ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
よろしくお願いします。
side優月
翌日。
「…なあ、優月」
「気持ちはわかるが、飯なら我慢しろ」
「何故俺のセリフがわかった…?」
何年つるんでると思ってる…。
お前の考えなんぞ、手に取るようにわかる。
とはいえ、残念ながら意地悪で言ってる訳では無い。
「まあキリトと言ったら、食い意地だもんね〜」
「央都まで、あとどれ位でしょうか?」
「半日くらいかな」
「半日!?」
「それは…持たないかも…」
みんなそれぞれ、腹ごしらえを進言するが、残念ながら不可能だ。
「ねぇ、どこかで買い物しない?」
「残念ですが、不可能です」
どうやらアリスは気づいていたらしい。
先程も言ったが、何も意地悪ではないのだ。
なんなら俺も腹減ったし。
「…まさか…優月…アリス…」
「そう、軍資金が底をついた。思ったより長丁場になったからな」
対策本部から調査資金という名目で、それなりの額の金を預かっており、それを俺とアリスの2人体制で管理していたのだが、予想外の長旅に資金が尽きてしまったのだ。
「も、持ち寄ったりとかは!?」
「金銭のやり取りは進めません。早めに戻った方が賢明でしょう」
「そうね。後々揉める元だわ。何より…うちは家訓的に酷い目にあう」
顔を青くしながら呟くミトを見ながら、俺も青くなるのを実感する。
「ええっと…お2人の家って、そんなに厳しいんですか?」
不思議そうに尋ねるリーファに、アスナ先輩が代わりに答える。
「2人の家は束縛が少ない分、ルールにすごく厳しいの。外泊とは自由だけど、金銭のやり取りは特に厳しいらしくて、2人は絶対に親以外にお金を借りたりはしないのよ」
「なぜアスナはそんなに詳しいの…?」
そんなやり取りを無視して、俺は2つの提案を提示する。
「さて、それはともかく。今の俺たちの選択肢は2つ。野営して狩りとかして休んだ後、出発するか。それともこのまま我慢して進むか」
「お、俺はなにかないか探してくるよ!メディナ!行くぞ!」
「え!?お、おい!キリト!」
キリトがメディナを連れて、どこかへ行くのを見送り、役割分担を決める。
「ミト、シノン。一狩りいこうぜ」
「いいわよ」
「【
俺はミトたちと共に、獣を狩りに向かうことに。
「僕は川に水汲みと釣りに行くよ」
「あ、じゃあ私も行くね、ユージオ君」
「あたしも行くわ!」
ユージオがアスナ先輩とリズを連れて、川へ向かうことに。
「私は何か山菜を取りに行きます!」
「あ!私も行く!」
「じゃあ2人は、俺達に付いてくること。いいね?」
「「は〜い!」」
シリカとリーファは山菜を取りに行くらしいので、俺たち狩りチームの同伴させることに。
「それでは私はここを守りましょう」
「私も残るね。みんな行ってらっしゃい、気をつけてね」
アリスとサチは、野営地の守りを固めてくれることに。
それぞれの役割が無事決まったところで、行動を開始する。
リミットは日没前。
それまでに戻らないと、夜の山道は危険だからだ。
「行動開始!」
その結果…
「いや〜!大漁大漁!…魔獣とカラントが」
「なんで健全な狩りの予定が、モン〇ン的狩りになる訳…?」
「…魔獣の肉、食べられないかしら?」
「「そんなゲテモノ、死んでもお断り」」
獣狩りをしようとして俺たちは、魔獣の群れと大量のカラントの伐採をする羽目になり。
「こっちも釣れたよ!」
「ユージオ君が、虫が得意で助かった…」
「ユージオ、力仕事ありがとう!」
ユージオたち釣り組は、健全に楽しんだらしく。
「私たちもそこそこ集まりました!」
「薬草とかも集まりましたし、神聖術と調合出来るかもしれませんね!」
リーファたち野草組も、十分な成果を上げたらしい。
「…優月!もう一狩りよ!」
「よっしゃ!大物獲るぞ!姉貴!シノン!」
「まあ、負けっぱなしは癪ね」
俺たちは再び、森に突入する。
1時間後…
「「「とったどー!!」」」
「いやデカいわね!?」
「うぉ!?なんだそれ!?イノシシか!?」
「まるで山の主だな…」
おや、キリトたちも戻ってきたのか。
バカでかいイノシシを、3人がかりで仕留めた俺たちは、引きずって持ってきたはいいが
「それで?どうやって解体するのですか?」
「「「…あ」」」
結局俺たちは夜どうしで、巨大イノシシを解体したのだった。
そして翌日
「ねぇ!見えあれ!?」
「あれは…なんだ?」
カセドラル·シダーに、赤い笠が覆っていたのだった。
outside
「カーディナル!何が起きてる!?」
「おお、キリト、戻ったか!…む?ユヅキとミトとシノンはどうした?」
「あ〜と…風呂に直行した」
「ちょっと事情がありまして…」
カーディナルのもっともな質問に、キリトとユージオは苦笑いして答える。
「まあよい。あとで説明してやるがよい」
そう言って、カーディナルは残りのメンバーに説明を始める。
とはいえ、カーディナルも分からないことが多く、なにか特別に説明出来るものはないらしい。
「カーディナル、これ。今度のは中身が入ってるやつだ」
そう言って渡したのは、カヨーデを生み出したカラントについていた種子だ。
「うむ、先の種子は空じゃったが、これなら比較できよう」
「それと、【元老院統括代理】のハァシリアンって名前に、聞き覚えはあるか?」
「…いや、聞き覚えはないのう。そんな役職も知らん」
やはりカーディナルも聞き覚えはなく、遠征から戻ってきたベルクーリもまた、聞き覚えがないという。
「そういや、風呂場で坊主に会ったがよ。必死な顔で体中洗ってたぞ。妙に獣臭かったが、一体何してたんだ?」
「…しばらく出て来なさそうだね、3人とも」
アスナの疲れたような一言に、全員が深く頷いた。
優月が出てきたのは、それから1時間後の話。
「さて、西帝国はキリトに任せるとして、坊主、お前は北帝国の魔獣を頼む」
「はいよ。一人で行くの?」
「いや、人選はこっちで決めさせてもらった。確認しておけ」
そう言われた優月は、ベルクーリから受け取ったリストを見て、優月は思わずため息をつく。
「おっさん…これならキリトの方が…」
「ならメディナと組むか?今のお前さんたちじゃ、油と水の方がマシじゃねぇか?」
そう言われては、優月はグゥの音も出ない。
やがて小さく息を吐いて、頭を掻きながら諦めたように呟く。
「分かったよ。キリトほど上手くはやれないけど、まあやるさ」
「おう、頼むぞ」
そう言われた優月は、近くのテーブルにリストを置いて、立ち去る。
そのリストには、ソルティリーナ=セルルト、ロニエ=アラベル、ティーゼ=シュトリーネンの名前があった。
side優月
「え〜と…北帝国にある【コールディア平原】に出た、魔獣の群れを狩りに行きます。群れということなので、常に周りを気にして、互いの間合いから離れすぎないように、死なない範囲で頑張りましょう!」
「「「はい!」」」
…やっぱやりにくい…。
一応整合騎士として、それなりの態度を示そうと努力はしたが、こういうのは向かないんだよな…。
「あの…ユヅキ様…」
様…!?
ああ、ダメ…違和感がすごい…。
「な、何かな?」
「その…失礼だとは思いますが、私たち以上に緊張なさってませんか?」
ロニエにそう言われて、後ろで頷くティーゼとソルティリーナさん。
ダメだ…我慢出来ん。
まさかの数分で限界が来るとは…。
「…悪い、その様とか、丁寧な口調とか…そういうの慣れないんだ。出来るだけフレンドリーに接してくれると助かる」
「「ふれんどりー…?」」
「どういう意味でしょうか?」
ああ、そうか。
伝わらないか…そうだな…。
「キリトやユージオと接するような軽さで。ソルティリーナさんも、公的な場ではともかく、今みたいな時なら、全然呼び捨てでもいいですから」
「そうですか?でしたら…もう少し落ち着いたらどうだ、ユヅキ」
そうそう、こんな感じ。
俺としてはキリトとタメなわけだし、こういうノリの方が、やりやすい。
「それでは私たちも…ユヅキ先輩!頑張りましょう!」
「私たちも精一杯お役に立つように、頑張りますね!ユヅキ先輩!」
「先輩…なんかいいな!それ!よく考えたら、先輩なんて呼ばれるの、初めてかも!」
部活の時は、あまり呼ばれないしな俺。
というか、みんな何故かあまり話しかけてこないし…。
「「「…ふふ」」」
「うん?どうしたんだよ、笑って」
「いや何。実はな…」
なんでもここに集まる前、たまたまユージオに会ったらしく、多分堅苦しいのは嫌がられると、助言があったらしい。
「まさか、あいつにまで読まれるのか…俺…」
キリトからならともかく、まさかユージオから読まれるとは…なんというか…意外だ。
「なんというか、整合騎士様と一緒の任務って初めてだったので、ホッとしちゃいました!ね、ティーゼ!」
「うん!不安もあったけど、ユヅキ先輩なら、少し落ち着いてこなせそう!」
「実を言うと、私も少し緊張していたのだが…ユヅキならば、キリトと同じように扱えばよいのだろう?ならば問題無さそうだ」
おっさん…まさかそこまで読んで?
まったく、大した人だよ。
「ハイハイそこまで。それじゃあ行くよ?言っておくけど、俺だからこんなに緩いんだよ?特にエルドリエとかだと、面倒くさいからね?」
俺はサラッとエルドリエをディスりつつ、みんなを上手くまとめて討伐に出る。
道中、剣の調子を確かめるロニエたちを尻目に、俺は討伐対象を確認する。
「ソルティリーナさん、相談なんですが…」
「君も私の事は、キリトの言うように言ってくれていいのだぞ?それで、相談とは?」
「じゃあ、リーナさんで。ここなんですが…岩とか落として分断した方が楽ですかね?2班に分けて、残党狩りと頭を叩く班に分けてやりますか」
という訳で、頭を潰すのがロニエとティーゼ。
残党狩りが、俺とリーナさんになった。
「…見つけました。この速度なら、残り数分です!」
「偵察ご苦労、ロニエ」
現場について、すぐにポイントに移動した俺は、ロニエに偵察に行かせ、その間に分断するための仕切りを、鉄素で3人がかりで作り上げた。
「さて、リーナさんはともかく、2人は緊張するだろ?正直に言ってごらん?」
「はい…正直緊張します…」
「私も…」
うんうん、いい反応だ。
「その緊張を大切にな。恐怖は足枷じゃない。身を守る為の指標だ。だから、恐怖は捨てるな。その緊張を忘れるな。いつだって、本能を理性で制御するんだ」
「「本能を…理性で…制御する…」」
「ステイ·クール…アインクラッド流の極意その一」
キリトの言葉をそのまま使って、俺は締めくくった。
後ろで深呼吸する2人を見て、俺はすぐに偵察に戻る。
「それがお前の教え方か。実感が篭ってるじゃないか」
「そりゃ込めてますからね…来た」
数は20弱…頭はあの一際デカいやつか。
「よし、リーナさん行きますよ」
「ああ!せーの…!」
リーナさんと同時に押して、仕掛けを発動する。
よし…上手く分断出来た…!
「ロニエ!ティーゼ!頼むぞ!」
「「はい!」」
ロニエ達が一気に降りだしたのを見て、俺とリーナさんも、飛び降りる。
「さて…可愛い後輩達の舞台だ。邪魔はさせんよ」
「さてと…狩りの時間だ。楽しませてくれよ?」
outside
「…うん?おう!優月!ロニエにティーゼ!リーナ先輩も!おかえり」
「4人ともお疲れ様…本当に疲れてるね」
「「た、ただいま戻りました…」」
「キリトとユージオか…」
「俺って引き悪いのか…?」
それぞれの役目を果たすたキリトとユージオは、対策本部で優月達と会うも、あまりにも疲れきったその姿に、不思議に思う。
「な、何があったんだ…?」
「それが…魔獣の群れが3つ現れて…」
「順次倒したと思ったら、その次。さらにその次って感じでして…」
「私達は終始迎撃だったのだが…」
「俺が原因探ったら、カラントが密集しててな…俺しか斬れないし、斬ってる端から魔獣は出てくるし…もう入れ食い状態…」
((そんな入れ食いは嫌だ…))
思わず同じことを思うキリトとユージオ。
優月はぐったりしたまま、部隊の解散を宣言。
「おっさんには明日報告するって、伝えといてくれ。…俺はもう限界だ」
そのままフラフラと、いなくなる優月。
そんな優月が、メディナの失踪を聞くのは、翌日の昼だった。
それでは失礼します。
ありがとうございました。