デレろ! 姫騎士クレアちゃん!   作:偽馬鹿

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ノリと勢いで思いついた奴です。


姫騎士、領主、男の娘

今日は快晴。

気分は曇天。

そして俺には罵声が浴びせられていた。

 

「おのれ……殺すっ!」

「うーん殺意殺意」

 

俺はとある貴族の子飼い、リズナルである。

密命を受けたり受けなかったりしつつ生きている俺であるが、今回の任務はかなり面倒臭いものだった。

『姫騎士クレアの捕縛』である。

 

「ええい、貴様がいなければこんなことにはっ!」

「負け惜しみ乙」

「グググググ!」

 

クレアは幼馴染である。

こいつは恐らく覚えてないだろうが、結婚の約束までした仲だった。

まあ子供の頃の約束なんて儚いものであるが。

 

 

 

とはいえ、今は仕事をこなすのが先決である。

クレアがいつも着込んでいる鎧は既に破壊済み。

剣もその辺に投げ捨ててきた。

こうなれば残るのはただのゴリラ女子だ。

俺では勝てない筋力値。

まあ拘束はしてあるので、普通に運ぶわけだが。

 

「くっ離せっ!」

「わかった」

「ぐえっ! 本当に離す奴があるかっ!」

 

離せと言うから離したのに、ひどい言われようである。

まあ落としたと言った方がいいのは事実だが。

 

しかし、外面はいいのに俺に対してこのような態度、どういうことなのか。

いやまあ敵対していたわけなんだけれども。

 

シルクのような光沢の金髪ロング。

身長はそれなりに高く、胸はない。

いや、言い方があれだな。

スレンダーな体格。

パーフェクト美少女というスペックである。

 

「……なんだ、じろじろ見るな」

 

ひどい言いぐさである。

まあ仕方ないが。

 

とりあえずクレアを担いで荷馬車に詰め込んで、移動。

俺は魔法使いなので、動力不要。

ぐるぐる車輪を回して走るのだった。

 

 

 

「よくやった!」

「はいはい、ありがとうございます」

「じゃあ帰っていいぞ」

「雑な扱いには慣れてますが、いや本当に雑だわ」

 

荷車に入れたクレアを差し出すと、さっさと館へと案内していく我が主。

俺の扱いが実に雑だが、まあいつものことだ。

 

俺の主はレクサ=A=ウィングロード。

ウィングロード家の当主である。

年齢はまだ14であるが、才能は既に開花している。

交易に関しては色々と前当主の知恵を借りて頑張っているようだ。

 

髪はふわっふわのピンクブロンドのボブカット。

割と身長は低いが、胸は大きい。

あんまり言うと怒るが、まあそんなところも可愛い。

 

「……変な想像してるならその首刎ねてもいいんだぞ?」

「できるならどうぞ」

「ええい、無駄に強いと面倒臭いな!」

 

ぷんすかと怒るレクサ。

まあ、首を刎ねても死なないであろう俺にも原因はあるのだろうが。

 

 

 

さて。

俺の名前はリズナル。

ファミリーネームはない。

親もいない。

その理由は単純明快で、生まれた方法が他の人間と違うからだ。

 

俺は死骸をこねこねして作られたのだ。

人犬猫龍その他諸々。

それを使って作られた肉体に、ちょうど器がなくなった精神が乗り移った。

それが俺である。

まあ簡単な話、俺はホムンクルスに憑依したわけだ。

 

基本性能が高かった俺は、俺の身体を作った奴から逃げ出すことに成功した。

そしてクレアがいる村に転がり込み、狩りとかをして生活していたのである。

 

過去はこれくらいしかない。

かつての自分のことは思い出したくないので割愛。

知識だけは活用させてもらうという感じだ。

 

 

 

まあ、今はレクサに拾われて実質ペット扱いである。

俺、不細工だしねぇ。

あんまり人扱いを受けていない。

それはそれとしてちゃんと3食もらえるから死なないが。

 

「お前は暫く行方を眩ませ」

「はあ」

「姫騎士を攫った奴がここにいると困るのだ」

「なるほど、了解」

 

理にかなっている話ではある。

問題は、俺の生命が危ういころくらいか。

 

「駄賃だ」

「やったぜ」

 

問題は解決した。

じゃらじゃらと金が渡されたので、暫くは生きていける。

 

しかし、節約に節約を重ねて1月くらいか。

まあそれくらい経てば大丈夫だろう。

 

「というわけで1月ほどいなくなるので、夜は1人で寝るようにしなさい」

「うるさいぞリズナル」

「身長を伸ばす薬がいらないと見える」

「うるさいぞ!」

 

殴られた。

彼女には接近戦では負けてしまうのだった。

魔法戦では絶対負けないが。

 

「では行ってくる」

「ああ、死なないようにすれば自由にしろ」

 

一応お前は私の資産なのだからな、と言って屋敷へと入っていく。

あれは本心で、他意は全くない。

読心術を使ってるから確実だ。

悲しい話である。

 

 

 

「というわけで自由になったわけだが」

 

屋敷から町に出ると怪しまれる。

本来存在しない存在である俺が町にいるのは危ないので、ここから直接別の町に移動しなければ。

 

「……人間の多い町に飛べばいいか」

 

こういう時、魔法は便利である。

地図を広げて、適当に町を選ぶ。

ええと、ここでいいか。

そこそこ広い、そこそこ人の多い町。

ここの宿屋で1月過ごせば問題ないだろう。

 

「『稼働 魔力012 調整 発動』」

 

ブゥン、と音が鳴って世界が歪む。

すると目の前の景色が全く別の町へと変わった。

転移魔法だ。

 

ちなみにだが。

魔法を起動するための詠唱は個人個人で異なっていたりする。

俺がこのような詠唱にした理由は特にない。

ただなんとなくだ。

 

 

 

さて。

とりあえず町を散策しよう。

結構前に来たことがあるが、情勢が変わっているかもしれない。

まずは住民に聞き込みだ。

 

 

 

「……誰もいない」

 

探し始めて数十分。

おかしい。

街を歩く人間が1人もいない。

それどころか、犬猫すらいない。

異常事態だ。

 

確か、1年前には人がいたはずだ。

あの時はレクサの魔法の暴走で吹き飛ばされたんだったか。

俺じゃなかったらバラバラだったぞ。

いやまあ、俺でもバラバラになったんだが。

 

 

 

とにかく。

この状況はおかしい。

住民がいなくなっている状態もそうだが、戦闘などの跡がないのがおかしいのだ。

集団で引っ越しか、とも思ったがそれも違う。

失敬ながら一件家探ししたのだが、そこには家財道具一切が置いてあったからだ。

 

さてどうしたものか。

正直今すぐ逃げ出したい。

俺の手に負える状態じゃない。

王家専属の魔法師団にでも任せるべき事案だ。

 

なので、今まさにこちらを見ている少年は恐らく、その被害者もしくは加害者なのだろう。

 

「……」

「……」

 

目線が交差する。

相手からは敵意はない。

じりじりと距離を離しているのだが、相手もゆっくりとこちらに近づいてくる。

 

さてどうするべきか。

別に勝ったり負けたりする必要はない。

というかここから颯爽とワープしてしまえばいいんだが、あれも一応の手がかりだ。

接触するのもいいかもしれない。

 

そう考えていたところで、急に少年が倒れる。

誰かからの攻撃か、と思案しながら駆け寄る。

いきなり死なれては目覚めが悪い。

基本的に俺は善人なのである。

応用的には悪人かもしれないが。

 

「大丈夫か?」

「……」

 

返事はない。

周囲に血痕はないが、魔法による狙撃の可能性もある。

即座に索敵魔法を展開する。

 

「おなか……すいた……」

「……」

 

……そして、即座に解除。

こんな間抜けな被狙撃者なんているはずがない。

とりあえず保護することにした。

 

 

 

 

「ししょー! ししょー!」

「……」

 

悲報:懐かれた。

いや悲報ではないが。

 

先日保護した少年を適当な宿に放り込んで休ませた。

今度は人のいる町だ、抜かりはない。

いや、抜かりがあったからこの少年と出会ったんだが。

 

何故師匠と呼ばれているかというと。

 

「魔法使い! ししょーとおよびになっても!?」

「ちょっと変な言語になってるな」

 

ということらしい。

火を起こしただけだが、それでもこの少年には俺が高等な魔法使いに見えたらしい。

いやまあ、その辺の魔法使いには負けない自負はあるが。

 

「ししょー魔法教えて!」

「今は駄目だ」

「えー」

「安全な場所まで待つんだ」

 

実際、このような場所で教えるのは少々危険である。

魔法の失敗で爆発なんてことがあれば、この宿屋にも迷惑がかかるからだ。

 

 

 

「というわけで帰ってきた」

「……はぁ?」

 

レクサちゃん、半ギレである。

実際1週間経過せずにこれなので、怒られるのも仕方ないのだが。

 

しかしだ。

このお土産を見せればどうだ。

きっとご機嫌になるはずである。

 

「ししょーまだですかー?」

「もういいぞ」

 

背後からちらりと顔を出す少年。

そう、この子がお土産である。

というわけでそそっと前へと送り出し、挨拶をさせる。

 

「はい、挨拶しなさい」

「はい! イスと言います! よろしくお願いします!」

 

にっこり笑顔で言い放つ少年。

その様子にくらりと倒れそうになるレクサ。

そして俺の肩をがっつりと掴み、部屋の隅に引っ張る。

 

「どこでこんな可愛い子誘拐してきた」

「アーレンティヌア」

「……あそこは随分前に住民が一斉に失踪したと評判だぞ」

「マジか」

「マジだ」

 

衝撃の事実である。

やっぱり籠ってばっかりでは駄目だな。

 

ともあれ、さっさと事情を説明してこの子をどうするかを考えることにした。

レクサは「元いた場所に返してこい!」とか言うかと思ったが、そういうことはなかった。

まあ、失踪事件が起きた場所に戻したら可哀そうだろうし。

 

「その前に聞きたいことがある」

「何だ?」

「こいつは……女か?」

 

1番最初に聞かれたことである。

それはそうだろう。

もし男なら俺と一緒にまとめておけばいいのだから。

 

だが問題が1つ。

俺はこいつの性別を知らない。

適当に少年とか言っているのだった。

 

「……が、多分女」

「多分?」

「こんなかわいい子が、男の子のわけがない」

 

というわけでこの少年の生活圏を作ってあげることにした。

ついでに面倒なこともぽーいだ。

魔法は教えよう。

だが生活に関しては自力で何とかしてほしい。

それが俺の方針である。

あ、わかったから殴るのはやめて。

 

 

 

というわけであとは任せた。

俺はちょっと真面目に勉強教える準備するから。

 

 

 

「ええい男ではないかっ!!!」

 

 

 

数分後、高度連鎖炸裂魔法で爆破される。

 

 

 

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