ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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それではよろしくお願いします


西帝国編第ニ話

outside

 

魔獣を倒したり、カラントを斬りつつ、メディナの捜索を続ける一行だったが、有益な情報は掴めずにいた。

そんなある日の会議にて、優月が厳しい顔で遅れて会議にやってきた。

 

「失礼します、騎士長」

 

「おうユヅキ。遅かったな、なんかあったか?」

 

「はい。近衛兵から少々妙な報告が…」

 

「妙な報告?話してみろ」

 

少し迷った顔をしてから、優月はゆっくりと口を開いた。

 

「西帝国で、落雷が鳴り止まないという報告が。それは西に進めば進むほど激しくなり、西の峡谷に近寄れないほどとも、報告が上がっています」

 

「西の峡谷ですって!?西の峡谷には…!」

 

「ああ、シェータがいる」

 

つまり、シェータが孤立しているということ。

そしてこの異常事態には、カラントが絡んでいると予想する優月。

 

「その根拠は?」

 

「西帝国には、雷を操る竜の伝承があります。恐らく、西の守護竜のことだと」

 

「守護竜…」

 

「ユージオ?どうした?」

 

「実は、北帝国の守護竜は殺されていて…」

 

(アドミニストレータか…。そんなことできるのは、1人しかいない)

 

恐らく、ベルクーリに命令して殺させたのだと、優月は思ったが、それは当たりだ。

他でもないベルクーリ自身が、北の守護竜を殺したと公言していたのだ。

そしてその事実は、優月は知らない。

 

「メディナも気になるけど、流石に無視できないわね」

 

「そうだね。その守護竜のことも調べつつ、メディナさんの情報も集まればいいけれど…」

 

ミトとアスナの発言に全員が賛成し、調査に乗り出すことに。

 

「待って!私たちも行きたい!」

 

「ついて行きます」

 

そんな中、リネルとフィゼルがついて行くと名乗りを上げた。

 

「お前たち、まだ懲りてないのか」

 

デュソルバートがそれを止めるも、逆に丸め込まれてしまい、最終的に認めざるを得なくなる。

 

「口では勝てないのね…」

 

「いかにも口喧嘩は弱そうだもんな…」

 

優月とシノンは、そんな取り留めのないことをヒソヒソ話していたのだった。

 

side優月

 

早速西帝国に乗り込んだ俺たちを待っていたのは、激しく轟く雷鳴だった。

 

「す、すごい音…」

 

「西の峡谷からは、まだかなり距離があるんだがな…」

 

「な、なんだか怖いです…」

 

俺達は警戒しながらも、出来るだけ急いで移動していると、カラントの前に祈りを捧げる人々がいた。

…なんだあれ?

 

「あんなに寄ってたかって、何してるんだ?」

 

「話を聞いてみる?なにか情報が掴めるかもしれないよ?」

 

「そうね。メディナさんのことも、何かわかるかもしれないものね」

 

サチの言葉に、先輩が賛成してみんなで移動することに。

代表して、キリトが尋ねる。

 

「すみません。ここで一体何を?」

 

「落雷が収まるように、最高司祭様に祈りを捧げているのです」

 

「救いを待っているのです」

 

救い…?

アドミニストレータに祈りを捧げる、というのはまだ分かるが、救いを待つっていうのはどういうことだ?

なんでもここにいる人達は、みんな落雷の影響で、天職や大切なものを失ってしまったらしい。

 

「そんな時、【真聖公理教会】の方々が、私たちに使命を与えてくださったのです」

 

…今、すげぇ不穏な言葉が出てきたんだが?

 

「真聖公理教会?」

 

なんでもそいつらの教えは、今のこの状況は全て、偽りの公理教会が引き起こしたものだと、言う触れているらしい。

そして救いもを求めるのなら、救世主と彼女が選んだ民の元へ集え、そう言っているとのこと。

 

「選ばれし民に救世主…それはまるで…」

 

「あなたはその救世主に、あったことはありますか?」

 

「いいえ、私たちは謁見を許可されていません。選ばれし民の方々に、ここで祈りを捧げるように、指示されたのです」

 

その祈らせる意味は、一体なんなんだ…?

シノンは何か気づいたのか、難しい顔で悩んでいた。

その時、カラントから魔獣が現れた。

 

「下がってろ!」

 

「その真聖公理教会とやらは、ロクでもない教義を広めてるらしいな」

 

俺たちが魔獣を狩るために、身構えた瞬間、カラントの更に奥から矢が飛んできて、魔獣を倒した。

 

「おー!かかったかかった!生け贄作戦成功!」

 

「こういうのは、囮作戦に限るよな〜!」

 

生け贄…囮…こいつら、そういうことか。

…ゲスが。

 

「あんた達、どういうつもり?」

 

「非道だわ!」

 

ミトや先輩が糾弾するが、どこ吹く風。

 

「おいおい、いきなり何キレてんだよ?別に俺たちは救世主様の命令に従ってるだけだぜ?」

 

「出来るだけ多く身を集めろって言うから、効率的な方法を試してるだけだし〜?」

 

「実を集める…?なんのために?」

 

ユージオの問いかけにも、答えずそいつらは俺達の装備と…女性陣をゲスな目で見ていた。

 

「なあ、それにしてもよ。こいつらいい装備してね?しかも、超可愛いし綺麗じゃん?」

 

「いっそ奪うか!」

 

そう言って武器を構えるそいつらに、俺は深いため息をついて、抜刀一閃。

【真意の斬撃】で、思いっきり吹き飛ばす。

 

「「ガハァ!?」」

 

「逃がさねぇよ」

 

俺は直ぐに刃の形を変えて、縛り付けてから俺の前に転がす。

 

「…で?誰から何を奪うって?ん?」

 

「て…てめぇ…ゴホォ!?」

 

「あ?誰が口答えしろって?」

 

俺が見下ろしていると、キリトが隣に立つ。

その顔は…酷く怒っていた。

 

「おい優月!…俺の分も忘れるなよ?」

 

「ふ、2人とも落ち着いて!」

 

「そうだよ!私達は大丈夫だから!」

 

「「俺達が大丈夫じゃない」」

 

結局暴走する俺達は、先輩とサチに止められている間に、他のみんなが話を聞くことに。

俺達が落ち着きを取り戻した頃には、ほとんどが終わっていて、何故か一般人が眠っていた。

 

「これ、どうなってんの?」

 

「私達が眠られたのよん」

 

「痛くないですよ」

 

リネルとフィゼルが、自慢げに話す。

どうやら2人が安全に無力化したらしい。

 

「そうか。よくやった、偉いぞ」

 

俺は2人の頭を撫でながら、内心首を傾げた。

カラントを守りつつ、魔獣を狩る。

この矛盾した行動に、一体なんの意味が…?

 

「ねぇ、キリト…さっきのこの人達の言葉…」

 

「ああ、装備に囮作戦…まるであそこで使う言葉だな。なぁ、アリス。一度こいつらを連れて帰っていいか?調べたいことがある」

 

そのままカラントを斬り、カーディナルに調べさせたが、結局何も分からずじまいだった。

 

sideキリト

 

俺達は一度、冒険者を連れて引き返したが、何も分からずしまいだった。

 

「接触を受けた冒険者は、メディナ殿に逆らわなくなる」

 

「恐らく、命令で口止めしてあるんだろ。大した忠誠心だぜ」

 

アリスと優月が、どこか呆れたように呟く。

あの忠誠の強さは、大したものだった。

 

「わざわざ曲解して人を囮に使う連中だけど、あの忠誠心だけは本物ってわけね」

 

「全く、御大層な遵守精神ね」

 

「2人とも、その辺にして」

 

皮肉たっぷりに言うシノンとミトに、サチがまあまあと宥める。

 

「でも、なんだかおかしいよ」

 

「そうね。これまでの冒険者はそんな行動とらなかったものね」

 

リーファとファナティオが、俺と同じ疑問を口にした。

そうだ、確かに彼らは今まで、進んでこんなことをすることは無かった。

一体何が…?

 

「メディナの背後に、誰かの意思がある…?」

 

「…ハァシリアン」

 

ユージオの問いに、アスナが小さくハァシリアンの名前を上げた。

やはりそうなるのか…。

 

「だが、シェータ様も放っては置けまい。西の峡谷から動けないのだから。我らが今優先すべきは、そちらではないのか」

 

そう、メディナだけではなく、エルドリエの言う通り、シェータの方も問題だ。

とはいえ、メディナたちも放っては置けない。

どうするべきだ…!

 

「優月…」

 

「…エルドリエの言い分も間違えではないが、あいつらはなんの罪もない一般人を犠牲することも、厭わない連中だ」

 

「そうなれば、結局は最終的にイタチごっこになっちまう…っとことか?」

 

思わず優月を頼ってしまうと、優月はエルドリエの意見を肯定しつつ、メディナたちも放っては置けないと言い、それにベルクーリさんも同意してくれた。

 

「結局のところ、俺達が取れる手は、西の峡谷に向かいつつ、道中カラントを斬りながら、メディナの情報を集め、可能ならその問題を取り除く…それしかない」

 

優月がそうまとめた時、対策本部に大型の魔獣が現れたという報告が来た。

座標はちょうど、西の峡谷に向かうルートだった。

 

「…騎士長、このまま俺達が行くよ」

 

「わかった、気をつけろよ、坊主」

 

「分かってるよ、おっさん」

 

こうして俺たちは、再び西帝国に向かうのだった。




それでは失礼します。
ありがとうございました。
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