ソードアート・オンライン NEOプログレッシブ   作:ネコ耳パーカー

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それではよろしくお願いします。


西帝国編第七話

sideキリト

 

「メディナ!」

 

「キリト!」

 

俺はメディナと剣を混じえながら、彼女との出会いを振り返っていた。

俺たちの出会いは、ルーリッド村を出た直後だ。

魔獣に囲まれていたメディナを、俺とユージオは助けようとしたんだ。

 

「私の名はメディナ!意志を継ぎ、戦う者だ!」

 

俺達はそのままザッカリアまで進み、そこで別れた。

それからしばらく経ち、俺達は修剣学院で再開したんだ。

あれは…そう、リーナ先輩から、課外授業のお誘いを受けた時に、回復薬を買うことになって、店を目指していた時だ。

 

「久しぶりだな、メディナ」

 

「え?…ほんとだ!メディナだ!」

 

だが再会したメディナは、どこか暗く、旅の時に感じた鋭さは悪い意味で無くなっていた。

そしてそこで、初めてオルティナノスの不評の話を聞いたんだ。

それから…いや、もっと前から、メディナは一人で戦ってきたんだ。

でも、もう違う。

俺が…俺たちがいる。

 

「メディナァァァァア!!!」

 

「キリトォォォォォオ!!!」

 

俺は過去を思いながら、【夜空の剣】を振るう。

俺の縦切りを躱して、放たれる横切りに、俺は剣をあわせて力づくで弾く。

 

「「ハァァァァァァァア!」」

 

俺のソードスキルとメディナのソードスキルが、真正面からぶつかる。

そのまま鍔迫り合いながら、俺たちは言葉をもぶつけ合う。

 

「クッ!負けてたまるか!」

 

「メディナ!お前はなんのために戦ってるんだ!」

 

「最高司祭様を復活させ、オルティナノス家を再興させる。ただそれだけだ!それだけが、私の存在意義だ!」

「本当にそれだけなのか!冒険者も何もかもを犠牲にするのか!」

 

「そうだ!お前ですらどうなってもいいんだ!」

 

俺はメディナの攻撃を躱し、返す剣でメディナに斬り掛かる。

メディナは鍔迫り合うのを嫌ったのか、俺の腹を蹴って距離をとる。

 

「クソ!なんで届かない!?やはり私が欠陥品だからか…!」

 

「違う!それはメディナが、本当の目的を見失ってるからだ!」

 

「私は何も変わっていない!学院に入った時から…!父を失ったあの時から!」

 

そう言ってメディナが刀を構える。

この感じ…決めに来る気か!

俺も負けじと心意を込めてながら、こっそりと神聖術唱えて、全力の一撃で迎え撃つ。

だがその直前、メディナの友達が割って入った。

 

「なぜ…!?邪魔をするなと言ったはずだ!」

 

「その人は神聖術を唱えていました。攻撃ならば、メディナ様に当たっていたかもしれません」

 

この子…俺の詠唱に気付いてたのか!?

 

「そんなことは理由にならない!お前は私に刃向かうのか!なぜお前は、私の命令に逆らう!」

 

「私は…あなたの友達だからです!」

 

outside

 

「ッ!?友…達…」

 

彼女の言葉に、メディナが呆然と剣を下ろした。

 

(…そうだ。あの時は命令ではなくお願いだって。でも、いつしかそれが命令になり…そして…)

 

そんなメディナへ、キリトが声をかける。

 

「まだ間に合うぜ、メディナ。メディナが本当にしたいことはなんなんだ?こんな風に、人を利用して何かを掴み取る事なのか?」

 

「私が本当に望むこと…」

 

--望むように生きなさい、メディナ。私は家の事なんて、どうでもいいんだ。お前が望むように生きてくれたら、それでいい。

 

メディナの脳裏に、父の言葉が過ぎる。

メディナとて、自分の望みは分かってる。

だがその資格が、もう自分にはない。

 

「あ〜…メディナ」

 

そんなメディナに、優月が近付く。

髪をガシガシとかきながら、ゴモゴモする優月に、アスナがそっと背中を押す。

 

「…先輩…。すぅ…はぁ…。メディナ、ごめん!」

 

「ユ、ユヅキ様…!?」

 

優月の勢いよく降ろされた頭に、困惑気味な声を出すメディナ。

 

「メディナのことを全部否定して、俺の一方的な考えを押し付けてた。お前にも譲れないものがあったのに、それを侮辱した。本当にごめん!」

 

「ユヅキ様…」

 

そこへさらに、アリスも近付き、深く頭を下げた。

 

「私からも謝罪を。あなたの苦しみに寄り添えず、あなたを一方的に悪と断じてしまいました。申し訳ありません」

 

「アリス様…。いえ、あなた方から見たら、確かにその通りです。…私は自分が完全に正しいとは、今では思えない」

 

そんな2人の謝罪に、メディナは己を罰するように返す。

 

「人間は皆、己の正義に従っているだけで、完全には正しくない」

 

「…アリス様?」

 

アリスは他の整合騎士には内緒にするよう念を押してから、メディナに自分の過去を打ち明けた。

 

「…ルーリッド村に、あるお転婆な少女がいました。彼女は神聖術師見習いとして、勉強に励む日々を送っていた。毎日、親友の少年たちにお弁当をたっぷり作って持っていき、2人と食べる安息日を、何よりも楽しみにしていました。ですがある日、少女はある罪を犯し、セントラル·カセドラルへ連行された」

 

その言葉を聞いたメディナが、有り得ないものを見たかのように呆然と呟く。

 

「そんな…!?禁忌目録を破ったというのですか!?」

 

「ええ。…そして少女は大切な記憶を最高司祭様に奪われ、新たな人間に生まれ変わることを余儀なくされました。それが…アリス·シンセシス·サーティ。最高司祭様に作られた、甚大な力を持った、整合騎士という名の兵器」

 

「…」

 

あまりにも衝撃的な事実に、メディナは何も言えず、ただ息だけが漏れた。

 

「だからこそ私はあなたの接触を見た時、彼らと自分がどうしても重ねてしまった。故に、あなたの行動を咎めてしまったのかもしれません」

 

「…私こそ。そんなことも知らず、あなたに酷い言葉をかけてしまった」

 

申し訳なさそうなメディナの言葉に、アリスは小さく首を振り、穏やかに声をかける。

 

「いいえ。それにあなたと関わったことで、私はより自分のことを見つめることが出来た」

 

偽りの人格と行動理念を植え付けられ、大切な記憶を抹消する…そんなアドミニストレータの所業の残酷さは、計り知れない。

 

「整合騎士の身分にならなければ、出会えなかった人達や、得られた絆、失った代わりに手に入れたものもある」

 

そう言いながら、アリスは優月の肩を叩く。

驚いた顔をした優月だが、直ぐに小さく笑い、アリスの肩を叩く。

 

「私はたとえ、この人格が偽りであったとしても、今の人格を否定したくない。そんなことは小さいことなのです」

 

「あなたは…最高司祭様を許すのというのですか?大切な思い出も、自分という存在も奪われたのに」

 

「ええ。私が過ごした時間、記憶、築いた絆は、作られた偽りなどではない」

 

それを否定することは、整合騎士そのもの否定だと、アリスは告げる。

そして、メディナの望む道を進めばいい…そう告げる。

それは突き放すのではなく、優しく背中を押し出すような言葉だ。

 

「私の…望む道…」

 

「メディナ。俺はまた、メディナと一緒に歩きたいよ」

 

迷うメディナに、キリトが声をかける。

 

「キリト…」

 

「メディナがそれを望まないなら強要はできない。でも諦めたくないんだ。メディナは大切な仲間だ!今でも信じてる!」

 

「…本当に…バカな奴」

 

(…なぜお前は、私の望みを理解しているんだ?)

 

メディナの望みは家名を取り戻すことでも、偽りの軍勢を率いて賞賛されることでもなかった。

 

(お前からの信頼を受けて、共に戦うことだたっんだ)

 

side優月

 

その時、突然地震が起きる。

 

「キャ!?」

 

「先輩!」

 

俺は慌てて先輩を支えて、周りを見渡す。

かなり激しい戦いだったから、祭壇自体が脆くなっている。

一体何が起きて!?

 

「最高司祭様の生命の源に揃ったのだろう」

 

メディナたちはカラントの実を、カセドラルの秘匿領域へと隠し、その神聖力を元に、最高司祭を甦らせようとしていたらしい。

 

「…キリト。まずはシェータが先だ」

 

何がともあれ、まずはシェータが優先だ。

今更ジタバタしてもどうしようもない。

 

「だな…。メディナ、通してくれないか?」

 

「負けた以上、従わざるを得ない。みんな、通してやってくれ」

 

冒険者たちに道を開けさせたメディナに礼を言い、俺達は奥の洞窟に急いだ。

そこではやはり、カラントに縛られたシェータがいた。

 

「さて…戦闘が予想されます。シェータ殿は【無音】と呼ばれるほどの使い手。それに黒百合の剣は、整合騎士の持つ神器の中で、最高優先度を誇ります。激戦は必至でしょう」

 

「俺がいく」

 

俺が剣を抜き一歩前に出ると、その肩をキリトに掴まれる。

 

「俺がいく。優月はまだ休んでろ」

 

は?

こいつ何言って…!?

 

「おい!お前は連戦だろ!」

 

「優月の手はまだ治ってないだろ。それに刀の天命もかなり消耗してる。そんな状況でシェータと打ち合えば、神器が壊れちまう」

 

それは…そうだが…。

だがそれでも、キリトだけに任せる訳には…!

 

「私もいくわ、キリトくん」

 

「私もだからね!お兄ちゃん!」

 

「私もいきましょう」

 

さらにアスナ先輩、リーファ、アリスが名乗りを上げる。

 

「当然!」

 

「私達もです!」

 

リズにシリカまで!?

困惑する俺の肩を、ミトが叩いて勝手に決める。

 

「これで確定ね。整合騎士は本当に強いわ。気をつけて」

 

その言葉は主に、リズたちに向けられた言葉。

その言葉に頷いたのを確認して、アリスはディープフリースを解く。

 

「…私は…斬って斬って斬り続ける、殺人人形…それが私の存在意義。どんな硬いものでも、必ず斬ってみせる」

 

「そうか…。上等だ。来いよ、シェータ。必ず正気に戻してみせる!」

 

そしてシェータとキリト達の、戦闘が始まった。




それでは失礼します。
ありがとうございました。
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