ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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これで北帝国は終わりです。
よろしくお願いします。


閑話休題⑬

side優月

 

翌日。

 

「…なあ、優月」

 

「気持ちはわかるが、飯なら我慢しろ」

 

「何故俺のセリフがわかった…?」

 

何年つるんでると思ってる…。

お前の考えなんぞ、手に取るようにわかる。

とはいえ、残念ながら意地悪で言ってる訳では無い。

 

「まあキリトと言ったら、食い意地だもんね〜」

 

「央都まで、あとどれ位でしょうか?」

 

「半日くらいかな」

 

「半日!?」

 

「それは…持たないかも…」

 

みんなそれぞれ、腹ごしらえを進言するが、残念ながら不可能だ。

 

「ねぇ、どこかで買い物しない?」

 

「残念ですが、不可能です」

 

どうやらアリスは気づいていたらしい。

先程も言ったが、何も意地悪ではないのだ。

なんなら俺も腹減ったし。

 

「…まさか…優月…アリス…」

 

「そう、軍資金が底をついた。思ったより長丁場になったからな」

 

対策本部から調査資金という名目で、それなりの額の金を預かっており、それを俺とアリスの2人体制で管理していたのだが、予想外の長旅に資金が尽きてしまったのだ。

 

「も、持ち寄ったりとかは!?」

 

「金銭のやり取りは進めません。早めに戻った方が賢明でしょう」

 

「そうね。後々揉める元だわ。何より…うちは家訓的に酷い目にあう」

 

顔を青くしながら呟くミトを見ながら、俺も青くなるのを実感する。

 

「ええっと…お2人の家って、そんなに厳しいんですか?」

 

不思議そうに尋ねるリーファに、アスナ先輩が代わりに答える。

 

「2人の家は束縛が少ない分、ルールにすごく厳しいの。外泊とは自由だけど、金銭のやり取りは特に厳しいらしくて、2人は絶対に親以外にお金を借りたりはしないのよ」

 

「なぜアスナはそんなに詳しいの…?」

 

そんなやり取りを無視して、俺は2つの提案を提示する。

 

「さて、それはともかく。今の俺たちの選択肢は2つ。野営して狩りとかして休んだ後、出発するか。それともこのまま我慢して進むか」

 

「お、俺はなにかないか探してくるよ!メディナ!行くぞ!」

 

「え!?お、おい!キリト!」

 

キリトがメディナを連れて、どこかへ行くのを見送り、役割分担を決める。

 

「ミト、シノン。一狩りいこうぜ」

 

「いいわよ」

 

「【弓使い(ハンター)】の本領発揮ね」

 

俺はミトたちと共に、獣を狩りに向かうことに。

 

「僕は川に水汲みと釣りに行くよ」

 

「あ、じゃあ私も行くね、ユージオ君」

 

「あたしも行くわ!」

 

ユージオがアスナ先輩とリズを連れて、川へ向かうことに。

 

「私は何か山菜を取りに行きます!」

 

「あ!私も行く!」

 

「じゃあ2人は、俺達に付いてくること。いいね?」

 

「「は〜い!」」

 

シリカとリーファは山菜を取りに行くらしいので、俺たち狩りチームの同伴させることに。

 

「それでは私はここを守りましょう」

 

「私も残るね。みんな行ってらっしゃい、気をつけてね」

 

アリスとサチは、野営地の守りを固めてくれることに。

それぞれの役割が無事決まったところで、行動を開始する。

リミットは日没前。

それまでに戻らないと、夜の山道は危険だからだ。

 

「行動開始!」

 

その結果…

 

「いや〜!大漁大漁!…魔獣とカラントが」

 

「なんで健全な狩りの予定が、モン〇ン的狩りになる訳…?」

 

「…魔獣の肉、食べられないかしら?」

 

「「そんなゲテモノ、死んでもお断り」」

 

獣狩りをしようとして俺たちは、魔獣の群れと大量のカラントの伐採をする羽目になり。

 

「こっちも釣れたよ!」

 

「ユージオ君が、虫が得意で助かった…」

 

「ユージオ、力仕事ありがとう!」

 

ユージオたち釣り組は、健全に楽しんだらしく。

 

「私たちもそこそこ集まりました!」

 

「薬草とかも集まりましたし、神聖術と調合出来るかもしれませんね!」

 

リーファたち野草組も、十分な成果を上げたらしい。

 

「…優月!もう一狩りよ!」

 

「よっしゃ!大物獲るぞ!姉貴!シノン!」

 

「まあ、負けっぱなしは癪ね」

 

俺たちは再び、森に突入する。

1時間後…

 

「「「とったどー!!」」」

 

「いやデカいわね!?」

 

「うぉ!?なんだそれ!?イノシシか!?」

 

「まるで山の主だな…」

 

おや、キリトたちも戻ってきたのか。

バカでかいイノシシを、3人がかりで仕留めた俺たちは、引きずって持ってきたはいいが

 

「それで?どうやって解体するのですか?」

 

「「「…あ」」」

 

結局俺たちは夜どうしで、巨大イノシシを解体したのだった。

そして翌日

 

「ねぇ!見えあれ!?」

 

「あれは…なんだ?」

 

カセドラル·シダーに、赤い笠が覆っていたのだった。

 

outside

 

「カーディナル!何が起きてる!?」

 

「おお、キリト、戻ったか!…む?ユヅキとミトとシノンはどうした?」

 

「あ〜と…風呂に直行した」

 

「ちょっと事情がありまして…」

 

カーディナルのもっともな質問に、キリトとユージオは苦笑いして答える。

 

「まあよい。あとで説明してやるがよい」

 

そう言って、カーディナルは残りのメンバーに説明を始める。

とはいえ、カーディナルも分からないことが多く、なにか特別に説明出来るものはないらしい。

 

「カーディナル、これ。今度のは中身が入ってるやつだ」

 

そう言って渡したのは、カヨーデを生み出したカラントについていた種子だ。

 

「うむ、先の種子は空じゃったが、これなら比較できよう」

 

「それと、【元老院統括代理】のハァシリアンって名前に、聞き覚えはあるか?」

 

「…いや、聞き覚えはないのう。そんな役職も知らん」

 

やはりカーディナルも聞き覚えはなく、遠征から戻ってきたベルクーリもまた、聞き覚えがないという。

 

「そういや、風呂場で坊主に会ったがよ。必死な顔で体中洗ってたぞ。妙に獣臭かったが、一体何してたんだ?」

 

「…しばらく出て来なさそうだね、3人とも」

 

アスナの疲れたような一言に、全員が深く頷いた。

優月が出てきたのは、それから1時間後の話。

 

「さて、西帝国はキリトに任せるとして、坊主、お前は北帝国の魔獣を頼む」

 

「はいよ。一人で行くの?」

 

「いや、人選はこっちで決めさせてもらった。確認しておけ」

 

そう言われた優月は、ベルクーリから受け取ったリストを見て、優月は思わずため息をつく。

 

「おっさん…これならキリトの方が…」

 

「ならメディナと組むか?今のお前さんたちじゃ、油と水の方がマシじゃねぇか?」

 

そう言われては、優月はグゥの音も出ない。

やがて小さく息を吐いて、頭を掻きながら諦めたように呟く。

 

「分かったよ。キリトほど上手くはやれないけど、まあやるさ」

 

「おう、頼むぞ」

 

そう言われた優月は、近くのテーブルにリストを置いて、立ち去る。

そのリストには、ソルティリーナ=セルルト、ロニエ=アラベル、ティーゼ=シュトリーネンの名前があった。

 

side優月

 

「え〜と…北帝国にある【コールディア平原】に出た、魔獣の群れを狩りに行きます。群れということなので、常に周りを気にして、互いの間合いから離れすぎないように、死なない範囲で頑張りましょう!」

 

「「「はい!」」」

 

…やっぱやりにくい…。

一応整合騎士として、それなりの態度を示そうと努力はしたが、こういうのは向かないんだよな…。

 

「あの…ユヅキ様…」

 

様…!?

ああ、ダメ…違和感がすごい…。

 

「な、何かな?」

 

「その…失礼だとは思いますが、私たち以上に緊張なさってませんか?」

 

ロニエにそう言われて、後ろで頷くティーゼとソルティリーナさん。

ダメだ…我慢出来ん。

まさかの数分で限界が来るとは…。

 

「…悪い、その様とか、丁寧な口調とか…そういうの慣れないんだ。出来るだけフレンドリーに接してくれると助かる」

 

「「ふれんどりー…?」」

 

「どういう意味でしょうか?」

 

ああ、そうか。

伝わらないか…そうだな…。

 

「キリトやユージオと接するような軽さで。ソルティリーナさんも、公的な場ではともかく、今みたいな時なら、全然呼び捨てでもいいですから」

 

「そうですか?でしたら…もう少し落ち着いたらどうだ、ユヅキ」

 

そうそう、こんな感じ。

俺としてはキリトとタメなわけだし、こういうノリの方が、やりやすい。

 

「それでは私たちも…ユヅキ先輩!頑張りましょう!」

 

「私たちも精一杯お役に立つように、頑張りますね!ユヅキ先輩!」

 

「先輩…なんかいいな!それ!よく考えたら、先輩なんて呼ばれるの、初めてかも!」

 

部活の時は、あまり呼ばれないしな俺。

というか、みんな何故かあまり話しかけてこないし…。

 

「「「…ふふ」」」

 

「うん?どうしたんだよ、笑って」

 

「いや何。実はな…」

 

なんでもここに集まる前、たまたまユージオに会ったらしく、多分堅苦しいのは嫌がられると、助言があったらしい。

 

「まさか、あいつにまで読まれるのか…俺…」

 

キリトからならともかく、まさかユージオから読まれるとは…なんというか…意外だ。

 

「なんというか、整合騎士様と一緒の任務って初めてだったので、ホッとしちゃいました!ね、ティーゼ!」

 

「うん!不安もあったけど、ユヅキ先輩なら、少し落ち着いてこなせそう!」

 

「実を言うと、私も少し緊張していたのだが…ユヅキならば、キリトと同じように扱えばよいのだろう?ならば問題無さそうだ」

 

おっさん…まさかそこまで読んで?

まったく、大した人だよ。

 

「ハイハイそこまで。それじゃあ行くよ?言っておくけど、俺だからこんなに緩いんだよ?特にエルドリエとかだと、面倒くさいからね?」

 

俺はサラッとエルドリエをディスりつつ、みんなを上手くまとめて討伐に出る。

道中、剣の調子を確かめるロニエたちを尻目に、俺は討伐対象を確認する。

 

「ソルティリーナさん、相談なんですが…」

 

「君も私の事は、キリトの言うように言ってくれていいのだぞ?それで、相談とは?」

 

「じゃあ、リーナさんで。ここなんですが…岩とか落として分断した方が楽ですかね?2班に分けて、残党狩りと頭を叩く班に分けてやりますか」

 

という訳で、頭を潰すのがロニエとティーゼ。

残党狩りが、俺とリーナさんになった。

 

「…見つけました。この速度なら、残り数分です!」

 

「偵察ご苦労、ロニエ」

 

現場について、すぐにポイントに移動した俺は、ロニエに偵察に行かせ、その間に分断するための仕切りを、鉄素で3人がかりで作り上げた。

 

「さて、リーナさんはともかく、2人は緊張するだろ?正直に言ってごらん?」

 

「はい…正直緊張します…」

 

「私も…」

 

うんうん、いい反応だ。

 

「その緊張を大切にな。恐怖は足枷じゃない。身を守る為の指標だ。だから、恐怖は捨てるな。その緊張を忘れるな。いつだって、本能を理性で制御するんだ」

 

「「本能を…理性で…制御する…」」

 

「ステイ·クール…アインクラッド流の極意その一」

 

キリトの言葉をそのまま使って、俺は締めくくった。

後ろで深呼吸する2人を見て、俺はすぐに偵察に戻る。

 

「それがお前の教え方か。実感が篭ってるじゃないか」

 

「そりゃ込めてますからね…来た」

 

数は20弱…頭はあの一際デカいやつか。

 

「よし、リーナさん行きますよ」

 

「ああ!せーの…!」

 

リーナさんと同時に押して、仕掛けを発動する。

よし…上手く分断出来た…!

 

「ロニエ!ティーゼ!頼むぞ!」

 

「「はい!」」

 

ロニエ達が一気に降りだしたのを見て、俺とリーナさんも、飛び降りる。

 

「さて…可愛い後輩達の舞台だ。邪魔はさせんよ」

 

「さてと…狩りの時間だ。楽しませてくれよ?」

 

 

outside

 

「…うん?おう!優月!ロニエにティーゼ!リーナ先輩も!おかえり」

 

「4人ともお疲れ様…本当に疲れてるね」

 

「「た、ただいま戻りました…」」

 

「キリトとユージオか…」

 

「俺って引き悪いのか…?」

 

それぞれの役目を果たすたキリトとユージオは、対策本部で優月達と会うも、あまりにも疲れきったその姿に、不思議に思う。

 

「な、何があったんだ…?」

 

「それが…魔獣の群れが3つ現れて…」

 

「順次倒したと思ったら、その次。さらにその次って感じでして…」

 

「私達は終始迎撃だったのだが…」

 

「俺が原因探ったら、カラントが密集しててな…俺しか斬れないし、斬ってる端から魔獣は出てくるし…もう入れ食い状態…」

 

((そんな入れ食いは嫌だ…))

 

思わず同じことを思うキリトとユージオ。

優月はぐったりしたまま、部隊の解散を宣言。

 

「おっさんには明日報告するって、伝えといてくれ。…俺はもう限界だ」

 

そのままフラフラと、いなくなる優月。

そんな優月が、メディナの失踪を聞くのは、翌日の昼だった。




それでは失礼します。
ありがとうございました。
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