【完結】MUDDY GLORY 〜泥だらけの栄光 byウマ娘プリティーダービー 作:ちありや
とりあえずカメとのマイル並走を1勝1敗した所で小休止を入れる。
「ねぇナッちゃん、さっきのファンレターの子へのお返事はどうするの?」
カメが興味津々といった顔で聞いてきた。返事も何もさっき受け取ったばかりだからどうするかなんて考えてすら……。
「ね、そしたらビデオレターとか喜ぶんじゃないかな? ナッちゃんの練習してる所とか撮って、最後にナズナグレートちゃんへのメッセージ、とか喜ばれるよきっと。私がカメラマンしてあげるからさ!」
お、おぅ、カメの食い付きが凄いな。どういうこっちゃ…?
「私ね、ずっと『見る人に夢を与えるウマ娘』に憧れていたの。だからナッちゃんにファンレターが来たのが、なんだか自分の事みたいに嬉しいんだよ。それにもしかして私の走りも世界の誰かの励みになってるかも知れないなぁ、って思ったらつい…」
いつになく興奮していたのを自覚して恥ずかしくなったのか、顔を赤くして俯くカメ。
確かにカメの言葉は正しい。ファンは大切にしなきゃダメだもんね。
「そしたらカメも一緒に撮ろうよ。トレセン学園に来てからの私の半分はカメの物でもあるんだし、カメをナズナグレートちゃんに紹介したい」
「えー? 私は良いよ裏方で。それにナッちゃんのファンを奪う事にでもなったら悪いし…」
…サラッとトンデモ無いこと言ってくれるじゃんか。それでも笑い話に出来なくなる可能性があるのがカメの怖い所でもある。
「おーい、ナズナーっ!」
私とカメで静かな火花をバチバチ鳴らしていた所にコロとアモ先輩とアイリスときりトレーナーが連れ立ってやって来た。
「ナズナ〜、あけおめ〜! あたしは新年早々勝ってきたぞ〜っ!」
コロが誇らしげに報告してくる。そっか、今日はコロのレースのある日だったっけ。
アイリス以外のメンツはコロの応援に行ってたのかな? それなら源逸さんとかは何処へ行ったのだろう? 事務所かな…?
「わぁ、おめでとうコロちゃん。これでコロちゃんも晴れてオープンクラスかしら?」
カメが再び嬉しそうにコロを祝福する。考え事でリアクションがワンテンポ遅れた私もカメの隣で拍手してコロを迎える。
「うーん、あたしの見立てだとオープン昇格の3000人まで微妙に足りなさそうなんだよねぇ… 多分今回のレースで2800人前後に落ち着くと思うんだ…」
コロの横に立っていたアモ先輩の無慈悲なジャッジ。コロも憮然としつつも抗議しない辺り、アモ先輩の診断に納得している様だ。
「あと1回走れば200人くらい増やせるからいいもんね! そんな事よりアイリスから聞いたぞ! ナズナ、ファンレターが来たそうだな? あたしにも見せろ!」
そう言ってコロが襲いかかってきた。ジャージのポケットに忍ばせていたファンレターを奪い取る。
「ちょっとコロ! 何すんのよ?! 返して…」
こちらに背を向けて私宛の手紙を読んでいたコロの体が徐々に震えだす。終いには手紙を握り締めて号泣し始める。
「うぉ〜ん! 良い話だよぉ〜。それにこんな手紙を貰えるナズナが羨ましいよぉ〜っ! あたしもファンレター欲しい〜!」
あの、私の手紙をクシャクシャにしないで欲しいんですけど……。
「よぉし、ナズナ、勝負だ! あたしが勝ったらこの手紙は貰う!」
何かムチャクチャ言い出した。手紙はどうあっても私の物だし、あんたレースしてきたばかりじゃないの? 訳わかんないんだけど……。
興奮するコロの後頭部がゲンコツで殴られる。もちろんコロの姉貴分のアモ先輩だ。
「こぉらコロ助、ナズナが困ってるでしょ? 手紙はちゃんと返しなさい。あとレースしてきたばかりなんだから、脚の負担を考えて勝負はまた後日な」
とまぁアモ先輩のおかげで事なきを得た訳だが、コロは本気でまだ走り足り無さそうだった。
「お願いアモ姉、1回だけナズナと走らせて! 2勝してるあたしの方が1勝のナズナより強くて魅せる走りが出来るって証明したいの!」
…カッチーン。コロのくせに言ってくれるじゃないか。
何なの? 今日はカメもコロも挑発的じゃん。良いよ良いよ、やってやろうじゃん。同期最強はこのナズナさんだって分からせてやるよ。
「じゃあ3人で軽く1800くらいで並走してみようか。ガチ勝負禁止だよ?」
私とコロのバトルの間に、カメから何かを吹き込まれていたきりさんがスマホを片手に同期3人の並走を提案してきた。
あー、分かった。これを記録してナズナグレートちゃんへのビデオレターの素材にしようとしてるんだな。
まんまと乗せられた気がしないでも無いけど、コロのおかげで(さすがに偶然だよね?)、私も前以上に火が点いたのも確かだ。
☆
「お? 何か楽しそうな事をやってるな?」
3人がスタートラインに並んだタイミングで源逸さんと目黒トレーナー、メル先輩、それと見覚えの無い小柄なウマ娘の計4人がグラウンドにやって来た。
「お帰りお父さん、その子が新人さん?」
きりさんの迎えに満面の笑顔で頷く源逸さん。新人さん、って事は……。
「今日は年明け一発目の選考会があってな。有望な新人をスカウトしてきたんだ。並走するなら仲間に入れてもらおうかと思ってな!」
改めて『新人さん』とやらを見てみる。ボブカットにおっとりとした雰囲気の大人しそうなウマ娘。
全身キレイな芦毛、いや白毛かな? その毛色のおかげで尚更どこかのお嬢様みたいだ。顔つきというか雰囲気に、どこかで会ったような気がしなくも無い。
「ちょうど全員居るから、ホレ、自己紹介しろ」
源逸さんに背中を押されたその娘は少しオドオドしつつもこちらに凛々しく顔を向ける。
その時に気づいたのだが、この子は芦毛や白毛ですら無かった。その真っ赤な瞳が雄弁に物語る、この娘は……。
「
アイリスが驚いた声を出す。毛色だけの話ならまだしも、アルビノでは健康面等でかなり不安があるのではなかろうか? だがまぁしかし、トレセン学園に在籍しているのなら実力は折り紙付きであろうし、はて…?
「毛色や目の色なんて関係ない。『走って勝てる』と思ったからスカウトしたんだ!」
源逸さんの力強い声をバックに例の新人が一歩を踏み出した。
「え〜っと、私は『エバシブ』と言います。これから宜しくお願いします」
と真っ白いお嬢さんは自己紹介して頭を下げ、やがて頭を上げてこちらへニッコリと微笑んだ。
…ううん? なんだろうこの感じ? なんだかこの娘の事を知っている様な気がするんだけど…?
キャラクターイメージビジュアルその2
エバシブ ≫ ハッピーミーク
ツキバミ ≫ エアシャカール
クリスタルセイバー ≫ ミホノブルボン
スメラギレインボー ≫ メジロマックイーン
イーグルダイブ ≫ トーセンジョーダン
フックトッシン ≫ リトルココン
ドキュウセンカン ≫ 該当者無し