刀を口で…!?
だが、これで決まったな。
「乱れ咲け、花たち」
俺はすぐに刀身を花びら状に変えて…ジクジを内側からズタボロにした。
「ギャァァァァァァァァァ!!!」
大絶叫を上げながら、体中から俺の刀身を吹き出すジクジ。
俺はそれを見ながら、刀身を戻して鞘に閉まったのだった。
outside
「…容赦ないな…優月」
「仕方ねぇだろ。仮にも整合騎士だ。
キリトのドン引きした声は、この場にいる全員の代弁だ。
その言葉に優月は苦い顔をしながら、己の責務だと言って、腰に差し直した。
「さてと…エルドリエを助けてやろう」
エルドリエの側まで来て、キリトはあることに気がついた。
「優月、これって…」
「ああ…【ディープ·フリーズ】だ。だか妙だな…使えるのは、あの最高司祭と肉だるまだけのはず…」
「ええ…。一応、小父様に解除法を教わってますから、少し待ってください」
「まずは、このカラントから切り離さないとね」
そう言って全員で、カラントを切り払う。
その時、キリトがあるものを見つけた。
「これは…実か?」
「それ、どうするの?」
「…カーディナルに調べてもらうよ」
キリトとサチが話していると、術が解けたエルドリエが目を覚ます。
「…アリス…様…ユヅキ…殿…」
「目は覚めたか?」
「大丈夫ですか?エルドリエ」
目を覚ましたエルドリエは、優月とアリスを見てかは、奥にいるキリトたちにも気がついた。
「なぜ彼らが…」
「貴方を助けに来たのです」
「…助け…?私が…あの者達に…?」
何やらブツブツと呟くエルドリエに、不思議そうにするアリスと優月。
そして、エルドリエが思わぬ行動にでる。
「…師よ。私の無礼な振る舞いを許して頂きたい」
そう言って、【霜鱗鞭】を構えるエルドリエ。
突然の行動に、全員が驚く。
「エルドリエ!?何を!?」
「私はかつて、アリス様の命を達成出来ず、あまつさえ、最高司祭様が倒されるその時まで、気を失っていました」
「ですが、彼らは騎士を倒したくて来た訳では…」
「無論、分かっております!ですが!彼らに救われたのは事実です!」
その時キリトが口を挟む。
「つまり…戦いで見極める…そういうことか」
「ほう…貴様にしては、察しがいいじゃないか」
「それじゃあ…その戦い、受けようじゃないか。お相手頼むぜ、エルドリエ」
そう言ってキリトも、臨戦態勢に入る。
「キリト!」
「ユージオ、エルドリエに認めてもらうには、一番これが早い。それに、あの戦いも決着はついてないしな」
「だったら僕も…!」
「ダメだ。俺自身、本気の整合騎士と何処までやれるか、知りたいんだ。だから…俺一人でやらせてくれ」
そう言って、ユージオがキリトの鎮火に失敗した時、今まで黙っていた優月が口を開いた。
「エルドリエ」
「ユヅキ殿。たとえ止められても、私は…」
「止めねぇよ。好きなだけやってこい」
「っ!?…ありがとうございます」
そう言ってキリトと共に、大広間に向かうエルドリエを見送る優月に、ミトが話しかける。
「止めなくて良かったの?」
「エルドリエが売って、キリトが買った。だったらもう、この決闘は誰にも止められねぇよ。誰にもその権利がない」
「…男の子ってこれだから…」
「ミト…僕にも理解出来ないよ…」
何故かそっちサイドに行くユージオを流し見ながら、優月は戦いを観戦することに。
「…整合騎士、エルドリエ=シンセシス=サーティワン!今度こそ、貴様の意識を刈り取ってやる!!」
「剣士キリト!参る!!」
これからの戦いに、特に大きく語ることは無い。
結論を言えば、キリトはエルドリエを下した。
そして、エルドリエが改めてキリトとユージオを認めたことで、彼らに絆が生まれた…という話である。
それでは失礼します。
ありがとうございました。