デレろ! 姫騎士クレアちゃん!   作:偽馬鹿

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残酷な表現の大半がヒロインの攻撃な気がします。


とても痛い話

「炸裂撃たれたら俺でも痛いんだが」

「うるさいわっ」

 

再生中にぶん殴られる俺。

痛い。

だが致命傷ではないのでじわじわ修復。

流石俺の肉体、不思議である。

 

「そもそもだ! 何故確認していないのだ!」

「逆に聞くけど、性別を直接聞くのはマナーがなってないのでは?」

「ぐぬぬ」

 

反論はなかった。

勝ちである。

むなしい勝利である。

 

ともかくだ。

イスは男の子だったわけですが、この子の処遇をどうするべきか。

アメジスト色の瞳で、藍色の長い髪を腰辺りまで伸ばしている。

そして何より女の子として見れるほど見栄えがいい。

というか可愛いのか。

 

「ししょー! 魔法!」

 

俺の腕に捕まってぶらんぶらんと揺れるイス。

ああ分かったからちょっと待ちなさい。

今資料を配ります。

 

「……読めない!」

「……そういえば識字率があれだったな、この国」

「張り倒すぞ」

 

識字率脅威の40%なのだが、日本を知っている身としては少しアレ。

まあ、イスが字を読めないのは仕方がない。

仕方がないので、プランBで行こう。

 

「絵だ」

「これで大体わかるだろう」

「わあい!」

「無駄に上手いのがムカツクな……」

 

分かりやすく描いただけなのにひどい言われようである。

とにかく、以下の通りに描いた。

 

・魔力はなんか色んな所にある

・魔力をコントロールして現象を起こすのが魔法

・魔法を使えるのが魔法使い

・魔法使いはお給金が高い

 

「……という感じだ」

「おー」

 

ちなみに俺のお給金は3食ちょっとである。

かなり上位の魔法使いな自負はあるんだけど、これはあんまりでは?

まあ、この姿で外に出るのはごめん被るのだが。

 

「何か質問はあるかな?」

「はい!」

「どうぞ」

「魔法見せて!」

「質問と言ったんだが」

「見せてー!」

 

やだやだーとでも言いたげなイス。

仕方がないので、簡単かつ分かりやすい奴を見せることにした。

 

「『稼働 魔力001 調整廃棄』」

 

ポン、と手の平から破裂するような音が響き、その中から花束が出てくる。

ランダム精製の花束魔法である。

手品感あるな。

 

「おー!」

 

パチパチと手を鳴らすイス。

その顔は驚きに染まっている。

まあ、初めて見ればこんな感じになるか。

ちょっと楽しい。

 

しかし、それとは裏腹にレクサは不満そうな顔である。

派手な魔法は使えないし、綺麗に咲く花束を作るのはランダム精製魔法では難しい。

というかこれ、その辺の雑草をランダムで生み出すだけだしな。

 

「……で、この雑草をどうするつもりだ?」

「いる?」

「いらん!」

 

ぷんぷん怒るレクサ。

いやまあ、仕方ないか。

流石にこれを貴族の当主様に差し上げるわけにもいかない。

 

というわけでポン。

 

「あ……赤薔薇……」

「これでどうでしょうか?」

 

即座にぽーんと魔法で変化。

ちょっと弄るだけだが、見た目だけは薔薇の花束である。

名前をレッド・ブラッド・サティスファクション。

花言葉は「満足」。

 

「う、うむ」

 

レクサ、満更でもない様子。

直接薔薇を叩きつけてくる奴なんてそうそういないだろうからな。

いやまあ、そんな奴がいたら本人がその花束をぶちまけるわけなんだが。

 

「ししょーも悪よのう……?」

「何がだ」

「ふふーん」

 

謎のどや顔を浮かべるイス。

しかし、動揺しているなレクサ。

今ならちょっと思考の奥も覗けるのではないだろうか。

 

「! シッ!」

「あ」

 

ずばーぶしゃー!

首が飛んだ。

勿論俺のだ。

 

「ししょー!?」

 

赤い薔薇が更に赤く。

そして青かったイスの髪の毛も真っ赤だ。

レクサのドレスは黄色と赤でまだら模様になった。

 

「今何やら不穏な気配を感じた」

「ししょーが死んだー!!」

 

わーんと泣くイス。

いや、死んでないんだが。

首は飛んだが。

 

というかだ。

不穏な気配を感じたくらいでこの扱いはどうだ?

俺じゃなかったら逃げ出してるぞ。

 

「イス、イス」

「あ、ししょーの生首が喋ってる……?」

「死んでないから安心しろ」

「なんで?」

「なんでだろうな……?」

 

真相は闇の中。

死なないキメラモンスターである俺としては割と便利に使っているのだが。

イス的にはどう思うのだろうか。

 

「……ししょー凄いね!」

「お、そうか」

 

好意的に見られたらしい。

それは好都合である。

このまま魔法ということにしてしまえ。

 

「まるでゾンビみたい!」

「……」

 

好意的……?

まあいいか。

 

首を繋いで、そのまま再生。

綺麗に切れていたものだから、再生も簡単だ。

なるほど、手加減していたな?

即死技に手加減とは、と言いたいところだが。

 

「とにかくだ! 読心術は使うな!」

「はいはい」

 

何度も言われているが、読心術は嫌いらしい。

まあ、何度言われてもやめない俺の方も悪いんだが、こんな風に即死魔法ぶっ放すのはやめてほしい。

 

 

 

バタン、と扉を閉めて出ていくレクサ。

怒ったっぽい。

まあ女心と秋の空か。

すぐ機嫌も良くなるだろう。

確か今日はデザートがプリンだし。

 

「……ししょーはあの人が好きなの?」

「は?」

 

首の位置を修正していると、イスが聞いてくる。

え、いやあ……ないな(真顔)。

好きか嫌いかで言えば好きな部類ではある。

可愛いし。

だけど、恋愛感情があるかというと違うかなーと思います、はい。

 

「まあ好きだよ」

「わー」

 

とはいえ子供の言うことだ。

簡単な答えでいいだろう。

というわけで好きですよーと答える。

 

すると、イスはぱあっと顔を明るくする。

何か嫌な予感がする。

予感だけだが。

 

「じゃあそー……」

「そぉい!」

「ししょー!?」

 

ぐしゃあ!

頭が潰れた。

(まるで俺の頭が)スイーツ。

放たれた精密破壊魔法が俺の頭蓋を炸裂ぶっ放し。

死なないからと言って雑なのでは?

 

「……!」

「ししょーの腕が凄い勢いで動いてる!」

 

安心しろと言いたいのだが、口がぐちゃぐちゃなので仕方なくジェスチャー。

いやまあ、見えてないからよくわからないんだが。

 

「イス! その話題禁止!」

「えっ」

「その話題が出るたびにお前の師匠が飛び散ることになる」

「はぁーい……」

 

なんだその脅し。

というかこの状況、耳だけは無事だったな?

逆にキモいなこれ。

 

 

 

「そういえばイス……魔導騎士に興味はあるか?」

 

暫くして復活した俺は、イスにこんなことを聞いていた。

魔導騎士……まあ簡単に言うと魔法が使える騎士様である。

ただなんとなく思いついただけだが、今の環境ならなれるかもしれないので聞いてみたのだった。

 

「魔導騎士! 格好いい!」

「そうか」

「どうするの!?」

 

それはもう、騎士様に頼みます。

 

 

 

「断る」

「そこを何とか」

「何を言ってるんだ誘拐犯」

 

なんと、クレアに断られてしまった。

頭を下げても普通に断るとは。

昔一緒にお風呂に入った仲ではないか。

 

ドスンと首が飛んだ。

 

「そこをなんとか」

「……それとこいつは誰だ!」

 

そしてそんな様子を見ながら頭を下げてるイス。

慣れてしまったようだな……イス……。

悲しい現実を突きつけてしまったな……。

 

「ボクはイス! ししょーの魔法使いの弟子!」

「弟子……」

「そして今、騎士も教えてもらいます!」

「こいつ中々図太いな……」

 

呆れ顔のクレアが目に浮かぶ。

しかしまあ、他に頼める相手がいない。

 

……いや。

いるにはいるが。

あいつはちょっと駄目人間過ぎる。

 

「というわけでクレア、頼む!」

「頭を地面に叩きつければいいってわけじゃないんだぞ!」

 

ダムダムダム。

頭をバウンドさせてバスケである。

この世界にバスケがあるかはわからんが。

 

「ええい、わかった! 教えればいいんだろう!」

「わーい!」

「よかったな、イス」

「……はぁ」

 

何やらため息が聞こえる。

呆れたのだろうか。

まあ気にしないが。

 

 

 

「……とりあえず、何を教えればいいんだ?」

 

ふんすっとでも言いそうな顔で構えるクレア。

なんだかんだ言ってやる気である。

真面目だからねぇ、この子。

そこがまあ好きなんだが。

 

「……悪寒がした」

「だからって目を吹き飛ばすのはどうかと思うぞ俺」

 

暴力系女子って奴だな、こいつら。

というかこの状況を生み出したのは俺な気がしてならない。

こいつらの暴力を受け止められるのは、俺だけかもしれない。

うわあ……絶対結婚できないぞこいつら……。

 

「……やはり潰した方がいいのでは?」

「ま、まずボクに騎士を教えてくださいよー!」

 

イスが優しい。

いや、他の奴らが厳しいのか。

世間が俺に冷たくする。

いや、俺を虐めるというべきか。

 

「……ヒロインが暴力系で可哀そうだ」

「……? 何か言ったかイス?」

「なにもー?」

 

 

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