ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ 作:ネコ耳パーカー
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魔獣を倒したり、カラントを斬りつつ、メディナの捜索を続ける一行だったが、有益な情報は掴めずにいた。
そんなある日の会議にて、優月が厳しい顔で遅れて会議にやってきた。
「失礼します、騎士長」
「おうユヅキ。遅かったな、なんかあったか?」
「はい。近衛兵から少々妙な報告が…」
「妙な報告?話してみろ」
少し迷った顔をしてから、優月はゆっくりと口を開いた。
「西帝国で、落雷が鳴り止まないという報告が。それは西に進めば進むほど激しくなり、西の峡谷に近寄れないほどとも、報告が上がっています」
「西の峡谷ですって!?西の峡谷には…!」
「ああ、シェータがいる」
つまり、シェータが孤立しているということ。
そしてこの異常事態には、カラントが絡んでいると予想する優月。
「その根拠は?」
「西帝国には、雷を操る竜の伝承があります。恐らく、西の守護竜のことだと」
「守護竜…」
「ユージオ?どうした?」
「実は、北帝国の守護竜は殺されていて…」
(アドミニストレータか…。そんなことできるのは、1人しかいない)
恐らく、ベルクーリに命令して殺させたのだと、優月は思ったが、それは当たりだ。
他でもないベルクーリ自身が、北の守護竜を殺したと公言していたのだ。
そしてその事実は、優月は知らない。
「メディナも気になるけど、流石に無視できないわね」
「そうだね。その守護竜のことも調べつつ、メディナさんの情報も集まればいいけれど…」
ミトとアスナの発言に全員が賛成し、調査に乗り出すことに。
「待って!私たちも行きたい!」
「ついて行きます」
そんな中、リネルとフィゼルがついて行くと名乗りを上げた。
「お前たち、まだ懲りてないのか」
デュソルバートがそれを止めるも、逆に丸め込まれてしまい、最終的に認めざるを得なくなる。
「口では勝てないのね…」
「いかにも口喧嘩は弱そうだもんな…」
優月とシノンは、そんな取り留めのないことをヒソヒソ話していたのだった。
side優月
早速西帝国に乗り込んだ俺たちを待っていたのは、激しく轟く雷鳴だった。
「す、すごい音…」
「西の峡谷からは、まだかなり距離があるんだがな…」
「な、なんだか怖いです…」
俺達は警戒しながらも、出来るだけ急いで移動していると、カラントの前に祈りを捧げる人々がいた。
…なんだあれ?
「あんなに寄ってたかって、何してるんだ?」
「話を聞いてみる?なにか情報が掴めるかもしれないよ?」
「そうね。メディナさんのことも、何かわかるかもしれないものね」
サチの言葉に、先輩が賛成してみんなで移動することに。
代表して、キリトが尋ねる。
「すみません。ここで一体何を?」
「落雷が収まるように、最高司祭様に祈りを捧げているのです」
「救いを待っているのです」
救い…?
アドミニストレータに祈りを捧げる、というのはまだ分かるが、救いを待つっていうのはどういうことだ?
なんでもここにいる人達は、みんな落雷の影響で、天職や大切なものを失ってしまったらしい。
「そんな時、【真聖公理教会】の方々が、私たちに使命を与えてくださったのです」
…今、すげぇ不穏な言葉が出てきたんだが?
「真聖公理教会?」
なんでもそいつらの教えは、今のこの状況は全て、偽りの公理教会が引き起こしたものだと、言う触れているらしい。
そして救いもを求めるのなら、救世主と彼女が選んだ民の元へ集え、そう言っているとのこと。
「選ばれし民に救世主…それはまるで…」
「あなたはその救世主に、あったことはありますか?」
「いいえ、私たちは謁見を許可されていません。選ばれし民の方々に、ここで祈りを捧げるように、指示されたのです」
その祈らせる意味は、一体なんなんだ…?
シノンは何か気づいたのか、難しい顔で悩んでいた。
その時、カラントから魔獣が現れた。
「下がってろ!」
「その真聖公理教会とやらは、ロクでもない教義を広めてるらしいな」
俺たちが魔獣を狩るために、身構えた瞬間、カラントの更に奥から矢が飛んできて、魔獣を倒した。
「おー!かかったかかった!生け贄作戦成功!」
「こういうのは、囮作戦に限るよな〜!」
生け贄…囮…こいつら、そういうことか。
…ゲスが。
「あんた達、どういうつもり?」
「非道だわ!」
ミトや先輩が糾弾するが、どこ吹く風。
「おいおい、いきなり何キレてんだよ?別に俺たちは救世主様の命令に従ってるだけだぜ?」
「出来るだけ多く身を集めろって言うから、効率的な方法を試してるだけだし〜?」
「実を集める…?なんのために?」
ユージオの問いかけにも、答えずそいつらは俺達の装備と…女性陣をゲスな目で見ていた。
「なあ、それにしてもよ。こいつらいい装備してね?しかも、超可愛いし綺麗じゃん?」
「いっそ奪うか!」
そう言って武器を構えるそいつらに、俺は深いため息をついて、抜刀一閃。
【真意の斬撃】で、思いっきり吹き飛ばす。
「「ガハァ!?」」
「逃がさねぇよ」
俺は直ぐに刃の形を変えて、縛り付けてから俺の前に転がす。
「…で?誰から何を奪うって?ん?」
「て…てめぇ…ゴホォ!?」
「あ?誰が口答えしろって?」
俺が見下ろしていると、キリトが隣に立つ。
その顔は…酷く怒っていた。
「おい優月!…俺の分も忘れるなよ?」
「ふ、2人とも落ち着いて!」
「そうだよ!私達は大丈夫だから!」
「「俺達が大丈夫じゃない」」
結局暴走する俺達は、先輩とサチに止められている間に、他のみんなが話を聞くことに。
俺達が落ち着きを取り戻した頃には、ほとんどが終わっていて、何故か一般人が眠っていた。
「これ、どうなってんの?」
「私達が眠られたのよん」
「痛くないですよ」
リネルとフィゼルが、自慢げに話す。
どうやら2人が安全に無力化したらしい。
「そうか。よくやった、偉いぞ」
俺は2人の頭を撫でながら、内心首を傾げた。
カラントを守りつつ、魔獣を狩る。
この矛盾した行動に、一体なんの意味が…?
「ねぇ、キリト…さっきのこの人達の言葉…」
「ああ、装備に囮作戦…まるであそこで使う言葉だな。なぁ、アリス。一度こいつらを連れて帰っていいか?調べたいことがある」
そのままカラントを斬り、カーディナルに調べさせたが、結局何も分からずじまいだった。
sideキリト
俺達は一度、冒険者を連れて引き返したが、何も分からずしまいだった。
「接触を受けた冒険者は、メディナ殿に逆らわなくなる」
「恐らく、命令で口止めしてあるんだろ。大した忠誠心だぜ」
アリスと優月が、どこか呆れたように呟く。
あの忠誠の強さは、大したものだった。
「わざわざ曲解して人を囮に使う連中だけど、あの忠誠心だけは本物ってわけね」
「全く、御大層な遵守精神ね」
「2人とも、その辺にして」
皮肉たっぷりに言うシノンとミトに、サチがまあまあと宥める。
「でも、なんだかおかしいよ」
「そうね。これまでの冒険者はそんな行動とらなかったものね」
リーファとファナティオが、俺と同じ疑問を口にした。
そうだ、確かに彼らは今まで、進んでこんなことをすることは無かった。
一体何が…?
「メディナの背後に、誰かの意思がある…?」
「…ハァシリアン」
ユージオの問いに、アスナが小さくハァシリアンの名前を上げた。
やはりそうなるのか…。
「だが、シェータ様も放っては置けまい。西の峡谷から動けないのだから。我らが今優先すべきは、そちらではないのか」
そう、メディナだけではなく、エルドリエの言う通り、シェータの方も問題だ。
とはいえ、メディナたちも放っては置けない。
どうするべきだ…!
「優月…」
「…エルドリエの言い分も間違えではないが、あいつらはなんの罪もない一般人を犠牲することも、厭わない連中だ」
「そうなれば、結局は最終的にイタチごっこになっちまう…っとことか?」
思わず優月を頼ってしまうと、優月はエルドリエの意見を肯定しつつ、メディナたちも放っては置けないと言い、それにベルクーリさんも同意してくれた。
「結局のところ、俺達が取れる手は、西の峡谷に向かいつつ、道中カラントを斬りながら、メディナの情報を集め、可能ならその問題を取り除く…それしかない」
優月がそうまとめた時、対策本部に大型の魔獣が現れたという報告が来た。
座標はちょうど、西の峡谷に向かうルートだった。
「…騎士長、このまま俺達が行くよ」
「わかった、気をつけろよ、坊主」
「分かってるよ、おっさん」
こうして俺たちは、再び西帝国に向かうのだった。
それでは失礼します。
ありがとうございました。